JPS6243718Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、心なし研削盤の基準軸による工作
物の被研削円筒面の研削において、基準軸を位置
決め支持するブレードと、研削円筒面に転接する
調整車との切込み装置に関する。

一般に、第１図に示す小形モータの軸付ロータ
のような工作物Ｗの軸部中心とロータ部中心の同
軸度を必要とする場合、ロータの外径円筒面Ｂの
研削は円筒研削盤によるセンタ支持で研削するこ
とが多い。この場合、センタ支持のため研削剛性
が少なく、切込み速度を小さくする必要があり加
工時間が長くかかり、ローデング装置は複雑なも
のが必要で加工費が高くなる欠点がある。

この考案は、このような工作物Ｗの基準軸Ａを
基準に研削円筒面Ｂの研削を可能にする心なし研
削盤のブレード１と調整車２の切込み送りを一つ
の駆動手段でもつて同時に行う装置を提供するも
のである。そして本考案はといし車と調整車との
間の加工基準面を備えたブレードに工作物の基準
軸を位置決め可能に支持させて、工作物の被研削
円筒面を調整車に転接させて研削し、研削盤ベツ
ド上に摺動するブレード用スライドが配設され、
該スライド上に調整車用スライドを持つ心なし研
削盤において、ベツドの端部に固定部材を固設
し、該固定部材と調整車用スライド間のブレード
用スライド上に軸受部材を固設し、両端部にリー
ドが同一でねじの方向が逆向きのねじ部をそれぞ
れ形成した送りねじ軸を前記軸受部材に設けた穴
内に挿通して、送りねじ軸の中央軸部を該軸受部
材に回転可能に支承させるとともに、前記両ねじ
部を前記調整車用スライドと前記固定部材に設け
た穴内にそれぞれ臨ませ、かつ、該両穴内に回転
可能に支承されたナツトに可回転に係合させ、前
記両ナツトと前記送りねじ軸の軸受部材の穴内に
位置する中央軸部とにそれぞれ被駆動手段を一体
に設け、該各被駆動手段を回転駆動させる駆動装
置を前記固定部材、前記軸受部材および前記調整
車用スライドにそれぞれ装着したことを特徴とす
る心なし研削盤の切込み装置の構成としたもので
ある。

以下、本考案の一実施例を図面にもとづき説明
する。第２図ないし第４図において、４はベツド
で、その上面に工作物Ｗを研削するといし車３と
ベース５が固設されている。７はブレード用スラ
イドで、前記ベース５上に載置され、かつ、該ベ
ース５の上面案内部５ａに沿つて前記といし車３
に対し前後進可能とされている。１０は上面に工
作物Ｗのといし車３に対する切込み調整する調整
車２を固設した調整車用スライドで、前記ブレー
ド用スライド７上に載置され、かつ、該ブレード
用スライドの上面案内部７ａに沿つて前記といし
車３に対し前後進可能とされている。８はブレー
ド１を図示しないボルトで固定したワークレスト
で、前記といし車３と調整車２の間に位置するよ
うに前記ブレード用スライド７上に立設されてい
る。これにより、前記ブレード１は前記といし車
３と調整車２の間に臨むようにされている。６は
前記ベース５の端部に固設された固定部材、９は
該固定部材６と前記調整車用スライド１０間に位
置するよう前記ブレード用スライド７上に固設さ
れた軸受部材である。１１は送りねじ軸で、前記
軸受部材９を挿通し、両端部がそれぞれ前記調整
車用スライド１０および前記固定部材６に設けた
穴内に臨み、さらに該両端部にはそれぞれねじリ
ードが同一でしかもねじの方向が左右逆の差動ね
じ部１１ａ，１１ｃが所定長さ形成されている。
前記送りねじ軸１１の前記軸受部材９を挿通して
いる中央軸部１１ｂはねじが形成されていない。

前記固定部材６の穴内には、前記差動ねじ１１
ａと同一リードのねじが形成された送りナツト１
６と、該送りナツト１６とボルト等にて一体とさ
れたギヤー１５が嵌挿され、スラスト軸受１７ａ
により前記固定部材６に支承されている。前記送
りナツト１６は前記送りねじ軸１１の差動ねじ部
１１ａと螺合し、前記ギヤ１５は前記固定部材に
固定された送りモータ１３にて回転駆動させられ
るウオーム１４と噛合わされ、該送りモータ１３
の駆動により回転させられる。１８は押え板で、
図示しない予圧調整ボルトによりスライト軸受１
７ｂを介して前記送りナツト１６に適正予圧を与
える。

同様に調整車用スライド１０の穴内には、前記
差動ねじ部１１ｃと同一リードのねじが形成され
た送りナツト２４と、該ナツト２４とボルト等に
て一体とされたギヤ２６が嵌挿され、スラスト軸
受２５ｂにより前記調整車用スライド１０に支承
されている。前記送りナツト２４は前記送りねじ
軸１１の差動ねじ部１１ｃと螺合し、前記ギヤー
２６は、前記調整車用スライド１０に取りつけら
れたハンドル２８の調整車位置決め用のウオーム
２７と噛合わされ、該ハンドル２８の操作により
回転させられる。２２は押え板で、図示しない予
圧調整ボルトによりスラスト軸受２５ａを介して
前記送りナツト２４に適正予圧を与える。

また、送りねじ軸１１の中央軸部１１ｂは、前
記軸受部材９の送りねじ軸１１の挿通穴内に、該
挿通穴両端部に配置したスラスト軸受付ニードル
軸受２３ａ，２３ｂにて支承されている。さらに
前記軸受２３ａ，２３ｂ間の中央軸部１１ｂには
ピニオン２１がキー止めにて一体にされており、
該ピニオン２１は軸受部材９に固定された研削送
りモータ１９により駆動させられる研削送り駆動
手段としてのラツク２０と噛合わされ、該モータ
１９の駆動によるラツク２０の移動により回転さ
せられる。なお、送りナツト１６，２４および送
りねじ軸１１の中央軸部１１ｂの回転伝導は前記
ウオームおよびラツクのほか、チエン伝導等他の
方法によつてもよい。

前記送りねじ軸１１は、中央軸部１１ｂの個所
で分割し、軸接手１２で連結しているが、必要に
より軸接手１２を省き、送りねじ軸１１を一体に
形成してもよい。ただ、この実施例のような軸接
手１２を使用した構成とすれば、軸受部材１９へ
のラツク２０、ピニオン２１、軸受２３ａ，２３
ｂ等の軸受部材９への組込みが容易になる利点が
ある。２９は差動ねじ１１ａの端部を保護するカ
バーである。なお、送りねじ軸１１の他の露出部
分は図示していないが、ジヤバラで保護されてい
る。

また、送りねじ軸１１は、各差動ねじ部１１
ａ，１１ｃをボールねじ軸部とするとともに、前
記送りナツト１６，２４をボールの循還機能を有
するナツトとし、前記ボールねじ軸部とナツト間
に循環可能にボールを介装してなるボールねじの
構成としてもよく、このようにすれば、回転トル
クが小さく高い伝達効率が得られ、送りねじ軸１
１の送り精度が向上する。

本考案は、以上のような構成であつて、以下作
用について説明する。

ブレード１の加工基準面１ａと１ｂに工作物Ｗ
の基準軸Ａ，Ａを位置決め可能に支持する。つぎ
に、調整車用スライド１０に取りつけたハンドル
２８を回転させてピニオン２７、ギヤー２６を介
してナツト２４を回転させ調整車２を工作物Ｗの
研削する円筒面Ｂに転接するよう位置調整を行な
う。その後、研削送りモータ１９の駆動によりラ
ツク２０、ピニオン２１を介して送りねじ軸１１
の差動ねじ部１１ｃを回転させブレード用スライ
ド７と調整車用スライド１０の研削切込み送りを
行う。この場合、ブレード用スライド７は、送り
ねじ軸１１の差動ねじ部１１ａの回転により、送
りナツト１６を基準にといし車３側に切込み送り
がなされ、同時に、調整車用スライド１０は送り
ナツト２４によつて同じくといし車３側に切込み
送りが行なわれる。このことは、ブレード用スラ
イド７上のブレード１と調整車用スライド１０上
の調整車２の切込み送りが同時になされることを
あらわしている。この両者の切込み量は、第４図
で明らかである。すなわち、実線は工作物Ｗの研
削開始時、一点鎖線は工作物Ｗの研削完了時のブ
レード１と調整車２の切込位置をそれぞれ表わし
たものであるが、ブレード１の切込み送り量αと
調整車２の切込み送り量βはβ＝２αの関係にな
ければならず、かつ、この二つの切込みは同時に
行なわれなければならない。

この考案の構成においては、送りナツト１６と
螺合するブレード１の切込み送り用の差動ねじ部
１１ａと、送りナツト２４に螺合する調整車２の
切込み送り用の差動ねじ部１１ｃは、それぞれね
じの方向が反対でねじのリードは同一であるから
ブレード用スライド７の切込み量に対し調整車用
スライド１０の切込み量は２倍になる。すなわ
ち、ブレード１の切込み量αと調整車２の切込み
量βがβ＝２αを満足し、基準軸Ａによる研削円
筒面Ｂの切込み送りを一挙に解決することができ
る。

研削完了後は、研削送りモータ１９の逆転によ
り、切込み送りと逆方向にブレード用スライド７
と、調整車用スライド１０が同時に１：２の比で
所定の位置に後退する。調整中位置決め用のウオ
ーム２７のハンドル２８は、調整車２の摩耗時の
補正にも利用し、といし車３の摩耗時の補正や、
といし車交換等の段取り替えにおいては、送りモ
ータ１３の駆動によりウオーム１４およびギヤー
１５を介して、ブレード用スライド７を摺動させ
て行なう。

このように本考案は、軸付ロータにみられる基
準軸による円筒面の研削は、軸と研削円筒面との
関係を常に保ちながら、研削切込みが行なわれる
から、円筒研削盤におけるセンタ穴の加工や煩雑
な工作物の取付け、取外しの動作が無用で、研削
剛性がそこなわれることなく、心なし研削盤の従
来の一般的なローデング装置で自動化が計れ、加
工能率の向上と、基準軸に対する研削円筒面の同
軸度が必然的に得られその奏する効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は工作物の一例を示す正面図、第２図は
本考案の実施例で心なし研削盤の正面図、第３図
は第２図のＸ−Ｘの縦断面の拡大図、第４図は研
削切込み時のブレードと調整車の関係を示す図で
ある。 １……ブレード、２……調整車、３……といし
車、４……ベツド、６……固定部材、７……ブレ
ード用スライド、９……軸受部材、１０……調整
車用スライド、１１……送りねじ軸、１１ａ，１
１ｃ……差動ねじ部、１１ｂ……中央軸部、１
４，２７……ウオーム、１５，２６……ギヤー、
１６，２４……送りナツト、２０……ラツク、２
１……ピニオン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. といし車と調整車との間の加工基準面を備えた
   ブレードに、工作物の基準軸を位置決め可能に支
   持させて、工作物の被研削円筒面を調整車に転接
   させて研削し、研削盤ベツド上に摺動するブレー
   ド用スライドが配設され、該スライド上に調整車
   用スライドを持つ心なし研削盤において、ベツド
   の端部に固定部材を固設し、該固定部材と調整車
   用スライド間のブレード用スライド上に軸受部材
   を固設し、両端部にリードが同一でねじの方向が
   逆向きのねじ部をそれぞれ形成した送りねじ軸を
   前記軸受部材に設けた穴内に挿通して、送りねじ
   軸の中央軸部を該軸受部材に回転可能に支承させ
   るとともに、前記両ねじ部を前記調整車用スライ
   ドと、前記固定部材に設けた穴内にそれぞれ臨ま
   せ、かつ、該両穴内に回転可能に支承されたナツ
   トに可回転に係合させ、前記両ナツトと前記送り
   ねじ軸の軸受部材の穴内に位置する中央軸部とに
   それぞれ被駆動手段を一体に設け、該各被駆動手
   段を回転駆動させる駆動装置を前記固定部材、前
   記軸受部材および前記調整車用スライドにそれぞ
   れ装着したことを特徴とする心なし研削盤の切込
   み装置。