JPS6310982Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、２ドア車の助手席シートのごとき車
両用シートのシートバツクのロツク装置の改良に
関するものであり、後席乗員の乗降のため、助手
度シート等を、その最前段ロツク位置より前方の
位置へスライドさせた際には、シートバツクを起
立状態にロツクすることができないフリー状態た
らしめ、助手席シート等への着座を不可能とする
ことにより、助手席シート等の安全性を向上させ
ることを目的としている。

一般に、２ドア車の助手席シートには、後席乗
員の乗降性を良好にするため、シートスライド装
置を設けてあるが、必要な乗降口を確保するため
には大きなスライドストロークが必要とされてい
る。

他方、安全法規上、シートベルトアンカレツジ
の固定位置に制限があり、助手席シートのシート
スライドロツク範囲は、ある程度以上大きくとる
ことができない。

このため、必要な乗降口を確保するため、助手
席シートの最前段ロツク位置より前方に、ロツク
装置を付設することなくシートスライド機構のみ
を追加することが考えられているが、該機構上に
助手席シートが在るとき着席すると、シート位置
が固定されない欠点がある。

本考案は、実用新案登録請求の範囲に記載する
構成とすることにより、前述の最前段ロツク位置
より前方の、ロツク装置の付設されていないシー
トスライド機構上に助手席シートが在るときは、
シートバツクを起立状態にロツクすることができ
ないフリー状態たらしめ、助手席シートに着座で
きないようにするものである。

以下図示例についてその構成を説明する。

第１図は、本考案の適用された助手席シート１
の斜面図であつて、操作レバー２を引き起こすこ
とによりシートバツク３のリクライニングアジヤ
スタ装置４がフリーとなり、該シートバツク３は
バネの弾性で自動的に前倒され、この前倒によつ
てシートスライド装置５のロツクが解除され、助
手席シート１はヘルパースプリング６の作用で前
方へ移動し、後席への乗降口が開口される。

上述のヘルパースプリング６の作用による助手
席シートの前方への移動は、シートスライド装置
５の最前段ロツク位置より前方位置に達するスト
ロークのものであつて、この前方位置に助手席シ
ート１が達した際は、第２図および第３図に示さ
れる本考案に係るロツク装置の作動により、シー
トバツク３は最早起立状態にロツクすることがで
きないフリー状態となり、安定した着席が不可能
となるものである。

第２図ないし第４図において、シートバツク３
の固定されるシートバツクアーム７は、軸８でシ
ートクツシヨンアーム９に回動自在に軸着され、
バネ１０によつて常時前倒勢力を付与されてい
る。

シートバツクアーム７の基部１３にはラチエツ
ト１１が形成され、シートクツシヨンアーム９に
は、揺動自在に軸支されたパウル１２が、ラチエ
ツト１１と噛合する噛合位置とラチエツト１１か
ら離間した開離位置との２位置を選択的に採りう
るように配設されている。

またシートクツシヨンアーム９には、操作レバ
ー２が軸１４で回動自在に軸支されており、該レ
バー２の先端のカム部１５はパウル１２の背面の
カム部１６に当接されており、第２図に示される
ようにバネ１７の弾力で操作レバー２が矢印イ方
向に引き下げられているときは、カム部１５がカ
ム部１６を押圧してパウル１２を前述の噛合位置
に導き、第４図に示されるように、操作レバー２
が矢印ロ方向に引き上げられた際は、カム部１５
がカム部１６から逃げることにより、パウル１２
が前述の開離位置に導かれるように構成されてお
り、以上説明した構成は、公知のリクライニング
アジヤスタ装置と同一構成である。

図示例において、操作レバー２は、下面側方に
向けて横板部１８が張り出し形成されており、こ
の横板部１８に対応するシートクツシヨンアーム
９の側面には、軸１９によつてチエツクレバー２
０が回動自在に軸支されている。

チエツクレバー２０は、円弧形の支持部２１
と、軸１９に対し支持部２１と反対側において互
に角度90度だけ位相を異にして八字状に分岐する
２本の脚片２２，２３とを有しており、前記支持
部２１は、操作レバー２の横板部１８側に位置さ
せられ、脚片２２，２３は、シートスライド装置
５側に位置させられており、円弧状の支持部２１
は、チエツクレバー２０の後述の変位に応じ、後
述するように、操作レバー２の横板部１８から離
間し係合を解かれた位置と、該横板部１８の下面
に当接する位置との２位置を採りうるよう組み付
けられている。

すなわち、第２図に示されるように、パウル１
２がシートバツクアーム７のラチエツト１１に噛
合し、操作レバー２のカム部１５がパウル１２の
カム部１６に当接され、シートバツクアーム７が
所定の起立姿勢にロツクされているとき、チエツ
クレバー２０の円弧状の支持部２１が、操作レバ
ー２の横板部１８から離間し係合を解かれている
位置が、チエツクレバー２０の占める第１の位置
であり、第４図に示されるように、操作レバー２
のカム部１５がパウル１２のカム部１６から外
れ、パウル１２がシートバツクアーム７のラチエ
ツト１１から外され、シートバツクアーム７がバ
ネ１０の弾力で前倒されているとき、チエツクレ
バー２０の支持部２１が操作レバー２の横板部１
８の下面に当接し、該レバー２をパウル開離位置
に支持している位置が、チエツクレバー２０の占
める第２の位置である。

そして、前記第１の位置においては脚片２２が
垂直下方を向き、他方の脚片２３が助手席シート
１の前進方向を向き、前記第２の位置において
は、脚片２３が垂直下方を向き、他方の脚片２２
が助手席シート１の後退方向を向くようチエツク
レバー２０は構成されている。

前述のシートスライド装置５のロアレール２４
にはブラケツト２５が固着され、該ブラケツト２
５から側方へピン２６が突設されている。

このピン２６の突設位置は、チエツクレバー２
０が第２図に示される位置に在るとき、脚片２
２，２３のなす隅角部内に入り込みうる位置とさ
れ、シートスライド装置５のアツパレール２７の
スライドに伴なうチエツクレバー２０の摺動軌跡
内に配置されている。上述のピン２６は、チエツ
クレバー位置変更手段を構成するものである。

前述のブラケツト２５には、アツパレール２７
と平行に、シートスライド装置５のロツク装置の
付設されている区間に亘り、横板部２８が張り出
し形成され、他方、チエツクレバー２０の一方の
脚片２３には段部２９が形成されており、第２図
の状態から矢印ハで示す後方にアツパレール２７
がスライドしたとき、段部２９が横板部２８上に
載るように構成されている。

前述のシートバツクアーム７にはケーブル３０
の１端が固着され、該ケーブル３０の他端は第５
図、第６図に示されるようにロツク爪３１に固定
されている。このロツク爪３１は公知のように、
シートスライド装置５のロアレール２４に固定さ
れているロツクプレート３２のロツク歯３３間に
係合し、シートスライド装置５のロツクを行なう
ものである。

そして前述のピン２６は、ロツクプレート３２
の最前段ロツク位置よりやゝ前方位置において、
チエツクレバー２０と衝接しうる位置に突設され
ている。

本考案に係るロツク装置は上述の構成であるか
ら、次のように作動する。

すなわち、第２図において、助手席シート１が
ロツクプレート３２の最前段ロツク位置にロツク
され、シートバツクフレーム７が起立姿勢にロツ
クされており、チエツクレバー２０が、操作レバ
ー２と係合していない第１の位置に在るとき、後
席への乗降のため助手席シート１を前方へスライ
ドさせる必要が生じた際は、操作レバー２を、第
４図中矢印ロで示すように上方へ引き起こす。然
るときは、パウル１２はシートバツクアーム７の
ラチエツト１１との噛合を解かれるので、該シー
トバツクアーム７はバネ１０の弾力で前倒され、
ケーブル３０に引かれてロツク爪３１がロツクプ
レート３２のロツク歯３３間から外れるので、シ
ートスライド装置５のアツパレール２７は、ヘル
パースプリング６の力で矢印ニ方向へスライドす
る。このスライドは、シートスライド装置５上の
ロツク装置の付設されていない範囲へのスライド
とされ、広い乗降用開口が形成されるものであ
る。

上述の前方へのスライドの開始直前において
は、第２図に示すようにピン２６がチエツクレバ
ー２０の脚片２２，２３の隅角部に位置し、垂直
下方を向く脚片２２の前面に位置しているので、
前記スライドの開始と同時に、脚片２２はピン２
６に押され、チエツクレバー２０は、第４図に示
されるように第１の位置から第２の位置へ、角度
90度だけ変位され、チエツクレバー２０の円弧状
の支持部２１は、操作レバー２の横板部１８の下
面に当接する位置にもたらされ、該操作レバー２
の矢印イ方向へ移動を阻止する。

このため、パウル１２はシートバツクフレーム
７のラチエツト１１と噛合する位置を採ることが
不可能となり、シートバツク３は起立姿勢にロツ
クされることができないフリー状態のままとされ
るので、助手席シートへの安定した着座は不可能
とされるものである。

後席の乗降の完了後、助手席シート１を矢印ハ
方向へ手で押動させ、スライドさせると、第４図
に示されるように、垂直下方を向いていたチエツ
クレバー２０の脚片２３が、ピン２６に衝接する
と、該チエツクレバー２０は、第４図に示される
第２の位置から、第２図に示される第１の位置に
もたらされ、チエツクレバー２０の支持部２１
は、操作レバー２の横板部１８との係合を解か
れ、操作レバー２の矢印イ方向への押し下げが可
能となる。チエツクレバー２０の脚片２３がピン
２６と衝接した後は、シートスライド装置５のロ
ツク装置の付設された範囲へのスライドとなるの
で、任意の位置でシートバツク３を起立させるこ
とにより、シートバツク３と助手席シート１とは
第２図に示す状態でロツクされることとなる。

既述のように、シートスライド装置５のロツク
装置の付設されている区間には、ブラケツト２５
の横板部２８が張り出し形成されており、この区
間では、チエツクレバー２０の脚片２３の段部２
９が、該横板部２８上に載り、チエツクレバー２
０の第２の位置への回動を阻止するので、当該区
間内では、第４図に示すように、チエツクレバー
２０の支持部２１が操作レバー２の横板部１８と
係合するような事態の発生は完全に阻止される。

本考案に係るロツク装置は、以上説明した構
成、作用のものであり、後席乗員の乗降のため助
手席シート等を、その最前段ロツク位置より前方
の位置へスライドさせた際には、シートバツクを
起立状態にロツクすることができないフリー状態
たらしめ、助手席シート等への安定した着座を不
可能とすることにより、助手席シート等の安全性
を向上させうる効果を奏する。

また、操作としても、助手席シート等を常法に
よつてスライドさせるのみで、前述のシートバツ
クのフリー化あるいは起立姿勢でのロツクを自動
的に達成できるので操作が著しく簡便であり、従
前のシートスライド装置あるいはリクライニング
アジヤスタ装置の機構、操作性等を少しもそこね
ない効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案は適用したシートの１例の斜面
図、第２図は本考案に係るロツク装置の１例の、
チエツクレバーが第１の位置に在る状態を示す側
面図、第３図は、第２図に示すものの分解斜面
図、第４図は第２図に示す装置のチエツクレバー
が第２の位置に在る状態を示す側面図、第５図は
シートスライド装置のロツク部分のロツク状態を
示す斜面図、第６図は第５図に示すもののロツク
解除状態を示す斜面図である。 １：車両用シートたる助手席シート、２：操作
レバー、３：シートバツク、４：リクライニング
アジヤスタ装置、５：シートスライド装置、７：
シートバツクアーム、９：シートクツシヨンアー
ム、１１：ラチエツト、１２：パウル、２０：チ
エツクレバー、２４：ロアレール、２６：チエツ
クレバー位置変更手段たるピン、２７：アツパレ
ール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートスライド装置とリクライニングアジヤス
   タ装置とを備える車両用シートにおいて、回動自
   在のシートバツクアームのラチエツトに噛合、開
   離するパウルが操作レバーによつて噛合位置と開
   離位置とに導かれるように構成されており、該操
   作レバーの下面に臨むシートクツシヨンアームの
   側面に、第１、第２の２位置間で変位しうるチエ
   ツクレバーが取り付けられており、該チエツクレ
   バーは、第１の位置に在るとき前記操作レバーと
   の係合を解かれ、該操作レバーの回動を自由と
   し、第２の位置に在るとき前記操作レバーをパウ
   ル開離位置に支持するよう組み付けられていると
   共に、シートスライド装置のロアレール側には、
   チエツクレバー位置変更手段が突設されており、
   該手段は、アツパレールの前進時に、前記チエツ
   クレバーとの衝接により、該レバーを第１の位置
   から第２の位置に変位させ、アツパレールの後退
   時に、前記チエツクレバーとの衝接により該レバ
   ーを第２の位置から第１の位置へ変位させうるよ
   う、前記チエツクレバーの摺動軌跡内に配置され
   ており、該手段とチエツクレバーとの衝接位置
   は、車両用シートの最前段ロツク位置より前方の
   位置とされていることを特徴とするシートバツク
   のロツク装置。