JPS625688B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はテーパ付ダブルシンク深絞り方法に関
するものである。

ダブルシンク製品の代表的なものにダブルシン
ク流し台がある。ダブルシンク製品ではその輸送
時における積重ねの便宜からシンク部分の周壁に
テーパを形成させたものがある。これがテーパ付
きダブルシンク製品である。

第１図、第２図にテーパ付きダブルシンク製品
の代表的なものが示される。このような製品で
は、シンク１，１が並列して一対形成され、その
間に断面山形の境界部２が形成される。またシン
ク１の４つの側壁面３Ａ，３Ｂ，３Ｃ，３Ｄがす
べて傾斜したものとして構成されると共にその底
面４は水平か又は目的に応じて傾斜した面として
構成される。このテーパ付きダブルシンク製品
は、まずブランク（素材：材料）をブランクホル
ダーを用いてダイスに挾持させ、次いで一対のポ
ンチでブランクをダイスの成形用穴内へ押込み、
もつてダイスの成形用穴の壁面とポンチ外面との
間にブランクを絞り込むことにより製造される。

このような方法で一枚のブランクからテーパ付
きダブルシンク製品を一体成形する場合、境界部
２のコーナａが破断したり、シンク１の側壁面３
Ａである境界部２の壁面に大きなしわが発生する
ことがある。このようなコーナａの破断や側壁面
３Ａでのしわの発生は、シンク１を深く絞つた場
合に顕著にあらわれ、特にしわが発生した場合
は、深絞り後に矯正工程を設けて矯正しようとし
ても消去することのできない程度のものとなる。
そのため従来では絞りの深さに制限が加られるこ
ととなつていたため、シンク１をあまり深く成形
することができなかつた。側壁面３Ａにしわが発
生したり、コーナａが破断する原因は次の通りで
ある。すなわちシンク１が並列かつ隣接している
ために、側壁面３Ａの部分を形成する材料を境界
部２の頂板部ｂから流れ込ませることができない
ため、底面４及び側壁面３Ｂ，３Ｃの部分から流
れ込ませる必要がある。しかし底面４の部分から
の流れ込みが、ポンチ先端の彎曲コーナに接する
部分ｃ，ｄに摩擦抵抗が生じるためにスムーズに
行われ得ない。したがつて境界部２のコーナａに
大きな応力が発生し、この部分の破断につなが
る。また他の側壁面３Ｂ，３Ｃからの流れ込みは
幾可学的な観点からも均一なものを期待すること
ができず、したがつてこれらに挾まれた側壁面３
Ａにしわが発生し易い。

本発明は以上に鑑みてなされたものであり、以
下その実施例を説明する。

第３図、第４図において、５はブランクを示
す。このブランク５はダイス６とブランクホルダ
ー７との間に挾持される。ダイス６には一対の成
形用穴８，８が並列状態で貫通されており、これ
らの成形用穴８，８に対して液圧回路９が接続さ
れる。すなわち一対の成形用孔８，８間の隔壁部
１０及び外壁１１にそれぞれ通孔１２，１３が穿
設され、外壁１１の通孔１３に液圧回路９が接続
される。ダイス６は定盤１４上に配置されてお
り、この状態で前記成形用穴８，８に所要量の液
体１５が貯留される。ダイス６の一対の成形用穴
８，８において、隔壁部１０の壁面１０Ａ，１０
Ａ及びこれに対向する外壁１１の壁面１１Ａ，１
１Ａはいずれも鉛直面として構成され、またこれ
らの壁面１０Ａ，１１Ａをつなぐ一対の対向面
（第３図、第４図に現われない。）は鉛直面か又は
わずかに傾斜したテーパ面として構成される。一
方、ブランクホルダー７は、ダイス６の成形用孔
８，８に対応する一対のポンチ挿通穴１６，１６
を有し、これらの壁面はすべて鉛直面として構成
される。ダイス外壁１１及びブランクホルダー外
壁１７の上面１１Ｂ及び下面１７Ａは相互に平行
でかつ外上がり状に傾斜して構成されており、こ
れらの上面１１Ｂ及び下面１７Ａ間に前記ブラン
ク５の外周部が外上がりに傾斜させて挾持され
る。この場合の傾斜角θは、製品のシンク壁面が
鉛直面に対してなす角度に等しく設定される。ま
たブランク５の外周部に対する挾持位置は、ダイ
ス６の隔壁部１０とブランクホルダー７の隔壁部
１８とでブランク５の中央部を挾持する位置より
も高いところに設定され、全体としてはブランク
５がその中央部を境にして外上がりに傾斜した状
態で保持される。一対のポンチ１９，１９は昇降
体２０で一体化され、それぞれの下端部が先細状
に構成される。すなわちポンチ１９の下端部に形
成される４つの面のうち、ダイス６の成形用穴８
への押込み時にその隔壁部壁面１０Ａに対向する
面（内面）２１Ａ及びこれに隣接する２つの相対
向面２１Ｂ，２１Ｃは傾斜面とされ、また残りの
面（外面）２１Ｄはポンチ１９の押し込み方向に
拡がる鉛直面とされる。またポンチ１９の下面２
１Ｅは前記ブランク５に平行な傾斜面として構成
される。なお傾斜面２１Ａの鉛直面に対する傾斜
角は前記傾斜角θの２倍に、また傾斜面２１Ｂ，
２１Ｃの鉛直面に対する傾斜角は前記傾斜角θに
等しくそれぞれ設定される。

昇降体２０をプレスに取付け、これを押下げる
と、ポンチ１９，１９の下降に伴なつてブランク
５がダイス６の成形用穴８，８内へ絞り込まれ、
所定の深絞りが行なわれる。この場合、ポンチ１
９，１９の押込み中には、第４図左半分に示され
るように、ブランク５には均一に所定の液圧が作
用するため、該ブランク５における隔壁部１０と
ポンチ１９の肩ｅ、すなわち内面２１Ａのコーナ
との間の部分５Ａに一定の張力が働らく。したが
つてこの張力のため、この部分５Ａにしわが発生
することはない。また一対のポンチ１９，１９の
肩ｅ，ｅ間には、押込み当初においてその間隔分
の材料が保持される。すなわちポンチ１９，１９
の肩ｅ，ｅが隔壁部１０に近接して押込まれるよ
うな従来方法に比べて、その間隔分だけ製品の境
界部壁面２２Ａを形成する材料が増えたことにな
る上、押込みの初期の段階でこの部分５Ａに大き
な応力が作用しないから、深絞りによつて該境界
部２２のコーナーｆに破断を生じず、前記しわの
発生もみない。

前記したような対向液圧深絞り加工によれば、
ブランクホルダー７の隔壁部１８を省略しても、
良好な深絞りを行なうことができる。その場合の
実施例が第５図、第６図に示される。すなわち前
記隔壁部１８を省略した場合には、ポンチ１９，
１９の押込み中においてポンチ１９の肩ｅ，ｅ間
では、ブランク５に液圧による張力のみが作用す
るため、この間で材料の送り込みが極めてスムー
ズに送なわれる。この場合でも最終的な境界部２
２の成形は、ダイス６の隔壁部１０を介して行な
われる。なお第５図、第６図においては、各要素
に第３図、第４図に示されたものと同一番号を付
して便宜上その説明を省略した。

第３図〜第６図で説明した方法によつて深絞り
された製品は、その境界部２２を境として外上が
り状態に折曲つた形状をなす。したがつてダイス
６からの製品取出後に、この変形が矯正される。

以上の説明から明らかなように、本発明によれ
ば、テーパ付ダブルシンクの境界部に形成される
壁面が、ポンチの押込み当初の段階であまり大き
な応力を生じずかつ豊富な材料のもとで成形され
る上、ポンチの押込み中にはブランクに均一な液
圧が作用するので該ブランクの前記壁面相当部分
に常時所要の張力が作用し、この部分でのしわの
発生が未然に防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図はテーパ付きダブルシンク製品の平面
図、第２図は第１図における−断面矢視図、
第３図、第４図は本発明実施例の説明用断面図、
第５図、第６図は本発明の他の実施例の説明用断
面図である。 １……シンク、２……境界部、５……ブラン
ク、６……ダイス、７……ブランクホルダー、８
……成形用穴、９……液圧回路、１０……隔壁
部、１０Ａ……隔壁部壁面、１９……ポンチ、２
０……昇降体、２１Ａ……隔壁部壁面１０Ａに対
向する面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 中央隔壁部の両側に並設した一対の成形用穴
   を有するダイスと、前記ダイスの成形用穴と対応
   するポンチ挿通穴を有するブランクホルダーとの
   間でブランクを挟持させ、前記成形用穴内に液圧
   を作用させつつ、先細り状に両側面が傾斜する一
   対のポンチを用い、前記ポンチの両側面のうち一
   方の側面が前記ブランクホルダーのポンチ挿通穴
   の中央隔壁とは反対側の壁面に沿うようにして前
   記ポンチにより前記ブランクを前記成形用穴内に
   押込むことを特徴とするテーパ付きダブルシンク
   深絞り方法。