JPS62864B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はグラウト工事用柔練セメントモルタル
に関する。 岩盤や地盤などを強化したり、漏水個所に注入
して水を遮断する目的でおこなわれるグラウト工
事では、セメントと細粒骨材を水で比較的薄く練
り、いわゆる柔練セメントモルタルにして細部に
までゆきわたるようにしている。 このような柔練セメントモルタル中に含まれる
細粒骨材は一般にセメントモルタルの液相よりも
比重が大きいのでセメント自身の粘性だけでは不
十分で、沈降しやすい。また、この柔練セメント
モルタルを岩盤などに注入する際、細粒骨材とセ
メントとの分離がおきることがある。 細粒骨材の沈降や分離を防ぐために、柔練セメ
ントモルタルにカルボキシメチルセルロース
（CMC）やベントナイトなどを添加することがお
こなわれているが、このようなものでは細粒骨材
の沈降や分離を完全に防止することはできないこ
とがわかつた。 本発明者らは山皮について長年研究をしている
が、山皮を柔練セメントモルタルに含有させると
細粒骨材として一般的な砂はもちろんのこと、比
較的比重の大きなジルコンサンドや硫酸バンドで
も何等沈降することがなく、しかも山皮がセメン
トの硬化に影響を与えないことを知見し、これら
の知見にもとづいて本発明を完成するに至つた。 セメント、水、セメントの水分散液の液相より
も比重の大きな細粒骨材ならびに山皮からなり、
水セメント重量比が１：１〜10：１、細粒骨材が
セメントに対して重量比で0.2〜10倍、山皮がセ
メントと細粒骨材の和の100重量部に対して0.5〜
30重量部であるグラウト工事用柔練セメントモル
タル。 本発明に用いられるセメントの水分散液とは、
セメントを水で練つたもので、水セメント重量比
が約１：１〜10：１のものをいう。 セメントとしては、一般にセメントとして市販
されているものあるいはこれに類似せるものであ
れば如何なるものも使用できるが、たとえばボル
トランドセメント、アルミナセメント、ポゾラン
セメント、マグネシアセメントなどがあげられ
る。 上記セメントの水分散液の液相よりも比重の大
きな細粒骨材としては、たとえば重晶石、磁鉄
鉱、カツ鉄鉱、赤鉄鉱などの砕石、鉄片などの比
重が約1.5〜4.8の重量骨材、たとえば川砂、川砂
利、海砂、海砂利、山砂、山砂利、砕石（各種岩
石）、スラグなどの比重が約1.2〜3.4の普通骨材
などがあげられる。骨材の粒径は約100メツシユ
〜５メツシユ程度のものが好ましい。細粒骨材の
量はセメントに対して重量比で約0.2〜10倍程度
である。 本発明に用いられる山皮とは、表面に水酸基を
有する粘土性鉱物であり、含水マグネシウムシリ
ケート（hydrous magnesium silicate）のセピ
オライト（Sepiolite）、含水マグネシウムアルミ
ニウムシリケート（hydrous magnesium
aluminum silicate）のアタパルジヤイト
（Attapulgite）（もしくはパリゴルスカイト：
palygorskite）をいう。通称マウンテンコルク
（mountain cork）、マウンテンレザー（mountain
leather）、マウンテンウツド（mountain wood）
と呼ばれている鉱物の総称である。 山皮は、通常粉末、ペースト状または水分散液
のいずれかの形状で用いられるが、山皮の形状に
よつて柔練セメントモルタルを製造する操作は幾
分変化がある。粉末やペースト状の場合は、通常
のセメントモルタルを製造する場合のように、水
にセメント、細粒骨材および山皮を順次入れて公
知の撹拌装置などで撹拌する手段、、セメント、
細粒骨材および山皮の混合物に水を加えて、よく
撹拌する手段などによつておこなわれる。山皮の
濃度が約１〜５重量％程度の山皮水分散液の場合
は、セメントおよび細粒骨材を山皮の水分散液に
入れるかまたは、山皮の水分散液にセメントおよ
び細粒骨材を順次入れてよく混練する手段などに
よつておこなわれる。 山皮の割合は、柔練セメントモルタル中の固形
分すなわちセメントと細粒骨材の和の100重量部
に対して0.5〜30重量部、特に２〜15重量部程度
である。 本発明のグラウト工事用柔練セメントモルタル
は、セメント、水、細粒骨材および山皮のほか
に、必要に応じてたとえばロジン酸塩、アルキル
スルフオン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルなどのAE剤（Air entraining agent）、リ
グニンスルフオン酸塩などの減水剤、アルミニウ
ム粉末、過酸化物などの起泡剤、塩化ビニル―酢
酸ビニル―アクリルエマルジヨン、シリコン樹脂
などの防水剤、撥水剤、SnCl₂・2H₂Oのような防
食剤などの通常の柔練セメントモルタルに用いら
れる添加剤を加えても何らさしつかえない。これ
ら添加剤の量は、添加剤の種類に応じて様々であ
るが通常の柔練セメントモルタルと同様、約0.01
〜20重量％程度含有していてもよい。 本発明の柔練セメントモルタルは、セメントの
水分散液の液相よりも比重の大きな細粒骨材でも
何等、沈降することがなく、しかも山皮によつて
セメントの硬化は何等、影響を受けることがない
ので、たとえば岩盤や地盤などの強化や漏水個所
に注入して水を遮断する目的でおこなわれるグラ
ウト工事に用にられる。本発明の組成物のうち、
山皮含量が大きいものは垂直な面などに厚塗りす
ることもできる。また、柔練セメントモルタル中
のセメント含量が多い場合でも細粒骨材は何等沈
降することがない。 次に実施例をあげて本発明を具体的に説明す
る。 実施例 １ 水600mlにセメント265ｇ、15メツシユ〜30メツ
シユの川砂1.8Kg、セピオライト粉末30ｇを入れ
均一になるまでよく撹拌すると、スラリー状のセ
メントモルタル約１が得られる。直径５cmのビ
ニール製袋の中に、この柔練セメントモルタルを
流し込み、約５時間静止状態でつるし、セメント
モルタルが硬化する直前にこのビニール袋の上の
部分、下の部分、中の部分と三層に切り分けて、
各部分にさらに多量の水を加えて、80メツシユの
金網で別して砂利を分けた後、遠心分離して、
微粉末部分を分けてその各々の比をとつたとこ
ろ、上部、中部、下部での80メツシユ別砂利／
遠心分離した微粉末部分の比はそれぞれ、5.98，
6.01，5.94とほゞ一定のものであることがわかつ
た。 実施例 ２ 400mlの水にセメント350ｇ、ジルコンサンド
1.7Kg、セピオライト40ｇを均一になるまでまぜ
ると見掛上スラリー状になり、固液が分離するこ
とはなかつた。１のプラスチツクのビーカーに
入れ放置して、そのまゝ硬化させる。過剰の水分
がとぶまで約39日間放置して、これを厚さ１cm位
に輪切りにした後、一番上の板と一番下の板とを
４cm×４cmを切り出し、各々の重さを測つた。ジ
ルコンサンドは重いので下方にかたよりがあると
重さに大きな変化があるはずであるが、49.6ｇ、
49.3ｇでほゞ同じ重さを示した。 実施例 ３ 水800mlにセピオライト100ｇと川砂１Kgを入れ
た分散液を用意する。これと同様に水800mlにベ
ントナイト100ｇと川砂１Kg入れたものを比較対
照に用意する。各々の分散液にセメントを50ｇ、
100ｇ、200ｇ、300ｇ入れてよく撹拌し、砂の沈
降の様子をみると下表のような結果を得た。

【表】 する しない
上記の結果から山皮を混入したセメントモルタ
ルではセメントの量比を問わず、懸濁度が変化せ
ず、安定なセメントモルタルが得られることがわ
かつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ セメント、水、セメントの水分散液の液相よ
   りも比重の大きな細粒骨材ならびに山皮からな
   り、水セメント重量比が１：１〜10：１、細粒骨
   材がセメントに対して重量比で0.2〜10倍、山皮
   がセメントと細粒骨材の和の100重量部に対して
   0.5〜30重量部であるグラウト工事用柔練セメン
   トモルタル。