JPS629393B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、籾を籾摺部において脱し、次いで
玄米のみを選別して取り出すようにした籾摺選別
装置に関するものである。

〔従来の技術とその問題点〕

従来この種の籾摺選別装置は、実開昭53―
91965号公報に記載されているように玄米の選別
に揺動式の選別機構を採用しているのが多かつた
が、この揺動式の選別機構は、大型であると共に
振動及び騒音が大きい等の欠点を有することか
ら、先行技術としての特開昭49―24745号公報
は、脱後の摺落米からの玄米の選別に、内周面
に多数個の凹部を凹み形成した横向きの回転選別
筒内に玄米受樋を備えて成る回転式選別機構を使
用することを提案している。

そして、この先行技術の特許公開公報に記載さ
れた籾摺選別装置は、籾摺部で脱した摺落米を
籾殻と共に前記回転式選別機構における回転選別
筒内に導入し、該回転選別筒内において摺落米中
の籾殻を風と一緒に吸引選別するようにする一
方、その回転選別筒を、当該回転選別筒における
排出側が供給側より低くなるように傾斜調節可能
にすることによつて、摺落米の供給側から排出側
への移送を円滑にするようにしたものであつた。

しかし、この種の回転式選別機構は、回転選別
筒内に供給された摺落米が回転選別筒の回転によ
つて或る高さまで掻き上げられたのち底部に落下
する流動を繰り返し、層を形成しながら排出側に
移動する途次において、摺落米のうち玄米は凹部
に嵌まつた状態で比較的高い位置まで持ち上げら
れたのち落下し、摺落米のうち籾は前記玄米より
も低い位置から落下する運動を行うことを利用し
て、高い位置から落下する玄米を玄米受樋に受け
て取り出すものであるから、この先行技術のよう
に、回転選別筒内において摺落米中の籾殻を風と
一緒に吸引選別することは、回転選別筒内におけ
る流動状態及び持ち上げ高さが変化することに加
え、吸引選別できなかつた籾殻が凹部に入り、凹
部に入る玄米の数を低減するので、玄米に対する
選別精度及び選別能力が低下するのである。

また、前記籾摺選別装置に使用した回転式選別
機構において、その回転選別筒内における摺落米
の流動状態及び玄米の持ち上げ高さ、つまり回転
選別筒内における選別状態は、回転選別筒内に対
する摺落米供給量、摺落米の湿度及び粒度等によ
つて変化するものであるから、当該回転選別筒
を、その排出側が供給側よりも低くなるように傾
斜した場合において、その傾斜角度が固定的であ
ると、回転選別筒内における選別状態を、前記摺
落米の供給量、湿度及び粒度等に合わせて最適の
状態に調整することができないのである。

そこで、特開昭48―103345号公報は、この種の
回転式選別機構における回転選別筒における傾斜
角度を、調節可能に構成することを提案してお
り、これによると、回転選別筒における選別状態
を、摺落米の供給量、湿度及び粒度等に応じて最
適な状態に調節することが容易にできるが、その
傾斜角度の調節範囲は、選別状態を調節する範
囲、つまり比較的緩い傾斜角度の範囲に限るもの
であるから、作業の終了時において回転選別筒内
の残留摺落米を総て排出するまでに長い時間がか
かることになる。

つまり、脱後の摺落米の選別に回転式選別機
構を使用した従来の籾摺選別装置では、摺落米か
ら玄米を選別するとき選別能力及び選別精度が低
いと共に、作業の終了に際して残留摺落米の排出
に長い時間が必要である点に問題があつた。

本発明は、このように脱後の摺落米の選別に
回転式選別機構を使用した籾摺選別装置における
前記の問題を解消することを目的とするものであ
る。

〔問題を解決するための手段〕

この目的を達成するために本発明は、籾摺部
と、内周面に凹部を多数個凹み形成した横向きの
回転選別筒内に玄米受樋を備え且つ回転選別筒の
一端を摺落米の供給側に回転選別筒の他端を籾の
排出側に形成した回転式選別機構とから成る籾摺
選別装置において、前記籾摺部から摺落米を風選
して前記回転選別筒における供給側に供給する風
選部を長方形状の箱体内に設け、該長方形状箱体
の上面には、その一方側に前記籾摺部を配設する
一方、他方側には前記回転式選別機構を当該回転
式選別機構における排出側が前記籾摺部における
籾供給箇所への籾還元経路にのぞませるように配
設し、且つ、前記回転式選別機構における回転選
別筒を、その排出側が供給側よりも低くなるよう
に傾斜調節可能に構成すると共に、この回転選別
筒を、選別中における傾斜角度よりも更に大きい
傾斜角度に傾斜できるように構成したものであ
る。

〔発明の作用・効果〕

このように構成すると、籾摺部において脱さ
れた摺落米は風選部において籾殻が選別除去され
たのち回転式選別機構における回転選別筒内に供
給されるから、回転式選別機構を使用した前記先
行技術の籾摺選別装置のように回転選別筒内にお
いて籾殻を風と一緒に吸引選別する場合のよう
に、回転選別筒内における摺落米の流動状態及び
玄米の持ち上げ高さが変化することがないと共
に、回転選別筒内に供給する前の風選別では籾殻
を略完全に選別除去できるから、回転選別筒内面
における凹部に籾殻が入ることによつて、凹部に
入る玄米の数が低下するようなことがなく、玄米
に対する選別精度及び選別能率を向上できる一
方、回転式選別機構における排出側を、前記籾摺
部における籾供給箇所への籾還元経路にのぞませ
たことにより、該排出側から排出される籾を、籾
摺部に還元して再脱することができるのであ
る。

しかも、本発明は回転選別筒を、その排出側が
供給側よりも低くなるように傾斜調節可能に構成
すると共に、この回転選別筒を、選別中における
傾斜角度よりも更に大きい傾斜角度に傾斜できる
ように構成したことにより、選別作業に際しては
回転選別筒の傾斜角度を水平に近い緩い角度又は
水平にすることができるから、玄米の選別能力及
び選別精度を、摺落米の供給量、湿度及び粒度等
に応じて高い状態に保持できるものでありなが
ら、選別作業の終了時においては、回転選別筒の
傾斜角度を、通常の選別状態の傾斜角度よりも大
きくできることにより、回転選別筒内における残
留摺落米を、排出側から短い時間で排出すること
ができるのである。

つまり、本発明によると、回転選別筒内の残留
摺落米の排出時間の短縮化と、玄米の選別能力及
び選別精度の向上との両方を容易に達成できるの
である。

その上、本発明は、風選部を長方形状の箱体内
に設けたことと、該長方形状箱体の上面を、籾摺
部と回転式選別機構との設置に有効に利用するこ
とができることとが相俟つて、籾摺選別装置の全
体をコンパクトにして小型化できる効果をも有す
る。

〔実施例〕

以下本発明の実施例の図面について説明する
と、第１図は籾摺選別装置全体の側面図を示し、
該籾摺選別装置は、長方形状の箱体Ｅと、該長方
形状箱体Ｅの上面の左側に搭載した籾摺部Ｆ、及
び長方形状箱体Ｅの上面の右側に搭載した回転式
選別機構Ｃとによつて全体が構成されている。

前記籾摺部Ｆは、籾供給ホツパー９及び脱ロ
ール１０を備える一方、前記長方形状箱体Ｅ内に
は、吸引排塵機３、二番コンベヤ４、摺落米コン
ベヤ５、玄米コンベヤ６及びモータＭ等から成る
風選部が設けられており、前記摺落米コンベヤ５
の一端側には摺落米スロワー７が、玄米コンベヤ
６の他端側には玄米スロワー８が各々連設され、
前記モータＭの出力軸に嵌着したプーリ１１から
前記脱ロール１０におけるプーリ１２にベルト
１３伝動し、脱ロール１０上の他のプーリ（図
示せず）から、前記吸引排塵機３におけるプーリ
１４及び前記各種コンベヤにおけるプーリ１５，
１６，１７にベルト１８伝動するように構成され
ている。

前記回転式選別機構Ｃは、箱型ケースC′内に
上下二段に横設した一次回転選別筒Ａと二次回転
選別筒ａとを備え、これら両回転選別筒Ａ，ａ
は、いずれも両端開放型で、その内周面には玄米
が嵌まる程度の大きさの凹所１が多数個凹み形成
され、且つ、両回転選別筒Ａ，ａは、前記籾摺部
Ｆに近い側が排出側Ｙに、籾摺部Ｆより遠い側が
供給側Ｘに各々構成されている。

また、両回転選別筒のうち一次回転選別筒Ａ
は、その供給側Ｘの外周下部を前記箱型ケース
C′内面に突出した２個一対のローラ３１，３１
上に載置する一方、排出側Ｙを箱型ケースC′に
略水平に装架した回転軸１９に固着することによ
り支持され、二次回転選別筒ａは、その排出側Ｙ
の外周下部を前記箱型ケースC′内面に突出した
２個一対のローラ３１，３１上に載置する一方、
供給側Ｘを箱型ケースC′に略水平に装架した回
転軸２０に固着することにより支持されている。

前記一次回転選別筒Ａ内には、当該回転選別筒
の軸線方向に延びる上面開放型の玄米受樋Ｂが、
その両端を前記箱型ケースC′に固着するように
して設けられ、この玄米受樋Ｂ内には、前記回転
軸１９に形成た螺旋コンベヤ２１が設けられてい
る。また、前記二次回転選別筒ａ内には、当該回
転選別筒の軸線方向に延びる上面開放型の玄米受
樋ｂが、その両端を前記箱型ケースC′に固着す
るようにして設けられ、この玄米受樋ｂ内には、
前記回転軸２０に形成した螺旋コンベヤ２２が設
けられている。なお、これら両玄米受樋Ｂ，ｂに
は、回転式の調節仕切板２３，２４が各々設けら
れている。

前記箱型ケースC′における供給側Ｘの外側面
には、前記摺落米スロワー７からの混合米を一次
回転選別筒Ａ内に供給するようにしたホツパー２
５が設けられ、箱型ケースC′における排出側Ｙ
には一次回転選別筒Ａの排出側Ｙから排出される
籾を前記籾摺部Ｆにおける籾供給ホツパー９に導
くための受け樋２６が設けられている。また、前
記一次回転選別筒Ａ内の玄米受樋Ｂの出口端は、
シユトー２７を介して二次回転選別筒ａにおける
供給側Ｘの内部に連通し、さらに、二次回転選別
筒ａの排出側Ｙは、シユート２８を介して前記摺
落米コンベヤ５に、二次回転選別筒ａ内における
玄米受樋ｂの出口端は、通路２９及びシユート３
０を介して前記玄米コンベヤ６に各々連通してい
る。

そして、前記箱型ケースC′における供給側Ｘ
の下面には、伝動ケース３２を固着し、該伝動ケ
ース３２にこれを貫通して軸支した伝動軸３３の
両端を、前記長方形状箱体Ｅにおける左右両側板
２，２に軸受３４，３５を介して軸支することに
より、前記箱型ケースC′を、この伝動軸３３を
中心に排出側Ｙが上下動するように構成する一
方、箱型ケースC′における排出側Ｙと、籾摺部
Ｆのホツパー９との間には、回転選別筒の傾斜角
度調節機構Ｄを設ける、この調節機構Ｄは、第４
図に示すように構成されている。

すなわち、籾摺部Ｆのホツパー９上面に支持枠
４５をボルト４６にて固着し、この支持枠４５に
は、一端に撮み４７を有する軸杆４８を前記回転
選別筒Ａ，ａの軸線方向に摺動自在に嵌挿し、該
軸杆４８の他端には、裁頭円錐状のストツパーピ
ン４９を固着して、該ストツパーピン４９を軸杆
４８に被嵌したばね５０にて前記回転式選別機構
Ｃの方向に突出するように付勢する一方、回転式
選別機構Ｃの箱型ケースC′における排出側Ｙの
側板５１には、前記ストツパーピン４９が嵌まる
複数個のピン孔５２……を上下方向に適宜間隔で
穿設して、ストツパーピン４９を、前記各ピン孔
５２のうち最下段のピン孔５２に嵌めたとき両回
転選別筒Ａ，ａが略水平となり、この最下段のピ
ン孔５２より上に位置するピン孔５２に嵌めたと
き両回転選別筒Ａ，ａが、その排出側Ｙが供給側
Ｘより低くなるように緩い角度に傾斜し、そし
て、各ピン孔５２のうち最上段のピン孔５２に嵌
めたとき両回転選別筒Ａ，ａの傾斜角度が前記よ
りも大きくなるように構成されている。

なお、前記回転式選別機構Ｃの長方形状箱体Ｅ
に対する枢着点である伝動軸３３には、その一端
に嵌着したプーリ３６に、前記玄米コンベヤ６に
おけるプーリ３７からベルト３８伝動し、該伝動
軸３３を収容した伝動ケース３２から後方に突出
する軸４１に、伝動ケース３２内において伝動軸
３３からウオーム歯車４０を介して動力伝達し、
この軸４１に嵌着したプーリ３９から、前記両回
転選別筒Ａ，ａにおける回転軸１９，２０端のプ
ーリ４２，４３にベルト４４伝動することによ
り、両回転選別筒Ａ，ａを第３図に矢印イで示す
方向に適宜速度で回転するように構成されてい
る。

しかして、脱選別作業に際して、前記回転選
別筒の傾斜角度調節機構Ｄにおけるストツパーピ
ン４９を最下段のピン孔５２に嵌めることによ
り、両回転選別筒Ａ，ａを略水平の状態にする
か、或いは、ストツパーピン４９を最下段のピン
孔５２より一つ上のピン孔５２に嵌めることによ
り、両回転選別筒Ａ，ａをその排出側が低くなる
ように緩い傾斜角度に傾斜したのち、籾摺部Ｆに
おけるホツパー９に籾を供給すると、籾摺部Ｆに
おいて脱された摺落米は、摺落米コンベヤ５に
流下する途次において吸引排塵機３の吸引風によ
つて籾殻が選別除去されたのち、摺落米コンベヤ
５から摺落米スロワー７及びホツパー２５を経
て、一次回転選別筒Ａ内の供給側Ｘに供給され
る。

このようにして一次回転選別筒Ａ内に供給され
た摺落米は、一次回転選別筒Ａの回転により或る
高さまで持ち上げられたのと底部に落下する流動
を繰り返し、流動層を形成しつつ第２図に矢印ロ
で示すように排出側Ｙに向かつて順次移送され
る。

この流動移送中において摺落米中の玄米は凹部
１に嵌まつた状態で比較的高い所まで持ち上げら
れたのち凹部１から落下することにより、玄米受
樋Ｂには、主として玄米が入るように選別され
る。

そして、前記のように一次回転選別筒Ａ内にお
いて玄米が玄米受樋Ｂに入るように除かれた後の
摺落米は、排出側Ｙに移送するにつれて籾の量が
多くなり、排出側Ｙから受け樋２６を介して籾摺
部Ｆにおける籾供給ホツパー９に還元されて、再
び脱作用が行なわれる。

一方、一次選別選別筒Ａにおける玄米受樋Ｂに
入つた玄米は、螺旋コンベヤ２１により第２図に
矢印ハで示す方向に移送されたのち、シユトー２
７を介して二次回転選別筒ａ内の供給側Ｘに供給
されて、ここで再度の選別、つまり精選別が行な
われる。

すなわち、二次回転選別筒ａ内に供給された玄
米は、前記と同様に流動しながら第２図に矢印ホ
で示すように排出側Ｙに向かつて移送される途次
において、玄米のみが玄米受樋ｂに入るように選
別されたのち、排出側Ｙからシユート２８を介し
て摺落米コンベヤ５に流出して、再度前記一次回
転選別筒Ａに送られる循環を繰り返す一方、玄米
受樋ｂに入つた玄米は、螺旋コンベヤ２２にて第
２図に矢印ニで示す方向に送られたのち、通路２
９及びシユート３０を介して玄米コンベヤ６に流
下し、この玄米コンベヤ６に連接した玄米スロワ
ー８にて機外に取り出されるのである。

そして、前記のような籾摺選別作業が終わる
と、両回転選別筒Ａ，ａ内の底部に残留する摺落
米を排出しなければならないが、この残留摺落米
の排出に際して、前記回転選別筒の傾斜角度調節
機構Ｄにおけるストツパーピン４９を、最上段の
ピン孔５２に嵌め換えて、両回転選別筒Ａ，ａ
を、その排出側Ｙが供給側Ｘより低くなるように
大きい傾斜角度に傾斜して、両回転選別筒Ａ，ａ
の回転を暫く続けることにより、両回転選別筒
Ａ，ａ内に残留する摺落米は、回転選別筒の回転
に伴つて流動しながら、低い排出側Ｙに向かつて
移動することにより、排出側Ｙから排出できるの
である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は籾摺選
別装置の側面図、第２図は籾摺選別装置の縦断正
面図、第３図は第２図の―視断面図、第４図
は回転選別筒の傾斜角度調節機構の拡大断面図、
第５図は第２図の―視断面図である。 Ｆ……籾摺部、Ｅ……風選部内蔵の長方形状箱
体、Ｃ……回転式選別機構、Ａ，ａ……回転選別
筒、１……凹所、Ｘ……供給側、Ｙ……排出側、
Ｂ，ｂ……玄米受樋、Ｄ……選別筒の傾斜角度調
節機構。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 籾摺部と、内周面に凹部を多数個凹み形成し
   た横向きの回転選別筒内に玄米受樋を備え且つ回
   転選別筒の一端を摺落米の供給側に回転選別筒の
   他端を籾の排出側に形成した回転式選別機構とか
   ら成る籾摺選別装置において、前記籾摺部からの
   摺落米を風選して前記回転選別筒における供給側
   に供給する風選部を長方形状の箱体内に設け、該
   長方形状箱体の上面には、その一方側に前記籾摺
   部を配設する一方、他方側には前記回転式選別機
   構を当該回転式選別機構における排出側が前記籾
   摺部における籾供給箇所への籾還元経路にのぞま
   せるように配設し、且つ、前記回転式選別機構に
   おける回転選別筒を、その排出側が供給側よりも
   低くなるように傾斜調節可能に構成すると共に、
   この回転選別筒を、選別中における傾斜角度より
   も更に大きい傾斜角度に傾斜できるように構成し
   たことを特徴とする籾摺選別装置。