JPS6253030B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、電線・ケーブル等に塗布することに
より、これらの延焼を防止する防火塗料に関する
ものである。 多数のケーブルが布設される電気設備に火災が
発生した場合、ケーブルの絶縁材が燃料になつて
ケーブルが延焼する危険性がある。このような事
態を防止するため防火塗料をケーブル周上に被覆
する方法が知られているが、一般に広く用いられ
る防火塗料は水性エマルシヨン樹脂に難燃剤、無
機充填剤および不燃性繊維を加えたものである。
水性エマルシヨン樹脂は、塗膜の結合剤として機
能するするが、一般にこれらの樹脂は燃焼性であ
るため高温にさらされた場合に強度が低下し、塗
膜の一部に亀裂を生じたり、長時間加熱されると
塗膜が脱落する。 本発明の目的は、前記した従来技術の欠点を解
消し、すぐれた防火性を有する防火塗料を提供す
ることにある。 本発明の防火塗料は、組成の主体部が9.5〜23
重量％のアクリル酸エステル樹脂、0.5〜10重量
％のハロゲン化合物、３〜20重量％のリン酸塩フ
リツト、20〜40重量％の無機充填剤、0.3〜５重
量％の不燃性繊維からなり、上記アクリル酸エス
テル樹脂はエマルシヨン化されていることを特徴
とするものである。 アクリル酸エステル樹脂は、高温においても分
解されにくく、これにハロゲン化合物、無機充填
剤、不燃性繊維を加えて難燃性を付与し、さらに
リン酸塩フリツトを加えることにより燃焼時にお
ける無機成分の強度を向上させたものである。 アクリル酸エステル樹脂は、非イオン系乳化剤
を用いてエマルシヨン化されたアクリル酸エステ
ルが望ましく、メチルメタクリレート、ブチルア
クリレート、２―エチルヘキシルアクリレートを
主体とし、必要であればアクリル酸、スチレン、
アクリロニトリル、メチロールアクリルアミド、
グリシジルメタクリレート、モノクロル酢酸ビニ
ルを共重合させたものである。アクリル酸エステ
ル樹脂は、塗膜の結合剤として機能するが、一般
に可燃物であるため最小限の使用が好ましく、塗
料成分に占める量が9.5〜23重量％の範囲とすべ
きである。9.5重量％以下では結合剤としての機
能が低下して可撓性に乏しくなり、23重量％以上
では樹脂分が可燃性であるので難燃性が不足する
ことになる。 ハロゲン化合物には、例えば塩素化パラフイ
ン、デカブロモジフエニルオキサイド、ビスグワ
ニジンテトラブロモフタレート、１，２，５，
６，９，10―ヘキサブロモシクロドデカン、パー
クロロペンタクロドデカン、トリス―β―クロロ
エチルホスフエート等があげられ、これらは単独
使用あるいは２種以上の併用が可能である。その
塗料成分に占める量は0.5〜10重量％の範囲とす
べきであり、0.5重量％に満たない場合は樹脂分
が燃焼し易くなり、10重量％を越えてもそれに応
じた難燃効果は認められず、むしろ有毒ガスの発
生を考えると好ましくない。ハロゲン化合物とア
ンチモン化合物例えば三酸化アンチモンを組み合
わせると難燃効果が増大するので、アンチモン化
合物の併用が望ましい。 リン酸塩フリツトは、P₂O₅、B₂O₃、SiO₂、
Al₂O₃、KNaOを主成分とするもので、融点500℃
以下のものが適している。その塗料成分に占める
量は３〜20重量％の範囲とすべきであり、３重量
％以下では燃焼時の無機成分の強度が不十分で塗
膜の脱落が生じ易く、20重量％で効果が飽和す
る。 無機充填剤には、例えば炭酸カルシウム、酸化
アルミニウム、含水ケイ酸マグネシウム、シリ
カ、水和アルミナ、クレー、ホウ酸亜鉛等があ
る。無機充填剤は防火塗料の骨格をなすものであ
り、塗料成分に占める量は20〜40重量％範囲とす
べきである。20重量％以下では耐火性が不十分で
あり、40重量％を越えると塗膜の可撓性が低下す
る。 不燃性繊維には、アスベスト、ガラス繊維のよ
うな無機繊維、カイノール（商品名：日本カイノ
ール(株)製品）のような有機繊維がある。その塗料
成分に占める量は0.3〜５重量％の範囲とすべき
であり、0.5重量％以下では塗膜の補強効果が十
分でなく、５重量％を越えると塗料の粘度が著し
く上昇し、塗布性能に悪影響を与える。 本発明においては、必要に応じて各種の顔料、
可塑性、増粘剤、湿潤剤、防錆剤、殺菌剤等を添
加しても差し支えない。 以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明
する。 第１表に示すように各例の配合成分を撹拌機を
用いて均一に混合し、防火塗料を調整した。

【表】

【表】 第１図のように配設した10本のポリエチレン絶
縁ポリエチレンシースケーブル（以下グループケ
ーブルと称す）Ｃの立ち上がり個所における被覆
の外周に、各例で調整した防火塗料Ａを第２図の
断面図に示すようにその乾燥後の厚さが1.5mmに
なるようにハケを用いて塗布した。これを室温で
100時間放置して乾燥させ、ダクトＤでこの個所
のグループケーブルＣを覆つた。 グループケーブルＣ下部の防火塗料を塗布しな
い部分にリボンタイプガスバーナＢによる炎をケ
ーブルに直接当るようにして20分間燃焼させた。 この結果、実施例１〜３の場合は、未塗布部分
のケーブル被覆は消失し、塗布部分の末端のケー
ブル被覆も損傷を受けたが、炎はダクトの上部に
達せず、塗膜の脱落もなかつた。 これに対し、比較例１および２の場合は、塗膜
に亀裂を生じ、20分後にはダクトの上部まで延焼
し、ガスバーナーの炎を取り去つた後も炎が消え
なかつた。 以上説明した通り、本発明は電線・ケーブル等
の易燃性物の延焼に対して高度の抵抗性を与える
防火塗料を提供するものであり、その工業的価値
は極めて大なるものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明の防火塗料をグル
ープケーブル線路に適用した場合の一実施例とそ
れに対する耐火試験方法を併せて示す正面説明図
および断面説明図である。 Ａ：防火塗料、Ｂ：リボンタイプガスバーナ
ー、Ｃ：グループケーブル、Ｄ：ダクト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 組成の主体部が9.5〜23重量％のアクリル酸
   エステル樹脂、0.5〜10重量％のハロゲン化合
   物、３〜20重量％のリン酸塩フリツト、20〜40重
   量％の無機充填剤、0.3〜５重量％の不燃性繊維
   からなり、上記アクリル酸エステル樹脂はエマル
   シヨン化されていることを特徴とする防火塗料。