JP3314227B2 - 全姿勢自動溶接装置 - Google Patents

全姿勢自動溶接装置

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JP3314227B2 JP17479296A JP17479296A JP3314227B2 JP 3314227 B2 JP3314227 B2 JP 3314227B2 JP 17479296 A JP17479296 A JP 17479296A JP 17479296 A JP17479296 A JP 17479296A JP 3314227 B2 JP3314227 B2 JP 3314227B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、全姿勢自動溶接装
置に係り、特に、固定管等環状の溶接母材の外周面に沿
って移動しながら溶接母材全周を溶接するに好適な全姿
勢自動溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】送電線路を敷設するに際して、送電線に
印加する電圧を高くするために、円形の固定管中に送電
線を挿入するとともに、固定管内に5気圧のSF6ガス
を満たして固定管を密閉する方式が採用されている。こ
の固定管の長さはほぼ数10メートルであるため、ガス
絶縁送電線路(GIL)を構成するには、各固定管の軸
方向端面を順次溶接しながら固定管を接続することが行
なわれている。
【0003】固定管を溶接母材とした場合、溶接電極と
溶接母材との間に発生するアークのうち固定管のアーク
点における接線を示すY軸と溶接電極とのなす角度を電
極角度とし、Y軸と直交するX軸と溶接電極とのなす角
度を接触角度とし、アーク点から溶接電極先端までのZ
軸方向に沿った距離をアーク長とし、これらの値を適正
な値に制御すること行なわれている。
【0004】例えば、電極角度を適正な値に制御するも
のとしては、特開昭59−101279号公報、特開昭
57−32876号公報、特開昭48−18140号公
報、特開昭54−4836号公報、特開昭61−529
90号公報、特開昭和61−49775号公報、特開平
6−87075号公報に記載されているものが知られて
いる。
【0005】従来技術では、アーク点における曲率が変
化した場合、プログラム、センサまたは治具等を用いて
電極の角度を一定に回復制御したり、接触角度とアーク
長を一定に制御したりする方法が採用されている。
【0006】ところで、固定管の外周面を全周に亘って
溶接するに際しては、溶接時の電極の姿勢として全姿勢
溶接が存在し、溶接電極の電極角度として姿勢ごとに適
正な電極角度が存在する。このため、溶接電極を自走台
車に取付けて、自走台車を固定管に沿って時計回りに回
転させた場合、0時(固定管頂部の位置)から6時(固
定管底部の位置)の範囲では、溶接進行方向に電極を傾
ける方法(以下、後進溶接と称する。)にしたがった電
極角度を採用し、6時から12時の範囲では、溶接進行
方向とは逆方向に電極を傾ける方法(以下、前進溶接と
称する。)にしたがった電極角度を採用し、0時および
6時を通る垂直線に対して後進溶接と前進溶接では互い
に反対の電極角度を採用することが望ましい。
【0007】しかし、0時と6時を結ぶ垂直線を境に電
極角度を単に反対に変更する方法では、アーク点の急激
な移動が起こり、アークが断絶して溶接が中断すること
がある。このため、従来技術では、溶接の中断を防止し
ながら、電極角度を一定に制御する方法が採用されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、固定管
等の環状の溶接母材の外周面に溶接を施す場合、電極角
度を一定に制御しているため、以下のような問題点が生
じる。
【0009】電極角度を90度に固定すると、溶接電極
を0時から6時の位置まで移動させる場合、0時前後の
下向き姿勢から3時前後の立向下進姿勢さらに6時前後
の姿勢になるに従い、溶接電流や溶接速度等の基本的な
溶接条件の許容範囲が変化し、許容範囲を狭くすること
が余儀なくされる。
【0010】さらに、立向下進姿勢の位置(3時前後の
位置)では、重力の作用により溶融金属に「垂れ下が
り」現象が生じる。「垂れ下がり」現象が生じたままで
も外観上は溶接を行なうことができるが、「垂れ下が
り」現象が生じたまま溶接を継続すると、「垂れ下が
り」の部分をアークでたたくので、溶接金属が更に加熱
され、溶接金属内部に微小な割れ、ブローホール、融合
不良、溶け込み不足等の重大な欠陥を残すことになる。
すなわち健全な溶接条件を保つことができなくなる。
【0011】また溶接母材として、アルミニウム合金の
ように活性度の高い材料を用いた場合は、溶接原理とし
てアーク雰囲気中のイオンガスにより溶接直前の母材表
面の酸化フィルムを除去するクリーニング作用を活用し
ている。しかし、溶融金属に「垂れ下がり」現象が生じ
たときには、この「垂れ下がり」現象がクリーニング作
用を阻害することになり、健全な溶接品質を得られなく
なる。
【0012】このように、電極角度を一定に制御する方
法では、溶接金属の「垂れ下がり」が生じ、溶接金属の
異常過熱による内部欠陥が発生し、アルミニウム合金で
は基本的なクリーニング作用が阻害され、健全な溶接部
が得られなくなる。
【0013】健全な溶接部が得られないと、溶接を中止
して補修加工を行なうことが余儀なくされ、溶接品質の
信頼性が低下するとともに作業環境が劣化し、経済性が
低下することになり、自動溶接の意味がなくなる。
【0014】本発明の目的は、溶接母材に対する溶接電
極の電極角度を電極の位置に応じて適正な値に調整して
溶接母材全周に亘って連続して溶接することができる全
姿勢自動溶接装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、環状の溶接母材の仮想中心点と平行な傾
動軸に傾動自在に配置されて溶接母材の外周に沿って円
運動しながら移動する溶接電極の軸心と溶接母材の溶接
アーク点における接線とのなす角度を電極角度とすると
ともに、溶接母材の仮想中心点を通る仮想鉛直線と溶接
母材外周上部との交点と溶接母材の仮想中心点との間の
点を仮想偏心点として、溶接電極の軸心を通る仮想電極
中心線が仮想偏心点を通るときの電極角度を溶接母材全
周に亘る溶接電極の移動位置に対応づけて設定し、溶接
電極の移動に応じて溶接電極の電極角度を設定した電極
角度に調整しながら溶接電極を溶接母材全周に亘って移
動させてなる全姿勢自動溶接装置を構成したものであ
る。
【0016】前記全自動溶接装置を構成するに際して
は、電極角度を溶接母材全周に亘る溶接電極の移動位置
に対応づけて設定する代わりに、電極角度を溶接母材全
周に亘る溶接電極の位置に応じて算出し、溶接電極の位
置に応じて溶接電極の電極角度を算出した電極角度に調
整しながら溶接電極を溶接母材全周に亘って移動させる
構成とすることもできる。
【0017】また本発明は、環状の溶接母材の仮想中心
と平行な傾動軸に傾動自在に配置されて溶接母材の外
周に沿って円運動しながら移動する溶接電極の軸心と溶
接母材の溶接アーク点における接線とのなす角度を電極
角度とするとともに、溶接母材の仮想中心点を通る仮想
鉛直線と溶接母材外周上部との交点と溶接母材の仮想中
心点との間の点であって、溶接母材の仮想中心点および
傾動軸の中心を通る仮想電極中心線上の点を仮想偏心点
とし、さらに仮想電極中心線と、溶接母材の仮想中心点
と傾動軸の中心とを結ぶ回転半径とのなす角度であっ
て、電極角度との和が90度となる角度を傾動角度とし
て、この傾動角度を溶接母材全周に亘る溶接電極の移動
位置に対応づけて設定し、溶接電極の移動に応じて溶接
電極の傾動角度を設定した傾動角度に調整しながら溶接
電極を溶接母材全周に亘って移動させてなる全姿勢自動
溶接装置を構成したものである。
【0018】前記全姿勢自動溶接装置を構成するに際し
ては、傾動角度を溶接母材全周に亘る溶接電極の移動位
置に対応づけて設定する代わりに、この傾動角度を溶接
母材全周に亘る溶接電極の位置に応じて算出し、溶接電
極の移動に応じて溶接電極の傾動角度を算出した傾動角
度に調整しながら溶接電極を溶接母材全周に亘って移動
させる構成とすることもできる。この場合、溶接電極が
溶接母材の周囲を移動するときに形成される電極角度と
傾動角度との和は常に90度またはπ/2ラジアンとす
ることが望ましい。
【0019】また本発明は、円環状の溶接母材の外周面
に沿って円運動しながら移動する移動手段と、溶接母材
仮想中心点と平行に配置されて移動手段に傾動自在に
固定された傾動軸と、傾動軸の中心を回転中心として傾
動軸に固定されて溶接母材の外周面とアーク長を保って
配置された溶接電極と、溶接母材の仮想中心点を通る仮
想鉛直線と溶接母材外周上部との交点と溶接母材の仮想
中心点との間の点を仮想偏心点とし、さらに溶接電極の
軸心および傾動軸の中心と仮想偏心点とを結ぶ仮想電極
中心線と溶接母材の仮想中心点と傾動軸の中心とを結ぶ
回転半径とのなす角度を傾動角度として、この傾動角度
に関する情報を溶接母材全周に亘る溶接電極の移動位置
に対応づけて記憶する記憶手段と、溶接電極の移動位置
に応じて記憶手段から傾動角度の情報を入力し入力した
情報に従って傾動軸を傾動する傾動手段とを備えている
全姿勢自動溶接装置を構成したものである。
【0020】前記全姿勢自動溶接装置を構成するに際し
ては、記憶手段の代わりに、傾動角度を溶接母材全周に
亘る溶接電極の移動位置に対応づけて算出する算出手段
を設け、傾動手段により、溶接電極の移動位置に応じて
算出手段の算出による傾動角度にしたがって傾動軸を傾
動させる構成を採用することもできる。
【0021】前記した手段によれば、溶接母材外周に沿
って溶接電極が円運動しながら移動するときに、溶接電
極の軸心を通る仮想電極中心線が常に仮想偏心点を通る
よう電極角度が溶接電極の位置に応じて調整されるた
め、アーク点の途切れを生じさせることなくまた溶融金
属に垂れ下がり現象が生じることなく溶接部剤全周に亘
って連続して溶接を行なうことができる。この場合仮想
鉛直線と溶接母材外周との交点を示す0度、180度、
360度における位置においては、垂直溶接に適した下
向姿勢または上向姿勢が取られる。また0度から180
度の範囲においては、電極角度が溶接の進行方向に対し
てプラスの角度で傾けられ、傾動角度がプラスの値を示
し、立向下進の姿勢に適した後進溶接が行なわれる。ま
た180度から360の範囲においては、溶接電極が溶
接の進行方向に対してマイナスの角度で傾けられ、傾動
角度がマイナスの値を示し、立向上進の姿勢に適した前
進溶接が行なわれる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面に基づいて説明する。
【0023】図1は本発明の一実施の形態を示す全姿勢
自動溶接装置の全体構成を示す斜視図、図2(a)は図
1に示す要部側面図、(b)は図1に示す装置の要部正
面図である。
【0024】図1および図2において、固定管10は、
環状の溶接母材としてアルミニウムで構成されており、
各固定管10の軸方向端面が継手12として配置されて
いる。この継手12には後述する溶接装置の溶接によっ
て円形形状の溶接線が形成されることになる。固定管1
0の外周側には円環状のレール14が配置されており、
レール14には台車16が移動可能に固定されている。
台車16は箱型の本体18と平板状のブラケット20を
備えており、本体18の両側面にはそれぞれアーム22
とケーブル/ホース24が配設されている。ブラケット
20の上面には駆動モータ26、溶接ワイヤ供給器28
が固定されており、ブラケット20の下面側には一対の
車輪30がレール14に当接する状態で固定されてい
る。各車輪30は駆動モータ26の駆動によって回転
し、駆動モータ26の回転に伴ってレール14に沿って
回転するようになっている。すなわち台車16は駆動モ
ータ26、車輪30とともに固定管10の外周面に沿っ
て固定管10の全周に亘って円運動しながら移動する移
動手段を構成するようになっている。
【0025】アーム22は固定管10の軸心とほぼ平行
になって本体18に固定されており、アーム22の先端
側には接触角度調整器32が摺動自在に固定されてい
る。この接触角度調整器32は、レバー34を操作する
ことで、後述するトーチ46の角度を固定管10の軸心
に対して90度に調整できるようになっている。そして
接触角度調整器32に連結された支持板36にはアーク
長調整器38が固定されている。アーク長調整器38は
摺動部40を備えており、摺動部40にトーチ傾動器4
2が昇降自在に収納されている。すなわちトーチ傾動器
42を昇降移動させることで、溶接電極48のアーク長
を調整できるようになっている。またトーチ傾動器42
は駆動モータを内蔵しており、この駆動モータの回転軸
が傾動軸44に連結されている。傾動軸44は固定管1
0の軸心と平行となるように配置されており、傾動軸4
4の外周面にはトーチ46が固定されている。トーチ4
6はほぼ筒型に構成され、傾動軸44の軸心を回転中心
として傾動軸44とともに回転する電極ホルダとして構
成されている。そしてトーチ46の先端側には電極(溶
接電極)48が収納されている。
【0026】この電極48は固定管10の外周面と指定
のアーク長を保った状態で配置されており、電極48に
よって固定管10に溶接を行なうときには、溶接ワイヤ
供給器28から溶接ワイヤ、例えば、アルミニウムで構
成された線材が順次供給されるようになっている。さら
に電極48にはケーブル/ホース24を介して溶接電源
50から電源(電力)が供給されるとともに、アルゴン
ガス供給器52からアルゴンガスが供給されるようにな
っている。すなわちケーブル/ホース24は、コンピュ
ータ54を備えた制御装置56に接続されており、制御
ボタン58が操作されることに伴って、溶接電源50の
電源が電極48に供給されるとともにアルゴンガス供給
器52内のアルゴンガスが電極48に供給されるように
なっている。また駆動モータ26やトーチ傾動器42に
内蔵された駆動モータの電源も溶接電源50から供給さ
れるようになっている。
【0027】ここで、本実施の形態においては、制御装
置56の制御によって電極48の姿勢を固定管10の全
周に亘って制御するに際して、以下に示すような定義に
したがってデータを生成することとしている。
【0028】まず、図3に示すように、電極48と固定
管10との間に発生するアークのうち固定管10のアー
ク点Aにおける接線を、溶接線を示すY軸とし、Y軸と
電極(電極の軸心)48とのなす角度を電極角度θyと
し、Y軸に直交するX軸と電極48とのなす角度を接触
角度(オフセット角度)θxとし、アーク点AからZ軸
に沿った距離のうちアーク点Aから電極48先端部まで
の距離をアーク長Lzと定義している。
【0029】さらに、図4に示すように、固定管10の
仮想中心点Oを通る仮想鉛直線Hのうち仮想鉛直線Hと
固定管10外周との交点C1と仮想中心点Oとの間の点
を仮想偏心点Qとし、仮想中心点Oと仮想偏心点Qとの
距離を偏心距離Lと定義している。さらに傾動軸44の
中心と仮想中心点Oとを結ぶ線分を回転半径Rとし、傾
動軸44の中心、電極48の軸心、アーク点A、仮想偏
心点Qを結ぶ直線を仮想電極中心線Dとしている。また
回転半径Rと仮想鉛直線Hとのなす角度を台車16の位
置、すなわち傾動軸44の中心の位置を示す位置角度θ
とし、回転半径Rと仮想電極中心線Dとのなす角度を傾
動角度αとしている。
【0030】θは、台車16が仮想鉛直線Hとレール1
4との交点H1の位置を示す0時から時計方向に移動し
た場合、0度〜360度の範囲で変化する。このため0
時の位置をスタート点として、駆動モータ26に供給す
る駆動パルスを計測することで、台車16の移動に合わ
せて角度θの値を度またはラジアンで求めることができ
る。
【0031】またアーク点Aにおける接線と平行となる
直線Eと仮想電極中心線Dとのなす角度は電極角度θy
を示し、回転半径Rの延長線と仮想電極中心線Dの延長
線とのなす角度は傾動角度αを示す。そしてαとθyと
の間には次の関係が成立する。 θy+α=90度(ま
たはπ/2ラジアン)……(1) すなわち、電極角度θyと傾動角度αとの和は常に90
度である。
【0032】また傾度軸44の中心と仮想偏心点Qおよ
び仮想中心点Oを結ぶ三角形に着目すると、位置角度θ
と傾動角度αとの間には三角関数の余弦定理が成立す
る。
【0033】すなわち、傾動角度αは、θ、RおよびL
を用いて次の(2)式で表わすことができる。
【0034】 α=tan−1〔Lsinθ/(R−LCOSθ)〕……(2) (1)式、(2)式から、電極角度θyを直接求めるこ
となく、αを求め、このαにしたがって傾動軸44を傾
動することで、電極48の電極角度θyを指定の値に調
整することができる。
【0035】この場合、αの値と電極角度θyおよび位
置角度θとを対応づけたデータをあらかじめ生成し、こ
のデータを制御装置56のメモリ(記憶手段)に記憶
し、台車16の移動に合わせてメモリからデータを読み
出すことで電極48の電極角度θyを電極48の位置に
応じて調整することができる。またαの値を台車16の
移動に合わせてコンピュータ(算出手段)54で算出
し、この算出値に応じて電極48の電極角度θyを調整
することもできる。
【0036】また角度αが最大値になるときの台車16
の位置角度θは(2)式を微分して、dα/dθ=0と
したときの値であり、次の(3)式で表わされる。
【0037】θ=cos−1(L/R)……(3) ここで、具体的な数値として、R=600mm、=12
0mmの値を(2)式に代入してαを求めると、θ、
α、θyとの関係は次の表1で表わされる。
【0038】
【表1】
【0039】表1では、煩雑さを避けるために、30度
ピッチで計算した数値を示してあるが、実際には、1度
未満の微小角度単位で求めることができる。
【0040】表1から、θの値が0度から180度まで
はαの値が+の値を示し、溶接進行方向に対して電極4
8を傾ける方法、すなわち、後進溶接に対応しているこ
とが分かる。
【0041】一方、θの値が180度を超え360度ま
でのαの値は−の値を示しており、溶接進行方向とは逆
方向に電極48を傾ける方法すなわち前進溶接に対応す
ることが分かる。
【0042】また表1からは、0度、180度、360
度におけるθの値は、180度の値を基準に左右で鏡面
対称となる値を示しており、θとαの値は電極角度とは
正反対の値を示す関係になっている。
【0043】また角度αの最大値とそのときの台車16
の位置角度θを(2)式、(3)式に代入して求める
と、θ=78、5度、α=11、5度となる。
【0044】次に、図1に示す装置の作用を図5および
図6にしたがって説明する。
【0045】固定管10の継手12に沿って溶接を行な
うに際して、図5(a)に示すように、電極48の先端
側を、仮想鉛直線Hとレール14との交点H1を示す0
時の位置にセットする。そして0時の位置をスタート地
点として駆動モータ26に駆動パルスを与えて台車16
を時計方向に移動させるとともに、台車16の移動に伴
う位置角度θに対応したαを算出し、このαにしたがっ
て、トーチ駆動器42に内蔵された駆動モータを駆動し
傾動軸44を位置角度θに応じて順次傾動させる。この
とき電極48には溶接電源50からの電源が供給され、
固定管10と電極48との間にアークが生じ、溶接ワイ
ヤの溶融によって固定管10の外周面に溶接が施され
る。また、電極48の周囲にはアルゴンガス供給器52
からのアルゴンガスが噴射され、アーク点A近傍の領域
に酸素や窒素等が侵入するのが阻止される。
【0046】図5(a)に示す0時の位置では、図6
(a)に示すように、α=0度(θy=90度)として
下向姿勢による垂直溶接が行なわれる。そして台車16
が0時の位置から3時の位置を介して6時の位置に移動
する過程では、図6(b)に示すように、電極48を溶
接進行方向に対してプラスの角度に傾ける後進溶接が実
行される。この場合αは0より大きいプラスの値を示す
ため、電極48は立向下進の姿勢を示すことになる。さ
らに、この場合、電極48は進行方向に対して角度αだ
け傾斜した状態で移動するため、アーク60の電磁力に
よる吹き付け力の作用で溶融金属62を支え、溶融金属
62を電極48の後方に押しやることができる。このた
め溶融金属62に「垂れ下がり」現象が生じるのを防止
することができ、クリーニング作用を活用することがで
きる。
【0047】また溶融金属62が異常に盛り上がる部分
をアーク60でたたくことで、溶融金属62の異常過熱
や飛散を未然に防止することができ、溶接電流や溶接速
度等の基本的な溶接条件の範囲を比較的広く採用するこ
とができる。
【0048】溶接条件の範囲が広くできるということ
は、結果的に健全な溶接品質が得られ易いことになる。
しかも、固定管10全周に亘る微小角度ごとの基本的な
溶接条件が広くなるので、溶接条件を細かく考慮しなく
ても、溶接管10全周に亘って同じ条件で連続的に溶接
を行なうことができる。
【0049】一方、図5(c)に示す6時の位置では、
α=0として上向き姿勢による垂直溶接が実行される。
この場合溶融金属62の重力による垂れ下がりをアーク
60の吹き付け力で支えることができる。
【0050】次に、図5(c)、(d)、(a)に示す
ように、6時の位置から9時の位置を経て0時の位置に
移動する過程では、図6(c)に示すように、電極48
を溶接進行方向(矢印)に対してマイナスの角度で傾け
る前進溶接が実行される。
【0051】前進溶接においては電極48は立向上進姿
勢となり、この前進溶接においても電極48は溶接進行
方向に対して角度α傾いた状態で移動するため、アーク
60の電磁力による吹き付け力により、溶融金属62の
垂れ下がりを防止することができる。
【0052】このように、本実施の形態によれば、後進
溶接および前進溶接を行なうときに、溶接進行方向に対
して電極48を角度αだけ、その位置に応じて傾けた状
態で溶接を行なうようにしたため、アーク60の電磁力
による吹き付け力の作用で溶融金属62の垂れ下がりを
防止することができ、固定管10表面の酸化皮膜を除去
するクリーニング作用を活用することができ、アーク点
の途切れを生じさせることなく、固定管10外周を全周
に亘って連続的に溶接することができる。
【0053】この結果、各姿勢ごとの溶接の電流、電
圧、速度等、基本的な溶接条件の許容範囲を広くするこ
とができ、安定した溶接が可能となる。またさらに、ア
ルミニウム合金等における立向姿勢のように、溶融金属
の「垂れ下がり」現象によって溶接性が阻害されるのを
防止することができ、溶接品質の確保、経済性の改善を
図ることができる。
【0054】また前記実施の形態においては、台車16
を時計方向に移動させる場合について述べたが、0時の
位置をスタート地点としてデータを生成しているため、
台車16を反時計方向に移動させる場合でも、制御プロ
グラムやデータに何ら変更を加えることなく、回転方向
を逆方向に切替る操作を行なうのみで、時計方向に回転
させるときと同様な効果を得ることができる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
傾動軸の中心と溶接電極の軸心を結ぶ仮想電極中心線が
常に仮想偏心点を通るように、電極の位置に応じて電極
角度を可変に制御するようにしたため、溶接母材に対し
て垂直溶接の他に前進溶接および後進溶接を施しても、
アーク点の途切れを生じさせることなく、溶接母材全周
に亘って連続的に溶接を行なうことができ、溶接品質の
向上に寄与することができるとともに、溶接の基本条件
の許容範囲の拡大に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す全姿勢自動溶接装
置の斜視図である。
【図2】(a)は図1に示す装置の要部側面図、(b)
は図1に示す装置の要部正面図である。
【図3】電極角度、接触角度およびアーク長のそれぞれ
の関係を説明するための図である。
【図4】位置角度θ、傾度角度αおよび電極角度θyの
それぞれの関係を説明するための図である。
【図5】図1に示す装置の溶接方法を説明するための図
である。
【図6】図1に示す装置の溶接方法を説明するための要
部断面図である。
【符号の説明】
10 固定管 14 レール 16 台車 26 駆動モータ 42 トーチ傾動器 44 傾動軸 46 トーチ 48 電極 50 溶接電源 56 制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大賀 基美雄 茨城県日立市国分町一丁目1番1号 株 式会社 日立製作所 国分工場内 (56)参考文献 特開 平8−25036(JP,A) 実開 昭57−132772(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/12 B23K 9/028

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状の溶接母材の仮想中心点と平行な傾
    動軸に傾動自在に配置されて溶接母材の外周に沿って円
    運動しながら移動する溶接電極の軸心と溶接母材の溶接
    アーク点における接線とのなす角度を電極角度とすると
    ともに、溶接母材の仮想中心点を通る仮想鉛直線と溶接
    母材外周上部との交点と溶接母材の仮想中心点との間の
    点を仮想偏心点として、溶接電極の軸心を通る仮想電極
    中心線が仮想偏心点を通るときの電極角度を溶接母材全
    周に亘る溶接電極の移動位置に対応づけて設定し、溶接
    電極の移動に応じて溶接電極の電極角度を設定した電極
    角度に調整しながら溶接電極を溶接母材全周に亘って移
    動させてなる全姿勢自動溶接装置。
  2. 【請求項2】 環状の溶接母材の仮想中心点と平行な傾
    動軸に傾動自在に配置されて溶接母材の外周に沿って円
    運動しながら移動する溶接電極の軸心と溶接母材の溶接
    アーク点における接線とのなす角度を電極角度とすると
    ともに、溶接母材の仮想中心点を通る仮想鉛直線と溶接
    母材外周上部との交点と溶接母材の仮想中心点との間の
    点を仮想偏心点として、溶接電極の軸心を通る仮想電極
    中心線が仮想偏心点を通るときの電極角度を溶接母材全
    周に亘る溶接電極の位置に応じて算出し、溶接電極の移
    動に応じて溶接電極の電極角度を算出した電極角度に調
    整しながら溶接電極を溶接母材全周に亘って移動させて
    なる全姿勢自動溶接装置。
  3. 【請求項3】 環状の溶接母材の仮想中心点と平行な傾
    動軸に傾動自在に配置されて溶接母材の外周に沿って円
    運動しながら移動する溶接電極の軸心と溶接母材の溶接
    アーク点における接線とのなす角度を電極角度とすると
    ともに、溶接母材の仮想中心点を通る仮想鉛直線と溶接
    母材外周上部との交点と溶接母材の仮想中心点との間の
    点であって、溶接母材の仮想中心点および傾動軸の中心
    を通る仮想電極中心線上の点を仮想偏心点とし、さらに
    仮想電極中心線と、溶接母材の仮想中心点と傾動軸の中
    心とを結ぶ回転半径とのなす角度であって、電極角度と
    の和が90度となる角度を傾動角度として、この傾動角
    度を溶接母材全周に亘る溶接電極の移動位置に対応づけ
    て設定し、溶接電極の移動に応じて溶接電極の傾動角度
    を設定した傾動角度に調整しながら溶接電極を溶接母材
    全周に亘って移動させてなる全姿勢自動溶接装置。
  4. 【請求項4】 環状の溶接母材の仮想中心点と平行な傾
    動軸に傾動自在に配置されて溶接母材の外周に沿って円
    運動しながら移動する溶接電極の軸心と溶接母材の溶接
    アーク点における接線とのなす角度を電極角度とすると
    ともに、溶接母材の仮想中心点を通る仮想鉛直線と溶接
    母材外周上部との交点と溶接母材の仮想中心点との間の
    点であって、溶接母材の仮想中心点および傾動軸の中心
    を通る仮想電極中心線上の点を仮想偏心点とし、さらに
    仮想電極中心線と、溶接母材の仮想中心点と傾動軸の中
    心とを結ぶ回転半径とのなす角度であって、電極角度と
    の和が90度となる角度を傾動角度として、この傾動角
    度を溶接母材全周に亘る溶接電極の位置に応じて算出
    し、溶接電極の移動に応じて溶接電極の傾動角度を算出
    した傾動角度に調整しながら溶接電極を溶接母材全周に
    亘って移動させてなる全姿勢自動溶接装置。
  5. 【請求項5】 円環状の溶接母材の外周面に沿って円運
    動しながら移動する移動手段と、 溶接母材の仮想中心点と平行に配置されて移動手段に傾
    動自在に固定された傾動軸と、 傾動軸の中心を回転中心として傾動軸に固定されて溶接
    母材の外周面とアーク長を保って配置された溶接電極
    と、 溶接母材の仮想中心点を通る仮想鉛直線と溶接母材外周
    上部との交点と溶接母材の仮想中心点との間の点を仮想
    偏心点とし、さらに溶接電極の軸心および傾動軸の中心
    と仮想偏心点とを結ぶ仮想電極中心線と溶接母材の仮想
    中心点と傾動軸の中心とを結ぶ回転半径とのなす角度を
    傾動角度として、この傾動角度に関する情報を溶接母材
    全周に亘る溶接電極の移動位置に対応づけて記憶する記
    憶手段と、 溶接電極の移動位置に応じて記憶手段から傾動角度の情
    報を入力し入力した情報に従って傾動軸を傾動する傾動
    手段とを備えている全姿勢自動溶接装置。
  6. 【請求項6】 円環状の溶接母材の外周面に沿って円運
    動しながら移動する移動手段と、 溶接母材の仮想中心点と平行に配置されて移動手段に傾
    動自在に固定された傾動軸と、 傾動軸の中心を回転中心として傾動軸に固定されて溶接
    母材の外周面とアーク長を保って配置された溶接電極
    と、 溶接母材の仮想中心点を通る仮想鉛直線と溶接母材外周
    上部との交点と溶接母材の仮想中心点との間の点を仮想
    偏心点とし、さらに溶接電極の軸心および傾動軸の中心
    と仮想偏心点とを結ぶ仮想電極中心線と溶接母材の仮想
    中心点と傾動軸の中心とを結ぶ回転半径とのなす角度を
    傾動角度として、この傾動角度を溶接母材全周に亘る溶
    接電極の移動位置に対応づけて算出する算出手段と、 溶接電極の移動位置に応じて算出手段の算出による傾動
    角度に従って傾動軸を傾動する傾動手段とを備えている
    全姿勢自動溶接装置。
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