JPS629833B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、差圧通風式の倉庫型冷蔵庫に関す
るものであつて、特に農作物の貯蔵用大規模冷蔵
庫において差圧通風式冷却用の下部開口部を複数
個配設し、農作物の成熟度や出荷状況に応じて各
下部開口部の冷気通風量を個別に独立制御をなし
得るよう構成した冷蔵庫設備に関するものであ
る。

一般に、大規模経営の農家や農業協同組合で
は、収穫した野菜、果実等の農作物は倉庫タイプ
の大容量冷蔵庫に一且貯蔵して予冷した後、順次
出荷するものである。この種の倉庫型冷蔵庫は相
当大容量の冷凍設備を備え、この冷凍設備により
冷却された空気を倉庫の天井に配設したダクトを
介して倉庫内に吐出し、この倉庫に収容した前記
農作物を冷却するようになつている。この場合冷
気速度が大きい程農作物からの除熱量も大きくな
るので、冷却効率を高めるため送風機の回転速度
を増大するとか、ダクトのエアノズルから冷気を
農作物に直接吹き付ける等の方法が実施されてい
る。しかし、この方法によれば、冷気は堆積した
農作物又は容器に入れて積上げられた農作物の外
表面にしか接触しないので、貯蔵農作物の表層を
越えた内部に存在する農作物はほとんど冷却され
ないという温度むらを生ずる。そこで堆積層の中
心付近にある農作物まで充分冷却しようとする
と、直接冷気に接触する表層近くの農作物は過冷
却され細胞破壊を生じて、その品質に支障を来た
す弊害を招来するに至る。

そこで、このような欠点を除去するために、冷
蔵庫内での冷気の風速を押え、むしろ冷蔵庫内に
負圧部と正圧部を形成し、冷気が必然的に正圧部
から負圧部へ移行するように構成して、堆積して
いる農作物相互間の狭隙に冷気が浸透するように
した冷却法が近時採用されるに至つている。この
方法は冷気の速度エネルギーを圧力差に転換する
ものであつて、一般に差圧通風式と称されてい
る。この差圧通風式によれば、農作物を詰めた容
器の対向面側面に通気孔があけてあれば、冷気は
この通気孔から侵入して農作物相互の間隙にも浸
透し、農作物を隈なく冷却した後他方の通気孔か
ら逃出するので冷却むらがなく、また農作物に冷
却時の発汗現象が生じない等多くの利点を有する
ものである。この差圧通風式を応用した冷蔵設備
としては、倉庫型の冷蔵庫の一側壁の下部に吸風
口を設けると共に上部に送風口を設けてここに圧
力フアンを設置し、これによつて前記一側壁の裏
側に前記吸風口及び送風口を介して冷蔵庫と連通
する負圧室を構成したものが知られている。

この差圧通風式冷蔵庫は、貯蔵された農作物を
その内部まで均一に冷却し得るので極めて効率が
よいものであるが、反面冷蔵庫内における農作物
の入庫量や、農作物の完熟度、出荷量等に応じた
きめの細かい冷却制御をすることはできず、従つ
て、農作物の種類、状態によつては必ずしも最適
条件とはいえないまま冷却したり、貯蔵農作物が
時期によつて少い場合であつても冷蔵庫はフル稼
動を余儀なくされていたりしていた。また、完熟
度に応じて個別の冷却をするには、同じ収穫時期
の農作物だけをまとめて冷蔵庫に入れる必要があ
るので、要求される完熟度毎に冷蔵庫を設置する
必要があり、建造費用が嵩むものであつた。

本発明は、このような欠点を除去するべく案出
されたものであつて、その要旨とするところは、
倉庫型冷蔵庫の壁面に複数の下部開口部および下
部開口部と対応して下部開口部と同数の上部開口
部を備え、前記対応する各下部開口部と上部開口
部とを夫々独立のダクトを用いて連通し、各ダク
トの下部開口部から上部開口部までの通風経路の
いずれかの位置に夫々送風装置を配設し、この送
風装置の送風量を夫々独立制御しうるよう構成す
ることを特徴とする差圧通風式冷蔵庫および、倉
庫型冷蔵庫の壁面に複数の下部開口部および１又
は下部開口部よりも少ない複数の上部開口部を備
え、前記下部開口部と上部開口部とを各下部開口
部に通ずるダクトと上部開口部へ通ずるダクトと
を連絡して分岐する分岐部を介して連通し、各下
部開口部から分岐部へ通ずるダクト内のいずれか
の位置に夫々送風装置を配設し、この送風装置の
送風量を夫々独立制御しうるよう構成することを
特徴とする差圧通風式冷蔵庫にある。

次に、本発明に係る複数の差圧通風用下部開口
部を備える冷蔵庫につき、添付図面を参照しなが
ら以下詳細に説明する。

第１図は倉庫型の大容量冷蔵庫の透視斜視状態
を示すものであつて、この冷蔵庫１０には隣接し
て冷凍機械室１２が設けられ、この機械室１２に
収容した冷凍機１４の蒸発器（図示せず）で冷却
された空気は、冷蔵庫１０の天井付近に延在する
ダクト１６から冷蔵庫１０内に吹出され、庫内を
冷却する。一方の庫内壁１８の下方には矩形状の
空気吸引口２０を適宜数並列的に複数個開設し、
この吸引口２０にはメツシユ２２を張設する。メ
ツシユ２２は、これに代えて桟状のルーバとして
もよい。前記庫内壁１８の上方部分には少くとも
１つの吹出口２４を開設し、前記吸引口２０と吹
出口２４はダクト２６により連通する。

このダクト内において、吸引口２０の開口部付
近に好適には軸流フアンからなる吸引フアン２８
を設け、このフアンの回転によつて冷蔵庫１０内
の冷気を吸引口２０を介してダクト２６内に吸引
する。このように構成することによつて、フアン
２８を回転させれば、庫内の冷気はダクト内に強
制的に吸引され、ダクト２６内を通過した後前記
吹出口２４から吹出され、再び庫内に戻される。
このとき、ダクト内は正圧となり冷蔵庫内は正圧
に保持されることになる。本実施例では、吸引口
２０は複数あるので、吸引フアン２８も複数配設
されることになり、これらの各吸引フアン２８の
回転数は夫々別個に独立制御し得るようになつて
いる。なお、庫内壁１８の吸引口２０の矩形状開
口部の周囲には、ゴム等の弾性材料からなるシー
ル部材３２を延設し、後述する積荷と壁部との間
の密閉性を確保すると共に、積荷作業時の衝撃緩
衝を図るように構成するのが好適である。

次に本発明に係る冷蔵庫の作用、効果について
説明する。第２図に示すように、所定の通孔３４
を設けたダンボール箱３６内に収穫した農作物を
入れ、このダンボール箱３６を前記吸引口２０に
近接させて例えば四段に積み重ねる。この積荷作
業は、パレツト３７に箱３６を載せ、フオークリ
フトによる吊上げ荷役により行なう。このとき、
吸引口２０に延設した前記シール部材３２は、積
層されたダンボール箱３６に密着させておく。次
いで、第１図に良好に示すように無通気性のシー
ト３８を、ダンボール箱群の上側に掛ける。この
場合、各吸引口２０の前に積み重ねられるダンボ
ール箱のブロツク群は、夫々内容物の成熟度、出
荷量に応じて区分けしておく。例えば、Ａ群のブ
ロツクのダンボール箱には収穫直後の農作物を入
れ、Ｂ群のブロツクのダンボール箱には収穫後１
週間を経たものを入れる如くである。この状態に
おいて、各吸引口におけるフアン２８を一斉に回
転してやると、先に説明したように冷蔵庫内は正
圧になるため、冷凍機１４により冷却されてダク
ト１６から庫内に吐出された冷気は、ダンボール
箱３６の通孔３４を介して箱内に侵入し、農作物
（図示せず）の夫々の間隙内に浸透して隈なくこ
れを冷却した後吸引口２０からダクト２６内に吸
引され、再び吹出口２４から庫内に吹出される。
このとき、各ブロツク群における農作物の完熟度
や出荷状況に応じて、夫々の吸引口２０に配設し
たフアン２８の回転速度を独立制御してやること
により、各吸引口における吸引量が独立制御さ
れ、その農作物に最も適した冷却調整を達成する
ことができる。

本実施例では、壁面下部に複数の吸引口２０を
設け、また壁面上部にもこの吸引口２０の数と対
応する数量の吹出口２４を設け、夫々の吸引口と
吹出口をダクト２６により連通接続すると共に、
各吸引口２０に吸引フアン２８を夫々配設した場
合を示した。これを概略的に第３図に示す。

このような構成においては、フアン２８は必ず
しも吸引口２０に配設する必要はなく、第４図に
示すように吹出口２４に設けてもよい。この場
合、フアン２８は吹出型のものを採用し、別個独
立に各フアンの回転数を制御することにより、各
吸引口における冷気の吸引量を夫々変化させるこ
とができる。

更に、第５図に示すように、壁面下部には複数
の吸引口２０を開設すると共に壁面上部に１個の
吹出口２４を開設し、この複数の吸引口２０と１
個の吹出口２４とを分岐ダクト２６により連通接
続してもよい。吹出口を１個だけ開口すればよい
ため構造が簡易となる。この場合、各吸引口２０
における冷気の吸引量を独立制御するのが目的で
あるから、フアン２８は吸引型のものが吸引口２
０に夫々独立的に配設される。これら全ての実施
例において、冷却機における冷気吐出口を前記ダ
クトにおいて開口させることによつても、同様の
差圧通風式の冷却が達成される。この場合におい
て冷気吐出口にダンパーを設けるのが好ましい。

更に、フアン２８が冷気をダンボール箱群に向
けて吐出する方法を採用することができ、冷却機
における冷気吐出口をダクト内に開口するときは
特に少量の被冷却物しか無い場合の冷却効率がよ
い。また、フアン２８が冷気の吸引、吐出を交互
に繰返す差圧冷却方法を採用することができる。
この場合において、吸引および吐出におけるダン
ボール箱内冷気流通路が異なるため一層冷却速度
を上げることができる。

このように、本発明によれば、各下部開口部に
おけるユニツト毎の差圧通風制御が可能であるの
で、最も適した温度で各農作物を冷却することが
でき、また出荷量、入庫量に応じての各ユニツト
毎の稼動がなし得るので電気代の節約もできる等
種々の利点が得られる。

以上本発明につき好適な実施例を挙げて種々説
明したが、本発明はこの実施例に限定されるもの
ではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多く
の改変を施し得るのはもちろんのことである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る装置の斜視状態説明図、
第２図は第１図に示す装置の一部切欠断面図、第
３図は第１図に示す装置の概略説明図、第４図及
び第５図は本発明の別の実施例の概略説明図であ
る。 １０……冷蔵庫、１２……機械室、１４……冷
凍機、１６……ダクト、１８……庫内壁、２０…
…空気吸引口、２２……メツシユ、２４……吹出
口、２６……ダクト、２８……吸引フアン、３２
……シール部材、３４……通孔、３６……ダンボ
ール箱、３７……パレツト、３８……シート。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 倉庫型冷蔵庫の壁面に複数の下部開口部およ
   び下部開口部と対応して下部開口部と同数の上部
   開口部を備え、前記対応する各下部開口部と上部
   開口部とを夫々独立のダクトを用いて連通し、各
   ダクトの下部開口部から上部開口部までの通風経
   路のいずれかの位置に夫々送風装置を配設し、こ
   の送風装置の送風量を夫々独立制御しうるよう構
   成することを特徴とする差圧通風式冷蔵庫。 ２ 送風装置が下部開口部から冷気を吸引する特
   許請求の範囲第１項記載の差圧通風式冷蔵庫。 ３ 送風装置が下部開口部に冷気を吐出する特許
   請求の範囲第１項記載の差圧通風式冷蔵庫。 ４ 送風装置が下部開口部からの冷気吸引および
   下部開口部への冷気吐出を交互に繰返し行なう特
   許請求の範囲第１項記載の差圧通風式冷蔵庫。 ５ 倉庫型冷蔵庫の壁面に複数の下部開口部およ
   び１又は下部開口部よりも少ない複数の上部開口
   部を備え、前記下部開口部と上部開口部とを各下
   部開口部に通ずるダクトと上部開口部へ通ずるダ
   クトとを連絡して分岐する分岐部を介して連通
   し、各下部開口部から分岐部へ通ずるダクト内の
   いずれかの位置に夫々送風装置を配設し、この送
   風装置の送風量を夫々独立制御しうるよう構成す
   ることを特徴とする差圧通風式冷蔵庫。