JPS629038Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、産業用ロボツトの手首部の先端など
動作部分が他の固定部などに接触した場合の損傷
を防ぐための安全装置を兼ねた産業用ロボツトの
加工具取付装置に関する。

第１図に示すような産業用ロボツト１に溶接等
の作業を行なわせる場合に、ワーク精度、ワーク
位置め精度あるいはオペーレトミス等により、ロ
ボツトの手首部先端にとりつけた溶接トーチ２等
がワークあるいは治具等と接触を起すことがあ
り、この接触の度合によつては溶接トーチ２に変
形や破損を生じたり、ひどい場合はロボツトの手
首機構にまで損傷を及ぼすことがある。

従来、このような接触事故の場合に、第２図に
表わす接触検知機能を産業用ロボツトの手首部に
与えていた（実開昭57−78412号）。

第２図において、７は支持部側材３の先端に固
着した検知装置の枠体で、外枠８と側板９とから
なつている。１０は溶接トーチ２を取り付けた加
工具側部材４の取付片で前記側板９と対向してい
る。１１は前記側板７に支持された球面軸受、１
２は一端を取付片１０に固着し、他端を球状面に
したスライドシヤフトで、前記球面軸受１１に軸
方向に摺動できるよう支承されている。１３はス
ライドシヤフト１２に嵌挿し、前記スライドシヤ
フト１２の先端部に螺合固着したナツト１４と前
記球面軸受１１との間に介挿した弾性体（図では
皿バネを互いに反対向きに並べている）で、加工
具側部材４の取付片１０を枠体７の側板９に向か
つて押圧させている。１５は前記外枠８内に取り
付けたリミツトスイツチ、１６は外枠８に回動自
在に取り付けられ前記リミツトスイツチ１５を開
閉するドグで、スライドシヤフト１２の球状面端
が接触している。１７ａ，１７ｂ，１７ｃ（１７
ｂの後方に１７ｂと同一形状で設けられ、１７
ａ，１７ｂ，１７ｃのそれぞれの位置は取付片１
０の板上に３角形状の頂点を占める。）は取付片
１０に設け側板９の面に接触するローラー、１８
は側板９に設けた係合片で、ローラー１７ａと接
触する傾斜面をそなえている。

このような構成において、通常は加工具側部材
４が弾性体１３のばねの力で、１７ａ，１７ｂ，
１７ｃが側板９に押しつけられ、ローラー１７ａ
と前記係合片１８との係合によつて定常位置に保
持されているが、たとえば支持側部材３の移動に
より加工具側部材４の溶接トーチ２の先端が外部
の固定部に接触し、加工具側部材４には矢印M₁
方向の外力が加わると、加工具側部材４は下側の
２個のローラー１７ｂ，１７ｃと側板９との接触
部A₁を支点として傾く。このためスライドシヤ
フト１２は球面軸受１１を介して傾斜するととも
に弾性体１３に抗して矢印Ｂ方向に後退し、ドグ
１６が回動してリミツトスイツチ１５を開放（も
しくは閉成）し、ロボツトは直ちに停止し、また
は逆方向にもどつて固定部との接触をなくす。

つぎに加工具側部材４に矢印M₂方向の外力が
加わつた場合は、加工具側部材４が上側のローラ
ー１７ａと枠体７との接触部A₂を支点として傾
き、弾性体１３に抗して矢印Ｂ方向に摺動し、リ
ミツトスイツチ１５を動作させる。

また矢印M₁，M₂に直角な方向の外力に対して
も同様にリミツトスイツチ１５を動作させてい
る。

ところでこのような従来装置では、外部と接触
または衝突したときに、加工具側部材の移動量を
リミツトスイツチで検出し、機構的には弾性体を
加工具側部材の位置保持手段として使用している
ために、検知後のストロークも大きく取れない。
したがつてロボツトの非常停止時の惰走に対し、
トーチやロボツトの手首部の保護として機能的に
十分でなかつた。しかも機構が複雑であり、コス
ト的にも高価であつた。

ここにおいて本考案は、従来装置の難点を克服
するため、手首の加工具側部材に支持側部材との
接合面に永久磁石を設け、支持側部材には永久磁
石の近傍に磁束の変化を検知するリードリレーを
具えかつ接合面には永久磁石により吸引される磁
性体を具備するようにした産業用ロボツトの加工
具取付装置を提供することを、その目的とする。

第３図は本考案の一実施例の側断面図、第４図
はその一部の形状を説明する側面図である。

第３図において、３１は加工具側部材４と一体
構造に形成された永久磁石、３２は永久磁石の近
傍で支持側部材３に設けられ正常時は永久磁石３
１の磁束により接点が閉成されているリードリレ
ー、３３は支持側部材３を加工具側部材４に密着
させるため永久磁石３１と対向して具えられた鉄
などからなる磁性体、３４は支持側部材３の外
被、３５は加工具側部材４のケーシング、３６は
リードリレー３２を磁性体３３の中間部位に固着
させるモールド、３７はリードリレー３２の外部
へ導出された引出線、３８は支持側部材３と加工
具側部材４を接合させる分離面、３９は磁性体３
３を外被３４へ固着させるビス、４０は外被３４
を支持側部材３へ螺合固定させるボルトである。

正常時は、支持側部材３の磁性体３３と加工具
側部材４の永久磁石３１が磁気吸引力で密着し、
手首の運動によつて溶接トーチを駆動して、ロボ
ツトによる溶接作業が行なわれる。

ところで、溶接トーチ２が外部の物体と接触ま
たは衝突をした場合に、永久磁石３１と磁性体３
３は互いに離脱しようとする。

永久磁石３１の磁性体３３への吸引力より外力
の方が大きくなつたときに、永久磁石３１と磁性
体３３の間に空隙が生じる。

一旦、空隙が発生すると永久磁石３１の吸引力
の特性、つまり吸引力は距離の２乗に反比例する
ことにより、永久磁石３１は加工具側部材４と共
にロボツトの手首から離脱してしまう。

このときリードリレー３２には磁束が鎖交しな
くなり、その接点が開放し、手首の運動を直ちに
停止させる。

接触や衝突の障害原因を解決し、再度、手首の
支持側部材３に加工具側部材４を取り付けるとき
は、第４図に示す嵌合部４１を支持側部材３の外
被３４と加工具側部材４のケーシング３５にそれ
ぞれ設けられたインロー形状により、両者の密着
の位置の再現性を確保し、永久磁石１と手首の支
持側部材３（とくに磁性体３３）との相互の吸引
力によりワンタツチで接合操作ができる。

外被３４と加工具側部材４を非磁性体としてい
る理由は、溶接時のスパツタや鉄粉などが付着す
るのを防止するためであり、仮りにそれらが付着
しても容易に取り除くことができるからである。

さらにリードリレー３２はモールド３６に覆わ
れて、外被３４に固着されており、手首の支持側
部材３と加工具側部材４の着脱時においても、そ
の接点の閉成・開放のほかは影響するところがな
い。

しかして溶接作業の場合に、トーチ２そのもの
をワークにあわせて取り換えたり、あるいはガス
カツト用のノズルを把持させたりする場合があ
る。このようなときに、従来は捻子などを具備し
ているため人為的に交換されていたが、本考案の
手段を適用することで全自動におけるツールの交
換も可能となり、応用範囲は広い。

かくして本考案によれば、次のような効果が挙
げられる。

○イ 構造が簡単であり、従来品より安価である。

○ロ ワンタツチで取付けができる。

○ハ 消耗品が不要である。

○イ 接触、衝突の異常時でロボツトに惰走があつ
ても、加工具側部材（トーチ）が手首部より完
全に離れる機構であるため、安全である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の安全装置を装着した溶接ロボツ
トの側面図、第２図は従来の安全装置を取り付け
た加工具取付装置を示す側断面図、第３図は本考
案の一実施例の側断面図、第４図はその着脱部に
おけるインロー形状を示す側面図である。 １…産業用ロボツト、２…溶接トーチ、３…手
首の支持側部材、４…加工具側部材、７…検知装
置の枠体、８…外枠、９…側板、１０…取付片、
１１…球面軸受、１２…スライドシヤフト、１３
…弾性体、１４…ナツト、１５…リミツトスイツ
チ、１６…ドグ、１７ａ，１７ｂ，１７ｃ…ロー
ラー、１８…係合片、３１…永久磁石、３２…リ
ードリレー、３３…磁性体、３４…外被、３５…
ケーシング、３６…モールド、３７…引出線、３
８…分離面、３９…ビス、４０…ボルト、４１…
嵌合部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 産業用ロボツトの手首部先端の支持側部材に、
   外部にリード線を導出した外部接触検知用リード
   リレーをはさんで磁性体を設けるとともに、前記
   手首部先端の加工具側部材に、それぞれの磁性体
   に異磁極が対向しかつ発生する磁束で前記リード
   リレーの接点を閉成する永久磁石を設け、前記支
   持側部材に前記加工具側部材を磁気吸引力を用い
   て連結するようにしたことを特徴とする産業用ロ
   ボツトの加工具取付装置。