JPS626400B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、構造簡易にして特性のバラツキを少
なくし、かつ製造性の向上を計つた圧電形変換器
に関するものである。

受話器或いは送話器などとして用いられる従来
のこの種変換器は、第１図の断面図に示すごとく
構成されていた。同図において、１は導電層を表
面に有する振動基板、２は両面に電極層をもつセ
ラミツク圧電板であり、前記振動基板１に固着さ
れ圧電バイモルフ振動板として動作する。３は保
護板、４はフレーム、５は端子板で、該端子板５
には不織布もしくは絹布などから成る制動材６が
接着剤で貼着されており、さらに端子７，７′が
取付けられている。８，８′はリード線で、前記
振動基板１、セラミツク圧電板２と端子７，７′
との間を電気的に接続している。

前記構成による圧電形変換器の動作を受話器と
しての場合について説明する。まず、音声などの
交流電気信号が端子７，７′に印加されると、リ
ード線８，８′を介してセラミツク圧電板２の両
面に前記交流電気信号が印加される。この結果、
セラミツク圧電板２の圧電効果により、交流電気
信号に応じた伸縮運動を生ずるが、このとき該セ
ラミツク圧電板２が振動基板１に固着されたバイ
モルフ構造であることから、伸縮運動が圧電バイ
モルフ振動板の中性面を境界として上下方向への
振動動作に変換され、音として保護板３に設けら
れた穴３′より外部へ放射される。ここで、端子
板５の中央部に設けた穴５ａを塞ぐ形で貼着され
た制動材６には、高感度化を維持して再生周波数
帯域幅を拡大するいわゆる音響振動系の自由度を
増加する効果を持たせている。

しかし、従来のこのような圧電形変換器の構成
においては、制動材６を端子材５へ取付ける方法
は、接着によつている。このため、製造時の接着
作業の増加と、接着剤の多少による音響特性の変
化、さらには長期実使用時でのはがれなどの障害
を発生する恐れがある。

本発明は、上述の如き従来技術の欠点を除去す
るためになされたものであり、従つて本発明の目
的は、製造時の接着作業を不要にし、音響特性の
バラツキがなく、しかも長期実使用に堪えうる圧
電形変換器を提供することにある。

この発明の構成の要点は、導電層を有する基板
上にセラミツク圧電板を固着することにより形成
した圧電バイモルフ振動板と、１個もしくはそれ
以上の制動用小穴を有した円形平板２枚を該小穴
の位置を相互に合致させて重ね、その間に不織布
もしくは織布を制動材として狭着することにより
形成した制動板とを、小空気室を介して結合する
と共に、前記制動板を構成する２枚の円形平板の
中の１枚には前記制動用小穴の他に回路素子を受
け入れるための穴を設け、該穴に所定の回路素子
を挿置して成る点と共に、円形平板２枚のうちの
圧電バイモルフ振動板側の１枚には、複数個に分
割した導体層を設け、該導体層の夫々には圧電バ
イモルフ振動板からのリード線を接続し、さらに
該導体層の上から前記２枚の円形平板間をハトメ
もしくは金属端子で圧着固定して成る点にある。

次に図を参照して本発明の実施例を説明する。

第２図ａは本発明の一実施例を示す断面図であ
る。同図において、１は振動基板、２は両面に電
極層を有するセラミツク圧電板で前記振動基板１
に固着され、圧電バイモルフ振動板として動作す
る。４はフレーム、５，５′はそれぞれ端子板で
制動材６をその間に狭着しており、さらに端子
７，７′が取りつけられている。該端子７，７′か
らは、前記振動基板１ならびにセラミツク圧電板
２へ、リード線８，８′で電気的に接続されてい
る。これらの部品は、外周部を保護板３にておお
われることによりカシメ固定され圧電形変換器と
して動作する。

受話器としての動作は、先の従来技術の説明と
同様で、端子７，７′に交流電気信号が印加され
ると、圧電バイモルフ振動板が振動動作し、保護
板穴３′より音波が外部へ放射される。なお、第
２図ａでは端子板５，５′における制動穴５ａ，
５′ａを端子板の周辺部にあるものとして示した
が、該穴の位置は端子板のほぼ中央部に設けても
よく、また穴数も音響特性との兼合いで、複数個
設定してもよいことは自明である。このとき、２
枚の端子板５，５′の穴５ａ，５′ａの位置決め
は、端子７，７′をこれら端子板５，５′に挿入固
定することによつて行なうことができる。つぎ
に、端子７，７′は第２図ａに示したようなハト
メ形状のものを使用することによつて、例えば２
枚の端子板５，５′にそりがあつても、該端子で
カシメ固定することによつて、制動材６との密着
性をよくすることができると共に、該端子板が分
離しているときに較べ強度の改善をはかることが
できる。

また、周知のように圧電形変換器は、可逆形で
あるため送話器としても使用することができる。
この場合、電気インピーダンスは、容量性である
ため周波数が小となるにつれて大となり、送話ア
ンプの入力インピーダンスに制約を与える可能性
がある。さらに小形化を計つた場合は、容量値が
小となるため、インピーダンスが上昇し、誘導雑
音などの障害を受けやすくなる。このため、一般
のエレクトレツトマイクロホン等の場合と同様
に、FET（電界効果トランジスタ）等の能動素
子と、電気的な動作点を設定するための抵抗など
の受動素子を用いて、インピーダンスの低減化を
計つた使用法が効果的である。

第２図ａでは、FET９が挿置される角穴５
ｂ、抵抗体５ｈが挿置される角形もしくは円形の
穴５ｃが設けられていることの他に、絶縁体から
成る端子板５の片面に、第２図ｂに例示したよう
な導体層５ｅ，５ｆ，５ｇが分割されて設けられ
ている。なお、第２図ｂは、第２図ａにおける端
子板５の圧電バイモルフ振動板側の面を表示した
ものであり、第２図ｃは、第２図ａにおいて構成
されている電気回路を示したものである。

つぎに、変換器製造工程の手順例を示せば、端
子板５′に端子７，７′を挿入し、該端子板５′の
上に制動材６、その上に端子板５を端子穴５ｄ，
５d′をガイドとして積層し、端子板５側の端子
７，７′の先端をつぶすことによつて、制動板の
構成と、導電層５ｅ，５ｆと端子７，７′との導
通を同時に達成することができる。

つぎに、FET９、抵抗５ｈなどの素子を端子
板５の穴５ｂ，５ｃに挿入後ハンダ付などによつ
て夫々のリード線を固着し、さらに振動基板１、
セラミツク圧電板２の電極層からリード線をフレ
ーム４を介して所定の位置に取りつけたのち、保
護板３で一体化することによつて第２図ｃに示し
た電気回路を有した圧電形送話器を簡単にかつ特
性のバラツキを少なくして構成できる。

以上説明したように、本発明による圧電形変換
器は、制動系の構成方法を、端子板への接着など
によらない構成方法としたため、長期使用時のハ
ガレなどの障害を発生することなく、安定な動作
を確保できる。さらに製造組立上、FET、抵抗
などが挿入される穴を２枚の端子板のうちの一方
に設けることによつて、部品数を増加することな
く素子の位置決めとハンダ付などの組立作業性の
向上を計ることができるなどの利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の圧電形変換器の構造を示す断面
図、第２図は本発明の一実施例を示す図であつ
て、第２図ａは本発明の実施例の断面図、第２図
ｂは第２図ａにおける端子板５の一面を示した平
面図、第２図ｃは第２図ａにおいて構成されてい
る電気回路を示す回路図、である。 符号説明、１……振動基板、２……セラミツク
圧電板、３……保護板、４……フレーム、５，
５′……端子板、５ｈ……抵抗体、６……制動
材、７，７′……端子、８，８′……リード線、９
……FET。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 導電層を有する基板上にセラミツク圧電板を
   固着することにより形成した圧電バイモルフ振動
   板と、１個もしくはそれ以上の制動用小穴を有し
   た円形平板２枚を該小穴の位置を相互に合致させ
   て重ね、その間に不織布もしくは織布を制動材と
   して狭着することにより形成した制動板とを、小
   空気室を介して結合し、前記制動板を構成する２
   枚の円形平板の中の１枚には前記制動用小穴の他
   に回路素子を受け入れるための穴を設け、該穴に
   所定の回路素子を挿置して成ると共に、該円形平
   板２枚のうちの圧電バイモルフ振動板側の１枚に
   は、複数個に分割した導体層を設け、該導体層の
   夫々には圧電バイモルフ振動板からのリード線を
   接続し、さらに該導体層の上から前記２枚の円形
   平板間をハトメもしくは金属端子で圧着固定して
   成ることを特徴とする圧電形変換器。