JPS6256923B2 - - Google Patents

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JPS6256923B2
JPS6256923B2 JP58167265A JP16726583A JPS6256923B2 JP S6256923 B2 JPS6256923 B2 JP S6256923B2 JP 58167265 A JP58167265 A JP 58167265A JP 16726583 A JP16726583 A JP 16726583A JP S6256923 B2 JPS6256923 B2 JP S6256923B2
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JP
Japan
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less
steel plate
grains
annealing
seconds
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JP58167265A
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JPS6059045A (ja
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Kenzo Iwayama
Yasunari Yoshitomi
Katsuro Kuroki
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
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Publication of JPS6256923B2 publication Critical patent/JPS6256923B2/ja
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  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は変圧器等の電気機器の鉄心材料に用い
られるいわゆる{110}<001>ゴス組織をもつた
一方向性珪素鋼板の製造方法に関するものであ
る。 (従来技術) かかる電気機器には、近年の厳しいエネルギー
事情の観点から、鉄損(50Hzで17kGまで磁化し
たときの1Kg当りの鉄損W17/50で代表される)
値のより少ない珪素鋼板を用いようとする動きが
活発である。他方、機器の小型化などに関連して
磁束密度(1000A/mの磁場を加えた時の磁束密
度B10で代表される。)の高い材料への改善努力も
なされて居り、B10が1.90T以上の製品が市販され
ている。 ところで、鉄損は一般に内容的に履歴損と渦流
損の二種に区分することが出来るが、かかる履歴
損に関わる物理的要因としては鋼板の結晶方位、
純度や内部歪があり、渦流損には鋼板の電気抵
抗、板厚、磁区の大きさ(結晶粒度)や鋼板に及
ぼす張力などがあることは良く知られているとこ
ろである。鉄損値のより少ない鋼板を得るため、
上記の要因に関わる各種の具体策が従来から多く
提案されそのうちのいくつかは工業的に実用化さ
れているが、W17/50<1.0w/Kgの様に低い鉄損
値を得る方法については稀であり、たとえ提案が
あつても工業化上、あるいは製品の使用上に本質
的に難点があつて実用化に限界が来ている。たと
えば、電気抵抗に関連してSi量を5、6%程度等
で増加させ、渦電流を減少させる方法があるが、
4.0%以上になると加工性が著るしく劣化するた
め上限がある。また鋼板に張力を付与する具体的
方法として、フオルステライト皮膜を改善する方
法(特公昭51−12451号公報)とか、特殊な上塗
コーテイングによる方法(特公昭53−28375号公
報)などが提案されて居り、かかる皮膜などの厚
みを大きくすれば、大きい張力効果が期待出来る
が、珪素鋼板が変圧器鉄心として用いられる場合
には積層する都合上、いわゆる占積率を低下させ
るため、皮膜などの厚みには上限が必要である。 また最近、磁区の大きさを改善する方法として
ケガキ(特公昭58−5968号公報)、レーザー照射
(特公昭58−26405号公報)などによつて鋼板表面
から局所的なひずみ場を生ぜせしめる方法が提案
され、大巾な鉄損値減少を見たが、現状技術では
ひずみ取り焼鈍工程を経る場合には効果が無くな
るためひずみ取り焼鈍工程を前提としない用途に
限定されねばならないのが実情である。また鋼板
の鏡面化などの方法(特公昭58−14651号公報)
も大巾な低鉄損化に有効であるが、付随する工業
化上の課題が解決されないので実用化されていな
い。 (発明の目的) 本発明は、鉄損に関する新規な物理的要因を見
出し活用した方法で、実用性の高い低鉄損一方向
性珪素鋼板の製造方法を提供するものである。 即ち、本発明者らは不純物元素を所定量以下に
規制し、所定量の張力が存在する0.15〜0.25mmの
板厚を有する高磁束密度一方向性珪素鋼板であつ
て、その二次再結晶粒のサイズと、各サイズの粒
の量、分布を規定することにより、極めて少ない
鉄損値が得られることを新たに見出して、前述従
来技術の欠点を解決したものである。つまり本発
明は従来の高レベル到達鉄損値W17/50
1.00w/Kgより1割以上改善されたW17/50
0.88w/Kgの極く少ない鉄損値を有する一方向性
珪素鋼板製品ならびにその製造方法を提供するも
のである。 (発明の構成・作用) 本発明の要旨とするところは下記のとおりであ
る。 (1) 重量%で、Si:2.5〜4.0%、C:0.02〜0.09
%、さらにインヒビター構成元素として酸可溶
性Al:0.013〜0.040%、N:0.0040〜0.0100
%、残余は実質的にFeを必須成分とし、選択
的に0.04%以下のS、Se、0.4%以下のMn、
Sn、Sb、Cuの1種或は2種以上を含有する一
方向性珪素鋼熱延板を、焼鈍し、冷間圧延を行
なつた後、最終冷間圧延前の熱処理工程とし
て、900〜1200℃の温度域に30〜600秒間保持す
るか或は1050〜1200℃の温度域に300秒間以下
保持した後、大気放冷より速く、30℃水中冷却
より遅い冷却速度で室温まで冷却し、次いで鋼
板表面が露出するまでスケールを酸洗により除
去し、然る後鋼板を圧下率:81〜92%でかつ、
3〜8回のパス数で最終板厚とするとともにこ
れらパスのうち少なくとも2回のパス間で鋼板
を180〜350℃の温度域に30秒間以上保持し、然
る後、800〜860℃の湿水素ガス中で脱炭焼鈍を
行ない、表面にMgOを主成分とする焼鈍分離
剤を塗布して巻き取つた後、1150℃以上の温度
域で10時間以上の仕上焼鈍を行なつて、結晶粒
の数に関して、円相当直径が2mm以下の結晶粒
が全体の15〜70%存在し、かつこれら2mm以下
の結晶粒の最近接粒間距離の平均値()
が、 ()=2.0〜8.0mm の珪素鋼板とすることを特徴とするW17/50
0.88W/Kgの鉄損値の少ない一方向性珪素鋼板
の製造方法。 (2) 重量%で、Si:2.5〜4.0%、C:0.02〜0.09
%、さらにインヒビター構成元素として酸可溶
性Al:0.013〜0.040%、N:0.0040〜0.0100
%、残余は実質的にFeを必須成分とし、選択
的に0.04%以下のS、Se、0.4%以下のMn、
Sn、Sb、Cuの1種或は2種以上を含有する一
方向性珪素鋼熱延板を、焼鈍し、連関圧延を行
なつた後、最後冷間圧延前の熱処理工程とし
て、900〜1200℃の温度域に30〜600秒間保持す
るか或は1050〜1200℃の温度域に300秒間以下
保持した後、大気放冷より速く、30℃水中冷却
より遅い冷却速度で室温まで冷却し、次いで鋼
板表面が露出するまでスケールを酸洗により除
去し、然る後鋼板を圧下率:81〜92%でかつ、
3〜8回のパス数で最終板厚とするとともにこ
れらパスのうち少なくとも2回のパス間で鋼板
を180〜350℃の温度域に30秒間以上保持し、然
る後、800〜860℃の湿水素ガス中で脱炭焼鈍を
行ない、表面にMgOを主成分とする焼鈍分離
剤を塗布して巻き取つた後、900〜1000℃の温
度域に1〜1000秒間保持し、次いで1150℃以上
の温度域で10時間以上の仕上焼鈍を行なつて、
結晶粒の数に関して、円相当直径が2mm以下の
結晶粒が全体の15〜70%存在し、かつこれら2
mm以下の結晶粒の最近接粒間距離の平均値
()が、 ()=2.0〜8.0mm の珪素鋼板とすることを特徴とするW17/50
0.88w/Kgの鉄損値の少ない一方向性珪素鋼板
の製造方法。 以下本発明を詳しく説明する。先ず、W17/50
≦0.88w/Kgを示す製品に具備すべき条件につい
て述べる。 第1の条件は、成分に関する前提であり、Siは
2.3〜3.8%含有すること、C、NならびにSは
各々0.0020%以下に制限することである。かかる
前提は、渦流損ならびに履歴損を下げるのに有効
であることは従来から定性的には知られていた
が、本発明の目的の如く、W17/50≦0.88w/Kg
を得るためには限界値を明記して絶対に厳守すべ
き必要条件である。 第2の条件は、鋼板に0.20〜1.5Kg/mm2の張力
成分から成る残留応力が存在せねばならないこと
である。渦流損を減少させる方法としての張力効
果については従来から知られるところであるが、
後述の板厚ならびに粒サイズ分布規制条件などと
相乗効果を示す鉄損確保上の重要な構成条件であ
る。 第3の条件は鋼板板厚が0.15〜0.25mmと言う条
件である。板厚を小さくすれば渦流損を改善する
ことは従来より広く知られているが、従来材を単
に板厚を減少させたからと言つてW17/50
0.88w/Kgの超低鉄損を得ることは困難であり、
他の条件が満足されて始めて有効となる。 第4の条件は磁束密度値に関するもので、本発
明の目的を達するためにはB101.89Tが必要であ
る。B10値が1.89Tより低い場合には履歴損の絶対
値が大きくなり、他の条件がいかに好ましいもの
であつてもW17/50≦0.88w/Kgを得ることは極
めて困難である。 第5の条件は本発明の最も中核を成す条件であ
り、しかも鉄損改善に関する従来から知られてい
る物理要因とは異つた新しい指導原理に基づいた
新規な要因を提案するものである。その内容は特
定サイズを有する粒の分散配置に関するものであ
る。つまり、製品結晶粒の数に関し、円相当直径
(結晶粒の面積を測定し、それを円の面積とした
時の直径)が2mm以下の結晶粒が全体の15〜70%
だけ存在し、しかもそれら2mm以下の結晶粒同志
の最近接粒間距離(ある着目粒に関し、その粒の
中心と、その隣接する粒の中心との距離のうち最
も小さい値)の平均値()が、 =2.0〜8.0mm の間にあると言う条件である。かかる値の物
理的意味については後に詳述するが、本発明の目
的は、以上の5つの条件が同時に満足して始めて
達成されるものである。以下に上記5つの条件の
限定理由を説明する。 本発明者らは、昨今の省エネルギー思想の徹底
化に基づく超低鉄損一方向性珪素鋼板の強い供給
要請に応えるべく、成分元素と各種工程条件につ
いて従来公知法のみならず巾広い探索研究実験を
展開し、0.10〜0.35mmの板厚から成る多数の一方
向性硅素鋼板製品を得た。かかる製品につき、磁
気的性質のみならず表面皮膜に由来する鋼板の残
留張力を測定したのち、塩酸水溶液中で加熱腐食
することによりフオルステライト皮膜などの表面
皮膜を除去すると共に二次再結晶組織(以下マク
ロ組織と呼ぶ)を観察出来るようにした。実験進
行の途上、特に板厚が0.25mm以下と薄くて、しか
も鉄損が極めて良い場合など、従来から知られて
いる様なマクロ組織のサイズと鉄損との関係では
整理出来ないような矛盾点が多く生じた。検討の
結果、本発明者らはマクロ組織の大きい粒と小さ
い粒との配置に関係することを定性的に把握し得
たので、その定量化を試みた。 そこで、近年金属研究分野に於いても一般の研
究実験に使用されている市販のコンピユータに連
動された画像解析処理装置によつて、上記した多
数のマクロサンプルについてデータ処理を行な
い、円相当直径dの分布図ならびに円相当径が一
定値以下の結晶粒に関する最近接粒間距離の平均
値()などを求めた。そのうち、かかるマク
ロ組織サンプルの化学分析を行なつてC、Nなら
びにSの残留量を求めた。 第1図は、かかる広範囲な探索研究実験により
得られた製品のうちW17/50<1.00(W/Kg)に
関するB10とW17/50との関係を示す図である。当
実験に用いられたサンプル群の鋼中成分(皮膜中
は含まない)は2.3〜4.3%Si、0.0002〜0.0057%
C、0.0003〜0.0046%N、0.003〜0.0038%Sを含
有して居るものである。また一部のサンプルには
0.7%以下のSnを含むものもあつた。また、表面
皮膜については、フオルステライト皮膜のみある
いは、フオルステライト皮膜とその上に塗布され
た張力コーテイング皮膜が形成されているが、か
かる皮膜系により約1.2Kg/mm2以下の張力が鋼板
に付与されて居るものであつた。第1図は、C、
N、S量についてはパラメーターとして区別した
が、Si、Sn、皮膜張力、板厚などについては区
別してないものである。しかし、この図からW17
/50≦0.88W/Kgを得るにはB10≧1.89T、ならび
にC、N、S全てが各々0.0020%以下であること
が必要なことが明らかである。Si含有量について
は、当実験に用いた範囲内で一般に高い方が良い
鉄損値が得られ易いが、最低値2.3%であつても
板厚、磁束密度、張力など他の条件が満足される
時、W17/50が0.88W/Kg以下になる例が見られ
た。 第2図は、S、N、C全てが≦0.002%、且つ
B10≧1.89Tを満足するサンプルについて製品板厚
とW17/50との関係を見たものである。また図中
の●印は皮膜張力が0.2Kg/mm2より小さいもの、
〇印は0.2Kg/mm2以上1.2Kg/mm2以下のものと区別
してある。この図から、W17/50≦0.88W/Kgを
うるには、C、N、S成分量の規制、B101.89T
の他、板厚として0.10〜0.20mm、皮膜張力として
0.2〜1.2Kg/mm2なる4つの条件が必要であること
が判る。 しかしながら、4つの条件を満足していてもま
だ例外があるので、板厚約0.21mmで、他の3つの
条件を満足するA、B、Cサンプルを第2図の中
に記号で示す様に選びだし、それらのマクロ組織
に関し、画像解析処理装置を用いて、各サンプル
に存在する個々の結晶粒の内、相当粒径とその出
現頻度との関係を測定した。その結果を第3図に
示す。この分布図と鉄損との関係について詳細に
検討を行なつたところ、W17/50が本発明の目的
に入るAサンプルでは、2mm以下の粒の数が全体
の43%と比較的多いにも拘らず、後に説明する如
く、このサンプルのB10が高い理由と推定される
10〜20mm程の比較的大きい粒も存在すること、他
方W17/50が0.92W/Kgと本発明目的からはずれ
るBサンプルでは、2mm以下の粒が57%とかなり
多く、しかも全般的に大きい粒が無く、全て10mm
以下であること、さらにマクロ組織を良く観察し
たところ、2mm以下の小さい粒は各粒が散在する
のでは無く、いくつかづつ群れを成して存在して
いることが判つた。なお、先述のAサンプルで
は、2mm以下の小さい粒が各々群れを成すこと無
く、大きい粒の間にほぼ均等な距離を保ちつつ散
在していることが判つた。W17/50が劣るCサン
プルについては2mm以下の粒が20%弱であり、他
方30mmの様な大きい粒も存在していることが判つ
た。これらのことから、2mm以下の小さい粒の存
在割合とか、かかる小さい粒の分散の仕方が重要
であることが判明したので、画像解析装置によ
り、先ず2mm以下の結晶粒の重心の位置を求め、
さらに最近接重心間の距離、すなわち最近接粒子
間距離の平均値を求めた。その結果を第1表
に、他の条件に関するデータと共に示す。
【表】 第1表から判る毎く、値が小さいBサンプ
ル、値が大きいCサンプルではW17/50
0.88W/Kgが得られ難い。 これまでの結果から、W17/50≦0.88W/Kgを
得るためには第5の条件として小さい粒の分布状
態が重要であることが判つたので、第1〜第4ま
での条件が得られ易い条件下で、さらに広範囲の
探索実験を展開して多くの製品を得た。即ち、第
1の純化の条件に関しては脱炭・仕上焼鈍工程で
は脱炭、脱窒、脱硫が十分行われる様に配慮し、
第2の張力に関しては脱炭焼鈍工程、MgO焼鈍
分離剤の塗布工程ならびに仕上焼鈍工程、さらに
は絶縁被膜塗布工程で配慮して、皮膜張力が所定
量生じる様にした。また第3の条件については全
ての実験のサンプル板厚を0.15〜0.25mmにした。
第4のB101.89Tに関しては、実験の主体を、イ
ンヒビターとしてAlNを用いる成分系にし、しか
も最終冷延の圧下率81%以上、且つ最終冷延前
に、急冷を判う焼鈍工程を採用した製造方法にし
た。 かくして得られた条件1〜4を満足する製品に
関し、とW17/50との関係をプロツトしたのが
第4図である。なお、いくつかの予備調査からd
2mmの粒の存在割合は約15〜70%が良いことを
把握していたので、この第4図にて区分してみた
ところ、正しいことが判つた。つまり、第4図か
ら、W17/50≦0.88W/Kg材を得るにはは2〜
8mmの間になければならず、しかも2mm以下の粒
の数の割合は15〜70%である必要があることが判
つた。 第5図には、本発明材Aと従来法による比較材
Bのマクロ写真例を示す。 本発明材A =4.3mm W17/50=0.82w/Kg Si=3.4%、B10=1.93T 板厚=0.20mm 皮膜張力=0.7Kg/mm2 比較材B =1.5mm(2.0mm) W17/50=0.97w/Kg Si=3.4%、B10=1.90T 板厚=0.20mm 皮膜張力=0.72Kg/mm2 本発明材は大きい粒の間に小さい粒が散在して
いるのに対し、従来法材は小さい粒が群れを成し
て偏在しているのが判る。 以上の様な条件1〜5を同時に満足する時、ど
の様な理由で良好な鉄損値が得られるかについて
は以下の如くに考えられる。 先ず、本発明者らは一方向性珪素鋼板の同一製
品の中でも、一般に径の大きい粒は{110}<001
>理想方位により近いものつまりB10の高いもの
が多く、逆に小さい粒は{110}<001>方位から
のへだたりが大い事実を見出している。さらに大
きい粒は軸幅が大きいが、小さい粒は一般に小さ
い。これは結晶方位の差の他に粒界のストレスが
関係しているものと考える。大きい粒の中に小さ
い粒が存在すること、特にかかる状態で鋼板に張
力が付与されると、小さい粒の粒界部が磁区を細
分化するに必要なひずみ発生個所となり大きい粒
の中の磁区まで小さくなることが考えられる。特
に、大きい粒、つまり高いB10を有する粒の磁区
がかかる状態になる時、鉄損は大巾に改善される
が、張力に関しても板厚が薄いだけに、厚い板厚
の場合に比較して、フオルステライト皮膜さらに
は張力効果のある絶縁皮膜などの皮膜張力がより
有効に作用しやすいものと思われる。またW17/
50の絶対値が少ないだけに、その構成成分である
履歴損に大きく悪影響する要因としての不純物
C、N、Sなどの不純物元素は所定量以上あつて
はならないものと理解される。 次に、本発明に従つた鉄損値の優れた一方向性
珪素鋼板製品の製造方法について説明する。 先ず第1の条件は成分に関してである。つま
り、Siは2.5〜4.0%、C0.02〜0.09%を含有し、イ
ンヒビター構成主要元素としての酸可溶性
Al0.013〜0.040%、N0.0040〜0.0100%を必須成
分としている。Siに関しては製品の渦流損の改善
に極めて有効であるが、2.5%より少ないと仕上
焼鈍などで変態相を生じ、2次再結晶が得難くな
るので好ましくない。また、4.0%以上では脆化
が激しくなるので好ましくない。なお前述の製品
のSi量に関してであるが、一般に仕上焼鈍時に鋼
板表面にSiがフオルステライトなどの酸化物とし
て濃縮するので、鋼中Siは0.1〜0.2%程減少する
のが普通である。Cについては、0.02%より少な
い場合には、脱炭工程までの変態量が極めて少な
くなり良好な1次再結晶粒が得難くなり、また
0.09%より多いと脱炭性が劣化するので0.02〜
0.09%は厳守されねばならない。本発明品の製造
にはAlNインヒビターを中心に用いた方がB10
高く且つ大きい粒と小さい粒から成るマクロ組織
が得られ易い。酸可溶性Alが0.013%より少な
く、またNが0.0040%より少ないと所定量の有効
なAlNインヒビターが確保出来ず逆に酸可溶性Al
が0.040%より多く、Nが0.0100%より多いと溶
体化が不充分となる為に好ましくない。成分につ
いては、他のインヒビター構成成分その他従来公
知の有効成分が含有されて良い。例えば0.04%以
下のS、Se、0.4%以下のMn、Sn、Sb、As、
Bi、Cuの1種又は2種以上を含有しても良い。
上限値を限定したのは、これ以上含有せしめるこ
とは2次再結晶の成長などを阻害するからであ
る。 成分的に以上の様な条件を満足する一方向性珪
素鋼板用素材熱延板は、必要に応じて焼鈍と冷延
を適宜行なつたあと、以下に述べる第2の条件を
満足せねばならない。つまり、第2の条件は、最
終冷延前の熱処理工程として、900゜〜1200℃に
30〜600秒間保持、あるいは1050゜〜1200℃に300
秒以下保持ののち800゜〜950℃に30〜600秒間保
持したあと、大気放冷より速く、30℃水中放冷よ
り遅い速度で室温まで冷却し、さらに該鋼板が完
全に露呈されるまで表面に形成されているスケー
ルを酸洗いにより十分に除去せしめる必要がある
ことである。この工程は、AlNインヒビターなど
に関する条件1と共に、製品のB10が高く、しか
も好ましい結晶粒形状分布を得るのに極めて重要
である。つまり、この工程ではインヒビターを微
細に析出分散すると共に良好な下地を得るもので
あり、900゜〜1200℃に30〜600秒加熱の場合、
900℃より低くあるいは30秒より短かい場合には
インヒビターの析出が不完全であり、また1200℃
より高温あるいは600秒以上になると均一で微細
なインヒビターが得られ難い。特にSiが高い場合
には、1050゜〜1200℃に300秒以下保持ののち800
゜〜950℃に30〜600秒保持のパターンが有効であ
る。これは、前半でSi3N4などの分解を行なうに
有効な1050゜〜1200℃で短時間の加熱を行ない、
後半で微細なAlNその他のインヒビターの析出を
生ぜせしめるに有効な湿度・時間にしてある。そ
の後の冷却速度条件も2次再結晶確保と磁性確保
に重要である。例えば30℃水中放冷以上の冷速で
は最終時に2次再結晶が生せず、大気放冷より遅
い場合には製品で2mm以下の小さいサイズの粒が
得られ難くなる。またこの工程などで生じた表面
スケールは、従来法以上に充分に除去されねばな
らない。理由は明白でないが、酸洗が不充分であ
ると、板厚が薄い場合の2次再結晶の発達が著る
しく阻害される。なお、熱延板の板厚については
1.6〜2.5mmが好ましいが、Si量、冷延圧延回数、
製品板厚などにより最適値は異なる。つまりSi>
3.5%などの場合には曲げ脆性の上から熱延板の
板厚は薄い方が良いし、製品板厚が0.15mm程度に
薄い場合には2回以上の冷延を行なうにふさわし
い熱延板厚みでなければならない。第3の条件
は、本発明の最も中心となる条件である。つま
り、最終冷延工程で0.15〜0.25mmの最終板厚に冷
延する際の圧下率は81〜92%であり、しかも3〜
8回のパス数で減厚されること、さらにそれらの
うち少くとも2回以上のパス間で、鋼板が180゜
〜350℃の温度範囲に30秒以上加熱されることで
ある。圧下率が80%以下の場合はB101.89Tが得
られ難くなり、また92%より大きい圧下率では2
次再結晶を確保するのが困難となる。3〜8回の
パス数と規定したのは、公知のいわゆるパス間時
効は本発明の如き製品の結晶粒分布を得るのに極
めて有効且つ必須条件なので規定した。パス回数
が多くなることは無駄であるので、上限を8回と
定めた。パス間時効は最小2回、しかも最も温度
的に効果の強い180゜〜350℃の範囲で30秒実行し
ないと良好な結果が得られ難い。そののちかかる
最終板厚まで減厚された冷延鋼板は800゜〜860℃
の公知の脱炭焼鈍を行ない、表面にMgOを主成
分とする焼鈍分離剤を塗布し、コイルに巻いて
1150℃以上の温度で10時間以上の仕上焼鈍を行な
う。この際製品のC量を、磁性に悪影響を与えな
い程度に充分脱炭する為に、板厚の割りには長時
間の脱炭が好ましい。また、N、Sの純化を充分
に行なうため、仕上焼鈍の均熱時間は通常より3
〜5割程長時間にする方が好ましい。 また、必要に応じて行なわれる張力コーテイン
グは、その焼付け加熱などで鋼板に熱ひずみが入
らない様に充分注意して実行せねばならない。鋼
板板厚が薄く、特に冷却時に温度むらなどがある
と、鋼板の一部に圧縮応力成分が生じ、鉄損を著
るしくそこなうことがあるからである。以上、主
として条件1〜3を満足することにより本発明品
を製造することが出来るが、さらに第4の条件と
組合せることにより、その収率はさらに増加す
る。しかも鋼中に含まれる酸可溶性Alが0.027%
以上の場合に特に有効である。第4の条件とは仕
上焼鈍工程に先立つて、脱炭された鋼板を900゜
〜1100℃の温度範囲内に1〜1000秒保持せしめる
ことである。900℃より低く、且つ1秒以下の場
合には効果が生せず、また1100℃より高温あるい
は比較的高温域でしかも1000秒よりも長時間の場
合は仕上焼鈍時に2次再結晶が成長し難くなる。
この処理によつて、特に製品板厚の薄い0.15〜
0.25mmの場合に一般に生じやすい2次再結晶成長
の不安定現象はかなり解消され易くなり、また
B10の高い値が得られ易くなる。この様な効果が
生じる理由については、脱炭焼鈍よりも高い温度
で加熱することにより、1次再結晶が整粒化し、
より安定な状態になるためと考えられる。ただ
し、あまり温度が高過ぎたり時間が長過ぎるとイ
ンヒビターに変質を生ぜせしめる、2次再結晶が
成長し難くなるので注意を要する。 (実施例) 次に本発明の実施例について説明する。 実施例 1 Si1.1〜3.6%、C0.055〜0.071%を含有し、イン
ヒビター主要成分としての酸可溶性Al、N、そ
の他Mn、S、Seなど含有量の異なる5ケのイン
ゴツトを真空溶解炉により得た。1350℃に加熱し
たのち、板厚2.0mmに熱間圧延した。その時の成
分値を第2表の左欄に示した。この段階で各々2
分割して、Xグループ、Yグループとし、一方の
Yグループは酸洗いののち1.4mmまで冷間圧延を
行なつた。X、Yグループを1140℃に設定してあ
る炉に入れ、鋼板の温度が1135℃になると同時
に、今度は930℃に設定してある炉の中に100秒間
投入した。そののち70℃の湯の中に投入し、冷却
した。この段階でさらに各々U、Vの2つのグル
ープに分け、2種類の酸洗を行なつた。Uグルー
プは、酸洗途中チエツクして外観上スケールが見
られなくなる迄の時間の2倍の時間だけ酸洗し
た。Vグループは逆にスケールが見られなくなる
迄の時間の約7/10の時間で酸洗を中止した。かか
る鋼板はXグループ材は0.23mmまで、Yグループ
材は0.18mmまで最終板厚に冷延された。その際、
Xグループでは冷延途中0.17mm、0.12mm、0.07
mm、0.04mmのところで、Yグループでは1.1mm、
0.07mm、0.04mmのところで、250℃の恒温槽に20
分間入れて加熱した。圧延油をトリクレン脱脂し
たのち、湿潤水素気流中830℃、300秒の脱炭焼鈍
を行ない、室温に冷却ののちMgOを塗布した。
水素気流中、毎時20℃の昇温速度で1200℃まで加
熱し、1200℃で25時間純化焼鈍を行なつた。室温
まで炉冷したのち残余MgOを水洗し、後公昭53
−28375号公報にて公知の張力絶縁コーテイング
を塗布し、張力下で焼付をすると同時にコイルセ
ツトを除去し磁性測定に供した。そののち、フオ
ルステライト皮膜と絶縁コーテイング両方の皮膜
張力を測定し、さらにマクロ組織を調査して2mm
以下の粒の数の割合ならびにかかる小さい粒の最
近接粒間距離の平均値()を測定し、さらに
鋼片の不純物量を化学分析を行なつて測定した。
その結果を第2表に示す。
【表】
【表】 この表から判る如く、酸洗の不充分なV系列で
は仕上焼鈍の2次再結晶成長時ならびにフオルス
テライト皮膜形成時に、残留スケールが何らかの
影響を及ぼしたものと思われB10が確保出来ない
とか皮膜張力が少ないなどで本発明が目的とする
鉄損値を得るのが困難であるに対し、本発明の諸
条件を満たしているU系列では良好な磁性が得ら
れていた。 実施例 2 前記実施例1に於けるC成分のU系列と全く同
一実験であるが途中脱炭焼鈍直後に、乾窒素雰囲
気にしてある970℃の炉中に50秒保持する工程を
付加した。その時の諸データは以下の如くであつ
た。
【表】 この結果を実施例1のC成分系U系列と比較す
ると、B10が向上し、且つW17/50が改善されるこ
とが判る。つまり、脱炭された鋼板の短時間高温
処理を付加することは低鉄損を得るのをより容易
にすることが判る。 (発明の効果) 以上詳細に述べた如く、本発明は従来の最高レ
ベルの鉄損値を1割以上も改善したW17/50
0.88w/Kgなる極めて良好な鉄損を有する一方向
性珪素鋼板の製造方法を提供するものであり、板
厚が従来の鋼板に比して薄いと云うデメリツトを
内在するものの、近年の電気機器に強く要請され
ている省エネルギー系材としてのメリツトは多大
なるものがある。たとえば常時稼動されるトラン
ス用鉄心として使用される時には、電力の数%が
節約されることとなり、積算されれば莫大な省エ
ネルギーとなる。
【図面の簡単な説明】
第1図はS、N、Cなど不純物をパラメーター
としたB10−W17/50の関係図、第2図は皮膜張力
をパラメーターとした板厚とW17/50との関係
図、第3図は第2図中のA、B、Cサンプルのマ
クロ組織の解析より得た円相当粒径dとその個数
頻度割合を示す図、第4図は小さい粒の数の割合
をパラメーターとした最近接粒間距離の平均
とW17/50との関係を示す図、第5図は本発明材
Aとその比較材Bのマクロ写真図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重量%で、Si:2.5〜4.0%、C:0.02〜0.09
    %、さらにインヒビター構成元素として酸可溶性
    Al:0.013〜0.040%、N:0.0040〜0.0100%、残
    余は実質的にFeを必須成分とし、選択的に0.04
    %以下のS、Se、0.4%以下のMn、Sn、Sb、Cu
    の1種或は2種以上を含有する一方向性珪素鋼熱
    延板を、焼鈍し、冷間圧延を行なつた後、最終冷
    間圧延前の熱処理工程として、900〜1200℃の温
    度域に30〜600秒間保持するか或は1050〜1200℃
    の温度域に300秒間以下保持した後、大気放冷よ
    り速く、30℃水中冷却より遅い冷却速度で室温ま
    で冷却し、次いで鋼板表面が露出するまでスケー
    ルを酸洗により除去し、然る後鋼板を圧下率:81
    〜92%でかつ、3〜8回のパス数で最終板厚とす
    るとともにこれらパスのうち少なくとも2回のパ
    ス間で鋼板を180〜350℃の温度域に30秒間以上保
    持し、然る後、800〜860℃の湿水素ガス中で脱炭
    焼鈍を行ない、表面にMgOを主成分とする焼鈍
    分離剤を塗布して巻き取つた後、1150℃以上の温
    度域で10時間以上の仕上焼鈍を行なつて、結晶粒
    の数に関して、円相当直径が2mm以下の結晶粒が
    全体の15〜70%存在し、かつこれら2mm以下の結
    晶粒の最近接粒間距離の平均値()が、 ()=2.0〜8.0mm の珪素鋼板とすることを特徴とするW17/50
    0.88W/Kgの鉄損値の少ない一方向性珪素鋼板の
    製造方法。 2 重量%で、Si:2.5〜4.0%、C:0.02〜0.09
    %、さらにインヒビター構成元素として酸可溶性
    Al:0.013〜0.040%、N:0.0040〜0.0100%、残
    余は実質的にFeを必須成分とし、選択的に0.04
    %以下のS、Se、0.4%以下のMn、Sn、Sb、Cu
    の1種或は2種以上を含有する一方向性珪素鋼熱
    延板を、焼鈍し、冷間圧延を行なつた後、最後冷
    間圧延前の熱処理工程として、900〜1200℃の温
    度域に30〜600秒間保持するか或は1050〜1200℃
    の温度域に300秒間以下保持した後、大気放冷よ
    り速く、30℃水中冷却より遅い冷却速度で室温ま
    で冷却し、次いで鋼板表面が露出するまでスケー
    ルを酸洗により除去し、然る後鋼板を圧下率:81
    〜92%でかつ、3〜8回のパス数で最終板厚とす
    るとともにこれらパスのうち少なくとも2回のパ
    ス間で鋼板を180〜350℃の温度域に30秒間以上保
    持し、然る後、800〜860℃の温水素ガス中で脱炭
    焼鈍を行ない、表面にMgOを主成分とする焼鈍
    分離剤を塗布して巻き取つた後、900〜1000℃の
    温度域に1〜1000秒間保持し、次いで1150℃以上
    の温度域で10時間以上の仕上焼鈍を行なつて、結
    晶粒の数に関して、円相当直径が2mm以下の結晶
    粒が全体の15〜70%存在し、かつこれら2mm以下
    の結晶粒の最近接粒間距離の平均値()が、 ()=2.0〜8.0mm の珪素鋼板とすることを特徴とするW17/50
    0.88W/Kgの鉄損値の少ない一方向性珪素鋼板の
    製造方法。
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