JPS6249361B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は３成分系の複合繊維を紡出するために
好適な複合紡糸口金装置に関するものである。

従来、複合繊維は一般的に２成分系であり、通
常の単成分の紡糸口金装置に比べてさほど複雑に
せずとも複合紡糸が可能であり、多くの提案がな
されてきている。しかし、繊維の多様化、高付加
価値が要求される現今では２成分系ではその効果
も自ずと限界があり、３成分で複合繊維を形成し
１本の繊維の中に多くの機能性を盛り込む必要性
が生じてきている。これに対して従来提案されて
きたような装置では、充分対応することができな
いばかりか、装置が非常に複雑であり、装置製作
が工作上困難で非常に高価になつてしまつたり、
分解、再組立使用を必要とする工業的な連続使用
に耐えないようなものになつてしまつているのが
現状である。

本発明は構造の簡単な３成分系複合紡糸口金装
置を提供するもので、紡糸孔を有する口金板、下
部プレート、上部プレートおよび逆Ｔ型有底円筒
管から構成されたものである。

本発明の装置においては３成分の複合流を形成
するための主要部が単一の逆Ｔ型有底円筒管に組
み込まれているため、各成分の流路の相対的な位
置関係を精度よく製作でき、かつ紡糸孔間の斑を
なくすことができる。さらに紡糸口金板には一般
に複数の紡糸孔が設けられるが、同じ形式の逆Ｔ
型有底円筒管を多数製作することによつて本発明
の装置は組立てることができるため、製作コスト
が著しく低減されるのである。また、１つの複合
流の形成を行なうための複合部の所要面積が少な
くてすみ、比較的小さな装置で多孔化を可能にす
る。さらにこの種の複合紡糸口金装置でもつとも
困難な問題であるポリマの洩れこみに対してもシ
ール部が少ないためまつたく問題が発生しないと
いうように多くの有利性を有するのである。

次に本発明の複合紡糸口金装置を図面を用いて
具体的に説明する。

第１図および第２図は本発明の典型的な複合紡
糸口金装置の実施態様を示し、第１図は断面図、
第２図は逆Ｔ型有底円筒管の底面図である。（第
１図は第２図のＸ−Ｘ断面図。） 紡糸孔２を有する口金板１上に下部プレート３
と上部プレート４とが重ね合わされ、両プレート
を貫通して紡糸孔と中心を同じくする孔に逆Ｔ型
有底円筒管５が嵌合されている。逆Ｔ型有底円筒
管にはその底部に第１ポリマＡの吐出細孔６、プ
レート３，４の中間の外壁面から紡糸孔上部に至
るスリツト溝および細孔からなる第２ポリマＢの
流路７および底面に第３ポリマＣの流路となるス
リツト溝８が設けられており、逆Ｔ型有底円筒管
の内部は第１ポリマＡの導入口に連通して第１ポ
リマＡの流路となつており、第２ポリマＢの流路
７のスリツト溝の始端は第２ポリマＢの導入口に
連通したポリマ溜部に存在し、逆Ｔ型有底円筒管
の底部は第３ポリマＣの導入口に連通したポリマ
溜部で取り囲まれている。そしてスリツト溝８は
第１ポリマＡの吐出細孔６および第２ポリマＢの
流路７と重ならない位置に設けられており、６，
７，８は逆Ｔ型有底円筒管の底面からみてそれぞ
れ回転対称位置に配されている。これらが回転対
称に配されていないと各成分ポリマ間の溶融粘度
差等により、紡糸孔から吐出した直後で糸曲りが
生じ好ましくない。スリツト溝８に代えて細孔と
してもよいことは当然である。

第１図および第２図に示した装置を用いて複合
紡糸すれば第７図に示したような断面配置の３成
分複合繊維が得られる。

第３図および第４図は逆Ｔ型有底円筒管の他の
態様を示す図で第３図は断面図、第４図は底面図
である。（第３図は第４図のＹ−Ｙ断面図。）この
例は第１図および第２図の第１ポリマＡの吐出細
孔６に代えて、逆Ｔ型有底円筒管の底部において
内壁面から管外に穿孔された水平方向の細孔６１
とそれに連通した外壁面から紡糸孔上部に至るス
リツト溝および細孔６２とで第１ポリマＡを紡糸
孔上部へ導くしたようにしたものである。

第３図および第４図に示した装置を用いて複合
紡糸すれば第８図に示したような断面配置の３成
分複合繊維が得られる。

第５図は第３図および第４図と同様な形式の逆
Ｔ型有底円筒管の底面図を示すものであるが、第
３ポリマＣの流路であるスリツト溝を中心まで達
しないスリツト溝８１としたものであり、この装
置を用いれば第９図に示したような断面配置の３
成分複合繊維が得られる。

さらに第６図は第３図および第４図と同様な形
式の逆Ｔ型有底円筒管の底面図を示すものである
が、第１ポリマＡと第２ポリマＢの分割数が異な
るようにしたものであり、この装置を用いれば第
１０図に示したような断面配置の３成分複合繊維
が得られる。

以上は紡糸孔の吐出孔の形状を円形とした場合
であるが、吐出孔の形状を中空糸用のものとすれ
ば第１１図に示したような断面配置の複合繊維を
得ることができ、また異形孔とすれば異形断面繊
維を得ることもできる。

また本発明において基本となる逆Ｔ型有底円筒
管は必ずしも円形でなくてもよく、角形あるいは
楕円形のようなものでもよい。また逆Ｔ型の水平
部と円管部とを分割して製作してもよく、円筒管
の下端部に環状体を嵌合して製作してもよい。

本発明の装置を用いて３成分を適宜組み合わせ
て紡糸することにより、制電性、導電性、吸湿
性、多色染色性等種々の機能をもつた繊維や、剥
離割繊することによつて細繊度混繊糸を生成する
ような繊維を容易に得ることができる。

なお当然のことながら、本発明の装置を用いて
単成分繊維または２成分繊維も紡糸することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明の装置の実施態様
を示し、第１図は断面図、第２図は逆Ｔ型有底円
筒管の底面図（第１図は第２図のＸ−Ｘ断面図）
であり、第３図および第４図は逆Ｔ型有底円筒管
の他の態様を示し、第３図は断面図、第４図は底
面図（第３図は第４図のＹ−Ｙ断面図）であり、
第５図、第６図は逆Ｔ型有底円筒管のさらに他の
態様を示す底面図であり、第７〜１１図は本発明
の装置を用いて得られる繊維の断面における各成
分の配置を模式的に示す図である。 １……口金板、３……下部プレート、４……上
部プレート、５……逆Ｔ型有底円筒管。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 紡糸孔を有する口金板上に下部プレートと上
   部プレートとが重ね合わされ、両プレートを貫通
   して紡糸孔と中心を同じくする孔に逆Ｔ型有底円
   筒管が嵌合されており、第１ポリマ導入口は該逆
   Ｔ型有底円筒管の上部から底部あるいは内壁面か
   ら管外に穿孔された紡糸孔上部に至る複数の細孔
   に連通しており、第２ポリマ導入口は上部プレー
   トと下部プレートの中間に位置する逆Ｔ型有底円
   筒管を取り囲むポリマ溜より逆Ｔ型有底円筒管の
   外壁面から紡糸孔上部に至る複数のスリツト溝お
   よび細孔に連通しており、第３ポリマ導入口は下
   部プレートと口金板の中間に位置し逆Ｔ型有底円
   筒管の下部に第１および第２ポリマ吐出流路と重
   ならない位置に設けられた複数の細孔あるいはス
   リツト溝に連通している３成分系複合紡糸口金装
   置。 ２ 逆Ｔ型有底円筒管において底部あるいは内壁
   面から管外に穿孔された複数の細孔、外壁面から
   紡糸孔上部に至る複数のスリツト溝および細孔、
   ならびに底面に設けられた複数の細孔あるいはス
   リツト溝が該逆Ｔ型有底円筒管の底面からみて回
   転対称位置に配されている特許請求の範囲第１項
   記載の３成分系複合紡糸口金装置。