JPS6247979B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は波形状ケン縮糸の製造方法に関する。
更に詳しくは、熱可塑性合成繊維のフイラメント
糸条を複数糸条用いて、流体交絡処理と仮ヨリ加
工をうまく利用して、概してイラツキのないブー
クレー調の梨地表面効果とドレープ性にすぐれた
風合を有する布帛を達成し得る波形状ケン縮糸を
合理的かつ簡便に製造し得る新規な方法に関する
ものである。

従来、熱可塑性合成フイラメント糸条を２糸条
引揃えて合流せしめ仮ヨリ加工後、分繊してコイ
ル様ケン縮を有する糸を製造する方法が各種態様
にて一般に知られている。例えば、フイラメント
糸条に実ヨリを加えて仮ヨリ分繊加工するコイル
状ケン縮糸の製造方法であるが、この方法により
得られる糸を用いた布帛においては、単調な梨地
表面効果は得られるものの、その反面、コイル状
ケン縮の回復不良による「ワライ」発生、ドレー
プ性不足、あるいはカステラ調となる等の欠点を
内在しているものであつた。

また一方フイラメント糸条の２本を高温のセツ
ト温度でかつ高仮ヨリ数の過酷な特殊制約条件で
軽い融着仮ヨリ加工、分繊加工を行なう波形状ケ
ン縮糸の製造方法においては、単調な梨地表面効
果によるイラツキ発生という不都合はもとより、
軽い融着が高仮ヨリ数の影響によつて風合硬化お
よびドレープ性不足あるいは分繊加工性が低いと
いう問題があつた。

本発明者らはこれらの諸問題を改善するととも
に簡単でかつ合理的にすぐれた波形状ケン縮糸を
製造する方法について鋭意検討した結果、本発明
の波形状ケン縮糸の製造方法に到達したものであ
る。

すなわち、本発明の波形状ケン縮糸の製造方法
は、同種あるいは異種の熱可塑性合成フイラメン
ト延伸糸条の２糸条以上を用い、それぞれの糸条
に対して仮ヨリ加ネンヨリが挿入されていない状
態でそれぞれ別個に流体交絡処理を施した後、加
ネン域中にてそれら各糸条を引揃え合流せしめ
て、加ネン−熱固定−解ネンの仮ヨリ加工を施し
て後、さらに、前記それぞれの糸条に分繊するこ
とを特徴とする波形状ケン縮糸の製造方法であ
り、かかる本発明により得られる糸を用いうれ
ば、一般にイラツキのないブークレー調の梨地表
面効果やドレープ性の風合にすぐれた布帛を実現
できる波形状ケン縮糸を極めて合理的に得ること
ができるものである。

以下、図面等に基づき更に詳しく本発明につい
て説明をする。

本発明の波形状ケン縮糸の製造方法は、第１図
に工程概略の１例を示した如く、延伸されてなる
熱可塑性合成フイラメント糸条１，２にそれぞ
れ、流体交絡処理ノズル３，４にて流体交絡処理
を行ない、しかる後、フイードローラ５へ供給
し、さらに引揃えた状態で加ネン域中の合流ガイ
ド７で合流せしめ、仮ヨリ装置８にて加ネンし、
熱板６で熱固定を行ない解ネン後、デリベリーロ
ーラ９より引き取る。そして該フイラメント糸条
１，２を機上分繊してそれぞれ１０，１１のチー
ズに巻き上げる工程によつて波形状ケン縮糸が製
造されるものである。

該工程に供給するフイラメント糸条は、未延伸
糸、半延伸糸、延伸糸あるいは素材、品種等には
特に制限はなく、異なる糸条どうしの組み合わせ
よりも同じ糸使いの方が本発明の効果を大きく得
ることができる好ましい用い方である。次に第１
図に示した工程において採用される加工条件の具
体例についていえば、流体交絡処理はインターレ
ースノズル等を用いて、熱可塑性合成フイラメン
ト糸条の糸長手方向にそつて部分的に規則的ある
いは不規則的に交絡部を形成せしめるもの、すな
わち実質的に間歇的に交絡部を形成せしめるもの
が好ましいものである。そして該流体交絡処理条
件において、該フイラメント糸条は元ヨリを有す
る生糸（ナマイト）である場合が実際的である
が、そのような場合、処理張力は低め、流体圧力
が流量は大きい方が、強い交絡部を得ることがで
きることから、本発明の効果を大ならしめるもの
である。そして、本発明の方法では、それぞれの
糸条に対する流体交絡処理は、フイードローラの
上流においてなされるため、それら糸条には仮ヨ
リ加ネンヨリが挿入されていない状態で流体交絡
処理がなされるものであり、流体交絡処理効果は
高く、また、後に各糸条に分繊されるに際しても
良好な分繊性を示すことになる。合流態様は、該
フイラメント両糸条が実質的に同一張力でガイド
等を介して合流され両糸条が１糸条として加ネン
を施されながら合流せしめられることが肝要であ
り、仮りに明らかな張力差があれば、合流点での
撚回開始位置が変化し、一方の糸条が他方の糸条
へ巻き付くために本発明の効果は小さいものかあ
るいは実質上完成されないものとなる。さらには
分繊加工性も低下するのである。よつて両糸条は
同一張力で合流させることが最も好ましいのであ
る。合流点の位置は冷却域や供給減を含むあらゆ
る仮ヨリ加ネン域中であれば、仮ヨリ装置からフ
イードローラ間のいずれであつてもよいが、本発
明者らの知見によれば第１図に示した如く両糸条
が熱板を通過した直後が本発明の効果を大ならし
める最も好ましい領域のようである。仮ヨリ条件
についていえば、一般にセツト温度が高く、仮ヨ
リ数が多く、加ネン張力の高い方が、仮ヨリ加ネ
ンによるヨリ賦形度合を強めることができるの
で、波形状ケン縮効果が大きくなり、機上分繊加
工性も向上する。仮ヨリ加工後は、そのままのウ
ーリタイプであるいは再熱セツトタイプとした後
で、分繊加工を行なうのであるが、波形状ケン縮
効果や流体交絡処理効果の大きい方が分繊加工性
は向上する。再熱セツトタイプにすることは、該
ケン縮糸の仮ヨリ残留トルクの軽減や風合の改善
等はもちろんであるが、分繊加工性の向上にも大
きく影響するものであり、好ましい用い方でもあ
る。

本発明の方法によつて好ましく得られる波形状
ケン縮糸について一般的に説明するならば、糸長
手方向にそつて部分的に規則的あるいは不規則的
に強い集束部と開繊部を交互に有し、そのうえに
仮ヨリ加ネン時に賦形された波形状ケン縮を有し
た外観を呈している。一般に集束部は極めてピツ
チの短かい実ヨリが挿入されており、開繊部を融
て相反する方向の実ヨリが挿入されておりＳ、Ｚ
の交互ヨリを形成している。

波形状ケン縮はこの交互ヨリが付与された上に
賦形されているものであり、二重の構造から成つ
ている。糸特性において残留トルクは比較的小さ
く、伸縮性も低く、製編織工程の通過性に優れて
いるものである。該ケン縮糸を布帛に供すること
によつて、波形状ケン縮形態や部分的な集束部−
開繊部が相重なつてイラツキのないブークレータ
ツチを有する梨地表面効果を形成するので、複雑
な外観とブークレータツチのある高品質の製品を
得ることができ、ケン縮形態の発現性等から織物
より編物の方がより効果が出やすいといえるもの
である。

次に本発明の波形状ケン縮糸の製造方法を実施
例によつて説明する。

実施例 ポリエステルフイラメント糸50デニール24フイ
ラメント糸を２本用いて、それぞれにインターレ
ーサーで流体交絡処理を圧力３Kg／cm²、張力２ｇ
で行ない間歇的に交絡部を形成せしめ、しかる後
両フイラメント糸を引揃えながらフイードローラ
に供給し、熱板通過直後の冷却域にてガイドを介
して合流せしめ、仮ヨリ数2800T／ｍ、セツト温
度225℃、加ネン張力10ｇにてＳ方向に仮ヨリ加
工し、さらに分繊しながらチーズに巻き上げたと
ころ、伸縮復元率12.1％、残留トルクヨリ数
28T／50cmの波形状ケン縮糸を得ることができ
た。そして該ケン縮糸を27G天竺にて編成し、温
水処理を施したところ、ブークレー調の梨地表面
効果およびドレープ性の風合に優れた、波形状ケ
ン縮糸による高品質の編地を得ることができた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の波形状ケン縮糸の製造方法の
工程概略の１例を示したものである。 １，２：熱可塑性合成フイラメント糸条、３，
４：流体交絡処理ノズル、５：フイードローラ、
６：熱板、７：合流ガイド、８：仮ヨリ装置、
９：デリベリローラ、１０：１１：巻取りチー
ズ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 同種あるいは異種の熱可塑性合成フイラメン
   ト延伸糸条の２糸条以上を用い、それぞれの糸条
   に対して仮ヨリ加ネンヨリが挿入されていない状
   態でそれぞれ別個に流体交絡処理を施した後、加
   ネン域中にてそれら各糸条を引揃え合流せしめ
   て、加ネン−熱固定−解ネンの仮ヨリ加工を施し
   て後、さらに、前記それぞれの糸条に分繊するこ
   とを特徴とする波形状ケン縮糸の製造方法。 ２ 仮ヨリ加工後、再熱セツトすることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項記載の波形状ケン縮糸
   の製造方法。