JPS631117Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、LPG等の低温液化ガス及び石油
類を貯蔵する地下式貯槽のセグメントに関するも
のである。

「従来の技術」 従来、LNG、LPG等の液化ガス低温地下式貯
槽の内装構築方式として、たとえば、躯体コンク
リートが完成した後に躯体内面にパネルに形成し
た断熱材とメンブレンを施工する方法がある。こ
の方法は、躯体と内装とを別々に施工しようとす
るもので、各種の形式の施工が可能であるが、躯
体構築後、内装工事をする構成上、工数が多くな
つてコストアツプになる上、工期が長くなる等の
問題点があつた。

このような問題点を解決する内装構築方式とし
て、従来、連続地中壁工法で止水壁兼山留壁（土
留壁）をつくり、この土留壁の内側に断熱パネル
を型枠として用いて逆巻工法で側壁を構築する方
法がある。この方法は、止水壁兼山留壁となる連
続地中壁を施工し、次いで山留壁内を１段6mご
と掘削し、その内周に型枠兼用の断熱パネルを組
み立てて、第１段目の側壁を逆巻工法で構築し、
その後、内部掘削と側壁の構築を交互に繰り返し
ながら、鉛直方向に側壁を上部から順次下部に向
つて構築するもので、該工法に使用される型枠兼
用の断熱パネルとしては、従来、パネルの本体を
形成するコンクリートの表面に、断熱材及び
SUS304等のメンブレンを取付けた鉄筋コンクリ
ート製セグメントが使われている。

「考案が解決しようとする問題点」 上記セグメント方式は躯体コンクリートの型枠
材としての機能と、完成後の内装の部品としての
機能を兼ね備えており、内装の施工の一部を躯体
施工と同時に行なえるなど、工費、工期の面から
有利な方式であるといえる。しかしながら、この
方法にあつても、例えば次のような点で解決すべ
き問題点が残されていた。

すなわち、上記セグメント方式にあつては、従
来、型枠を兼用する断熱パネルとして、パネルの
本体を形成するコンクリートの表面に、断熱材及
びSUS304等のメンブレンを取付けた鉄筋コンク
リート製セグメントが使用されていたため、型枠
兼用断熱パネルの単位重量が大きく、このため、
現場での取り扱いが悪く、型枠を組み立てる際の
施工能率が悪く、特に順巻工法の型枠として採用
することが難しいといつた問題点があつた。ま
た、上記セグメントを吊り上げる揚重機等も大型
のものとなり、コストも高くなる傾向にある。

この考案は、上述した事情にもとづいてなされ
たものであり、その目的とするところは型枠とし
ての強度を有しかつ軽量化を達成し得て、その取
扱い性および施工能率の向上を図ることのできる
地下式貯槽のセグメントを提供することにある。

「問題点を解決するための手段」 そこで本考案は、コンクリート躯体の内周に沿
いかつコンクリート躯体との間に間隔を開けてそ
の周方向および軸方向にそれぞれ連結される地下
式貯槽のセグメントにおいて、アングル材によつ
て四角枠状に組まれた補強桁と、この補強桁内に
格子状に組まれた補強リブと、上記補強桁の一側
の面に張られた裏板と、この裏板上に取り付けら
れた格子桁と、この格子桁の碁盤目部分に充填さ
れたグラスウールと、上記格子桁の外面に格子桁
の碁盤目部分を覆うようにして取り付けられたメ
ンブレンとを具備し、かつ、上記補強桁の裏面に
コンクリート躯体に一端が連結されるセパレータ
の他端を接続するセパレータ取付け金具を設け、
一方、上記格子桁を、四角枠状に組まれた外縁部
およびこの外縁部の内部に井桁状に組まれた格子
部からなる重力支持桁と、この重力支持桁の格子
部の碁盤目内の上下にそれぞれ離隔して設けられ
た一対の横板とを主体として構成し、かつ、これ
ら重力支持桁および横板をそれぞれ合板により構
成し、しかも、上記裏板を格子桁の横板に固定ボ
ルトを介して取り付けるとともに、上記メンブレ
ンを、その内面に突設された取付けボルトを格子
桁の横板に止着することにより支持しれなる構成
としたことを特徴とするものである。

「作用」 上記構成のセグメントは、補強桁、裏板、格子
桁、メンブレンによつて剛性が保持され、かつ、
メンブレンの平面が格子桁により保持され、裏板
の平面が補強桁により保持されるため、型枠とし
ての強度が十分具備されることになる。また、補
強桁はアングル材により組み立てられているた
め、これらがセグメントとコンクリート躯体との
間に打設されたコンクリート中へのアンカーとな
つてセグメントを強度にコンクリート躯体に装着
する。

なお、貯槽構築後、貯槽内にLPGを収容する
と、セグメントの格子桁が合板により形成されて
いるため、格子桁が凍つてその強度が向上する。

「実施例」 以下、この考案による一実施例を第１図ないし
第２図の一般構造と比較しながら、第３図ないし
第９図にもとづいて具体的に説明する。第１図は
一般のLNG、LPG等の地下式貯槽の例を示す断
面図であり、１は側壁部、２は底部、３は屋根、
４はデツキ吊りロツド、５はサスペンデツトデツ
キである。第２図は第１図の側壁部１を示すＡ部
の詳細図であり、コンクリート躯体の側壁６にポ
リウレタンフオーム等の保冷材８を取り付けたセ
グメント７が設置され、表面にステンレス等のメ
ンブレン９が貼りめぐらされた構造になつてい
る。

これに対して、第３図以下は、この考案による
セグメント１０の構造を示すものであり、このセ
グメント１０は、アングル材によつて四角枠状に
組まれた補強桁１６と、この補強桁１６内に格子
状に組まれた補強リブ１７と、上記補強桁１６の
一側の面に張られた裏板１４と、この裏板１４上
に取り付けられた格子桁１２と、この格子桁１２
の碁盤目部分に充填されたグラスウール１３と、
上記格子桁１２の外面に格子桁１２の碁盤目部分
を覆うようにして取り付けられたメンブレン１１
とを具備した構造となつている。

次いで、これらについて詳細に説明すると、ま
ず、貯槽の一番内側に面して設けられる上記メン
ブレン１１はSM４１等の溶接用鋼材からなる平
板上に形成されており、該メンブレン１１の内面
には先端におねじを有する取付けボルト１８が突
設されている。

このメンブレン１１を支持する格子桁１２は、
四角枠状に組まれた外縁部およびこの外縁部の内
部に井桁状に組まれた格子部からなる重力支持桁
１２ａと、この重力支持桁１２ａの格子部の碁盤
目内の上下にそれぞれ離隔して設けられた一対の
横板１２ｂ，１２ｃとを主体として構成され、か
つ、これら重力支持桁１２ａおよび横板１２ｂ，
１２ｃはそれぞれ合板により形成されている。

なお、上記メンブレン１１と格子桁１２との取
付け、第７図に示すように、上記メンブレン１１
の取付ボルト１８を格子桁１２の横板１２ｂに貫
通し、この横板１２ｂの両側において支圧板を介
してナツトを締め付けることにより取り付けら
れ、また、裏板１４と格子桁１２とは、裏板１４
および格子桁１２の横板１２ｃを貫通する固定ボ
ルト１５によつて取り付けられた構造となつてい
る。

一方、上記補強桁１６の裏面には、コンクリー
ト躯体に一端が連結されかつターンバツクル２０
ａを用いたセパレータ２０の他端を接続するセパ
レータ取付け金具１９が設けられている。

次いで、上述した構造のセグメントの作用につ
いて説明する。

第３図および第４図などに示すように、このセ
グメント１０を組み立てた状態とするには、ま
ず、第７図に示す如く、取付けボルト１８をメン
ブレン１１にスタツド溶接にて取り付けるととも
に、合板によつて格子桁１２を租み、この格子桁
１２にメンブレン１１を、その取付けボルト１８
を介して格子桁１２の横板１２ｂに止着する。次
いで、格子桁１２の碁盤目部分にグラスウール１
３を充填し、予め補強桁１６の上面に裏板１４を
張設しておいたものを、ガスケツト２４をセツト
した後に固定ボルト１５によつて取り付ければ、
第３図などに示すセグメントが組み立てられる。
なお、前記において、格子桁１２にメンブレン１
１を取り付ける際に、格子桁１２の横板１２ｂと
メンブレン１１との間には予めグラスウール１３
を入れておくことは勿論である。

上記セグメントの組立は、合板製の格子桁１２
にグラスウール１３を充填し、メンブレン１１お
よび裏板１４付きの補強桁１６をボルト止めする
単純作業であり、また各部材はそれぞれ大量生産
することが可能であるから、コストの低下を図る
ことができる。

そして、このように構成されたセグメント１０
のメンブレン１１は、取付けボルト１８によつて
液密、気密に格子桁１２に取り付けられ、かつ、
格子桁１２によつてその平面が保持されてその剛
性が増すとともに、LPG等の貯蔵後、合板製の
格子桁１２が凍つてその強度が向上し、貯蔵液
圧、ガス圧等による荷重を確実に支持することが
でき、また、温度応力に耐える等、耐低温性能が
良く、貯蔵液によつて腐食せず、座屈等の不安定
性崩壊を起こすことがない。

つぎに、上述したように構成されたセグメント
１０を用いた側壁の構築方法について説明する。

上記セグメント１０を使つて側壁の型枠を組み
立てるには、セグメント１０のセパレータ取付け
金具１９と、コンクリート躯体との間にターンバ
ツクル２０ａを用いたセパレータ２０を係着し、
コンクリート躯体との間の間隔を調整してセグメ
ント１０を型枠として建て込めば良い。上記セグ
メント１０同志は、第９図に示すように、止水の
ためのジヨイントシート２１をかませた後、ボル
ト２２にて締付け、さらに、セグメント１０の継
目は、グラスウール１３を充填した後、コルゲー
シヨン２３を溶接して連結され、型枠のセツトが
完了する。こうして型枠セツト後は、躯体コンク
リート打設又は背面充填材を注入する。

上記実施例では、上記セグメント１０は、アン
グル材、補強リブ１７、裏板１４、合板製の格子
桁１２、グラスウール１３、メンブレン１１等に
より構成されているので、全体的に軽量で、その
取り扱いが用意であり、その施工性および安全性
等を向上することができる。また、上記セグメン
ト１０が軽量であることから、それを吊り下げる
揚重機等も小形のもので済み、コストの低下を図
ることができる。

また、実施例によれば、グラスウール１３は、
格子状に組まれた格子桁１２の碁盤目部分に充填
されているため、グラスウール１３が一方に片寄
つて断熱性にむらを生じることがなく、また格子
桁１２や、メンブレン１１、裏板１４によつて完
全に保護されていて硬度や強度及び耐水性等を要
求されないから、このような経済的なグラスウー
ル１３によつても、貯蔵液の温度を外部へ伝えな
くすることができる。なお、グラスウール１３は
復元性が良いので、施行時に少し圧縮してつめて
おけば、隙間が生ずることもなく、低温用途にと
つて極めて有利である。

また、このセグメント１０は、躯体コンクリー
トの型枠として液密、気密であり、万一メンブレ
ン１１が破損しても、LPG等の貯蔵液が浸透し
てきた場合、裏板１４、補強桁１６などが二次バ
リヤとしても機能するなどの効果がある。

「考案の効果」 以上詳述したように、この考案に係る地下式貯
槽のセグメントは、コンクリート躯体の内周に沿
いかつコンクリート躯体との間に間隔を開けてそ
の周方向および軸方向にそれぞれ連結される地下
式貯槽のセグメントにおいて、アングル材によつ
て四角枠状に組まれた補強桁と、この補強桁内に
格子状に組まれた補強リブと、上記補強桁の一側
の面に張られた裏板と、この裏板上に取り付けら
れた格子桁と、この格子桁の碁盤目部分に充填さ
れたグラスウールと、上記格子桁の外面に格子桁
の碁盤目部分を覆うようにして取り付けられたメ
ンブレンとを具備し、かつ、上記補強桁の裏面に
コンクリート躯体に一端が連結されるセパレータ
の他端を接続するセパレータ取付け金具を設け、
一方、上記格子桁を、四角枠状に組まれた外縁部
およびこの外縁部の内部に井桁状に組まれた格子
部からなる重力支持桁と、この重力支持桁の格子
部の碁盤目内の上下にそれぞれ離隔して設けられ
た一対の横板とを主体として構成し、かつ、これ
ら重力支持桁および横板をそれぞれ合板により構
成し、しかも、上記裏板を格子桁の横板に固定ボ
ルトを介して取り付けるとともに、上記メンブレ
ンを、その内面に突設された取付けボルトを格子
桁の横板に止着することにより支持しれなる構成
としたから、次のような優れた効果を奏すること
ができる。

このセグメントは、補強桁、裏板、格子桁、
メンブレンによつて剛性が保持され、かつ、メ
ンブレンの平面が格子桁により保持され、裏板
の平面が補強桁により保持されるため、コンク
リート打設時あるいはLPG等の貯蔵後等に、
座屈等の不安定性破壊を起こすことがない。ま
た、全体を従来のセグメントに比して軽量化す
ることができるので、現場での取り扱い性およ
び施工性を向上することができ、工期の短縮お
よびコストの低下を図ることができる。さら
に、セグメント自身軽量化できるので、施工時
の安全性が向上し、順巻コンクリートの型枠と
しても有利となる。

また、補強桁はアングル材により組み立てら
れているため、これらがセグメントとコンクリ
ート躯体との間に打設されたコンクリート中へ
のアンカーとなつてセグメントを強度にコンク
リート躯体に装着することができる。

貯槽構築後、貯槽内にLPGを収容すると、
セグメントの格子桁が合板により形成されてい
るため、格子桁が凍つてその強度が向上し、内
装の耐久性を向上することができる。

またグラスウールは、格子状に組まれた格子
桁の碁盤目部分に充填されているため、グラス
ウールが片寄つて断熱性にむらを生じることが
ない。

さらに、このセグメントは、合板製の格子桁
に、グラスウールを充填し、ボルト止めによつ
てメンブレンと裏板付きの補強桁とを取り付け
る単純な作用によつて、組み立てることができ
るので、生産性が向上し、コストの低下を図る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般のLPG地下式貯槽の断面図、第
２図は第１図のＡ部詳細図、第３図はこの考案に
係るセグメントの一部破断の斜視図、第４図はメ
ンブレンの一部を切断して示した正面図、第５図
は一部切断の側面図、第６図は裏面図、第７図は
裏板と格子桁およびメンブレンの関係を示す断面
図、第８図はこの考案によるセパレータ取付部の
説明図、第９図はこの考案による目地部を示す断
面図である。 １１……メンブレン、１２……格子桁、１２ａ
……重力支持桁、１２ｂ……横板、１２ｃ……横
板、１３……グラスウール、１４……裏板、１５
……固定ボルト、１６……補強桁、１７……補強
リブ、１８……取付けボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コンクリート躯体の内周に沿いかつコンクリー
   ト躯体との間に間隔を開けてその周方向および軸
   方向にそれぞれ連結される地下式貯槽のセグメン
   トにおいて、アングル材によつて四角枠状に組ま
   れた補強桁１６と、この補強桁１６内に格子状に
   組まれた補強リブ１７と、上記補強桁１６の一側
   の面に張られた裏板１４と、この裏板１４上に取
   り付けられた格子桁１２と、この格子桁１２の碁
   盤目部分に充填されたグラスウール１３と、上記
   格子桁１２の外面に格子桁１２の碁盤目部分を覆
   うようにして取り付けられたメンブレン１１とを
   具備し、かつ、上記補強桁１６の裏面にはコンク
   リート躯体に一端が連結されるセパレータの他端
   を接続するセパレータ取付け金具１９が設けら
   れ、一方、上記格子桁１２は、四角枠状に組まれ
   た外縁部およびこの外縁部の内部に井桁状に組ま
   れた格子部からなる重力支持桁１２ａと、この重
   力支持桁１２ａの格子部の碁盤目内の上下にそれ
   ぞれ離隔して設けられた一対の横板１２ｂ，１２
   ｃとを主体として構成されており、かつ、これら
   重力支持桁１２ａおよび横板１２ｂ，１２ｃはそ
   れぞれ合板製であり、しかも、上記裏板１４は格
   子桁１２の横板１２ｃに固定ボルト１５を介して
   取り付けられるとともに、上記メンブレン１１は
   その内面に突設された取付けボルト１８を格子桁
   １２の横板１２ｃに止着することにより支持され
   ていることを特徴とする地下式貯槽のセグメン
   ト。