JPS6313066Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はシートアジヤスタに関するものであ
る。

自動車の運転席及び助手席のシートは、一般に
前後に移動，固定自在に操作し得る構造が用いら
れるが、特に２ドア形乗用車等においては後部座
席への出入を容易にするため、運転席及び助手席
のシートを前後に移動可能とし、かつシートバツ
クを前方に倒し得る構造が用いられる。

この種のシートアジヤスタにおいては、その操
作を容易ならしめるため、従来、シートバツクを
前方に倒すとシートの前後進ロツクが解除され、
シートバツクを後方に立てて後退させるとシート
の前後進がロツクされるウオークイン機構が実用
化されている。

しかし、従来形のウオークイン機構付シートア
ジヤスタは構造が複雑で構成部品点数が多く、設
置所要スペースが大きい。その上、上述のような
ウオークイン機構を備えたシートアジヤスタと、
ウオークイン機構を有しないシートアジヤスタと
の間に構成部材の互換性が少ないという不具合が
あつた。

本考案は上述の事情に鑑みて為され、簡単な構
成で設置所要スペースが少なく、その上、ウオー
クイン機構を備えていないシートアジヤスタとの
間の構成部材の互換性が大きいウオークイン機構
付シートアジヤスタを提供することを目的とす
る。

上記の目的を達成するため、本考案は、運転室
に水平に固定したロワレールと、シートを固着さ
れて上記のロワレールに沿つて摺動するアツパレ
ールと、上記の摺動を自在に係止，解除し得るロ
ツク手段とを備えたシートアジヤスタを母体とし
て、上記のアツパレールに回動自在に支承したウ
オークインレバーと、上記のウオークインレバー
に植設した軸の回りの回転及び軸心に対する傾動
自在に枢支されたウオークインロツクと、上記の
ウオークインロツクに回転力および傾動力を付勢
するバネ部材と、上記のウオークインロツクに当
接してこれを傾動方向に押動するカム斜面を有す
るウオークインプレートとよりなり、前記のウオ
ークインレバーと前記のロツク手段とを連動せし
める手段を備えるとともに、前記のウオークイン
ロツクに当接してその回動を係止する部材をアツ
パレールに固着し、かつ、ウオークインロツクが
ウオークインプレートに押動されることにより上
記の係止が解除されるように構成したことを特徴
とする。

次に、本考案の一実施例を第１図乃至第３図に
ついて説明する。第１図は平面図、第２図は側面
図、第３図は端面図である。

１は運転室内に水平に設置された案内用のロワ
レール、２はボール３ａ及びローラ３ｂ介して上
記のロワレール１に案内されてその長手方向に摺
動するアツパレールである。このアツパレール２
にシート（図示せず）が固着されている。

上記のアツパレール２に固着されたブラケツト
４により操作レバー５が矢印Ａ，Ｂ方向の回動自
在に支承されている。この操作レバー５に鉤形の
ロツク６が固着されていて、操作レバー５が矢印
Ａ方向に回されると上記のロツク６が固定部材で
あるロワレール１に設けられたロツク孔１ａ，１
ａのいずれかに係合してアツパレール２の移動を
係止し、操作レバー５が矢印Ｂ方向に回されると
上記の係止が解かれる。前記の操作レバー５はバ
ネ７により矢印Ａ方向（係止方向）に付勢されて
いる。

第１〜第３図について以上に述べた構成は従来
一般に用いられているところのウオークイン機構
を有しないシートアジヤスタと同一乃至は類似の
構成である。

前記のブラケツト４に対し軸８によつてウオー
クインレバー９を回動自在に支承するとともに、
上記ウオークインレバー９に対して軸１０により
ウオークインロツク１１を回動自在に支承する。

第４図は上述の各部材の分解斜視図である。ウ
オークインロツク１１の孔１１ａは軸１０に対し
て充分のクリアランスを有するごとく穿ち、ウオ
ークインロツク１１が軸１０の軸心CDに対して
若干傾動し得るように構成する。

１２は軸１０に外嵌してウオークインロツク１
１とウオークインレバー９との間に介装したネジ
リバネである。このネジリバネ１２はウオークイ
ンロツク１１を第１図における右回り方向に付勢
するとともに、第２図において下方へ押しつけ軸
１０の軸心CDに対して図示の左回り方向に傾動
せしめる方向に付勢している。

１３はロワレール１に固着したウオークインプ
レートで、第２図に示す状態においてはこのウオ
ークインプレート１３がウオークインロツク１１
を押し上げ、ネジリバネ１２の付勢力に抗してウ
オークインロツク１１を左上がり方向に傾動させ
ている。１３ａは後述のごとくカム機能を行なわ
せるために形成した斜面である。

（第４図参照）ブラケツト４に舌片状のストツ
パ４ａを一体形成し、ウオークインレバー９の厚
さを寸法ｔとほぼ同寸だけ上方に段付き状に折り
上げて高くする。また、ウオークインロツク１１
には舌片状のカムフオロワ１１ｂを形成し、下方
に折り曲げて脚状に成形する。そして上記のウオ
ークインロツク１１にはストツパ片１１ｃを形成
してある。

第５図及び第６図はそれぞれ上述の各部材を組
立てたところを示している。第５図は第１図及び
第２図に描いてあるのと同じ状態であつて、ウオ
ークインロツク１１のカムフオロワ１１ｂがウオ
ークインプレート１３により押し上げられて該ウ
オークインロツク１１が図示の左上り方向に傾動
した状態である。この状態ではウオークインロツ
ク１１のストツパ片１１ｃがブラケツト４のスト
ツパ４ａに乗り上げて重なつている。第６図はウ
オークインロツク１１のカムフオロワ１１ｂが押
し上げられていない状態を示し、この状態におい
てはウオークインロツク１１のストツパ片１１ｃ
がブラケツト４のストツパ４ａに当接しているた
めウオークインレバー９の右回り回動が係止され
ている。

本実施例は以上のようにして、アツパレール２
に回動自在に支承したウオークインレバー９と、
上記のウオークインレバーに植設した軸１０の回
りの回転及び軸心に対する傾動自在に枢支された
ウオークインロツク１１と、上記のウオークイン
ロツク１１に回転力および傾動力を付勢するネジ
リバネ１２と、上記のウオークインロツク１１に
当接してこれを押し上げることによりウオークイ
ンロツク１１を傾動させるウオークインプレート
１３とを設け、前記のウオークインロツク１１に
当接してその回動を係止するストツパ４ａを一体
形成したブラケツト４をアツパレール２に固着し
てある。

（第４図参照）ウオークインレバー９にワイヤ
係着片９ａを一体連設する。（第１図参照）上記
のワイヤ係着片９ａと前記のロツク６との間にワ
イヤ１４を介装係着して両部材を連動させる。本
考案を実地に適用する場合、上記の連動手段はワ
イヤに限らないが、（第３図参照）ロツク６に対
して矢印Ｂ方向の係止解除方向の作動力を伝達す
ることができ、しかも該ロツク６が操作レバー５
によつて矢印Ｂ方向に回動されることを妨げない
ような構造とする。本実施例のごとくワイヤ１４
を用いる場合、ウオークインレバーのワイヤ係着
片９ａが第３図の下方に動かされるとロツク６を
矢印Ｂ方向に回動させ、またロツク６のみが矢印
Ｂ方向に回動しようとするとワイヤ１４の係着部
がスライドしてその回動を妨げないように構成す
る。

（第１図参照）ウオークインレバー９の自由端
付近に孔９ｂを穿ち、シートバツクに連結された
ワイヤ（共に図示せず）を取りつけ、シートバツ
クを前方に倒すとウオークインレバー９に矢印Ｅ
方向の力が加えられて該ウオークインレバー９が
軸８の回りに左回り方向に回動せしめられるよう
に構成する。

本実施例に係るウオークイン機構付シートアジ
ヤスタにおいて、シートが通常の使用位置付近に
あるとき操作レバー５を矢印Ｂ方向に回すと、第
７図及び第８図に示すようにロツク６がロワレー
ル１の孔１ａから抜去されるのでアツパレール２
はロワレール１に沿つて自在に摺動し得るように
なる。手の力を放すと操作レバー５はバネ７の作
用で矢印Ａ方向に回動して第１図，第３図に示し
た状態に復元し、ロツク６がロワレール１の孔１
ａに挿入されてアツパレール２の摺動を係止す
る。

上述のように操作レバー５に操作力を加えた場
合における作動はウオークイン機構を停止させた
ままこれと関係無く、ワイヤ１４の係着部をスラ
イドさせて行なわれる。従つてウオークイン機構
が上記の手動操作を阻止する虞れが無い。このよ
うに、通常の手動操作が独立して行なわれるとい
う効果は、ウオークインレバーとロツク手段とを
適宜の方法で連動せしめることによつて達成され
る。

第１図の状態でシートバツク（図示せず）を前
方に倒すと、孔９ｂに接続したワイヤにより矢印
Ｅ方向の力を加えられるのでウオークインレバー
９が図示左回り方向に回動され、第９図及び第１
０図に示す状態となる。ウオークインレバー９の
回動により、ワイヤ係着片９ａ及びワイヤ１４を
介してロツク６が矢印Ｂ方向に回されて係止を解
き、アツパレール２は自由に摺動できるようにな
る。

この状態でシート（図示せず）を運転席前方
（図の左方）に動かすと、第１１図に示すごとく
ウオークインロツク１１が左方に動かされてウオ
ークインプレート１３から離間する。するとウオ
ークインロツク１１はネジリバネ１２の付勢力に
よつてウオークインレバー９の上面に押しつけら
れて軸１０の軸心CDとほぼ垂直な姿勢になり、
第９図及び第６図に示すごとくストツパ片１１ｃ
がブラケツト４のストツパ４ａに当接する。この
ため、ウオークインレバー９は右回り方向の復元
回動を係止される。従つて、この状態ではシート
バツク（図示せず）を後方に立てて矢印Ｅ方向の
力が消失してもウオークインレバー９は第９図に
示した左回り回動の姿勢を保つてロツク６の係止
解除状態を保持させ、シート（図示せず）はアツ
パレール２と共に自在に前後方向に移動し得る。

次いでそのままシートを後方に動かすとアツパ
レール２は第１１図の状態から図示右方に動き、
ウオークインロツク１１のカムフオロワ１１ｂが
ウオークインプレート１３のカム斜面１３ａに当
接して押し上げられる。

ウオークインロツクのカムフオロワ１１ｂが押
し上げられると第５図のごとくストツパ片１１ｃ
とストツパ４ａとの当接が外れ、ウオークインレ
バー９の右回り回動が許容される。これにより、
（第１図参照）操作レバー５はバネ７の付勢力に
よりワイヤ１４を引つ張つてウオークインレバー
９を右回り回動させながら矢印Ａ方向に回動し、
ロツク６を係止作動させる。このようにして、シ
ートバツクを後方に立てた状態で後方に動かされ
たシートは所定の位置まで後退すると自動的にロ
ツクされる。上記の所定位置はウオークインプレ
ート１３の設置個所により任意に設定することが
できる。

前述の構造機能から明らかなように、本考案に
おいてはウオークインロツク１１に対して単一の
バネ部材１２によつて軸１０の回りの回動力と同
軸１０に対する傾動力とを付勢してウオークイン
機能を果たさせるので、ウオークインロツク１１
を付勢するための構造が簡単で構成部材が少な
く、設置所要スペースも少なくてすむ。また、前
述の構成から明らかなように本考案に係るウオー
クイン機構は連動手段（前記の実施例におけるワ
イヤ１４）を介して手動操作式のシートアジヤス
タに付設する構造であるから、ウオークイン機構
を設けることに伴つて手動操作機構の構成部材に
大きい改造を加える必要が無い。

以上説明したように本考案によれば、簡単なウ
オークイン機構付シートアジヤスタを構成するこ
とができ、設置所要スペースが少なく、その上、
ウオークイン機構を備えていないシートアジヤス
タとの間に構成部品の互換性を保持し得るので製
造工程管理並びに保守整備が容易であるなど多大
の実用的効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本考案の一実施例を示し、第１図は
ロツク状態の平面図、第２図は同側面図、第３図
は同断面端面図、第４図は分解斜視図、第５図及
び第６図はそれぞれ異つた作動状態の斜視図、第
７図は手動操作状態の平面図、第８図は同断面端
面図、第９図はウオークイン状態における平面
図、第１０図は同断面端面図、第１１図は同側面
図である。 １……ロワレール、２……アツパレール、４…
…ブラケツト、４ａ……同ストツパ、５……操作
レバー、６……ロツク、７……バネ、８……軸、
９……ウオークインレバー、９ａ……同ワイヤ係
着片、９ｂ……孔、１１……ウオークインロツ
ク、１１ａ……同孔、１１ｂ……同カムフオロ
ワ、１１ｃ……同ストツパ片、１２……ネジリバ
ネ、１３……ウオークインプレート、１３ａ……
同カム斜面、１４……連動用のワイヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 床面上に水平に固定したロワレールと、シート
   を固着されて上記のロワレールに沿つて摺動する
   アツパレールと、上記の摺動を自在に係止，解除
   し得るロツク手段とを備えたシートアジヤスタに
   おいて、上記のアツパレールに回動自在に支承し
   たウオークインレバーと、上記のウオークインレ
   バーに植設した軸の回りの回転及び軸心に対する
   傾動自在に枢支されたウオークインロツクと、上
   記のウオークインロツクに回転力および傾動力を
   付勢するバネ部材と、上記のウオークインロツク
   に当接してこれを傾動方向に押動するカム斜面を
   有するウオークインプレートとよりなり、前記の
   ウオークインレバーと前記のロツク手段とを連動
   せしめる手段を設けるとともに、前記のウオーク
   インロツクに当接してその回動を係止する部材を
   アツパレールに固着し、かつ、ウオークインロツ
   クがウオークインプレートに押動されることによ
   り上記の係止が解除されるように構成したことを
   特徴とするウオークイン機構付シートアジヤス
   タ。