JPH10110217A - 一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

一方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH10110217A
JPH10110217A JP8263172A JP26317296A JPH10110217A JP H10110217 A JPH10110217 A JP H10110217A JP 8263172 A JP8263172 A JP 8263172A JP 26317296 A JP26317296 A JP 26317296A JP H10110217 A JPH10110217 A JP H10110217A
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steel sheet
annealing
cold rolling
grain
strip
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JP8263172A
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English (en)
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Tomoji Kumano
知二 熊野
Isao Iwanaga
功 岩永
Katsuro Kuroki
克郎 黒木
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Plant Designing Corp
Original Assignee
Nittetsu Plant Designing Corp
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動更新する冷却体表面によって連続的に急
冷凝せしめて得られる鋳造鋼帯を用いストリップ窒化し
て製造する一方向性電磁鋼板(CO)の最終冷延率及び
冷延機のワークロール径:D(mm)と圧延温度の関係を
規定する。 【解決手段】 Si:2.5〜4.0%、酸可溶性A
l:0.020〜0.040%を含有する溶鋼を移動更
新する冷却体表面によって連続的に急冷凝せしめて得ら
れた鋳造鋼帯を焼鈍せず、中間焼鈍を挟む1回以上の冷
延を行い脱炭焼鈍後ストリップを走行せしめる状態下で
窒化処理を行う一方向性電磁鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トランス等の鉄心
として使用される一方向性電磁鋼板の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主にトランスその
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが、機器の
小型化、エネルギー損失の減少のために要求される。励
磁特性を表す特性値として、磁場の強さ800A/mに
おける磁束密度B8 がJISで規格化されて通常使用さ
れる。又、エネルギー損失を示す特性値としては、周波
数50Hzで1.7テスラー(T)まで磁化したときの鋼
板1kg当たりのエネルギー損失(鉄損)W17/50もJI
Sで規格化されている。
【0003】磁束密度は鉄損の最大支配因子であり、一
般的に磁束密度が高い(大きい)ほど鉄損特性が良好に
なる。又、一般的に磁束密度が高くなると二次再結晶粒
が大きくなり、鉄損が悪化する場合がある。この場合
は、既に広く知られているように、磁区を制御すること
により、二次再結晶の粒径に拘らず鉄損を改善すること
ができる。
【0004】この一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工
程で二次再結晶を起こさせ、鋼板表面に{110}、圧
延方向に<001>軸をもったいわゆるゴス組織を有し
ている。良好な磁気特性を得るためには、磁化容易軸で
ある<001>を圧延方向に高度に揃えることが必要で
ある。このような高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造技
術は古くから開発され、わが国ではいわゆるインヒビタ
ーとしてMnS,AINを用いる方法(特開昭40−1
5644号公報)、MnS,MnSe,Sb等を用いる
方法(特開昭51−13469号公報)等がある。これ
らの場合は、熱延板段階でのインヒビターの完全固溶化
が求められ、実際の熱間圧延時は鋼塊(スラブ)の加熱
温度を1350℃以上にすることが必要である。
【0005】この高温度の加熱には数々の不利、不便な
点がある。このため、この熱延時の鋼塊(スラブ)の加
熱温度を下げる試みが行われている。その一つを開示し
たものとして特開昭59−56522号公報がある。こ
の技術の発展として多くの発明がなされ、インタビター
形成のために脱炭焼鈍から最終仕上焼鈍の昇温過程で窒
化を行う方法(特開昭62−45285号公報、特開昭
60−179855号公報)、更にはストリップを走行
せしめる状態下での水素、窒素、アンモニアの混合ガス
を用いた窒化処理を行う方法(特開平2−77525号
公報、特開平1−82400号公報、特開平3−180
460号公報、特開平1−317592号公報)が提案
された。
【0006】又、脱炭焼鈍時の一次再結晶完了後から最
終仕上焼鈍時の二次再結晶完了前までの途中段階での一
次再結晶粒径を制御する方法(特開平3−294425
号公報、特開平2−96275号公報、特開平2−59
020号公報、特開平1−82393号公報)も提案さ
れた。ところで、トランスは電圧変換機器として今日不
可欠であり、トランスでのエネルギー損失が大きいこと
は重大な社会、経済問題である。トランスメーカーは、
トランスの最適設計により、また電磁鋼板メーカーは、
電磁鋼板の品質向上により、省エネルギーに鋭意努力し
ている。電磁鋼板の品質向上と一言で言っても数々の方
法が今までに考案され実施されている。特に省エネルギ
ーに関しては、電磁鋼板の鉄損(電磁鋼板を励磁した場
合、熱となって消費されるエネルギー損失)を低減する
ことである。
【0007】以上に述べたことは、通常の方法にて鋼帯
を製造することである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の様に
通常の方法によって鋼帯を得る方法ではない。本発明で
は、熱間圧延を行なわないため膨大な額の設備投資が不
要となる。又、熱間圧延を行なう製造方法では必然的に
付随する鋼帯の不均一性(加熱炉内のスキッドに起因す
る偏熱による温度のバラツキ、ひいては、一次再結晶粒
成長性のバラツキ)が本発明では発生しない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、特開平2−7
7525,1−82400,3−180460,08−
197965等の公報で提案されている一方向性電磁鋼
板の製造方法において、更に低コスト化(熱間圧延の省
略)を意図するものである。本発明は、優れた磁気特性
を有する一方向性電磁鋼板が更に低コスト(省エネルギ
ー)で製造可能となる溶鋼から直接、鋼帯を得る方法で
ある。
【0010】本発明は、上記要望に応えるものであり、
その要旨は、重量比で、C:0.025〜0.075
%、Si:2.5〜4.0%、酸可溶性Al:0.02
0〜0.040%、N:0.005〜0.010%、
S,Seの少なくとも1種を0.005〜0.015
%、Mn:0.05〜0.8%、残部がFe及び不可避
的不純物からなる溶鋼を移動更新する冷却体表面によっ
て連続的に急冷凝固せしめて、鋳造鋼帯とし、この鋳造
鋼帯のままでは、焼鈍せずに、その後中間焼鈍を挟む一
回以上の冷延を行ないかつ、最終冷間圧下率を85%以
上とし、脱炭焼鈍後ストリップを走行せしめる状態下で
水素、窒素、アンモニアの混合ガス中で窒化処理を行な
い、次いでMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布して
最終仕上焼鈍を施す一方向性電磁鋼板の製造方法であ
り、また、急冷凝固せしめた後の鋳造鋼帯に800〜1
100℃の間で45%以下の圧下を施し、最終冷延圧下
率を80%以上とする一方向性電磁鋼板の製造方法であ
り、更に、上記鋼組成に、必要に応じて、Sn,Sb,
Cr,Pの少なくとも1種を0.02〜0.30%含有
させるか、或いは、Cuを0.03〜0.30%および
/またはNiを0.03〜0.3%含有させる磁気特性
の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法である。
【0011】本発明の如く、溶鋼を急速に凝固せしめる
といわゆる柱状晶なる組織となるため、鋼帯の集合組織
は{100}<uvw>のランダムキューブを多く有す
る。本発明の成分範囲では冷却途中において結晶組織は
α単相でなく、幾分かのγ相を有すが、柱状晶の発達に
より粒径が大きいキューブ系集合組織を有する。このキ
ューブ系は、鋼帯焼鈍によってもほとんど変化しない。
このため脱炭焼鈍後の集合組織(一次集合組織)におい
てGoss({110}<001>)およびそのΣ9対
応方位関係にある結晶粒の量を確保するためには、最終
冷間圧下率を85%以上と高くする必要がある。本発明
を用いると一次再結晶のGossの集積度も向上し、製
品板でのGoss方位集積度も向上するので鉄損が著し
く改善される。
【0012】また、急冷凝固せしめた後に800〜12
00℃の間で45%以下、好ましくは10〜35%、の
圧下率で熱間圧延を施こすと、急冷凝固で形成された鋼
帯表面の柱状晶は、破壊される。このため脱炭焼鈍後の
集合組織は、最終冷間圧延率が80%以上、好ましくは
85〜95%、で著しく改善され、良好な磁気特性を得
ることが可能となる。
【0013】更に磁気特性を良好にするために最終冷延
において、その時の冷間圧延機のワークロール経D(m
m)と複数パスの内の少なくとも1回のパスにおいて1
分間以上鋼板を保持する温度(℃)との関係を 3/40 D+115.5≦T≦3/40 D+29
5.5 (40≦D≦500mm) とすることにより更に良好な磁気特性を得る一方向性電
磁鋼板の製造方法である。本発明を用いると、低コスト
で良好な磁気特性をもつ一方向性電磁鋼板を得ることが
できる。この理由は、冷間圧延時の温度と、冷間圧延機
のロール径を本発明の範囲とすると、脱炭焼鈍後の集合
組織(一次集合組織)においてGoss({110}<
001>)を多くすることが可能になる。この増加した
一次再結晶時のGoss粒(核)が二次再結晶成長する
ため、最終製品でのGoss粒のサイズが小さくなり鉄
損が向上する。また、本発明を用いると一次再結晶のG
ossの集積度も向上し、製品板でのGoss方位集積
度も向上するので鉄損が著しく改善される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
まず本発明において、最終冷間圧延率と磁束密度B8の
関係、同様に最終冷間圧延率と鉄損W17/50 の関係を製
品厚0.30mm材を例として示す。この図−1は、C:
0.050〜0.061%、Si:3.12〜3.30
%、酸可溶性Al:0.026〜0.029%、N:
0.0075〜0.0084%、S:0.0070〜
0.0090%、Mn:0.08〜0.11%、Cr:
0.07〜0.12%、Sn:0.04〜0.07%の
溶鋼を移動更新する冷却体表面によって、連続的に板厚
中心層で5℃/sec 以上の凝固速度で急冷凝固せしめて
鋼帯厚を1.45,1.7,2.1,2.9,3.6,
4.8,5.8,9.7mmの厚みとして、550〜58
0℃で巻き取った。
【0015】その後、酸洗して、0.290mmに圧延
し、その後脱炭焼鈍、ストリップ窒化し、MgOを主成
分とする焼鈍分離材を塗布して、2次再結晶焼鈍後し
た。次に平滑化焼鈍し、燐酸塩を主成分とする張力絶縁
被膜を塗布した後に磁気特性を測定した結果である。こ
の様に本発明範囲では良好な磁束密度が得られている。
○印は、請求項1、●印は請求項2で圧下率を15〜2
0%とした場合の磁束密度の結果である。
【0016】次に、C=0.048%、Si=3.08
%、酸可溶性Al=0.028%、N=0.0082
%、S=0.010%、Mn=0.09%、Cr=0.
1%、Sn=0.05%の溶鋼を移動更新する冷却体表
面によって連続的に急冷凝固せしめて、850〜950
℃の間で0〜50%の圧下を施こし2.8mm厚の鋳造鋼
帯とし、550〜600℃で巻き取り次いで、鋼帯焼鈍
を行なわず次に酸洗後、180〜220℃で最低2パス
の温間圧延を行なって0.29mmに冷間圧延した。その
後820℃〜840℃で、N2 :25%、H2 :75%
の雰囲気ガス中で、露点62℃で90秒の脱炭一次再結
晶焼鈍を行なった。
【0017】その後、全窒素含有量を195〜210pp
m とするストリップ窒化処理を行ないMgOを主成分と
する焼鈍分離材を塗布し、仕上焼鈍を行なった。この仕
上焼鈍は10〜20℃/時間で昇温し、雰囲気は、
2 :25%、H2 :75%であった。その後1200
℃で20時間、H2 :100%の純化焼鈍を行なった。
その後、通常用いられる張力コーティングの塗布と平滑
化処理を行なった。
【0018】この結果を図2に示す。この様に、急冷凝
固後に熱間中で圧下すると磁束密度が向上している。冷
間圧延機のワークロール径、鋼板の温度と磁束密度B8
の関係を0.30mm材を例にして示し(図3)、また、
同様に、冷間圧延機のワークロール径、鋼板の温度と鉄
損W17/50 の関係を製品厚0.30mm材の例で示す(図
4)。この図3、図4は以下の方法で得られた製品の磁
気特性を示した。すなわち、C:0.040〜0.06
0%、Si:3.00〜3.31%、酸可溶性Al:
0.026〜0.035%、N:0.0055〜0.0
087%、S:0.0070〜0.0080%、Mn:
0.08〜0.13%、Cr:0.08〜0.12%、
Sn:0.04〜0.07%の範囲の溶鋼を移動更新す
る冷却体表面によって連続的に急冷凝固せしめて850
〜900℃の間で約15%の圧下を施こし、2.8mm厚
の鋳造鋼帯とし、550〜650℃で巻き取った。その
後、酸洗し、板厚0.29mmに所定の径のワークロール
で圧延し1回鋼板をその間で各温度に保持し、その後脱
炭焼鈍、ストリップ窒化し、MgOを主成分とする焼鈍
分離材を塗布して、2次再結晶焼鈍を行った。次に平滑
化焼鈍し、燐酸塩を主成分とする張力絶縁被膜を塗布し
た後に磁気特性を測定した。この様に本発明範囲では良
好な磁束密度が得られている。この場合、磁束密度B8
≧1.83T、鉄損W17/50 ≦1.05w/kgを良好な
範囲とした。
【0019】次にロール径の限定理由を述べる。ロール
径が最大値500mmを越えると、方向性電磁鋼板の様な
薄い材料の圧延は、ロールの“キス現象”により不可能
となる。またロール径の最小値40mm未満でも本発明の
効果は確保されるが、実際の多量工業生産では実用化さ
れていない。ロール径が小さい方が、鋼板温度の保持す
べき温度が低下するのは、鋼板の変形形態が圧縮から引
き抜きとなり脱炭焼鈍後の一次再結晶集合組織において
Goss方位粒が増加するためである。
【0020】鋼板保持温度は、これ以上の温度に保持す
ると冷間圧延中に回復が生じ、一次再結晶集合組織良好
とならず、磁気特性が劣る。一方、下限の温度未満でも
二次再結晶は良好であるが磁気特性が優れない。ワーク
ロール径(D:mm)と鋼板保持温度(T:℃)は次の式
を満たさねばならない。40≦D≦500mmとして、 3/40D+115.5≦T≦3/40D+295.5 である。
【0021】特に望ましい範囲は、40≦D≦180mm
で 3/40D+165.5≦T(℃)≦3/40D+23
5.5 である。図4は図3の鉄損(W17/50 :W/kg)を示し
ている。この様に本発明の範囲で良好な鉄損が得られて
いる。また、ロール径40≦D≦180mmで、 3/40D+165.5≦T(℃)≦3/40D+23
5.5 の鋼板保持温度において、特に鉄損が良好となり、この
範囲が特に望ましい。
【0022】最後に、本発明において出発材とする電磁
鋼溶鋼の成分組成の限定理由は、以下のとおりである。
Cは、0.025〜0.075%とした。0.025%
未満の場合は特に0.27mm以下の薄手材で2次再結晶
が安定しない。また、0.075%を越えると脱炭工程
での生産性が著しく阻害され本発明の目的から外れる。
【0023】Siはその含有量が2.5%未満になる
と、良好な鉄損が得られない。また4.0%を超える
と、脆性のために冷間圧延等室温での鋼板処理が困難に
なる。S及びSeは、0.015%以下、望ましくは
0.013%以下である。その後、冷間圧延の後での、
ストリップ窒化等による脱炭焼鈍工程以降のインヒビタ
ーの作り込みで製造する一方向性電磁鋼板では、多量の
S,Seは一次再結晶粒の粒成長を妨げ有害であるため
である。0.005%未満では、操業上の不可避的変動
要素により、一次再結晶粒の粒成長に場所的変動が生じ
易くなり工業的に安定的に製品が製造できない。
【0024】AlはNと結合してAlNを形成するが、
本発明においては、後工程即ち一次再結晶完了後に鋼を
窒化することにより(Al,Si)Nを形成せしめるこ
とを必須としているから、フリーのAlが一定量以上必
要である。そのため、sol.Alとして0.020〜
0.040%添加する。Mnは、その含有量が少な過ぎ
ると二次再結晶が不安定となり、一方、多過ぎると高い
磁束密度をもつ製品を得難くなる。適正な含有量は0.
05〜0.8%である。好ましくは、0.070〜0.
3%である。
【0025】Nは0.005%未満では二次再結晶粒の
発達が悪くなる。一方0.010%を超えるとブリスタ
ーと呼ばれる鋼板のふくれが発生する。Pは、一次再結
晶集合組織を改善する効果が報告されている。低Pで
は、この効果が少なく、また製鋼コスト的にコストアッ
プになるので下限は0.02%とする。上限について
は、0.30%を超えるとPは粒界偏析して脆性破壊を
起しやすくなり、工業的な生産が困難になる。このため
上限を0.30%とする。
【0026】Sn,Sbは従来からいわれている如く、
一次再結晶集合組織において{11}<001>方位粒
を増加させる効果があるとともに、硫化物を均一に析出
する効果がある。従って、本発明では、Cu−S,Mn
−Sの如き硫化物の析出を制御する効果が増長される。
更に、Sn,Sbを多く添加すると、脱炭焼鈍時の酸化
がされ難く、また一次再結晶粒が成長し難くなる傾向が
ある。このことは、一方向性電磁鋼板の一次被膜形成を
容易ならしめる方向である。また、Sb,Snの添加に
より二次再結晶粒径が小さくなるため、添加なしと比べ
て鉄損(特に低磁場鉄損)が良好となる。一方、Sb又
はSnが0.02%未満であると、二次再結晶粒があま
り小さくならない。また、Sb又はSnが0.30%を
超えると、脱炭焼鈍後の窒化処理が困難となり、工業生
産に適していない。
【0027】Crは、フォルステライト皮膜形成に必要
な脱炭焼鈍後の酸素量を確保するために添加される。
0.02%より少ないと酸素量が極端に少なくなる。ま
た0.30%を超えると酸素量が極端に増加し、良好な
フォルステライトが形成されなくなる。また磁束密度も
低下する。Cuが0.03%未満であると磁気特性向上
効果が少ない。また0.5%を超えても、磁気特性上効
果がなく酸洗性も劣る。
【0028】Niは0.03%未満だと磁気特性向上効
果が少なく0.3%を超えても特開平5−306410
号公報に示されているように効果はあるが、高価とな
る。このため0.30%を上限とする。CrとNiの添
加は、本発明の効果を更に向上させるものであり、コス
ト的に見合う量だけの添加で良い。
【0029】
【実施例】
実施例1 表1に示す成分の溶鋼を移動更新する冷却体表面によっ
て連続的に急冷凝固せしめて、2.8mmに仕上げ550
〜650℃で巻き取った。その後酸洗し、180〜22
0℃で最低2パスの温間圧延を行なって0.29mmに冷
間圧延した。その後820℃〜840℃で、N2 :25
%、H2 :75%の雰囲気ガス中で、含有C量に応じて
露点62℃で70秒〜90秒の脱炭一次再結晶焼鈍を行
なった。
【0030】冷延厚みは、0.29mmであるがその後の
皮膜付与など加算すると製品厚みは0.30mmである。
その後、全窒素含有量を195〜210ppm とするスト
リップ窒化処理を行ないMgOを主成分とする焼鈍分離
材を塗布し、仕上焼鈍を行なった。この仕上焼鈍は10
〜20℃/時間で昇温し、雰囲気は、N2 :25%、H
2 :75%であった。
【0031】その後1200℃で20時間、H2 :10
0%の純化焼鈍を行なった。その後、通常用いられる張
力コーティングの塗布と平滑化処理を行なった。その結
果を表2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】実施例2 表3に示す成分の溶鋼を移動更新する冷却体表面によっ
て連続的に急冷凝固せしめて、2.8mmの厚みの鋼帯と
し15〜20%の圧下を850〜950℃で行ない58
0〜620℃で巻き取った。
【0035】その後酸洗し、180〜220℃で最低2
パスの温間圧延を行なって0.29,0.26mmに冷間
圧延した。その後820℃〜840℃で、N2 :25
%、H 2 :75%の雰囲気ガス中で、露点62℃で15
0〜170秒の脱炭一次再結晶焼鈍を行なった。また、
被膜などの厚みを加算して製品厚みは0.30,0.2
7mmであるが、冷延厚みはそれぞれ0.29,0.26
mmである。
【0036】その後、全窒素含有量を195〜210pp
m とするストリップ窒化処理を行ないMgOを主成分と
する焼鈍分離材を塗布し、仕上焼鈍を行なった。この仕
上焼鈍は10〜20℃/時間で昇温し、雰囲気は、
2 :25%、H2 :75%であった。その後1200
℃で20時間、H2 :100%の純化焼鈍を行なった。
その後、通常用いられる張力コーティングの塗布と平滑
化処理を行なった。その結果を表4に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】本発明を適用することにより、磁気特性
がすぐれエネルギー節約した一方向性電磁鋼板の製造が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製品厚0.30mm材の最低冷延率とB8 の関係
を示す図。
【図2】製品厚0.30mm材の熱間圧延中の圧延率とB
8 の関係を示す図。
【図3】冷間圧延機のワールロール径及び圧延温度なら
びにB8 の関係を示す図。(製品厚0.30mmの場合)
【図4】冷間圧延機のワークロール径及び圧延温度なら
びにW17/50 の関係を示す図。(製品厚0.30mmの場
合)
フロントページの続き (72)発明者 黒木 克郎 福岡県北九州市戸畑区大字中原46番地の59 日鐵プラント設計株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、 C:0.025〜0.075%、 Si:2.5〜4.0%、 酸可溶性Al:0.020〜0.040%、 N:0.005〜0.010%、 S,Seの少なくとも1種を0.005〜0.015
    %、 Mn:0.05〜0.8%、 残部がFe及び不可避的不純物からなる溶鋼を、移動更
    新する冷却体表面によって連続的に急冷凝固せしめて鋳
    造鋼帯とし、この鋼帯を焼鈍せずに中間焼鈍を挟む一回
    以上の冷延を行ないかつ、最終冷間圧延率を85%以上
    とし、脱炭焼鈍後ストリップを走行せしめる状態下で水
    素、窒素、アンモニアの混合ガス中で窒化処理を行な
    い、次いでMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布して
    最終仕上焼鈍を施こすことを特徴とする一方向性電磁鋼
    板の製造方法。
  2. 【請求項2】 溶鋼を移動更新する冷却体表面によって
    連続的に急冷凝固せしめた後の鋳造鋼帯に800〜11
    00℃の間で45%以下の圧下率で熱間圧延を施し、更
    に最終冷間圧延率を80%以上とすることを特徴とする
    請求項1記載の一方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 更に最終冷延において、冷間圧延機のワ
    ークロール径D(mm)と、複数回のパスの内の少なくと
    も1回のパスにおいて1分以上鋼板を保持する温度T
    (℃)との関係を 3/40D+115.5≦T≦3/40D+295.5 (40≦D≦500mm) とすることを特徴とする請求項1又は2記載の一方向性
    電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 更にSn,Sb,Cr,Pの少なくとも
    1種を0.02〜0.30%含有させることを特徴とす
    る請求項1,2又は3記載の一方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 更にCuを0.03〜0.30%含有さ
    せることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の一
    方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 更にNiを0.03〜0.3%を含有さ
    せることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載
    の一方向性電磁鋼板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102534364A (zh) * 2010-12-17 2012-07-04 鞍钢股份有限公司 一种提高普通取向硅钢磁性能的生产方法
JP2016194162A (ja) * 2011-08-12 2016-11-17 Jfeスチール株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法

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