JPS627868Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エアデイスクブレーキにおいて、ピ
ストンの回り止めを有効に行ない更にインナーパ
ツド用補強板を廃止することができるようにした
エアデイスクブレーキの改良に関するものであ
る。

一般的なエアデイスクブレーキ構造は、例えば
エアチヤンバに供給されたエアによりアームを押
上げ、このアームの回動力でパワースクリユーを
回転させ、更にこのパワースクリユーの回転力に
よりこれに噛合するパワーピストンを軸方向に移
動させて、このパワーピストンの移動力で摩擦パ
ツドをロータに圧接せしめて、該ロータの回転力
を制動させる構造となつている。

ところが、このようなエアデイスクブレーキに
おいては、そのパワーピストンとパワースクリユ
ーとが同軸的に噛合されているものであるため
に、パワースクリユーの回転力でパワーピストン
が回動されないようにする必要がある。即ちパワ
ースクリユーの回転力をパワーピストンに効果的
に伝えてこれを軸方向のみに移動させるには、そ
のパワーピストンの自由な回転を阻止する構造が
必要であるということである。そこで従来構造の
エアデイスクブレーキにおいては、パワーピスト
ンの回動を阻止するための機構が必要となり、こ
のためのパワーピストンのガイド機構が複雑とな
る問題点があつた。また従来のエアデイスクブレ
ーキにおいては、摩擦パツドを押動せしめるため
のパワーピストンは、その摩擦パツド側面略中央
部にのみ位置される１個のピストンであるため
に、この１個のピストン動作で摩擦パツドをロー
タに圧接させ、このロータに制動をかけようとす
ると、該摩擦パツドの長手方向、即ちロータの回
転方向に変形を起すことから、この保擦パツドの
変形を防止するために複数枚の補強板を摩擦パツ
ドとピストンとの間に介在せしめる必要があり、
これによつて部品点数及び重量が増大されること
は勿論のことコスト的にも問題があつた。

本考案はかかる問題点を解消するためになされ
たもので、パワーピストンの回動と、摩擦パツド
の変形を有効に阻止することができるエアデイス
クブレーキを提供することを目的とするものであ
る。更に本考案を具体的に述べると、パワースク
リユーと偏心する位置に、そのパワースクリユー
の中心軸を挟んで対設される２個一体のパワーピ
ストンを位置せしめ、そのパワースクリユーの動
作により２個のパワーピストンを同時に移動させ
て、ロータの回転を制動させるようにしたエアデ
イスクブレーキである。従つてこのエアデイスク
ブレーキによれば、パワーピストンがパワースク
リユーの偏心位置に２個一体に構成されているこ
とから、これらのピストンは、パワースクリユー
の回転力に追従して回動されることなく、従つて
パワーピストンには特別な回転防止機構を設けな
くても、パワースクリユーの回転時における軸方
向の動作をパワーピストンに有効に伝達させるこ
とができる。また本考案においては、２個のパワ
ーピストンを具備せしめることから摩擦パツドの
押圧力作用点は２個所となり、従つて制動時にお
いて摩擦パツドが変形されることもなくなる効果
がある。

以下に本考案を図面に示す実施例に基いて詳細
に説明する。

１はロータ、２は該ロータの縁部一部を跨ぐよ
うにして固設された固定支持体（以下これをサポ
ートと称す）であり、更にこのサポート２にはロ
ータ１の周方向に離隔する位置で、サポート腕部
３，３が形成されている。４はロータ１の縁部
を、双方のサポート腕部３，３間で跨ぐように配
設されたキヤリパであり、このキヤリパ４のロー
タ１片側方向にはシリンダー部５を形成し、その
ロータ１他側方向には脚部６が形成されている。
そして上記のシリンダー部５には後述するパツド
押圧機構を内蔵し、また他方の脚部６には、反作
用爪部が形成されている。また前記のキヤリパ４
は、サポート２におけるロータ１の周方向両側に
取着されたスライドピン７を介してロータ１の軸
方向に移動可能に支持されている。８及び９は、
ロータ１を挟んで対向するように配設され、かつ
サポート２の両側腕部３，３により、ブレーキ時
のトルクが直接受圧されるように設けられている
一対の摩擦パツドであり、その一方のインナー側
摩擦パツド８はサポート２によりロータ軸方向に
摺動可能に支持されており、また他方のアウター
側摩擦パツド９は、スライドピン７によつてロー
タ軸方向に摺動可能に支持されているものであ
る。１０_１，１０_２は、前記のシリンダー部５内
において、ロータ軸方向のみに摺動可能に保持さ
れている２個のパワーピストンであつて、この双
方のパワーピストン１０_１及び１０_２は、取付部
材１１によつて一体的に結合されている。１２は
取付部材１１の中央部に形成された螺子穴１１′
と噛合されているパワースクリユーであり、この
パワースクリユー１２はシリンダー部５に取着け
られている軸受け１３によつて回転自在に保持さ
れている。またパワースクリユー１２の外側端部
１４には、エアーチヤンバからのプツシユロツド
（図示せず）に連結されたアーム１５が取着けら
れている。尚上記の説明において、２個のパワー
ピストン１０_１及び１０_２は、取付部材１１によ
つて一体的に結合されていることを述べたが、こ
れに限るものではなく、例えば第３図に示す如く
パワーピストン１０_１と１０_２とを予め一体的に
形成し、この双方のパワーピストン相互間に螺子
穴１１′を形成したものであつてもよい。

以上が本実施例の構成であるが、次にこの作用
について述べると、先ずアーム１５の動作により
パワースクリユー１２が回動されると、このパワ
ースクリユー１２と螺合されている取付部材１１
を介して双方のパワーピストン１０_１及び１０_２
はその軸方向のみ、即ち摩擦パツド８方向へ移動
し、このパワーピストン１０_１及び１０_２の移動
力で摩擦パツド８をロータ１の側面に押圧せしめ
更に、この摩擦パツド８がロー１に押圧するとき
に生じる反力によつて、スライドピン７によつて
支持されているアウター側の摩擦パツド９をロー
タ１に押付け、これら双方の摩擦パツド８，９の
動作によりロータ１の回転に対して制動をかける
ものである。

ところが本実施例におけるエアデイスクブレー
キは、パワースクリユー１２の中心軸と偏心する
位置に、２個のパワーピストン１０_１，１０_２を
そのパワーピストンの軸方向のみに摺動可能に設
けたものであるから、そのパワースクリユー１２
が回転されても、このパワースクリユー１２と噛
合されるパワーピストン１０_１，１０_２は、回動
されることなくパワースクリユー１２の軸方向動
作成分だけが双方のパワーピストン１０_１，１０
_２に作用されて、該パワーピストン１０_１，１０
_２は摩擦パツド８方向のみに摺動し、ロータ１へ
の制動がかけられるものである。即ち本考案によ
れば、パワースクリユー１２の中心と偏心する位
置に、その軸方向のみに摺動可能なパワーピスト
ンを具備せしめたものであるから、そのパワース
クリユー１２の回転時においてパワーピストンが
回動されることがなく従つてパワーピストンはそ
の軸方向のみに動作し、有効な制動となる効果が
ある。

更に本実施例においては、摩擦パツドをロータ
に押圧せしめるためのパワーピストンを、インナ
ーパツドの長手方向２個所で押圧することができ
るように配置したものであるから、そのインナー
パツドのロータへの押圧力が平均的に作用し、従
つて制動時において、該インナーパツドが変形さ
れることもないので、インナーパツドの変形を防
ぐための補強板が不要となり、部品点数の削減が
計られる効果もある。

【図面の簡単な説明】

図面はいずれも本考案によりなるエアデイスク
ブレーキの実施例を示し、第１図はその一部切截
平面図、第２図はパワーピストンの構造を示した
拡大断面図、第３図はパワーピストンの他の実施
例を示した断面図である。 １……ロータ、２……サポート、３……サポー
ト腕部、４……キヤリパ、５……シリンダー部、
６……脚部、７……スライドピン、８……インナ
ー側摩擦パツド、９……アウター側摩擦パツド、
１０_１，１０_２……パワーピストン、１１……取
付部材、１１′……螺子穴、１２……パワースク
リユー、１３……軸受け、１４……外側端部、１
５……アーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. パワースクリユ及びこのパワースクリユーと噛
   合されてパワースクリユーの回転力で摩擦パツド
   をロータへ押圧せしめるパワーピストンを具備せ
   しめたエアデイスクブレーキーにおいて、前記パ
   ワースクリユーの中心軸と偏心する２個所に、そ
   の中心軸と平行する軸方向のみに摺動可能なパワ
   ーピストンを具備せしめたことを特徴とするエア
   デイスクブレーキ。