JPS6247103Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、カレンダー時計の改良に関する。

カレンダー時計においては、従来より暦車の駆
動に種々の方法が提案されてきたが、駆動機構の
簡素化、コストダウン、薄型化等から徐々にその
方式が絞られてきている。

第１図は、従来のカレンダー送り機構の要部平
面図、第２図は第１図の要部断面図である。なお
第１図は、一部破断線で部品を破断して、下の部
品を見易くしている。カレンダー保持板２と日板
押エ３は、時計用基板１に対して３本のネジ８
（図では２本のみ示す）によつて重ねてネジ止め
される。暦車である日車４は、平面的には内歯４
ａがカレンダー保持板２の突起２ａに係合し、断
面的にはカレンダー保持板２と日板押え３の間に
内歯４ａが回転可能に挾持されている。

日車４は、カレンダー保持板２上に配設される
躍制レバー７によつて内歯４ａを位置決めされて
いる。プラスチツク材料より構成されている暦車
駆動車５は、該暦車駆動車５の駆動手段である筒
車６の暦車駆動筒歯車６ａと１：２の歯数比で噛
合する歯車部５ａ、時計用基板１の孔１ａに軸支
される回転中心軸５ｅ、および曜送りツメ５ｆを
有し、歯車部５ａをカレンダー保持板２と日板押
エ３の間に回転可能に挾持され、カレンダー保持
板２に設けられた孔２ｂ内に収容されている。

また前記歯車部５ａの一部は、弾性部５ｂを構
成しており該弾性部５ｂの先端部に位置する歯形
５ｃには、平面方向に突出した日送りツメ５ｄが
形成されている。該日送りツメ５ｄは、暦車駆動
車５の回動によつて、日車４の内歯４ａに係合す
る。弾性部５ｂの一部には突起５ｇが形成されて
おり、該突起５ｇは暦車駆動車５の回動によつ
て、カレンダー保持板２の孔２ｂの外周形状の一
部を構成している突出部２ｃに係合する。

ところで、上記のように暦車駆動筒歯車６ａに
噛合する暦車駆動車５の歯車部５ａの一部で日送
りツメ５ｄを構成し、該日送りツメ５ｄにより直
接日車４を送る機構においては、単に日送りツメ
５ｄのみを設けても、該日送りツメ５ｄを次に送
られるべき内歯４a′一枚のみと係合させることは
できず、前述のように暦車駆動車５の突起５ｇを
カレンダー保持板２の突出部２ｃに係合させて、
弾性部５ｂがたわむように規制することにより、
日送りツメ５ｄが次に送られるべき内歯４a′の前
の内歯４a″と係合することを回避させる処置が必
要となる。

しかしこの構成によると、日車４と時計用基板
１との間に、カレンダー保持板２の突出部２ｃを
形成するための断面的なスペースが必要となるた
めに、時計の薄型化ができない。また水晶時計に
おいては、筒車６からカレンダー送り機構に伝達
されるトルクは、機械式時計の場合よりも小さく
なつているために、弾性部５ｂをたわませるのに
要する負荷も小さく抑えておきたいが、一方では
日送りツメ５ｄと前述の内歯４a″との係合を回避
するためには安全量、すなわち弾性部５ｂのたわ
み量は大きくとらねばならず、この結果、弾性部
５ｂをたわませるための負荷が大きくなつてしま
うという欠点があつた。

本考案の目的は、上記の従来技術の欠点を解消
し、時計を薄型化できるとともに、カレンダー送
り時の負荷も最小限に抑えることのできるカレン
ダー送り機構を、簡単な構成によつて実現するこ
とにある。

以下、本考案の実施例を図面に従つて説明す
る。

第３図は、本考案の１実施例平面図、第４図は
第３図の要部断面図である。なお第３図において
は、一部破断線で部品を破断して下の部品を見易
くしている。

カレンダー保持板１２と日板押エ３は、時計用
基板１に対して３本のネジ８（図では２本のみ示
す）によつて重ねてネジ止めされる。暦車である
日車４は、平面的には内歯４ａがカレンダー保持
板１２の外周部１２ａに係合しており、また断面
的には時計用基板１と日板押エ３の間に内歯４ａ
が回転可能に挾持されている。なお日車４は、カ
レンダー保持板１２内に配設される躍制レバー７
によつて内歯４ａを位置決めされている。

プラスチツク材料より構成されている暦車駆動
車１５は、該暦車駆動車１５の駆動手段である筒
車６の暦車駆動筒歯車６ａと１：２の歯数比で噛
合する歯車部１５ａ、時計用基板１の孔１ａに軸
支される回転中心軸１５ｅ、および曜送りツメ１
５ｆを有し、歯車部１５ａを時計用基板１と日板
押エ３の間に回転可能に挾持され、カレンダー保
持板１２に設けられた切欠部１２ｂ内に収容され
ている。また前記歯車部１５ａの一部は、弾性部
１５ｂを形成しており、該弾性部１５ｂの先端部
に位置する歯形１５ｃには、平面方向に突出した
日送りツメ１５ｄが形成されている。該日送りツ
メ１５ｄは、暦車駆動車１５の回動によつて、カ
レンダー保持板１２の切欠部１２ｂの外周形状の
一部を構成している突出部１２ｃおよび日車４の
内歯４ａに順次係合する。

12時間に１回転する筒車６の回転は、暦車駆動
筒歯車６ａと歯車部１５ａとの噛合によつて、暦
車駆動車１５に24時間に１回の回転として伝達さ
れる。

ところで、日送りツメ１５ｄがカレンダー保持
板１２の突出部１２ｃのところまで回動し、該突
出部と係合すると、弾性部１５ｂが平面的に弾性
変形させられる。従つて、この弾性変形のない通
常の日送りツメ１５ｄの位置を仮定した場合に
は、該日送りツメが次に送られるべき内歯４a′の
前の内歯４a″と係合してしまうことになるが、前
記弾性変形のために上記の内歯４a″との係合を回
避できる位置まで日送りツメ１５ｄが回転中心軸
１５ｅ方向に後退するように規制されることにな
る。さらに暦車駆動車１５が回動して、日送りツ
メ１５ｄと突出部１２ｃとの係合が終ると、弾性
部１５ｂが復元して日送りツメ１５ｄは通常の状
態へ復帰する。さらに回動すると日送りツメ１５
ｄと次に送られるべき内歯４a′とが係合し、日車
４は回転され、内歯４ａの１ピツチ分回動した状
態に躍制レバー７によつて安定させられる。すな
わち日車４は24時間に１回、内歯４ａの１歯分が
送られることになる。

以上に述べた如く本考案よれば、カレンダー部
を薄型化できるとともに、カレンダー送りの負荷
すなわち弾性部１５ｂを変形させるための負荷も
最小限に抑えることのできるカレンダー送り機構
を、しかも非常に簡単な構成によつて実現するこ
とが可能となる。すなわち本考案においては、暦
車駆動車を載置している時計基板に対しては、孔
１ａを設けるだけでよいために、地板等の時計基
板の構造も簡素化されることになり、薄型化傾向
にある水晶時計本体の構造上での効果は大きい。
また本考案は第５図、第６図に他の実施例として
示すような構成とすることにより、更に大きな効
果を引き出すことができる。

第５図は、本考案の他の実施例の平面図、第６
図は第５図の要部断面図である。第５図では一部
破断線で部品を破断し、下の部品を見易くしてい
る。プラスチツク材により形成されるカレンダー
保持板２２は、図示されてない結合手段により時
計用基板１に結合されており、日板押エ３はカレ
ンダー保持板２２に形成された突部２２ｄにいわ
ゆる熱カシメを加えることにより、該保持板に固
定されている。

暦車である日車４は、平面的には内歯４ａがカ
レンダー保持板２２の突出部２２ａに係合し、断
面的にはカレンダー保持板２２と日板押エ３の間
に内歯４ａが回転可能に挾持されている。日車４
は、カレンダー保持板２２上に配設される躍制レ
バー７によつて内歯４ａを位置決めされている。

プラスチツク材料によつて構成される暦車駆動
車２５は、該暦車駆動車２５の駆動手段である筒
車６の暦車駆動筒歯車６ａと１：２の歯数比で噛
合つている歯車部２５ａ、カレンダー保持板２２
に形成された軸２２ｅに回転可能に係合している
孔２５ｈ、および曜送りツメ２５ｆを有し、歯車
部２５ａをカレンダー保持板２２と日板押エ３の
間に回転可能に挾持され、カレンダー保持板２２
の凹部２２ｂに収容されている。また前記歯車部
２５ａの一部は、弾性部２５ｂを形成しており、
該弾性部２５ｂの先端部に位置する歯形２５ｃに
は、平面方向に突出した日送りツメ２５ｄが形成
されている。該日送りツメ２５ｄは、暦車駆動車
２５の回動によつて、カレンダー保持板２２の凹
部２２ｂに形成されている突出部２２ｃおよび日
車４の内歯４ａに順次係合する。

その他の構成および作用は、前述の実施例の場
合と同様である。

以上に示したように本実施例は、暦車駆動車２
５と時計用基板１との係わりを全くなくしたもの
である。特に水晶時計においては、小型化、薄型
化のために、コイルが配設されている領域では時
計用基板が切り欠かれる傾向が強く、その場合に
は時計用基板１と暦車駆動車２５とのかかわりを
なくした本実施例の構成は、特に有効である。し
かも本実施例の場合には、カレンダー送り機構を
カレンダー保持板へ組込むことが可能であるため
に、カレンダー送り機構のブロツク化に関しても
効果が大きい。

本考案においては暦車の内周に係合して回転案
内を行うカレンダー保持板自体に設けたカム形状
部で、暦車駆動車に設けた送り爪の先端部を直接
押して出入りさせるようにしたので、まとめると
下記の効果を有する。

(1) 同一部材に暦車の案内面と送り爪のカム面を
設けたので暦車の歯と送り爪との形状の相対精
度が向上し、弾性部の橈みとそれによる負荷を
従来例より小さく設定できた。

(2) 送り爪の歯先で直接位置規制を行うので、従
来の弾性部の他の部分で位置規制を行う構成に
比し送り爪の歯先の軌跡の設計値に対する誤差
を減少せしめ、前項の効果と相まつて更に弾性
部の橈みとそれによる負荷を小さく設定でき
た。

(3) 送り爪のカム面をカレンダー保持板以外の他
部品に設けた従来構造に比し、時計の簡素化、
薄型化やカレンダー機構のブロツク化につなが
る設計上の自由度を増すことができた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のカレンダー送り機構の平面
図、第２図は第１図の要部断面図、第３図は、本
考案の１実施例によるカレンダー送り機構の平面
図、第４図は第３図の要部断面図、第５図は本考
案の他の実施例の平面図、第６図は第５図の要部
断面図である。 １２，２２……カレンダー保持板、１２ｃ，２
２ｃ……突出部、４……日車、１５，２５……暦
車駆動車、１５ａ，２５ａ……歯車部、１５ｂ，
２５ｂ……弾性部、１５ｄ，２５ｄ……日送りツ
メ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. カレンダー保持板、該カレンダー保持板に内周
   を案内されて回転する暦車、該暦車に係合する暦
   車駆動車、および該暦車駆動車の駆動手段を少な
   くとも有し、前記暦車駆動車は、前記駆動手段に
   噛合つている歯車部の一部が弾性部として構成さ
   れるとともに、該弾性部の先端に位置する歯形に
   は前記暦車を送るための他の歯よりも長く形成さ
   れかつ前記暦車の歯と噛合う送りツメが形成され
   て成り、かつ前記カレンダー保持板は、前記送り
   ツメの先端部に係合して前記弾性部を弾性変形さ
   せるための突出部を有していることを特徴とする
   カレンダー時計。