JPH0154511B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 開示技術は、コンクリート製円筒タンクのメタ
ルライナー付きコンクリート円筒壁の施工技術に
関連しLNG、或いは、LPG等の低温液化ガスを
受け払い稼動する低温二重殻タンクのコンクリー
ト製の外槽側壁、或いは、高防液堤（ハイダイ
ク）、或いは、コンクリート製一重殻タンクの円
筒壁の施工技術分野に属する。

＜要旨の解説＞ 而して、この発明は、LNG、或いは、LPG等
の低温液化ガスを貯蔵する低温二重殻タンクの内
槽と保冷材の外側にて、外気より内部を遮断する
コンクリート製の外槽の円筒壁の施工方法に関す
る発明であり、或いは、災害時に貯液を二次貯溜
するコンクリート製防液堤（特に、タンク直近に
配置した円筒形の高防液堤）、又、油、水等を貯
蔵する一重殻コンクリート製タンクの円筒壁の施
工方法に関する発明であり、特に、メタルライナ
ーを一体添設されて配筋されたコンクリート製の
円筒壁ユニツトを予め工場等でプレフアブ化して
多数作成しておき、この場合、コンクリートブロ
ツク部の縁部よりメタルライナーを張出すように
しておき、これを順に吊り込んで該メタルライナ
ー端部を相互に取合うように積み上げて、相互の
目地部にコンクリートを打ち込んで一体化してコ
ンクリート製の円筒壁を作成し、これによりコン
クリート工事とメタル工事の錯綜に起因する現地
施工工期の延長を防止し、又、コンクリート工事
とメタル工事それぞれの作業の手空きを少なく能
率的に施工を行うようにしたコンクリート製円筒
壁タンク施工方法に係る発明である。

＜従来技術＞ 周知の如く、近時エネルギー問題は極めて複雑
な様相を帯び、産業上、経済上の見地からして
も、サービスタンクは勿論、備蓄タンクに於いて
もその容量は次第に大型化する傾向にある。

又、昨今、この種の大型のエネルギー貯蔵タン
クに於いては防災上、及び、外形的視覚上の観点
からコンクリート構造が大幅に導入されつつあ
る。

而して、在来より、水タンク等の一重殻タンク
に於いてコンクリート構造の態様はよく使われて
いたが、近時、特に大型化の傾向の強いLNG、
LPG貯蔵用等の低温二重殻タンクに於いては、
近隣で発生する火災に対する防災上、或いは、視
覚的見栄え志向から外槽側壁をコンクリートで構
築する傾向が強くなり、又、同様の理由で防液堤
をタンク躯体直近に設けて円筒状化した高防液堤
タンクに於ても、コンクリート構造は一般化しつ
つある。

したがつて、タンクの大型化、及び、コンクリ
ート構造化に伴い、その施工期間の長さ、及び、
作業量の多さは計画のうえからもコストの面から
も様々な問題を含むようになつてきている。

即ち、こうしたコンクリート製タンク（或い
は、防液堤）に於ては一般にコンクリートタンク
躯体の内面には主として鋼製のメタルライナーを
張設するため、コンクリート工事とメタル工事と
いう異種工事が入り混ることになる。

その場合、配筋工事を含むコンクリート工事が
先行し、その終了後に鋼製ライナー張設（メタル
工事）を行なうが、両者を同時に施工出来ないが
ために現地の工事期間が長く、コスト高になる不
利点があり、この傾向は円筒壁の施工においてよ
り顕著である。

又、コンクリート工事の期間にもメタル工事と
の取合い点であるライナー取付け用のジベル工事
を行なわねばならず、ある程度コンクリート工事
とメタル工事が錯綜することになり、いずれかの
工事の手空き（アイドル）が出て不経済であるば
かりか、異種工事の組合せの故に安全管理体制も
異なり、安全上も不具合があつた。

ところで、一例として、低温二重殻タンク１の
態様を第１図で示すと、地盤２上に設けた基礎３
上に配筋したコンクリート製の外槽４を立設し、
該外槽４のコンクリート部内面に鋼製のライナー
５をジベル１２を介して張設し、底部保冷材６、
及び、側部保冷材７を介して、例えば、９パーセ
ントニツケル鋼、アルミキルド鋼等の内槽８が設
けられて、LNG、或いは、LPG等の低温液化ガ
ス９を貯蔵して受け払い運転するようにされてい
る。

而して、該種低温二重殻タンク１の相当な重量
を占めるコンクリート製の外槽４の円筒壁の施工
は従来第２図に示す様に（第１図を援用）、基礎
３の設定位置に現地で配筋１０を建込み、次い
で、型枠１１を建込み、その後、RCコンクリー
ト、或いは、PCコンクリートを打設し、コンク
リート製の外槽４の円筒壁を完成させた後に鋼製
のライナー５をジベル１２（第１図を援用）を介
して張設し、底部保冷材６を形成させて、内槽
８、及び、外槽屋根を構築したうえで最終的に側
部保冷材７を充填するような施工順をとつてい
た。

＜発明が解決しようとする課題＞ したがつて、上述在来態様の低温二重殻タンク
の施工方法ではコンクリート工事とメタル工事と
いう異種工事を行なう故に基本的にコンクリート
製の外槽４の円筒壁の施工が終了した後でなけれ
ばライナー５の張設ができず、又、内槽８の施工
も出来ないという自由度に欠ける欠点がある。

又、仮に内槽８の施工後にコンクリート製の外
槽４の円筒壁を施工する場合を考えても、該コン
クリート製の外槽４の円筒壁とライナー５を同時
に施工出来ないという不自由さには変わりがな
く、外槽４と内槽８を同時施工出来ない点も変わ
りがない。

特に、コンクリート製の外槽４の円筒壁とライ
ナー５を同時に施工出来ない点はコンクリート製
の高防液堤やコンクリート製の一重タンクに共通
の欠点でもあつた。

而して、該コンクリート製の外槽４の円筒壁の
施工中に上述の如く、型枠１１の現地組立てや配
筋１０の建込み等の外槽４の形成に伴う作業量が
極めて多く、而も、著しく煩瑣であり、作業がし
難いという難点もあるばかりでなく、コンクリー
ト製の外槽４の円筒壁の組立てが終了しなければ
ライナー５の張設が出来ないという困難があり、
工期が著しく長くなつた。

而して、該ライナー５の張設そのものはコンク
リート製の外槽４の円筒壁とジベル１２（第１図
援用）を介して行なわれるため、ある程度はコン
クリート工事とメタル工事が錯綜し工事の段取り
が更に煩瑣になり、又、安全管理上も複雑さが増
すという不具合があつた。

したがつて、作業量の多さ、複雑さ、及び、リ
ニヤな工事期間の長さから来るコストアツプにつ
ながる不利点があつた。

而して、これに対処するに、例えば、特公昭45
−3495号公報発明等の技術もあり、プレフアブ化
されたコンクリート製の円筒壁ユニツトをメタル
ライナーの取合により積み重ねて施工する技術も
開発されているが、鋼板相互の接合の後、配筋結
合を行なつてコンクリート打ち込みを行なう等の
コンクリート施工とメタル施工との錯綜する工事
のいりまじりがあつて施工に自由度が効かないと
いう不都合さがあつた。

＜発明の目的＞ この発明の目的は上述従来技術に基づく低温二
重殻タンクの外槽等に於けるコンクリート製円筒
壁の施工の問題点を解決すべき技術的課題とし、
結果的に、構築されたコンクリート製の外槽の円
筒壁の構造や仕様を損うことなく、而も、該コン
クリート製の外槽の円筒壁、及び、ライナーの施
工を可及的に速やかに行うことが出来るうえに、
その施工における作業量を少なくし、工事期間を
短くすることが出来るようにしコストダウンも図
れるようにして、エネルギー産業における貯蔵技
術利用分野に益する優れた円筒タンク施工方法を
提供せんとするものである。

＜発明の構成＞ 上述目的に沿い先述特許請求の範囲を要旨とす
るこの発明の構成は、前述課題を解決するため
に、予め工場で所定サイズに配筋し、ジベルを介
してメタルライナーを施してプレフアブ化してコ
ンクリート製の円筒壁ユニツトを作成し、これを
タンク建造現場に搬入してクレーン等を利用して
順にライナー端部を相互に取合うように積み上
げ、配筋つなぎ込みの後に該コンクリート製円筒
壁ユニツト間の目地にコンクリートを打設し、現
場型枠工事等の作業量を少なくし、更に現場コン
クリート工事量を極少化し、又、結果的に、工事
期間を短縮して安全性を高め、コストダウンを図
るようにすることが出来るようにし、この場合に
おいて、上記のプレフアブ円筒壁ユニツトのメタ
ルライナーは一部、或は、全周に亘つてコンクリ
ートブロツク部の縁部より張出しており、又、配
筋はユニツト間のつなぎ込みに便利なようにコン
クリートブロツク部から突き出していることを構
造的な特徴とするようにした技術的手段を講じた
ものである。

＜実施例＞ 次に、この発明の１実施例を第１図を援用し、
第３図以下の図面に従つて説明すれば以下の通り
である。

尚、第１，２図と同一態様部分は同一符号を用
いて説明するものとする。

第３，４図に示す態様において、１３は予め工
場でプレフアブ化されて作成されたコンクリート
製の外槽の円筒壁ユニツトであり、低温二重殻タ
ンク１の外槽４′の周方向に沿う曲率を有する設
定サイズのコンクリート製の外槽円筒壁ユニツト
とされ、工場で予め型枠等を介して形成されるも
のであつて、縦、横に配筋１０′，１０′…を施
し、各配筋１０′の端部はコンクリートブロツク
部１４′より設定量突き出しており、又、内側面
にメタルライナー５′をジベル１２′，１２′…を
介して配設し、コンクリートブロツク部１４′を
なすコンクリートを打ち込んで、第３図に示す様
な設定サイズのメタルライナー５′付きのコンク
リート製外槽４′（第６図援用）の円筒壁ユニツ
ト１３を形成しておく。

そして、メタルライナー５′の縁部はコンクリ
ートブロツク部１４′の縁部に対して設定量、例
えば、５cmから20cm程度張出しており、その態様
は第５ａ，５ｂ，５ｃ図に示す様に、コンクリー
トブロツク部１４′の全周縁部に亘つて張出して
も、又は、いずれかの辺の縁部に片寄つて張出し
てもよい。

而して、現地に於いては第６図に示す様に、地
盤２′の上に基礎３′を構築すると共に、建設現場
にトラツク等を介してメタルライナー５′付きの
コンクリート製の外槽４′の円筒壁ユニツト１３，
１３…を各個に搬入しておく。

そして、当該第６図に示す様に、クレーン１５
等の吊り込み手段を介して各コンクリート製の外
槽４′の円筒壁ユニツト１３，１３…を設計通り
に順に千鳥状に積み上げていく。

而して、各円筒壁ユニツト１３の積み上げ時に
は第７図に示す様に、適宜スペーサー１６をコン
クリートブロツク部１４′，１４′相互間に挿入す
れば積み上げが容易であり、次いでメタルライナ
ー５′を相互に溶接し、上下、左右の方向に配筋
１０′，１０′を溶接等で取り合うようにする。

そして、メタルライナー５′，５′相互の溶接に
ついては第８ａ，８ｂ図に示す様に、突合せ溶接
でも、隅肉溶接でもよい。

そして、各目地１７（第７図）については各円
筒壁ユニツト１３の積み上げ後に順次目地コンク
リート１８（第６図）を打ち込んでシールする
が、該目地コンクリート１８の量は少なく、した
がつて、コンクリート工事そのものが小規模にな
り、メタルライナー５′の反対面よりコンクリー
ト打ちを行なうため、メタル工事に影響を与える
度合が少なく、そのため、コンクリート工事とメ
タル工事をほぼ同時に行なえる。

このようにして、配筋されたコンクリート製の
外槽４′を構築していくが、コンクリート工事は
メタルライナー５′，５′より外方にて外面側より
行なわれるため、その間、該コンクリート製の外
槽４′の円筒壁ユニツト１３，１３…の積み上げ、
及び、目地コンクリート１８の打ち継ぎとは関係
なく、相互に独立して内槽８の施工を行つてい
く。

したがつて、コンクリート製の外槽４′の施工
と内槽８（第１図）の施工とは施工タイミングに
おいて相互に全く干渉せず、独立して行われるこ
とになり、その施工期間は短縮される。

このようにして完成された低温二重殻タンク１
（第１図）は風荷重や地震荷重等の横荷重に対し
てはコンクリート製の外槽４′が充分にこれに対
処することが出来、内槽８の内部にはLNG、或
いは、LPG等の低温液化ガス９を貯蔵し受け払
い稼動される。

又、コンクリート製の高防液堤、コンクリート
製一重殻タンクにおいても、コンクリート製の外
槽の円筒壁の施工手順は同一である。

尚、この発明は実施態様は上述実施例に限るも
のでないことは勿論であり、工場等でプレフアブ
化してライナー付きのコンクリート製の外槽の円
筒壁ユニツトを作成する場合に、メタルライナー
の内側にステイフナー等を一体に固設して強化を
図り、輸送時、吊り込み時の損傷を防止し、結果
的に、完成した低温二重殻タンクに於いて、風荷
重や地震荷重等の横荷重に対して充分に荷重分担
することが出来るようにしてもよい。

又、設計変更的にはライナー付きコンクリート
製の外槽の円筒壁ユニツトのコンクリートブロツ
ク部の端面はライナーに対して必ずしも直角であ
る必要はなく、傾斜をつけてもよく、又、端面を
適当に荒仕上げしておき、目地コンクリートの固
着に有利なようにすることも出来る。

そして、コンクリート製の外槽をプレストレス
トコンクリート（PC）で構成する場合はPCワイ
ヤ、PC棒が貫通するコンジツト管を予めユニツ
トに埋めこんでおくことも可能である。

＜発明の効果＞ 以上この発明によれば、基本的に低温二重殻タ
ンク等の円筒タンクのコンクリート製の外槽の円
筒壁の施工において、現場型枠等が不要であるた
めに、又、現場でのコンクリート工事量が少なく
なることになり、工期が短くなり、コストダウン
を図れる効果があり、又、それだけ工事が安全に
行われるという優れた効果が奏される。

而して、メタルライナーを境として外方でコン
クリート工事、内方でメタル工事を同時的に行な
い得るため異種類の工事の同時施工が可能であ
り、したがつて、工期が短縮され、施工において
も、弾力性が得られるため、それだけ工事がし易
くなるという効果も奏される。

又、現地での型枠や配筋等の諸係りや作業資材
調達等も無くて済むために、付帯作業量が少なく
て済み、工事が安全に行われるという優れた効果
も奏される。

更に、コンクリート工事とメタルライナー工事
とが互いに独立して行われるために、相互に干渉
性がなく、作業の段取りや管理がし易いという効
果も奏される。

而して、この発明によれば、プレフアブ化され
た円筒壁ユニツトのメタルライナー相互の取合を
行なつた後に、コンクリートブロツクの配筋のつ
なぎを行ない、目地部にコンクリートを打ち込む
ようなプロセスをとつたことにより、コンクリー
ト工事とメタルライナー工事の施工の入り混りが
なく、錯綜する施工を採らなくてもよいために工
事がし易くコストダウンを図れる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はコンクリート外槽円筒壁を有する低温
二重殻タンクの部分断面図、第２図は従来技術に
基づくコンクリート製の外槽の円筒壁を有する低
温二重殻タンクの施工部分断面図、第３図以下は
この発明の実施例の説明図であり、第３図はメタ
ルライナー付きコンクリート製の外槽の円筒壁ユ
ニツトの斜視図、第４図は第３図部分縦断面図で
あり、第５ａ図、第５ｂ図、第５ｃ図はメタルラ
イナーとコンクリートブロツク部の位置関係を示
す側断面図、第６図はコンクリート製の外槽の円
筒壁を有する低温二重殻タンクの外槽壁の施工側
面図、第７図は第６図の部分斜視図、第８ａ，８
ｂ図はメタルライナー相互の取合側面図である。 １……低温二重殻タンク、４′……コンクリー
ト製の外槽、５……メタルライナー、８……内
槽、１３……コンクリート製外槽ユニツト、１７
……目地、１８……コンクリート。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 予め所定サイズにプレフアブ化したコンクリ
   ートブロツク部と該コンクリートにブロツク部に
   添設されたメタルライナーより成る円筒壁ユニツ
   トを順に積上げるようにしてタンクの円筒壁を組
   立てるようにした円筒タンク施工方法において、
   プレフアブ化されて作成されたコンクリート製の
   円筒壁ユニツトの配筋されたコンクリートブロツ
   ク部の縁部よりメタルライナーを張出すように添
   設し、而して、該メタルライナーの端部を相互に
   接合することにより上記円筒壁ユニツトの積上げ
   を行ない、次いで対向する配筋のつなぎ込みの後
   にコンクリートブロツク部の目地部にコンクリー
   トを打設して円筒壁を形成するようにしたことを
   特徴とする円筒タンク施工方法。