JPS6313794B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、トーチのノズル部内に付着した溶接
スパツタを適時自動的に除去する自動溶接装置に
おけるトーチのノズル部清掃装置に関するもので
ある。

現在、ガス被包金属アーク溶接法を採用した自
動溶接装置が広く普及している。これは、炭酸ガ
スあるいはその他不活性ガス等の混合ガスを金属
アークおよび溶融池の周囲に送給して空気を遮断
しながら溶接を行なうものであるが、溶接時にお
いて炭酸ガス等のシールドガスを噴射するトーチ
のノズル部内壁、およびガイドチユーブにより案
内されて送り込まれる溶接用ワイヤを把持するた
め本発明トーチのノズル部中心部に挿通支持した
チツプの表面に溶接時のスパツタが付着し、これ
によつてシールドガスに乱流を生じてアークおよ
び溶融池の空気からの保護を不完全となし、溶接
部にブローホールを生じさせる原因となつてい
た。

従来、トーチのノズル部内に付着したスパツタ
の除去は、溶接作業の休止時に作業者がトーチを
取外してブラツシングまたは圧縮エアの吹き付け
等により清掃を行なつていたが、これらは非常に
手間がかかる上に、作業者がトーチへ近づきにく
い作業環境、例えばトーチ自体に溶接熱がこもつ
ていたり、あるいは吹き飛ばしたスパツタが作業
者の露出身体部分に当つたり目に入つたりする危
険性のある場合、前述清掃作業は非常に危険を伴
なうものである。特に、エア吹きの場合は、除去
したスパツタをトーチの内部奥に押し込んでしま
うことがあり、逆効果となる場合もみられる。
た、トーチ自体あるいはトーチ取付具にエア吹き
またはブラツシング等のスパツタ除去具を一体的
に取り付けたものもみられるが、この場合はトー
チまわりが無用に大きくなり、トーチはワークの
込み入つた狭い空間区域に侵入することができ
ず、さらにトーチ部の重量が大きくなることによ
りトーチの位置決め精度が低下するという自動溶
接装置としての致命的な欠点をもつことになる。

本発明は前述事情に鑑み、１個のモータと、モ
ータの軸端に固定した回転板と、該回転板に該回
転板の回転中心より偏心させて植設しモータの回
転軸方向に延びる適宜数の可とう性のブラツシン
グ棒とから成る清掃装置を、適宜ブラケツトを介
し固定的または可動的に自動溶接装置の固定部適
所（実際の溶接作業に邪魔にならない場所）に据
え付け、自動溶接装置の制御手段に内蔵せるプロ
グラムにセンシング、自動溶接等の一連の動作と
共にトーチノズル部の清掃作業を組込むことによ
り、作業者が直接手をかけることなく適時自動的
に前記清掃作業を行ない、スパツタの詰まりに起
因するブローホールの発生を完全に抑え、常に良
好な溶接結果を得ることを目的とした自動溶接装
置におけるトーチのノズル部清掃装置を提供する
ものである。

以下、図面に基いて詳述する。第１図は本発明
の第１実施例の装置を組込んだ自動溶接装置１の
全体斜視図である。第１図において、２，２′は
基台３上に左右離間・対向して据え付けた１対の
ワーク取付具で、互いに向き合う側に円板状のワ
ーク取付板２ａ，２a′を備え、このうち右側の取
付板２a′を自由回転となし、左側の取付板２ａは
背面に設置した正・逆転モータ２ｂの駆動により
垂直面内において中心まわり（矢印Θ方向）に回
転させるごとくしてある。

４，４′は前記ワーク取付具２，２′の後方にお
いて基台３上に左右離間して立設した柱で、該両
柱４，４′間には梁５が架設してある。６は前記
梁５に跨座し該梁に沿つて左右水平（矢印Ｘ方
向）に移動可能とした左右移動体、７は前記移動
体６の上部に嵌挿して前後方向水平（矢印Ｙ方
向）に移動可能とした前後移動体、８は前記前後
移動体７の前部に嵌挿して垂直方向（矢印Ｚ方
向）に上下動可能とした上下移動体、９は前記上
下移動体８の下端に固定して前方に延びる水平
腕、１０は前記水平腕９の前端に取り付けて垂直
軸線Ｌのまわり（矢印ψ方向）に回転可能とした
トーチ取付具、１１は前記トーチ取付具１０先端
に取り付けたトーチで、該トーチ１１の溶接ワイ
ヤＷの先端は常に前記垂直軸線Ｌの延長線上にも
たらし、トーチ１１の取付角度α（垂直軸線Ｌと
トーチ１１の軸線Ｍとの成す角度）は前記トーチ
取付具１０の中間継手部に設けた正逆転モータ１
０ａにより調整可能としてある。

１２は前記左側の柱４の前面に取り付けたトー
チノズル部用の清掃装置で、第２，３図に拡大し
て示したように、前記柱４の前面に固設した固定
ブロツク１３、一端を該固定ブロツク１３上面に
枢着し一水平面内で揺動可能とした揺動支持板１
４、該揺動支持板１４の先端部上面に傾斜ブラケ
ツト１５を介して軸線Ｎが第２図において垂直に
対して右上り45゜となるように据付けた可変速モ
ータ１６、該モータ１６の前記ブラケツト１５よ
り突出せる軸端に固定した回転板１７、該回転板
１７上の偏心位置に植設し前記軸線Ｎ方向に延び
る細長い可とう性の２本のブラツシング棒１８、
並びに中間部を前記固定ブロツク１３の側面に水
平方向に揺動自在に枢支し、ロツド１９ａ先端を
前記揺動支持板１４の枢点より適宜前方の下面に
枢結して、揺動支持板１４およびモータ１６等を
一体的に揺動させ得るごとくしたエアシリンダ１
９とから成る。

前記ブラツシング棒１８は、第４図に示すごと
く、トーチ１１のノズル部の環状開口、即ちトー
チ１１の本体１１ａと軸線Ｍに沿つて延びる溶接
ワイヤＷ案内用チツプ１１ｂとの間に形成される
間隙ｆに十分入り込める太さのもので、しかもス
パツタＳの付着する可能性のあるトーチ１１の奥
の方まで到達し得る長さとしてある。

しかして前述構成の自動溶接装置１は、別に設
けたマイクロコンピユータ内蔵の制御手段（図示
せず）により制御されるもので、前記マイクロコ
ンピユータには予め所定の工程順序に従つてワー
クＷをΘ方向に回転、またトーチ１１をＸ・Ｙ・
Ｚ・ψ方向の移動および取付角度αの調整を行な
いながらワークＷ溶接線のセンシングや自動溶接
を行なうごとくプログラムしてあり、さらに前記
プログラムには自動溶接の途中あるいは終了時に
前記清掃装置１２によるトーチ１１のノズル部清
掃作業も一連の動作として組込んである。

以下では、前述センシングおよび自動溶接につ
いての動作説明を省略し、トーチ１１のノズル部
清掃作業の動作についてのみ説明する。

先ず、前記清掃装置１２は、前述センシングお
よび自動溶接の期間中はエアシリンダ１９のロツ
ド１９ａ短縮状態を保持して、揺動支持板１４・
モータ１６・回転板１７・ブラツシング棒１８等
を第３図の実線で示すごとく、破線で示したトー
チ１１の可動範囲Ｋの外側に退避させてある。

次いで、プログラムが清掃作業のステツプに入
ると、先ず前記エアシリンダ１９が作動してロツ
ド１９ａを伸長し、第３図の二点鎖線で示すごと
く前記揺動支持板１４等を一体的に揺動させ、少
なくとも回転板１７とブラツシング棒１８を前記
可動範囲Ｋ内に配置させる。この動作と共に各移
動体６，７，８のＸ・Ｙ・Ｚ方向の移動により、
トーチ１１をワークＷから離れた清掃装置１２の
付近に配置させる。次いでモータ１０ａの駆動に
よりトーチ１１の取付角度αを45゜に調整し、さ
らにトーチ１１は前記Ｘ・Ｙ・Ｚ方向の移動に加
えてψ方向の揺動により、軸線Ｍをモータ１６の
軸線Ｎに一致させる。このとき、トーチ１１の溶
接ワイヤｗ先端は未だブラツシング棒１８より上
方の軸線Ｎ延長上にある（第４図）。

この状態から、ブラツシング棒１８が撓わまな
い程度にモータ１６を低速で回転駆動させなが
ら、トーチ１１を斜め45゜下方に徐々に移動（軸
線ＭとＮを常に一致させた状態で）させる（第５
図）。前記モータ１６の低速回転に伴なうブラツ
シング棒１８の緩速旋回運動により、トーチ１１
のノズル部先端開口に強固に付着したスパツタは
容易に崩される。

次いで、ブラツシング棒１８がトーチ１１のノ
ズル部の所定距離奥の地点に達した時点（この位
置で溶接ワイヤｗ先端は回転板１７に接触しない
ものとする）で、トーチ１１の下降移動を停止さ
せ、モータ１６の駆動を高速に切換える。この高
速回転によりブラツシング棒１８の先端は遠心力
で外方にたわみ、トーチ１１の本体１１ａ内壁を
こすることになる。この状態のままトーチ１１を
前記下降移動と逆に徐々に後退移動させる（第６
図）。

前述モータ１６の高速回転とトーチ１１の後退
移動により、トーチ１１のノズル部奥の方から先
端に向けて内部に付着したりまたは架橋している
スパツタＳがかき落されていく。このスパツタＳ
のかき落し動作の最終段階で、ブラツシング棒１
８の先端部がトーチ１１の先端より急激に外方に
開放されるため、トーチ１１の本体１１ａ先端面
に付着した最も強固なスパツタＳも容易にはじき
飛ばされる（第７図）。

以上で、清掃作業を終了し、モータ１６の駆動
停止とエアシリンダ１９のロツド１９ａ短縮動作
により揺動支持板１４・モータ１６等を元の可動
範囲Ｋの外に退避させ、またトーチ１１は次のセ
ンシングまたは自動溶接のために移動させる。

尚、第２実施例として第８図に示すごとく、ブ
ラケツト１１５により清掃装置１１２を前記左側
の柱４に固定的に設けてもよい。この実施例の場
合、モータ１１６・回転板１１７・ブラツシング
棒１１８はトーチ１１の可動範囲内に配置してお
く。

また、第３実施例として第９図に示すごとく、
揺動支持板２１４の延長部先端に45゜に傾斜させ
た溶液浸漬槽２２０を付設した清掃装置２１２と
してもよい。この実施例の場合、前記溶液浸漬槽
２２０には「スパツタ付着防止剤」として市販さ
れている特殊な溶液２２１を入れてある。この溶
液２２１自体には積極的にスパツタを除去すると
いう能力はないが、溶接直後においてトーチ２１
１全体を浸漬することにより、未だ溶接熱のこも
つたトーチ２１１と該トーチ２１１に付着してい
るスパツタを急冷し、スパツタの付着力を若干弱
める働きをする。従つて、前述第１実施例におけ
る作用説明でのブラツシング棒１８によるブラツ
シング作業の前に、トーチ２１１を溶液浸漬槽２
２０の溶液２２１に浸漬させる工程を付加すれ
ば、スパツタ除去は一層完壁となる。

第４実施例として、図示しないが、第２実施例
の清掃装置１１２に第３実施例と同様溶液浸漬槽
（図示せず）を付加しても実施できる。勿論、こ
の場合、前記溶液浸漬槽はトーチの可動範囲内に
配置しておく。

また、第１〜第４実施例ともブラツシング棒は
単なる可とう性の棒材としたが、第１０図に示す
ごとくブラツシング棒３１８の表面に細いワイヤ
３１８ａを植毛してワイヤブラシ状に形成すれ
ば、細いスパツタもうまく除去できる。さらに前
述棒材の先端部外面あるいはほぼ全長外面を鋭利
な刃状に形成したり、棒材の先端部外面に超硬合
金の刃を植設すれば、トーチ内壁に強固に付着し
たスパツタも一層容易にかき落とすことができ
る。

さらに、第１〜第４実施例において清掃装置１
２，１１２，２１２はいずれも柱４に設けたが、
ワーク取付具２，２′の架台等自動溶接装置１の
固定部でワークＷの取付け取外し作業や自動溶接
作業に支障のない場合であればどこでもよい。

以上詳述せるごとく本発明装置によるときは、
自動溶接装置の固定部適所に清掃装置を据え付
け、制御手段のプログラムにセンシングや自動溶
接等の一連の動作と共にトーチノズル部の清掃作
業の工程をいくつか組込んだため、作業者が直接
手をかけることなく安全に且つ自動的に前記清掃
作業を実施でき、スパツタの詰まりに起因するシ
ールドガスの乱流およびそれに起因するブローホ
ールの発生を完全に抑え、常に良好な溶接結果が
得られるものである。

【図面の簡単な説明】

図面はいずれも本発明の実施例を示すもので、
第１図は本発明の第１実施例の清掃装置を具備し
た自動溶接装置の全体斜視図、第２図は第１実施
例の清掃装置の詳細を示す第１図の矢視拡大
図、第３図は第２図の〜矢視平面図、第４〜
７図は第１実施例における作用説明図、第８図は
第２実施例における清掃装置の側面図、第９図は
第３実施例における清掃装置の側面図、第１０図
はブラツシング棒の変更例を示す図面である。 図中、１は自動溶接装置、１１はトーチ、１２
は清掃装置、Ｓはスパツタである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ トーチとワークとを適宜制御手段により相対
   的に位置制御しながら自動溶接するごとくした自
   動溶接装置において、１個のモータと、該モータ
   の軸端に固定した回転板と、該回転板に該回転板
   の回転中心より偏心させて１本または複数本植設
   し前記モータの軸方向に延びる可とう性のブラツ
   シング棒とから成る清掃装置を、前記自動溶接装
   置の固定部適所に固定的または可動的に据付け、
   前記制御手段により自動溶接等の一連の動作指令
   の中に組込まれた清掃作業の工程で、トーチのノ
   ズル部内に前記ブラツシング棒を挿入し該ブラツ
   シング棒の回転によりトーチノズル部内の付着ス
   パツタの除去作業を行なうごとくしたことを特徴
   とする、自動溶接装置におけるトーチノズル部の
   清掃装置。 ２ 前記モータは可変速モータとし、ブラツシン
   グ棒のトーチノズル内への相対的侵入動作時には
   低速とし、前記侵入完了時から前記ブラツシング
   棒とトーチノズルとの離脱動作時には高速とする
   特許請求の範囲第１項記載のトーチノズル部の清
   掃装置。 ３ 前記清掃装置は、前記自動溶接装置の固定部
   に基端を支点に揺動可能に枢着した揺動支持板に
   取り付け、常時はトーチの可動範囲外に待機し、
   清掃作業時のみ適宜駆動手段による前記揺動支持
   板の揺動により、前記可動範囲内に配置するごと
   くした、特許請求の範囲第１項記載の自動溶接装
   置におけるトーチノズル部の清掃装置。 ４ 前記ブラツシング棒は、表面に細いワイヤを
   放射状に多数植毛した特許請求の範囲第１項記載
   の自動溶接装置におけるトーチノズル部の清掃装
   置。 ５ 前記清掃装置は、前記ブラツシング棒の先端
   を上向きとして前記回転板の回転軸線をほぼ45゜
   に傾斜させた、特許請求の範囲第１項記載の自動
   溶接装置におけるトーチノズル部の清掃装置。