JPH0619401Y2 - 車両の回転シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は車両の回転シートに関し、特にバン型車両等に
おいて後列リアシートへの乗込みをスムーズとなす回転
シートの構造に関する。

［従来の技術］ バン型車両等において、スライドドアのサイド乗降口よ
り車内の後列リアシートへ乗込む場合、これを容易にな
すために、従来は、前列リアシートを跳上げ可能とした
もの、あるいは乗降口付近のシート部を補助席として折
畳み収納可能としたもの等があるが、前者はシートの重
厚性に欠けるため高級バン型車には適さず、また、後者
はゆったりした本席部分が小さくなるという欠点があ
る。

そこで、乗降時に前列リアシートを全体が前方へスライ
ド移動可能としたものがある。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、乗降スペースを大きく確保して乗降をス
ムーズになすためには、乗降ステップに面する前列リア
シートの後コーナ部を十分前方へ出す必要があるが、ス
ライド移動量を大きくすることは、スライドレール長に
制約があるため困難である。

本考案はかかる課題を解決するもので、スライド移動せ
しめることなく、簡単な構造で後列リアシートへの乗込
みをスムーズに行ない得る車両の回転シートを提供する
ことを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、バン型車の前列リアシート等には従来より対
面着座を可能とする回転機構が設けられることが多いこ
とを考慮してなされたもので、請求項１記載の車両の回
転シートは、車両フロアＦ（第４図）上に回転自在に支
承された車両シートＳないし上記車両フロアＦに設けら
れ、車両フロアＦないし車両シートＳに設けた相手部材
に係合して上記車両シートＳを回転方向の所定位置で位
置決め固定するとともにシートバックＳ２の起倒に連動
して作動してシートバックＳ２前倒時に上記相手部材と
の係合（以下、ロック状態という）を解消する第１のロ
ック部材１（第１図）と、上記シートバックＳ２を前倒
作動せしめるリクライニングレバー２（第４図）と、上
記車両シートＳないし車両フロアＦに設けた第２のロッ
ク部材３と、該第２のロック部材のロック状態を解消す
る第２のロック解除レバー４２（第４図）と、ロック解
消位置にある上記第１のロック部材１をシート回転の一
方向で当接せしめてこの方向へのシート回転を阻止す
る、車両フロアＦないし車両シートＳに設けた第１のス
トッパ部材５１（第２図）と、この当接時に、ロック位
置にある上記第２のロック部材３を当接せしめて車両シ
ートＳの他方向への回転を阻止する、車両フロアＦない
し車両シートＳに設けた第２のストッパ部材５２とを具
備している。

また、請求項２記載の回転シートは、上記ストッパ部材
５１、５２に代えて、ロック位置にある上記第２のロッ
ク部材３を上記車両シートＳの所定回転位置で係合せし
めて上記シートＳの回転を阻止する、車両フロアＦない
し車両シートＳに設けた係合部材５４（第８図）を具備
している。

［作用］ 請求項１記載の構成において、リクライニングレバー２
によりシートバックＳ２を前倒せしめて第１のロック部
材１のロック状態を解消すると、車両シートＳは回転可
能となる。ロック解消状態にある上記第１のロック部材
１はシート回転の一方向でストッパ部材５１に当接し、
この時同時に、ロック位置にある第２のロック部材３が
ストッパ部材５２に当接して車両シートは他方向への回
転も阻止される。これにより、車両シートＳは回転する
ことなく固定される。

しかして、上記車両シートＳがバン型車の前列リアシー
トである場合、ストッパ部材５１、５２の位置を適宜調
整することにより、上記リアシートを、前方へ正対した
位置より、シートの後コーナ部が前方へ所定量移動する
回転位置まで回転せしめて固定し、スムーズに乗降する
ことができる。

第２のロック解除レバー４２により第２のロック部材３
をロック位置より後退せしめると、車両シートＳは、上
記他方向へは制限なく回転可能となり、第１のロック部
材１により所定回転位置で位置決め固定される。

請求項２記載の構成において、リクライニングレバー２
によりシートバックＳ２を前倒せしめて第１のロック部
材１のロック状態を解消すると、車両シートＳは回転可
能となる。この状態で、ロック位置にある第２のロック
部材３はシート回転の所定位置で係合部材５４（第８
図）に係合し、車両シートＳは回転することなく固定さ
れる。

しかして、上記車両シートＳがバン型車の前列リアシー
トである場合、係合部材５の位置を適宜調整することに
より、上記リアシートを、前方へ正対した位置より、シ
ートの後コーナ部が前方へ所定量移動する回転位置まで
回転せしめて固定し、スムーズに乗降することができ
る。

第２のロック解除レバー４２により第２のロック部材３
をロック位置より後退せしめると、車両シートＳは制限
なく回転可能となり、第１のロック部材１により所定位
置で位置決め固定される。

［第１実施例］ 第４図において、車両フロアＦ上には車両前後方向へ平
行にスライドレール７Ａ、７Ｂが配設され、該スライド
レール７Ａ、７Ｂ上に詳細を後述する回転機構Ｒが設け
てあって、該回転機構Ｒに前列リアシートＳが支持され
ている。しかして、上記シートＳは回転可能であるとと
もに、調節レバー７１によりある程度の前後調節が可能
である。

上記シートＳは、車幅方向へ延びる横長のシートクッシ
ョンＳ１と、左右のリクライニング可能なシートバック
Ｓ２、Ｓ３より構成され、シートクッションＳ１の両側
端には上記各シートバックＳ２、Ｓ３のリクライニング
レバー２、４１がそれぞれ設けてある。また、乗降口に
近いシートバックＳ２の側面には、第２のロック部材の
ロック状態を解消するロック解除レバー４２が設けてあ
る。

上記回転機構Ｒは、第３図に示す如く、上方へ開放する
Ｕ字断面をなしスライドレール７Ａ、７Ｂ上に固定され
たロアリング５と、該ロアリング５上にこれに沿って摺
動自在に設けられた一対の円弧状のアッパリング６Ａ、
６Ｂよりなり、これらアッパリング６Ａ、６Ｂは、板状
のロックブラケット６１とシート支持ブラケット６２に
よりリング形に連結されて、ロアリング５に沿い回転自
在である。

上記ロックブラケット６１には二つのロック部材１、３
が設けてあり、その詳細を第１図に示す。

図において、ロック部材１は、中央を軸支されて回転す
るレバー状のロックプレート１１を有し、該ロックプレ
ート１１の先端にはロックピン１２が設けられて、コイ
ルバネ１３の付勢力によりロアリング外周の切欠き５３
ａ（第２図）に嵌入している。上記ロックプレート１１
の他端にはロック解除ワイヤ１４の一端が連結され、該
ワイヤ１４は上記リクライニングレバー２により操作さ
れるリクライニング機構に連結されて、シートバックＳ
２を前倒した時に引かれる。

上記ロアリング５には外周の９０度毎に、なだらかな山
形をなした突出部が形成され、これら突出部の頂部に上
記切欠き５３ａおよび他の切欠き５３ｂ、５３ｃ、５３
ｄが形成してある。上記ロアリング外周の一部は大きく
突出して、上記切欠き５３ａより所定角度離れた位置に
ストッパ面５１が形成され、また、切欠き５３ｄの位置
にスットパ面５５が形成されている。

ロック部材３は、ロックブラケット６１に固定されるロ
ックベース３１、該ロックベース３１に水平に支持され
た回転軸３２に固定したロックプレート３３を有し、ロ
ックプレート３３の先端に形成されたロック爪３４（第
２図）は、上記回転軸３２周りのコイルバネ３５により
ロアリング５の内周面方向へ付勢されている。そして、
上記ロアリング５内周の一ヵ所には、滑らかな斜面と急
峻なストッパ面５２を形成した突出部が形成れ、上記ロ
ック爪３４はストッパ面５２に至る滑らかな斜面の開始
点に位置している。

上記ロックプレート３３の先端にはロック解除ワイヤ３
６の一端が連結され、該ワイヤ３６は上記ロック解除レ
バー４２に連結されて、該レバー４２を操作した時に引
かれる。

上記構造の回転シートにおいて、ロックピン１２が切欠
き５３ａと係合している状態では、前列リアシートＳは
前方を向いている。リクライニングレバー２によりシー
トバックＳ２を前倒すると、ロック解除ワイヤ１４が引
かれてロックピン１２が切欠き５３ａより脱し、シート
Ｓの回転が可能となる。しかして、シートＳを時計方向
回転せしめると、シートＳは、上記ロックピン１２がス
トッパ面５１に当接するまでの所定角度だけ回転する。
この回転途中で、ロック爪３４はコイルバネ３５のバネ
力に抗してストッパ面５２に至る斜面に沿ってロアリン
グ５中心方向へ移動し、ロックピン１２が上記ストッパ
面５１に当接すると同時に、ストッパ面５２に沿ってロ
アリング５の内周面方向へ移動する。

かくして、シートＳは、ストッパ面５１、５２により、
いずれの方向の回転も規制されて、固定される。

この状態を第５図、第６図に示し、乗降ステップＳＰに
面するシートＳの後コーナ部Ｓ４が十分前方へ移動する
から、後列リアシートへの乗込みを容易に行なうことが
できる。

第６図の破線はシートＳを前方へスライド移動させた場
合を示し、後コーナ部を回転移動の場合と同一の位置に
するには、前方へかなり大きく移動させる必要のあるこ
とが知られる。

さて、ロック解除レバー４２を掴んでシートバックＳ２
を起立せしめると、上記レバー４２が操作されてロック
爪３４がロアリング５中心方向へ移動し、ストッパ面５
２より脱する。これにより、シートＳは反時計方向へ戻
し回転可能となり、ロックピン１２が切欠き５３ａに係
合する原位置まで回転して固定される。

乗降時以外にシートを回転して着座方向を変更する場合
には、リクライニングレバー２によりシートバックＳ２
を前倒するとともに、更にリクライニングレバー４１に
よりシートバックＳ３を前倒せしめる。上記シートバッ
クＳ２の前倒により、ロックピン１２が切欠き５３ａよ
り脱する。しかしてシートＳは反時計方向にロックピン
１２がストッパ面５５に当たるまでほぼ２７０度の間で
自由に回転することができ、シートバックＳ２を起こし
て、例えばロックピン１２を切欠き５３ｃに係合せしめ
ると、第７図に示す如く、シートＳは後方を向き、対面
着座が可能となる。

［第２実施例］ ロアリング５の形状は第８図に示す如きものとすること
ができる。図において、ロアリング５の外周にはロック
ピン１２と係合する４ヵ所の切欠き５３ａ〜５３ｄが形
成され、内周の一ヵ所には山形の突出部の中央に係合凹
所５４が形成してある。そして、ロックピン１２が切欠
き５３ａと係合している状態で、ロック爪３４は上記突
出部の斜面の開始点に位置している。

リクライニングレバー２によりシートバックＳ２を前倒
せしめると、ロックピン１２は切欠き５３ａより脱し、
シートＳが回転可能となる。シートＳを時計方向へ所定
角度回転せしめると、ロック爪３４は斜面に沿って移動
し、係合凹所５４内に嵌入係合する。かくして、シート
Ｓは乗降時の回転位置で固定される。

ロック解除レバー４２を掴んでシートバックＳ２を起立
せしめると、上記レバー４２が操作されてロック爪３４
がロアリング５中心方向へ移動し、係合凹所５４より脱
する。これにより、シートＳは反時計方向へ戻し回転可
能となり、ロックピン１２が切欠き５３ａに係合する原
位置まで回転して固定される。

乗降時以外にシートを回転して着座方向を変更する場合
には、リクライニングレバー２によりシートバックＳ２
を前倒するとともに、更にリクライニングレバー４１に
よりシートバックＳ３を前倒せしめると、シートバック
Ｓ２の前倒によりロックピン１２が切欠き５３ａより脱
するから、この状態で今度はシートＳを反時計方向へ回
転せしめれば、着座方向の変更が可能である。

かかる構造としても上記第１実施例と同様の効果があ
る。

なお、上記各実施例において、ロック部材をロアリング
に設け、アッパリングにストッパ面を設ける構造として
も良い。

［効果］ 以上の如く、本考案の車両の回転シートは、ロック部材
とロック解除レバーを各一対設けて、両ロック部材によ
り回転シートを所定位置へ位置決めするもので、特にバ
ン型車の前列リアシートに使用することにより、乗降時
には上記リアシートを所定角度回転せしめて固定し、ス
ムーズな後列リアシートへの乗降を可能としたものであ
る。

上記前列リアシートには従来より回転機構を設けるもの
が多く、この回転機構にロック部材とロック解除レバー
を必要数追加する簡単な構造で、安価に実現することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第７図は本考案の一実施例を示し、第１図
は回転機構の概略平面図、第２図はロアリングの平面
図、第３図はシート支持機構の全体平面図、第４図は回
転シートの分解斜視図、第５図は乗降時の回転シートの
斜視図、第６図はその概略平面図、第７図は後方回転時
の回転シートの斜視図、第８図は本考案の第２実施例に
おけるロアリングの平面図である。 １……第１のロック部材 １１……ロックプレート １２……ロックピン ２……リクライニングレバー ３……第２のロック部材 ３３……ロックプレート ３４……ロック爪 ４１……リクライニングレバー ４２……第２のロック解除レバー ５……ロアリング ５１、５２……ストッパ面（ストッパ部材） ５４……係合凹所（係合部材） ６Ａ、６Ｂ……アッパリング Ｆ……車両フロア Ｓ……前列リアシート（車両シート）

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車両フロア上に回転自在に支承された車両
   シートないし上記車両フロアに設けられ、車両フロアな
   いし車両シートに設けた相手部材に係合して上記車両シ
   ートを回転方向の複数位置で位置決め固定するととも
   に、シートバックの起倒に連動して作動してシートバッ
   ク前倒時に上記相手部材との係合を解消する第１のロッ
   ク部材と、上記シートバックを前倒作動せしめるリクラ
   イニングレバーと、上記車両シートないし車両フロアに
   設けられ、ロック位置とロック解除位置との間で進退す
   る第２のロック部材と、該第２のロック部材のロック状
   態を解消する第２のロック解除レバーと、ロック解消位
   置にある上記第１のロック部材をシート回転の一方向で
   当接せしめてこの方向へのシート回転を阻止する、車両
   フロアないし車両シートに設けた第１のストッパ部材
   と、この当接時に、ロック位置にある上記第２のロック
   部材を当接せしめてシートの他方向への回転を阻止す
   る、車両フロアないし車両シートに設けた第２のストッ
   パ部材とを具備する車両の回転シート。
2. 【請求項２】車両フロア上に回転自在に支承された車両
   シートないし上記車両フロアに設けられ、車両フロアな
   いし車両シートに設けた相手部材に係合して上記車両シ
   ートを回転方向の複数位置で位置決め固定するととも
   に、シートバックの起倒に連動して作動してシートバッ
   ク前倒時に上記相手部材との係合を解消する第１のロッ
   ク部材と、上記シートバックを前倒作動せしめるリクラ
   イニングレバーと、上記車両シートないし車両フロアに
   設けられ、ロック位置とロック解除位置との間で進退す
   る第２のロック部材と、該第２のロック部材のロック状
   態を解消する第２のロック解除レバーと、ロック位置に
   ある上記第２のロック部材を上記シートの所定回転位置
   で係合せしめて上記車両シートの回転を阻止する、車両
   フロアないし車両シートに設けた係合部材とを具備する
   車両の回転シート。