JPS629174Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は建造物のパネル、例えばGRC壁（ガ
ラス繊維強化セメント又はコンクリート版）や、
コンクリートスラブ等の重量物を工事現場におい
て荷受、横運搬するとともに、取付のための微調
整ができるようにしたことを特徴とするパネル運
搬用台車に関する。

近年、ビルの高層化に伴い、パネル張り付け或
は窓枠パネルの嵌め込み作業においては、建造物
の各フロア毎に地上から持ち上げたパネルを台車
に載せ、横方向移動により所定の取付位置まで運
搬することが行われている。しかるに、従来の台
車は第４図イ、ロに示す如く、簡単な枠組構造の
枠体が垂直に或は傾斜して一体的に固定された構
造であり、パネルやスラブ等を垂直に立てる機能
が備つていないため、これらの取付作業時作業者
は直接人力で垂直に立てる必要があり、重量物を
扱うが故に危険が伴う等安全上問題があり、又前
記パネルやスラブ等を取付寸法に応じて上・下に
移動する必要がある場合には、他の装置によらね
ばならず、パネル張りやスラブの嵌め込み作業が
困難となる等の不具合が発生していた。

又、台車上に載せたパネルやスラブ等がフロア
の走行面に凹凸があつたり、障害物があつたりす
ると乗り越えられず、又天井の梁などに接触した
りして移動し難いなどの問題点が多かつた。

更に、従来の台車は前記の如く単なる枠組構造
であるが故に重量物の運搬が困難となり、一方、
この種重量物の運搬に適合させるとなると台車は
勢い大型化し、狭い場所での運搬ができない等の
作業性の低下を招く結果となる。

更に又、従来の台車は枠体に一方向のみ移動可
能な車輪を装着するか、或は首振り自在なキヤス
タを装着したものが一般的であつた。前者の一方
向のみ移動可能な台車では汎用性に乏しく、狭い
場所での取扱いが不便であり、後者の首振り自在
なルーフネツク車輪のみを装着したものでは狭い
場所での作業性は改善されたが、台車を使用する
場所、特に傾斜したフロアやテラス等で使用する
際には、傾斜方向に移動して横方向の直進が出来
ずに蛇行したり、或は溝に落輪したりするなど、
取扱い操作上問題があつた。

本考案者等は、この種運搬用台車における上記
した諸問題点に鑑み、これらを有効に解決すべく
本考案を成したものである。

本考案の目的とする処は、台車に載せたパネル
やスラブ等を上・下及び傾斜移動可能とすること
により、狭い場所での重量物の運搬・取付作業を
容易、且つ効率的に行ない得るとともに、台車自
体は簡単な構造でしかも小型、且つ軽量であり、
全方向移動及び一方向横移動が任意に設定できる
パネル運搬用台車を提供するにある。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に従つ
て詳述する。

第１図は本考案に係るパネル運搬用台車１の斜
視図、第２図は同側面図を示し、該台車１は基本
的にはその底面四隅に首振り自在のキヤスタ２…
上に固定した台枠３にパネル受枠４を上・下動ア
ーム５，５及び傾斜動リンク機構６，６を介して
取付支持して成る。すなわち、前記台枠３は、鋼
管等を切断、溶接等して略方形に形成された基台
３０の前面両隅３０ａ，３０ａより所定の角度を
有する傾斜支柱３１，３１を互いに平行に立設
し、前記基台３０の後面両隅３０ｂ，３０ｂより
互いに平行に起立する垂直支柱３２，３２と横部
材３３を介して各接点３３ａ，３３ａにて一体的
に固着形成されている。前記横部材３３の略中央
には円孔３４，３４を有するチエンブロツク用フ
ツク３５が固着され、該フツク３５にはチエンブ
ロツク７ａ，７ｂが前記円孔３４，３４を介して
夫々吊下保持されている。又、前記一体的に形成
された台枠３の底面四隅には首振り自在且つブレ
ーキ付のキヤスタ２…が装着され、前キヤスタ２
ａ，２ａは前記基台３０上にリンク機構を介して
揺動自在に固定、起立して成る前キヤスタ操作ハ
ンドル３７，３７により一方向移動可能に設定さ
れ、後キヤスタ２ｂ，２ｂは全方向移動自在に設
定されている。ここで、前キヤスタ２ａ，２ａの
移動方向操作機構を説明する。第３図は左側キヤ
スタ２ａについてのみの前記操作機構の平面図を
示し、一体に形成された板部材５１の後方延出部
材５１ａの適所には操作ハンドル３７が起立固定
せしめられ、その端部は基台３０に該基台３０と
の間に隙間を設けて取付られたガイド棒５２の下
面と水平方向スライド自在に当接され、又、前記
板部材５１の横方向部材５１ｂの端部にはピン５
３が固定されている。一方、キヤスタ２ａは軸５
４で基台３０に回動自在に枢着されるとともに、
板部材５５の一端に一体的に固定され、該板部材
５５の他端は長孔５６を介して前記横方向部材５
１ｂの端部に固定されたピン５３で軸５４を中心
に揺動自在に嵌合されている。而して、前記操作
ハンドル３７をガイド棒５２に沿つて水平方向
（図中イ方向）に移動させれば、キヤスタ２ａは
板部材５５と一体的に結合されている故、軸５４
を中心に揺動（図中ロ方向）する。

尚、以上は左側キヤスタの操作機構のみについ
て説明したが、右側キヤスタについても全く同様
にして、左側キヤスタと一体的に方向移動操作さ
れる。

一方、アングル材等で略方形に形成されたパネ
ル受枠４が該受枠底辺部材両端４０ａ，４０ａと
前記基台３０の後面側側面３０ｂ，３０ｂとを
上・下動アーム５，５にて枢着固定されて、前記
台枠３の前面に位置している。而して、前記パネ
ル受枠４はその底辺部材４０の略中央部に起立固
着せしめられた円孔４１を有するフツク４２に
て、前記チエンブロツクの一方７ａより延出せる
受枠上・下動チエン１７ａを介して台枠３に枢軸
点５ｂ，５ｂを中心に上・下動自在に支持されて
いる。

又、上記パネル受枠４の縦部材４３，４３の上
方両側面４３ａ，４３ａと上記台枠３の上方接点
３ａ，３ａとをその接点に長孔６ａ，６ａを有す
るリンク機構６，６にて枢着固定し、更に、補強
部材４４，４４に固着して成る水平部材４５より
傾斜操作用アーム４６を前記台枠３後方へ延出せ
しめ、該アーム４６を補強部材４７にて補強支持
するとともに、その先端には円孔４８を有するフ
ツク４９を起立固着せしめる。而して、前記フツ
ク４９にて、前記チエンブロツクの他方７ｂより
延出せる傾斜動チエン１７ｂを介して受枠４を前
記台枠３に枢軸点４０ａ，４０ａを中心として傾
斜自在に支持する。

更に又、上記パネル受枠４の縦部材４３，４３
の下端部には、Ｌ形フツク状の受け金具８，８が
固着され、前記縦部材４３，４３の上端近傍適所
には、略コの字型に形成され且つ両端部がＬ型形
状を成すパネル保持金具９が枢着され、該保持金
具９はその一端を前記受枠４の上端４３ｃ，４３
ｃに固定されたバネ１０，１０により受枠４に枢
軸点４３ｂ，４３ｂを中心として揺動自在に弾性
支持されている。以上の受金具８と保持金具９と
からパネル保持具を構成する。

次に上述した運搬用台車１の作動及び取扱いに
ついて説明する。

まず、図示していない揚重機等で吊り上げられ
たGRCパネルＰを所定の高層ビルにおけるフロ
アに設置した台車１の受け金具８，８上に載せ荷
受けする。この際台車１は第２図実線で示す如き
状態、すなわち、前記上・下動チエン１７ａ及び
傾斜動チエン１７ｂの長さをチエンブロツク７
ａ，７ｂにて夫々適当に調節し、前記パネル受枠
４が台枠３の傾斜支柱３１，３１に沿つて傾斜し
ている状態とし、又、前記キヤスタ２…の全てに
はブレーキをかけておく。而して、前記パネル保
持金具９の端部９ａをバネ１０，１０に抗して下
方へ押した状態で荷受し、荷受後押した力を解放
すれば上記荷受されたGRCパネルＰはバネ１
０，１０のバネ力で傾斜した受枠４に完全に固定
される。

次にキヤスタ２…の全ブレーキを解放し、前キ
ヤスタ操作ハンドル３７，３７にて適宜進方方向
を調節しながら台車１を横移動点まで移動させ、
前キヤスタ２ａ，２ａを横方向のみ移動可能に設
定し、所定取付位置まで横移動させる。この際、
パネルＰ或は受け金具８，８が路面に接触し移動
に支障が生ずれば、チエンブロツク７ａを操作し
て前記受け金具の接触がない程度まで受枠４を上
動した状態で移動させる。而して、取付位置まで
台車１を移動させた後、全キヤスタ２…のブレー
キを再びかけ、チエンブロツク７ａ，７ｂを操作
して傾斜した状態の受枠４を前倒し、パネルＰを
垂直に立てるとともに、前記受枠４の上・下動に
より高さの調整をも行う。次に、パネルＰを垂直
に立てた状態にて取付位置のクサビの上に静かに
降ろし、台車１を微調整しながら、パネルＰが取
付ケガキ線の位置にきた段階で上部にもクサビを
打ち込みパネルＰを完全に固定し、その後台車を
取り去つて取付作業を終了する。

以上説明した如く、本考案によればパネルやス
ラブ等の重量物をチエンブロツク等の省力機構を
介して垂直に立てる機能を備えたため、従来の如
く作業者が直接人力で立てる必要がなく、また、
受枠上部に装着されたパネル保持金具によりパネ
ル等の前倒れが防止でき安全、且つ確実な作業を
行うことができる。

又、本考案によれば、上記パネルやスラブ等の
重量物を載せても、チエンブロツク等の省力機構
を介して容易に受枠が上・下に移動自在なため、
パネルを取付位置に簡単に合致させることがで
き、他に特別の装置を必要とすることなく、パネ
ル張りやスラブ嵌め込み作業を容易、且つ効率的
に行うことができる。

更に、本考案によれば運搬用台車が構造簡単
で、しかもアングル材などの組合せにより小型、
軽量に製作し得るため、狭い場所での作業が容易
であり、持ち運びにも便利である。

更に又、本考案によれば台車は一方向移動及び
全方向移動の両機能を兼ね備え、この両機能を適
宜選択して所定の位置に容易に移動することがで
きるため、狭い場所での取扱いが一段と向上する
等多大の利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るパネル運搬用台車の斜視
図、第２図は同側面図、第３図は前キヤスタの移
動方向制御機構の説明図、第４図イ，ロは従来の
実施例を示す説明図である。 尚図面中、１はパネル運搬用台車、２…はキヤ
スタ、３は台枠、４はパネル受枠、５は上・下動
アーム、６は傾斜動リンク機構、７ａ，７ｂはチ
エンブロツク、８は受け金具、９は保持金具、１
０はバネ、３１は傾斜支柱、３２は垂直支柱、４
６は傾斜操作用アーム、Ｐはパネルである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 後部に立設された垂直支柱と所定の傾斜角を有
   する傾斜支柱とを備えた台枠と、該台枠の底面四
   隅に装備された首振り自在なキヤスタと、パネル
   保持具を備え前記台枠の傾斜支柱前方に設けられ
   た受枠と、該受枠の後方に突出して該受枠に固設
   された傾斜操作用アームと、前記受枠の側面下部
   と前記台枠の後部側面との間に揺動自在に枢着連
   結された上・下動アームと、前記台枠の上部と前
   記受枠の下部との間を連結する昇降用チエンブロ
   ツクと、前記傾斜操作用アームと前記台枠との間
   に連結される傾斜用チエンブロツクとから構成さ
   れることを特徴とするパネル運搬用台車。