JPS6311887B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は炊飯器やジヤー炊飯器などのように加
熱調理（炊飯）時や保温時、あるいはその双方に
おいて内部に収納した調理物の各部の温度分布に
微妙な配慮を必要とする調理器に関し、特にこれ
らの器具の調理特性を改良しようとするものであ
る。

従来、上記器具の多くが備えている共通の構成
は発熱体を内底部に有する上方開口の本体に有底
筒状で上端に外方に向う径大フランジ部を有した
調理容器を収納し、さらにこの調理容器の開口を
覆う蓋体を備えたものであつた。

上記の構成において調理容器の径大フランジ部
の役割は調理容器を本体に挿脱する場合の把持部
として、または調理容器自身の開口部を覆う蓋体
の載置部としてなどの機能を果していた。

反面、上記の径大フランジ部は熱移動、熱分布
の観点からみれば器具の熱的性能を阻害する放熱
フインとしての役割を果していた。

そしてこの種の器具は底部発熱体による加熱を
調理物に対してはできるだけ上下差をなくするた
め、熱伝導性の良好なアルミ板の絞り成形品など
を用いるから、フインとしての相反する役割もま
た助長されていたものである。

米の炊飯、ご飯の長時間保温という分野でこの
問題を更に考えてみると、近年マイコンを採用す
るなど制御面ではずいぶん進歩したが、この面か
らのみの改善では限界があり、一方ご飯は炊飯時
におけるわずかな温度分布差によつて生ずる炊き
むらも顕著に評価され、10数時間の保温後には容
器内の数度の温度差が褐色などの変色を伴つて器
具の性能を示すところから、一層の性能の改善が
求められている。

本発明は上記の要望にこたえ、特に構成上、従
来の温度分布阻害要素としての調理容器の径大フ
ランジ部をなくし、また取扱い性にも支障をきた
さず、素材も少くてすむすぐれた調理器の構成を
得ようとするものである。

以下に本発明をジヤー炊飯器に実施した例を示
す図面に基づいて説明する。図において、１は器
具の本体で筒状の外かく２と保護枠３、前記両者
間に介在させた断熱材４、保護枠３を上方で懸垂
支持するリング状の上枠５などにより構成され、
内底部にはさらに発熱体６、感熱制御部品７を装
着している。

一方、外蓋８とハンドル９は一体で成形され、
下面に蓋断熱材１０を介して保温蓋ヒータ１１を
有する放熱板１２が取付けられている。以上の外
蓋８は軸１３で本体１の一側に枢支され、他側の
フツクレバー１４で本体１と係合される。

１５はアルミ板製の内蓋で中央透孔にはめ込ん
だブツシユ１６により、放熱板１２に垂下して取
付けたピン１７に着脱自在に係合できる。

一方、鍋１８は熱伝導性の良好なアルミ板を有
底筒状にプレスで絞り成形されるとともに、上端
は内側に指向した折曲部１８ａを有し、開口して
いる。そして本体１に鍋１８を挿入し、外蓋８を
閉成した状態（図示状態）では、前記の鍋１８の
折曲部１８ａ上には、内蓋１５の外周部に設けた
リング状の内蓋パツキング１９が位置し、さらに
内蓋外周上部には外蓋８に装着したリング状の外
蓋パツキング２０が位置する。

尚、内蓋１５の中央高部には蒸気孔１５ａが、
外周底部には還流孔１５ｂが設けられており、こ
の上部に位置する放熱板１２には排気筒１２ａが
設けられ、この部分でのみ外気と連通しているも
のである。

２１は側部発熱体で保護枠３の上方外周に巻き
つけられ、実施例では炊飯、保温時共に通電され
るものである。

実施例の主要構成は以上のとおりであるが、以
下に作用について説明する。

鍋１８は開口部の内側に指向した折曲部１８ａ
の内側が鍋１８の挿脱のためのひつかかり部とな
るとともに、この部分が鍋上方の強度を補強して
いる。また、鍋１８を上記のようにとり出し、洗
米を行うときには、折曲部１８ａは米の流出を防
止する水切り〓の役割を果す。

洗米を終え、水位設定された鍋１８を本体内に
収納し外蓋８を閉成すれば炊飯は可能となる。

炊飯時には本体内底部の発熱体６と保護枠上方
に設けた側部発熱体２１により加熱されるが、こ
のとき鍋上方が従来形状のような外気に触れた
り、または外部に近接した径大フランジ部を有し
たりせず、鍋１８の全体が発熱部材に包囲され、
かつ、鍋内上部は熱負筒が小さいことから、上下
共、むらのない加熱が行われ、吸水、澱粉のα化
も理想的な形で進行する。

沸騰時に発生した若干の泡を含む蒸気は内蓋１
５に設けられた蒸気孔１５ａより内蓋上部空間に
でて、この部分で蒸気は蒸気筒１２ａから外部
へ、泡などは還流孔１５ｂより鍋内へ還流する。
そして内蓋パツキング１９と外蓋パツキング２０
が鍋内部と内蓋上部の両空間を密閉しているか
ら、蒸気は本体内部や外蓋内部に入ることはな
い。

感熱制御部品７の動作により炊飯加熱は完了す
るが、むらし時間を径て、以後は保温に移向す
る。保温時には発熱体５と側部発熱体２１、さら
に蓋発熱体１１の全周にわたる加熱源と、図示し
ていないが保護枠３の外周の一部に設けた保温制
御部品により、保温状態が保たれる。

保温時においても、鍋上方からの熱損失が少な
く、外気の変動影響を受けにくいから、上下むら
のない、従つて部分的変色や、乾燥のない保温状
態が得られる。

以上の説明から明らかなように本発明では炊
飯、保温時にご飯を収納する鍋の上部フランジを
内方へ指向した折曲部とし、鍋全体を本体部材で
包囲し、鍋の開口部はシール部材付内蓋で閉成
し、内蓋上には空間を介して外蓋で覆つたから、
従来のように鍋上部からの熱損失がなく炊飯時に
はむらなく炊き上げ、保温時にも外気の影響を押
えた制御ができ、熱効率も良いジヤー炊飯器が提
供できる。

また、鍋自体は内側フランジにしたことから、
使用材料少なく開口部の強度は保証でき、洗米水
切り時や、ご飯をしやもじでよそつたとき付着し
たご飯を鍋内に返すときにも使い勝手の良い特徴
を備えたものである。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を示すジヤー炊飯器の全体
断面図である。 １……本体、６……発熱体、８……外蓋、１２
ａ……蒸気筒、１５……内蓋、１５ａ……蒸気
孔、１８……鍋、１８ａ……折曲部、１９……内
蓋パツキング、２０……外蓋パツキング。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上方を開口し内部に発熱体を装備した本体
   と、前記本体の開口部より本体内に挿入され上端
   に内方に指向した折曲部を有して開口した鍋と、
   前記鍋の折曲部に対応した位置にパツキングを有
   するとともにこのパツキングより中央側に蒸気孔
   を有する内蓋と、前記内蓋上に空間を介して位置
   し内蓋外周部に当接するパツキングを有するとと
   もにこのパツキングより中央側に外気との連通孔
   を有する外蓋を備えた炊飯器。