JPS6311190Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は精紡機用コレクターに関するもので、
更に詳しくは２本以上の供給粗糸をローラードラ
フト域に供給し、これがフリース状の繊維束とな
つてフロント・ボトムローラーのニツプ点を出た
直後、単糸撚糸と合糸撚糸を同時に実施する精紡
装置、即ちサイロスパン精紡装置のドラフトパー
トに用いて好適なコレクターの構造に関するもの
である。

（従来の技術） サイロスパン精紡装置は精紡一工程で単糸紡績
過程と合撚糸過程を一挙に実施する有効な紡績装
置として近時業界の注目を集めており、合糸工程
及び撚糸工程を省略できるため省力化に大きな効
果を示すものである。又、サイロスパン精紡装置
では超細番手糸の生産性がよく、該装置によつて
紡糸される糸は柔軟な感触とすらりとした外観を
もつているため高級な織編物に用いられることが
多い。

かかるサイロスパン精紡装置をその構造の概要
を示した第３図を参照して説明する。２本の供給
粗糸１Ａ，１Ｂは夫々リアガイド２Ａ，２Ｂ、バ
ツクローラー３、センターガイド４を通つてエプ
ロン５へと導びかれる。しかしてテンサローラー
６とフロントローラー７の間にはコレクター８が
あり、走行する２本の供給粗糸１Ａ，１Ｂはコレ
クター８に案内され平行走行しつつドラフト作用
を受け２本のフリースとなる。その後該２本のフ
リースはフロントローラー７のニツプ点を出た直
後にリングトラベラ機構（図示しない）の撚転作
用を受け合撚糸となり精紡一工程で双糸が得られ
るのである。

しかして、前記の如きサイロスパン紡績ではフ
ロントローラー７までの間は２本のフリースが平
行走行しており、かかる２本のフリースを１本の
撚糸に形成するのであるからその単糸切れによる
生産性の低下は従来の紡績方法の２倍となる。そ
のため、単糸切れによる生産性の低下を最少に押
えることが必要となる。しかしながら、サイロス
パン紡績装置はフリースの案内機構の数が従来の
紡績装置の略々２倍であり、更に平行走行する２
本のフリースが互いに接近しており、特にテンサ
ローラー６とフロントローラー７の間に位置する
コレクター部分では２本のフリースは通常15mm程
度の間隔しかない。しかして従来のサイロスパン
紡績に用いられてきたコレクターの形状は第２図
ａ，ｂに示す如く２本のフリースに対し各々独立
した案内溝９Ａ，９Ｂを設けたものであつてかか
る構造では夫々の案内溝９Ａ，９Ｂにフリースを
導く作業に長時間を要し又、サイロスパン紡績で
多用されている超細番手用粗糸をかかる案内溝９
Ａ，９Ｂに導く作業は熟練を必要とし、停台時間
の短縮化にとつて大きな障害となつている。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は従来のサイロスパン紡績用のフリース
案内機構では長時間を必要としたフリースの案内
機構導入作業を簡略・短縮化し、もつて紡出処理
の中断時間を短縮して、サイロスパン紡績の生産
性を更に高めることを目的とするもので、かかる
目的は、精紡機のドラフトパートに配置せしめる
懸垂型コレクターにおいて、コレクター本体を、
ボトムローラーに対向する第１面とトツプローラ
ーに対向する第２面とエプロンに対向する第３面
の３面を含む横臥状三角柱体に形成し、前記第２
面と第３面のなす稜縁の一部を凹欠せしめて１個
のフリース案内溝を設け、該フリース案内溝の両
端部の夫々に、第１面に連なるフリース走行用細
溝を設けたことを特徴とする精紡機用コレクター
によつて達成される。

（問題点を解決するための手段） 以下、本考案に係るコレクターの実施例の斜視
図である第１図ａ同じくその背面図である第１図
ｂ、（注．同図上フリースは紙面の表面から裏面
に向けて進行する）及び同コレクターを設置した
サイロスパン精紡機のドラフトパートの側面図で
ある第４図を参照しつつ本考案を説明する。コレ
クター本体１０は通常の如く成形用樹脂材料等の
軽くて強固な材質を用いて製作され、ボトムロー
ラー１１に接する面（以下第１面という）１２、
トツプローラー１３に対向する面（以下第２面と
いう）１４、及びフリース導入孔１５を設けた面
（以下第３面という）１６、の３面を底面及び両
斜面とした横臥状三角柱体の形状を有している。

かかる３面のうち、第１面１２はボトムローラ
ー１１の径よりも大径の曲率を備えた滑らかな曲
面に形成されており、第２面１４は平面状又は若
干凸状の曲面に形成されている。フリース導入孔
１５は第３面１６から第１面１２に向かつて直進
して穿孔されており本実施例の場合第２面１４側
よりコレクター本体１０をみれば、溝状となつた
フリース案内溝１７が存在する。かかるフリース
案内溝１７はエプロン５を走行する複数のフリー
スの走行巾と略々同じ巾を有し、コレクター本体
１０１個に付１つの溝でなければならない。又、
フリース案内溝１７の床面は滑らかな平面であれ
ばよいが、第１図及び第５図に示す如くフリース
の走行路に当たる部分には段差即ちフリース走行
用細溝１８Ａ，１８Ｂを設けて走行するフリース
が床面に触れることを防止すると共に複数のフリ
ースの分離作用を助長させることが必要である。
又、フリース案内溝１７の左右壁面は床面に対し
て略々直立せしめると共にフリースの径よりも高
い高さをもつた滑らかな平面に仕上げる。更に、
第３面１６のフリース導入孔１５周辺にはフリー
ス導入側を広くした滑らかな面のテーパ１９を設
けてもよく、特にフリースの走行路近旁の第３面
にのみ前記の如き加工を施すのがよい。

以上の如き横臥状三角柱のコレクター本体１０
は、その両側面２０Ａ，２０Ｂから突出したアー
ム２１によつて懸垂支持される。かかるアーム２
１は両先端部を鉤型に屈曲させ、更にコレクター
本体１０の両側面２０Ａ，２０Ｂ近旁で直角に屈
曲せしめ、コレクター本体１０の両側面２０Ａ，
２０Ｂ間を貫通した左右に長円状のアーム孔２２
を通して自在に回転するように取付ける。

（作用） 本考案に係るコレクターは、サイロスパン精紡
機のボトムローラー１１とトツプローラ１３から
なる一対のフロントローラー７のフリース導入側
に配置されるもので第１面１２がボトムローラー
１１上に載置し、第２面１４がトツプローラー１
３に対向する位置にあり、アーム２１先端部の鉤
型をテンサローラー６のシヤフトに掛けることに
よつて懸垂支持される。

複数のフリースは夫々のリアガイド２Ａ，２Ｂ
バツクローラー３、センターガイド４、エプロン
５及び、本考案に係るコレクターの単一のフリー
ス導入孔１５を順次通り、フロントローラー７へ
到達する。

本考案のコレクターを用いて紡出前の粗糸段取
り作業を行う際には各々のフリースを正確にフリ
ース導入孔１５の走行路に位置させる必要はな
い。各々のフリースは精紡機を運転させた後はセ
ンターガイド４と、フリース案内溝１７の巾によ
つて規定される範囲内を走行して、フロントロー
ラー７へと導びかれる。

又、精紡機の運転中に単糸切れが発生した際も
同様にフリースをフリース導入孔１５まで導き、
単一のフリース導入孔１５を通して、フロントロ
ーラー７のニツプ点へ噛ませることによつて、修
復が可能である。

（考案の効果） 以上の如く、本考案に係るコレクターはサイロ
スパン精紡機の接近した複数の走行フリースを極
めて容易且つ迅速に案内機構に導くことが可能
で、サイロスパン精紡機の生産性向上に寄与する
ところ大であり、従来の複数のフリース導入孔１
５を備えたコレクターを使用する場合に比べ、約
２％作業時間を短縮することができるものであ
る。

更に、リアガイド２Ａ，２Ｂ等にも複数のフリ
ースを導く機構を用い、本考案と組み合わせるこ
とによつて、より一層の生産性向上が望め、サイ
ロスパン紡績にとつて極めて有用な効果を与える
ものである。

尚、本実施例においては第３面１６とフリース
案内溝１７のなす稜縁を溝中央部が両端部よりも
高い山形に形成することにより複数のフリースの
分離効果を高めた。又、かかる構造とすることに
より本考案に係るコレクターはサイロスパン精紡
機のみならず単糸杢糸の製作等にも利用可能であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るコレクターの実施例を示
すもので、第１図ａはその斜視図、第１図ｂは同
コレクターの背面図、第２図ａは従来のサイロス
パン用コレクターの斜視図、第２図ｂは同コレク
ターの背面図、第３図はサイロスパン精紡機のド
ラフトパートの構造図、第４図は本考案に係るコ
レクターを設置したサイロスパン精紡機のドラフ
トパートの側面図、第５図は第４図のコレクター
に対するフリースの接触状態を示す拡大断面図で
ある。 １Ａ，１Ｂ……供給粗糸、２Ａ，２Ｂ……リア
ガイド、３……バツクローラー、４……センター
ガイド、５……エプロン、６……テンサローラ、
７……フロントローラー、８……コレクター、９
Ａ，９Ｂ……案内溝、１０……コレクター本体、
１１……ボトムローラー、１２……第１面、１３
……トツプローラー、１４……第２面、１５……
フリース導入孔、１６……第３面、１７……フリ
ース案内溝、１８Ａ，１８Ｂ……フリース走行用
細溝、１９……テーパ、２０Ａ，２０Ｂ……側
面、２１……アーム、２２……アーム孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 精紡機のドラフトパートに配置せしめる懸垂
   型コレクターにおいて、コレクター本体１０
   を、ボトムローラ１１に対向する第１面１２と
   トツプローラ１３に対向する第２面１４とエプ
   ロン５に対向する第３面１６の３面を含む横臥
   状三角柱体に形成し、前記第２面１４と第３面
   １６のなす稜縁の一部を凹欠せしめて１個のフ
   リース案内溝１７を設け、該フリース案内溝１
   ７の両端部の夫々に、第１面１２に連なるフリ
   ース走行用細溝１８Ａ，１８Ｂを設けたことを
   特徴とする精紡機用コレクター。 (2) 第３面１６とフリース案内溝１７のなす稜縁
   を、溝中央部が両端部よりも高い山形に形成し
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載の精紡機
   用コレクター。