JPS628321Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関の動弁系に組み込まれるタペ
ツト装置に関する。

従来の内燃機関では、例えば第１図に示したよ
うなバケツト型のタペツトＡ又は第２図に示すよ
うなキノコ型のタペツトＢを夫々シリンダブロツ
クに形成されたタペツトガイド孔Ｃに軸方向摺動
自由並びに軸回り回転自由に挿着し、これらのタ
ペツトＡ，Ｂを介してプツシユロツドＤをカムＥ
に当接させていた。

又、タペツトを装着するに際しては、タペツト
の中心をカムＥの中心に対してオフセツトさせる
ことにより、カムＥの回転に追従させてタペツト
を軸回りに回転させてカム及びタペツトの摺接面
における摩耗抑制及びスカツフイング，ピツチン
グの発生防止を図つていた。

しかし、前記バケツト型タペツトＡと、キノコ
型のタペツトＢとを比較した場合、前者は外径が
軸方向全長に亘つて同一であるためカム軸を取り
外すことなくタペツトガイド孔Ｃからカムと反対
側に抜き取ることができ点検整備性に優れる利点
を有しているが、一方、後者に比較してタペツト
ガイド孔との摺接面積が大きくなるため軸回り回
転抵抗及び軸方向摺動抵抗が増大してカムとの摺
接面における摩耗が促進される欠点があり両者と
も一長一短を有していた。

本考案は、かかる従来の実情に鑑み為されたも
ので、タペツトガイド孔に摺動自由に嵌挿された
タペツトの外周壁にタペツトの軸方向全長に亘つ
て該軸方向と平行な上下端開放の縦溝を周方向略
等間隔に複数本形成して、タペツトとタペツトガ
イド孔との摺接面積を減少させ、もつてタペツト
とカムとの摺接摩耗を抑制できるようにし、更
に、タペツトガイド孔の接線方向に接続してオイ
ル通路を設けた構成により、タペツトに回転力が
加えられるようにし、もつて、タペツトとカムと
の摺接摩耗をより効果的に抑制しかつ潤滑性の向
上を図つた内燃機関動弁系のタペツト装置を提供
するものである。

以上に本考案を図示した実施例に基づいて説明
する。

第３図Ａ，Ｂにおいて、カム１とプツシユロツ
ド２との間にはシリンダブロツクに開口されたタ
ペツトガイド孔３に摺動自由に嵌挿させたバケツ
ト型のタペツト４を介在させる。該タペツト４の
外周壁にはタペツトの軸方向全長に亘つて該軸方
向と平行な上下端開放の縦溝４ａが周方向略等間
隔に複数本形成されている。また前記タペツトガ
イド孔３にオイルを供給するオイル通路５をタペ
ツトガイド孔３内周壁の接線方向に接続して設け
る。

かかる構成とすればタペツト４外周面とタペツ
トガイド孔３との摺接面積は縦溝４ａ形成部分が
除かれるため、従来のキノコ型タペツトの場合と
同等にまで減少できる。

このため、タペツト４とタペツトガイド孔３と
の軸回り回転抵抗及び軸方向の摺動抵抗が大幅に
減じられ、これに伴なつてカム１とタペツト４と
の摺接面の摩耗を効果的に抑制でき、かつ、スカ
ツフイング、ピツチングの発生を防止できる。
又、カム軸を外すことなくタペツトを外せる利点
は従来のバケツト型のタペツトと同様に備える。

また、タペツト４外周面とタペツトガイド孔３
の摺接面積が減少されることに加え、オイル通路
５から供給されるオイルの運動量を縦溝４ａ側壁
で受けてタペツト４に回動力が加えられるためタ
ペツト４はより円滑に回転し、カム１とタペツト
４との摺動摩耗等をより効果的に抑制できるので
ある。又、オイルが積極的にガイド孔内周面及び
カム１とタペツト４との摺接面に供給されるので
潤滑性も高められる。

以上の説明から明らかなように、上記構成によ
れば、タペツト４とタペツトガイド孔３との軸回
り回転抵抗及び軸方向の摺動抵抗を軽減し得る効
果のある縦溝４ａを利用して、オイル通路５から
のオイルの運動量が受けられるようにしかつ潤滑
性を向上した点に大きな特徴があるわけである。

以上の実施例はバケツト型タペツトへの適用例
を示し、この場合はタペツトガイド孔との摺接面
積をキノコ型タペツトと同等以上に減少できるこ
とによつてカムとの摩耗抑制効果が改善される一
方、バケツト型タペツト本来の点検整備性の有利
さをも確保できる。

又、かかる構成によれば、縦溝４ａを両端が開
放された直線状のものとしたから、加工を容易に
行え、製造コストを安価に抑えることができると
いう利点もある。

但し、本考案はキノコ型タペツトに適用するこ
とも自由であり、この場合でも、タペツトガイド
孔と摺接するタペツト外周壁に縦溝を設けること
により、該摺接面積を更に減少できる結果、タペ
ツトの軸回り回転抵抗，軸方向摺動抵抗がより減
じられてカムとの摩耗抑制効果を一層高めること
ができる。

以上説明したように、本考案によれば、内燃機
関動弁系におけるタペツトガイド孔に摺動自由に
嵌挿されたタペツトの外周壁にタペツトの軸方向
全長に亘つて該軸方向と平行な上下端開放の縦溝
を周方向略等間隔に複数本形成して、該タペツト
とタペツトガイド孔との摺接面積を減少させる構
成としたため、タペツトの軸回り回転抵抗が減じ
られてタペツトとカムとの摺接面における相対滑
り速度が減少すると共に、タペツトの軸方向摺動
抵抗も減じられタペツトとカムとの接触面圧が減
少する。また、タペツトガイド孔の接線方向に接
続してオイル通路を設けた構成としたため、タペ
ツトに回動力が加えられてタペツトがより円滑に
回転し、前記接触面圧の減少効果と相俟つてカム
とタペツトとの摺接摩耗をより効果的に抑制で
き、かつタペツトガイド孔内周面及びカムとタペ
ツトとの摺接面に積極的にオイルが供給されるの
で潤滑性も高められる。この結果前記各部の摺接
摩耗を抑制する効果はさらに一層高められ、スカ
ツフイング、ピツチングの発生も防止されてこれ
ら部材の耐久寿命を増長できる一方、機関吸・排
気特性を長期的に安定できるものである。特に、
本考案における前記縦溝は、両端が開放された直
線状のものであるから、加工を容易に行え、製造
コストを安価に抑えることができるという利点も
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は従来の内燃機関動弁系のタ
ペツト取付部周辺を示す縦断面図、第３図Ａ，Ｂ
は本考案の一実施例を示す平面図及び縦断面図で
ある。 １……カム、２……プツシユロツド、３……タ
ペツトガイド孔、４……タペツト、４ａ……縦
溝、５……オイル通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カムとプツシユロツドとの間に介装され機関本
   体に開口したタペツトガイド孔に摺動自由に嵌挿
   されたタペツトの外周壁にタペツトの軸方向全長
   に亘つて該軸方向と平行な上下端開放の縦溝を周
   方向略等間隔に複数本形成すると共に、前記タペ
   ツトガイド孔にオイルを供給するオイル通路をタ
   ペツトガイド孔の接線方向に接続して設けたこと
   を特徴とする内燃機関動弁系のタペツト装置。