JPS6015952Y2 - 車輌用多板デイスクブレ−キ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車軸用、特に農耕用トラクタ等に用いる多板デ
ィスクブレーキに関するものである。

この種の多板ディスクブレーキとして、函体と、この函
体に固定された蓋体間に複数のブレーキプレートを、函
体から突出するブレーキ軸に軸方向に移動可能でかつ一
体回転可能にスプライン係合して配置し、一方このブレ
ーキプレート間に介在されたディスクプレートを、函体
と蓋体間に架設された支持ピンに吊持し、ディスクプレ
ートとブレーキプレートとを両側から押圧しその摩擦力
によって制動するものが知られている。

本考案の目的は、このような多板ディスクブレーキにお
いて、ディスクプレートとブレーキプレートとの押圧手
段を圧力板の点押圧によるスポット型とし、函体等の構
造及び加工が簡単で、かつ所定の押圧点以外は冷却され
る構造とし制動熱によるブレーキ部品への影響をなくし
、しかも蓋体を肉薄とすることが可能で制動熱の放出効
率を良好とした車輌用多板ディスクプレートを提供する
ことを目的としている。

前記目的にしたがい本考案は、前記多板ディスクブレー
キにおいて、圧力板を函体と蓋体との間にブレーキ軸に
対して対称位置に架設された一対の支持ピンに遊挿し、
この圧力板の一方の支持ピンの半径方向内方近傍に蓋体
の内面に当接する当接部を、他方の支持ピンの半径方向
内力近傍に押圧部をそれぞれ設け、かつ押圧部側の支持
ビン近傍の蓋体に圧力板押動部材を螺合貫通せしめ、こ
の圧力板押動部材の回動前進により前記圧力板の当接部
を支点として抑圧部を函体方向へ移動させて制動するよ
うになしたことを特徴としている。

以下図示の一実施例について説明する。

１は車体に固定されている函体、２は函体１に固着され
る蓋体、３は車輪と共に回転するブレーキ軸で、函体１
内に突出している先端にはスプライン４を形成する。

５は適宜数のブレーキプレートで、ブレーキ軸３のスプ
ライン４に係合され、ブレーキ軸３の軸方向に可動に該
軸３と共に回転可能に設けられる。

６はブレーキプレート５の外縁部両面に設けられたライ
ニング、７はブレーキプレート５の間に設けられたディ
スクプレート、８．８′は函体１と蓋体２とを一体にす
る手段の近傍位置の函体１と蓋体２に夫々の端部が保持
される支持ピンで、ブレーキ軸３に対して対称位置に架
設され、ディスクプレート７のビン孔７ａが挿通され、
ディスクプレート７は支持ピン８゜８′に吊持される。

９は圧力板で、該圧力板９に形成したビン孔９ｂを支持
ピン８，８′に挿通して圧力板９を支持ピン８，８′に
て径方向に渡って吊持してブレーキ軸３の軸方向に移動
可能に案内し、ブレーキプレート５を函体１の半径方向
表面との間に挟持する。

尚図示の実施例ではピン孔７ａ、９ｂは支持ピン８，８
′が挿通されるようにディスクプレート７及び圧力板９
に夫々２個形成したが、ディスクプレート７又は圧力板
９を吊持する少なくとも一つのビン孔を形成腰仙のビン
孔は溝状に形成してもよい。

又支持ピンは少なくとも２本設け、ディスクプレート７
及び圧力板９の回り止めをもなしている。

１０はリードの比較的大きい雄ねじ（例えば５乃至６条
の多条ねじ）１０ａを形成した圧力板押動部材で、蓋体
２のブレーキ軸３の延長線上から偏心した位置に螺合貫
通せしめる。

１１は調整ねじて、圧力板押動部材１０の軸内を螺合貫
通腰その先端を圧力板９に当接せしめ、圧力板９とブレ
ーキプレート５の間隙を一定に保つことができる。

１２はブレーキ作動レバーで、その一端は圧力板押動部
材１０に調整ねじ回り止め用ナツト１３により取付は固
定され、他端は操作杆と連動するリンク１４に回動可能
に設けられ、操作杆を作動するとリンク１４、ブレーキ
作動レバー１２を介して圧力板押動部材１０を回転させ
ることにより、圧力板９は調整ねじ、１１の先端で圧力
板９を押動し、ブレーキ軸３を挾んで圧力板９の押圧部
９ａと略対象位置の圧力板９の蓋体２の内面当接部９ｃ
（圧力板９の支持ピン８のピン孔９ｂ周囲）を支点とし
て圧力板９は移動して、圧力板９の押圧部９ａをブレー
キプレート５に押圧させ制動を行なう。

１５は函体１に形成したボルト孔で、蓋体２を函体１に
固着するために用いられる。

次に上記実施例の作動について説明すると、操作杆を作
動することにより、リンク１４、ブレーキ作動レバー１
２を介して圧力板押動部材１０を回転せしめ、該部材１
０はリードの比較的大きい雄ねじ１０ａによって函体１
内に前進し、調整ねじ１１の先端が圧力板９を押動し、
圧力板９の当接部９ｃを支点として圧力板９の押圧部９
ａが前進し、押圧部９ａはブレーキプレート５及びディ
スクプレート７を函体１の半径方向表面に押圧してブレ
ーキプレート５の回転を止めブレーキ軸３の回転が止ま
り、制動作用が行なわれる。

又、操作杆を元に戻すとブレーキ作動レバー１２が前記
と反対方向に回動し、圧力板押動部材１０は後退して圧
力板９はブレーキプレート５の挟圧作用を止め、制動作
用は解除される。

前記のように本考案によれば、ブレーキ軸にスプライン
結合されたブレーキプレートと支持ピンに吊持されたデ
ィスクプレートを圧力板の点押圧によるスポット型の機
械的押圧手段により押圧するようになしたから、函体、
蓋体等の構造及び加工が簡単となり、しかも函体と蓋体
を一体にする手段の近傍でブレーキプレートの押圧機構
が作動し、かつ圧力板の支点となり、圧力板の所定の位
置（圧力板の押圧部）のみに挟圧作用を発生させて制動
を行うから、押圧点以外は冷却され制動終によるブレー
キ部品の変形を押えることができ制動が安定する。

またこれにより蓋体を肉薄とすることができ、蓋体と函
体とに画成された室内の放熱性をよくすることができ、
密封型ではあるが熱によるライニングの低下を抑制でき
る。

さらに支持ピンの半径方向内方近傍で当接部及び押圧部
は作動するから、装置が小形化し、ブレーキ軸に対して
対称位置に架設した支持ピンにて圧力板を支持したから
、圧力板を直径方向に亘って支持できて圧力板が傾動せ
ずに作動する等実用上極めて優秀な考案である。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を示すもので、第１図は蓋体を切
欠いた正面図、第２図は断面側面図である。 １は函体、２は蓋体、３はブレーキ軸、４はスプライン
、５はブレーキプレート、８，８′は支持ピン、９は圧
力板、９ａは押圧部、９ｃは当接部、１０は圧力板押動
部材 １０ａは雄ねじである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 函体１と、この函体１に固定された蓋体２間に複数のブ
   レーキプレート５を、函体１から突出するブレーキ軸３
   に軸方向に移動可能でかつ一体回転可能にスプライン係
   合して配置し、一方このブレーキプレート５間に介在さ
   れたディスクプレート７を、函体１と蓋体２間にブレー
   キ軸３に対して対称位置に架設された一対の支持ピン８
   ，８′に吊持し、押圧手段によりこのディスクプレート
   ７とブレーキプレート５とを挟圧してその摩擦力により
   制動するようになした多板ディスクブレーキにおいて、
   圧力板９を前記一対の支持ピンに遊挿し、この圧力板９
   の一方の支持ピン８の半径方向内方近傍に蓋体２の内面
   に当接する当接部９Ｃを、他方の支持ピン８′の半径方
   向内方近傍に押圧部９ａをそれぞれ設け、かつ支持ピン
   ８′近傍の蓋体２に圧力板押動部材１０を螺合貫通せし
   め、この圧力板押動部材１０の回動前進により前記圧力
   板９の当接部を支点として押圧部９ａを函体１方向へ移
   動させて制動するようになしたことを特徴とする車輌用
   多板ディスクブレーキ。