JPS627491B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、往復動摩擦試験機に関するものであ
る。

従来、一般に用いられている摩擦試験機は、試
験片の駆動系及び測定系の慣性質量、剛性、固有
振動数等が一定で、それらを変えることについて
考慮していない。従つて、このような摩擦試験機
によつて行われる摩擦試験は、一般に試験片材料
が実際の機械等において使用される状態と同等の
条件で試験されていないことになる。而して、同
一の材料について上記慣性質量及び剛性等が異な
る複数の試験機を用いて摩擦試験を行つた場合、
その材料の摩擦性能について各試験機で同等の評
価が得られるとは限らず、その評価が著しく相違
する場合もあり、従つて上記従来の摩擦試験機で
材料の摩擦性能の評価を行つても、それを摩擦条
件が異なる状態で使用する場合の参考にすること
はできない。例えば、往復動エンジンにおけるピ
ストンを軽量化して慣性質量を低下させると共に
コネクテイングロツドの剛性を低下させれば、ピ
ストンリングとシリンダ内面との間の摩擦面にお
けるかじりは少なくなるといわれるが、これは材
料の摩擦条件の差異に基づくものであり、従来の
摩擦試験機ではこのような摩擦条件の差異を考慮
していないため、上記摩擦面における摩擦性能等
についての参考になるデータを得ることはできな
い。

従つて、実際の摩擦性能を評価するためには、
試験材料が機械等に取付けられて使用される状態
を考慮し、その機械等における慣性質量や剛性と
同等のものを試験片の駆動系及び測定系に与える
等、その使用状態にできるだけ近い状態において
試験を行う必要がある。

叙上に鑑み、本発明の往復動摩擦試験機は、可
変速モータで駆動される駆動軸の回転を往復動に
変換して試験機本体のベツド上を摺動可能な試験
片ホルダーに伝える駆動系を備え、試験機本体の
機枠にジンバル機構を介して測定ビームを支持さ
せて、その測定ビームに、上記試験片ホルダーに
保持された試験片に対向するピンを装着するため
のホルダーを設け、上記機枠に取付けたロードセ
ルを交換可能な剛性調節用ばねを介して測定ビー
ムに当接させると共に、測定ビームに慣性質量調
節用の重錘を重量調節可能に取付け、而して試験
材料が実際に使用される場合と同等の摩擦条件に
近い摩擦試験を可能ならしめたことを特徴とする
ものである。

以下、図面を参照して本発明の実施例について
詳述する。

第１図ないし第３図において、基台１の下方に
設置したモータ２は、試験機本体３上の摩擦試験
片Ｔを任意速度で往復駆動するための可変速モー
タで、このモータ２から基台１上に支承された駆
動軸４に回転を伝達するように伸びの少ない高張
力のベルト５を巻掛けている。上記駆動軸４は、
それに固定した円板６上の偏心ピン７に連接棒８
を連結することにより、回転運動を往復動に変換
して試験機本体３に伝えるもので、その駆動軸４
上には駆動系の慣性能率を高めるためのフライホ
イール９を固定している。

上記連接棒８の先端に回転可能に連結した連杆
１０は、基台１上の軸受１１によつてその軸線方
向に摺動自在に支持されており、その連杆１０の
先端に、試験機本体３におけるベツド１２上に摺
動自在に配設した試験片ホルダー１３を連結して
いる。この試験片ホルダー１３は、ベツド１２上
の溝１４により案内されて往復動するもので、上
面に試験片Ｔを固定するための適宜の固定具１５
が設けられている。

一方、基台１上に固定された試験機本体３の機
枠１６には、ジンバル機構１７によつて測定ビー
ム１８を支持させている。このジンバル機構１７
は、第４図に詳細に示すように、機枠１６上嵌装
した外枠１９を、その上端に突設した調整ねじ２
０により機枠１６に対して上下調整可能に取付
け、この外枠１９内に内枠Ｎ２１をその上下のピ
ン２２，２２により鉛直軸のまわりに回転自在に
取付け、さらにその内枠２１を貫通する前記測定
ビーム１８を水平軸２３により内枠２１内に回転
自在に支承させたものである。

而して、上記ピン２２，２２を外枠１９に回転
自在に支承させるベアリング２４，２４、及び水
平軸２３に測定ビーム１８を回転自在に支承させ
るベアリング２５，２５は、一対のテーパローラ
ベアリング間に予圧を与えたもので、これによつ
て両者間のがたつきを抑止している。

上記測定ビーム１８は、その一端が試験片ホル
ダー１３上まで延出し、試験片ホルダー１３に保
持させた試験片Ｔに対向する位置に、その試験片
Ｔに対して摩擦する他方の試験片としてのピンＰ
を装着するためのホルダー２６を設けている。ま
た、上記ピンＰを試験片Ｔに圧接するための荷重
負荷装置２７を機枠１６材に配設し、押圧杆２８
を介して測定ビーム１８の先端に荷重負荷を行う
ように構成している。荷重負荷装置２７として
は、油圧式、重錘式等の任意のものを採用するこ
とができる。

測定ビーム１８に作用する摩擦力を測定するた
めの手段としては、第５図に詳細に示すように、
機枠１６の両側に固定した支持板２９，２９にロ
ードセル３０を取付け、それらの検出端をスペー
サ３１を介して測定ビーム１８の両側に取付けた
剛性調節ばね３２に当接させている。上記剛性調
節ばね３２は、測定ビーム１８に設けた凹窪３３
内においてその内底に接しない状態に保持した板
ばねによつて構成し、ばね押え３４によつて交換
可能に取付けた場合を例示しているが、ロードセ
ル３０を交換可能な剛性調節ばね３２を介して測
定ビーム１８に当接させるような他の任意の構造
を採用することができる。

また、上記測定ビーム１８には、その側面に慣
性質量調節用の重錘３５を立設ボルト３６に対す
るナツト３７の締結により任意に重量調節して固
定できるように構成している。この重錘３５の固
定位置については、測定ビーム上の他の適当な位
置を選定することができる。

而して、上記剛性調節ばね３２の交換及び慣性
質量調節用重錘３５の調節により、測定系の剛性
及び慣性質量を調整することができるため、その
剛性及び慣性質量を試験材料が実際に使用される
機械等における剛性及び慣性質量と同等に調節す
ることにより、実際に試験材料を使用する場合と
同様な摩擦条件で摩擦試験を行うことが可能とな
る。

なお、前記駆動軸４の支持部分や、円板６上の
偏心ピン７と連接棒８との連結部分、及び連接棒
８と連杆１０との連結部分等に用いるベアリング
としても、上述のジンバル機構１７におけるベア
リング２４，２５と同様な予圧を与えた一対のテ
ーパローラベアリングを用い、これによつて駆動
系の剛性を高めている。

また、駆動系のダイナミツクバランスをとるた
め、上記駆動軸４によりベルト３８を介して回転
駆動される回転軸３９に前記円板６と同様の偏心
ピン４１をもつた円板４０を固定し、この偏心ピ
ン４１に連接棒４２を介して軸受４３で摺動自在
に支持された連杆４４を連結し、その連杆４４に
調整可能な重錘４５を取付けている。上記円板６
及び４０はベルト３８により同方向に回転するよ
うに連結したものであり、しかもそれらの円板
６，４０に設けた偏心ピン７，４１には180゜の
位相差をもたせている。

上記構成を有する往復動摩擦試験機は、試験片
ホルダー１３に試験片Ｔを保持させると共に、ホ
ルダー２６にピンＰを保持させ、荷重負荷装置２
７によつて両者間に荷重を負荷して、モータ２を
適宜速度で駆動し、試験片ホルダー１３を往復動
させながら摩擦試験を行い、その際の摩擦力をロ
ードセル３０，３０の出力として検出し、記録ま
たは処理するものである。

而して、本発明の摩擦試験機によれば、ロード
セルを交換可能な剛性調節用ばねを介して測定ビ
ームに当接させると共に、測定ビームに慣性質量
調節用の重錘を重量調節可能に取付けているた
め、それらの調節によつて試験材料を実際の機械
等において使用する場合と同等の摩擦条件で試験
を行うことができ、試験片の摩擦性能について適
切な評価を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る往復動摩擦試験機の実施
例を示す正面図、第２図はその平面図、第３図は
その側面図、第４図はジンバル機構の拡大断面
図、第５図は試験機本体の要部拡大部分断面図で
ある。 Ｔ……試験片、Ｐ……ピン、２……モータ、３
……試験機本体、４……駆動軸、１２……ベツ
ド、１３……試験片ホルダー、１６……機枠、１
７……ジンバル機構、１８……測定ビーム、２６
……ホルダー、３０……ロードセル、３２……剛
性調節ばね、３５……慣性質量調節用重錘。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 可変速モータで駆動される駆動軸の回転を往
   復動に変換して試験機本体のベツド上を摺動可能
   な試験片ホルダーに伝える駆動系を備え、試験機
   本体の機枠にジンバル機構を介して測定ビームを
   支持させて、その測定ビームに、上記試験片ホル
   ダーに保持させた試験片に対向するピンを装着す
   るためにホルダーを設け、上記機枠に取付けたロ
   ードセルを交換可能な剛性調節用ばねを介して測
   定ビームに当接させると共に、測定ビームに慣性
   質量調節用の重錘を重量調節可能に取付けたこと
   を特徴とする往復動摩擦試験機。