JPS6246424B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、易開封性のヒートシール包装容器に
関する。本発明の容器は、内容物を充填してヒー
トシールする際に液かみ状態でシール可能であ
り、シール後に熱水による殺菌ができ、しかも開
封が容易である。

ポリスチレン系の樹脂は一般に透明で成形性が
よい上に廉価なので、種々の物品とくに加工食品
の容器の材料として有用であつて、射出成形、ブ
ロー成形またはフイルムの真空成形などの手段に
より製造した容器が広く用いられている。

しかし、ポリスチレンは他の樹脂との相溶性に
乏しいため、これからつくつた容器の密封のため
のヒートシールは、同種の材料同志の完全融着と
するか、またはホツトメルトやホツトラツカーを
用いるしかなかつた。

完全に融着したシールは、熱水中に容器を漬し
て内容物を殺菌することができ、食品の保存性向
上の点から有利であるが、内容物をとり出そうと
するときには、蓋を切り開かなければならない。
それにはナイフなどが必要であり、面倒な上に危
険を伴い、かつ開封に際して内容物が飛び散つた
りするおそれもある。

一方、ホツトメルトやホツトラツカーなどの接
着剤を使用した場合は、開封は容易であるが、シ
ールに耐熱性がないため、充填後の熱水殺菌がで
きない。従つて食品の包装に用いた場合、常温で
の流通は望めずチルド状態での流通によらざるを
得ない。しかもホツトメルトに用いる材料には低
温脆化の危険もあり、低温における衝撃によりシ
ールが破壊される可能性も考慮に入れなければな
らない。

このようなわけで、ポリスチレン系樹脂を材料
としたヒートシール容器において、シール後の熱
水殺菌が可能であつて、かつ開封の容易なものが
要望されていた。

本発明者らは、このような要望にこたえるた
め、ポリスチレン系樹脂のヒートシールに際して
その融着の程度をコントロールして、耐熱水性は
保持したまま易開封性を実現する手段を追求した
結果、ポリスチレンをブロツクSBRでゴム変性し
た材料がこうした特性を示すことを見出して本発
明に至つた。

本発明の易開封性ヒートシール包装容器は、上
述のブロツクSBRを配合することによりゴム変性
したポリスチレンで容器本体および蓋の両方を形
成するか、またはその少なくとも一方をこの材料
で形成し、他方を他のスチレン系樹脂で形成し、
本体と蓋とをヒートシールして成り、耐熱水性を
保持したまま易開封性を有するものである。

上記のゴム変性したポリスチレンとしては、特
公昭52−32773号公報に記載の方法によつて製造
したものが好適である。その方法は、ポリスチレ
ン50〜95重量部とブロツクSBR50〜５重量部と
を、ブロツクSBRを溶解または膨潤させる有機物
質の存在下に溶融混合することから成る。ブロツ
クSBRは、スチレンが10〜50重量％、好ましくは
20〜45重量％でブタジエンまたはイソプレンが90
〜50重量％、好ましくは80〜55重量％の共重合体
であつて、Ｓ―Ｂ―Ｓ（ここで、Ｓはスチレンの
重合体ブロツクを、またＢはブタジエンまたはイ
ソプレンの重合体ブロツクをそれぞれあらわ
す。）の構造を有することが好ましいとされてい
る。

ポリスチレンのゴム変性の度合は、本発明の容
器の材料に用いる場合にも、おおむね上記したと
ころと同じ割合が適当である。すなわち、ゴム変
性ポリスチレン中のゴム分が５重量％以上ないと
変形の効果が不十分であつて、易開封性のヒート
シールが得られず、一方でゴム分が50重量％にも
達すると過大であつて、ブロツキングが生じ、か
つポリスチレン樹脂としての特性が失なわれる。
ゴム変性の効果は、ゴム中の「Ｂ」つまりブタジ
エンまたはイソプレンの重合体ブロツクの存在割
合によつても異なるが、好適なポリスチレン／ブ
ロツクSBRの比率は、90〜60／10〜40の範囲内に
ある。

上記の先行技術であるゴム変性ポリスチレンの
製造方法は、もつぱら透明性のすぐれた成形品を
与えるポリスチレン材料を提供する意図の下にな
された発明であつて、特公昭52−32773号には、
ヒートシール特性に関しては全く言及がない。こ
のような材料が易開封性のヒートシールを与える
理由について、本発明者らは、ブロツク共重合体
ゴム中のＢ重合体ブロツクの部分が融着に対して
インヒビターとしてはたらき、ヒートシール強度
を適度に弱めるものと解釈している。

ブロツクSBRでゴム変性したポリスチレンは同
じ材料同志または他のスチレン系樹脂たとえば
GPポリスチレン、HIポリスチレンなどとヒート
シール可能であつて、そのシールは易開封性であ
る。従つて、包装容器を容器本体および蓋の組合
せで構成するとき、少なくともその一方にこの材
料を用いれば、他方は上記したようなスチレン系
樹脂である限り、所期の目的を達成できる。もち
ろん、本体と蓋の両方にこの材料を使つてもよ
い。

このゴム変性したポリスチレンは、単独で、た
とえば射出成形により容器に成形してもよいが、
他の材料と積層してラミネート材にし、その真空
成形などの手段により容器の形状にしてもよい。

積層する他の材料は任意にえらぶことができ、
たとえば強度を得るためには、延伸または無延伸
のポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリ
プロピレンあるいはアルミフオイルなどが使え、
また絞り成形を意図する場合は、無延伸のナイロ
ンやポリプロピレンなどが適当である。２層に止
まらず３層またはそれ以上の積層物も有用なこと
がある。いずれの場合も、ヒートシール面にゴム
変性ポリスチレン層があることが必要である。こ
の条件がみたされる限り、積層する他の材料の種
類およびその組み合わせ方は任意にできる。

上述したことは、容器を構成する他方の材料と
してこのゴム変性ポリスチレン以外のスチレン系
樹脂を用いる場合にもあてはまる。HIポリスチ
レンや延伸ポリスチレンの単層フイルムの使用も
可能であるし、またポリスチレンとポリエチレン
テレフタレートなどの積層物が好ましいこともあ
るが、当業者は適宜に選択できるであろう。

第１図は本発明の一例を示すものであつて、易
開封性ヒートシール包装容器１は、ゴム変性ポリ
スチレンのシートを成形して得た容器本体２に内
容物７を入れ、ポリエチレンテレフタレート層３
ＡとHIポリスチレン層３Ｂとを積層したフイル
ム製の蓋３を、HIポリスチレン層を本体と接し
てフランジ部４においてヒートシールして成る。
蓋３は、その角部に設けた舌片５をひき起すこと
によつて、全部または途中の所望の位置まで引き
剥がすことができる。

また、いま一つの例を示す第２図においては、
本発明の包装容器１は、ゴム変性ポリスチレン層
２Ａと無延伸ポリプロピレン層２Ｂとを積層した
フイルムを成形してつくつた容器本体２に、延伸
ポリスチレンから成形した落し蓋３を、やはり４
においてヒートシールしてある。

以上の例はともにゴム変性ポリスチレンを容器
本体に使用したものであるが、前述のように、こ
の材料を蓋に使用した組み合わせもあり得る。

ヒートシールは、広く用いられている簡単なシ
ーラー、充填シール機、トレーシーラーなど、既
存の設備を利用して、従来のものと同様に行なう
ことができる。シールの温度や圧力などの条件
は、使用した材料やシールに要求される強度にも
とづいて決定すべきである。適切なシール強度
は、場合によつて異なるが、ごく一般的にいえ
ば、JIS P8113に定める方法で測定した接着強度
として、最少500〜700ｇ／15mmから最大1000〜
1200ｇ／15mmの範囲にある。このような強度を与
えるシール温度は、通常170〜200℃、とりわけ
180〜190℃近辺である。

本発明の包装容器は、前述したように液かみヒ
ートシールが可能であり、このシールはホツトメ
ルト接着剤とちがつて、熱水の温度に耐え、かつ
低温脆化のおそれはない。開封に当つては、完全
融着シールではないからナイフなどを必要とせ
ず、シール部に適度の力を加えて引き離すだけで
容易に開ける。従つて、易開封性を要求されるあ
らゆる容器に適用できるが、とくに内容物の充填
後に加熱殺菌を行なう食品、たとえば、ゼリー、
プリン、ジヤム、羊かん、くず餅、漬物、トウ
フ、餅などの容器に適用した場合にその意義が大
きい。

実施例 GPポリスチレンであるエスチレンＧ―15（新
日本製鉄化学工業(株)商品）80重量部と、スチレン
40％のＳ―Ｂ―Ｓ型ブロツクSBRであるタフプレ
ン（旭化成工業(株)商品）20重量部とを、ステアリ
ン酸ブチル４重量部とともに混練し、Ｔダイから
押し出して厚さ120μのシートをつくつた。

このシートの真空成形および打ち抜きによりト
ウフ容器本体をつくり、内容を充填後、ポリエス
テル12μにHIポリスチレンの厚さ60μのフイル
ムをのせて蓋とし、ヒートシールおよび溶断を行
なつた。その際、一隅だけは蓋が本体のフランジ
より張り出して舌片をつくるようにした。

これを、スチームを吹き込んで加熱している熱
水中を約20分間にわたつて通過させて殺菌した。

この包装されたトウフは、常温のまま流通にの
せることができ、かつ上記の蓋の舌片を引くこと
によつて容易に開封し内容物をとり出すことがで
きた。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は、いずれも本発明の易開
封性ヒートシール包装容器の例を示す断面図であ
る。 １……容器、２……容器本体、３……蓋、、４
……フランジ部（ヒートシール）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ブロツクSBRを配合することによりゴム変性
   したポリスチレンで容器本体および蓋の両方を形
   成するか、またはその少なくとも一方を形成し他
   方を他のスチレン系樹脂で形成し、本体と蓋とを
   ヒートシールして成り、耐熱水性を保持したまま
   易開封性であるヒートシール包装容器。 ２ ブロツクSBRがスチレン10〜50重量％好まし
   くは20〜45重量％とブタジエンまたはイソプレン
   90〜50重量％、好ましくは80〜55重量％とのブロ
   ツク共重合体であり、ゴム変性したポリスチレン
   がポリスチレン95〜50重量部、好ましくは90〜60
   重量部に上記ブロツクSBR5〜50重量部、好まし
   くは10〜40重量部をブロツクSBRを溶解または膨
   潤させる有機物質の存在下に溶融混合したもので
   ある特許請求の範囲第１項のヒートシール包装容
   器。 ３ ゴム変性したポリスチレンを他のプラスチツ
   クフイルムまたは金属フオイルと積層して用い、
   ゴム変性したポリスチレンの層をヒートシール面
   とした特許請求の範囲第１項のヒートシール包装
   容器。 ４ 他のスチレン系樹脂を他のプラスチツクフイ
   ルムまたは金属フオイルと積層して用い、他のス
   チレン系樹脂の層をヒートシール面とした特許請
   求の範囲第１項のヒートシール包装容器。 ５ 他のプラスチツクフイルムがポリエチレンテ
   レフタレート、ナイロン、またはポリプロピレン
   のフイルムであり、金属フオイルがアルミフオイ
   ルである特許請求の範囲第３項または第４項のヒ
   ートシール包装容器。