JPS6218329Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はタツプおよびドリルまたはリーマを備
えた加工ヘツドの改良に関する。

従来のこの種の加工ヘツドはヘツド本体にタツ
プおよびドリルを回転自在に支持している。ドリ
ルの切削送り速度とタツプの切削送り速度とはド
リルの切削条件の制約から異なるのが通常であ
り、したがつてタツプおよびドリルに関して、同
一加工ヘツドによる同一加工は困難である。

ここに本考案の目的の１つの加工ヘツドにタツ
プおよびドリルまたはリーマを支持し、それらを
同時に働かせうる加工ヘツドを提供する点にあ
る。

上記目的のもとに本考案はヘツド本体にドリル
用のスピンドルを回転自在に支持するとともに、
このヘツド本体に対しタツプ用のスピンドルをサ
ポートにより加工ヘツドの進退方向に対し移動可
能な状態で支持し、ドリルの送り量とタツプの送
り量とが異なつていても、不都合が生じないよう
にしている。

以下、本考案を図に示す一実施例にもとづいて
具体的に説明する。

まず第１図は加工ヘツド１の取付状態を示して
いる。加工ヘツド１はスライドテーブル２の前面
に取付けられており、このスライドテーブル２は
スライドベース３の上面に進退可能な状態で置か
れている。このスライドテーブル２はこれとスラ
イドベース３との間に設けられたシリンダ４によ
り進退方向に駆動される。なおスライドテーブル
２の前進限はスライドベース３に取付けたストツ
パ５により規制されている。

次に第２図は本考案の加工ヘツド１の内部を示
している。この加工ヘツド１はヘツド本体６にド
リル用のスピンドル７を回転自在に支持し、この
スピンドル７を上記ヘツド本体６に取付けたドリ
ル駆動用のモータ８で駆動するとともに、上記ヘ
ツド本体６に対しサポート９をスライドテーブル
２の進退方向に相対移動自在に設け、このサポー
ト９のナツト１０に進退自在のタツプ用のスピン
ドル１１の親ねじ１２を螺合させ、このスピンド
ル１１をタツプ駆動用のモータ１３により駆動す
るように構成してある。ここで親ねじ１２のリー
ドはタツプ３５のリードと同一である。

ヘツド本体６は全体として箱状に構成されてお
り、そのボス１５の部分で複数のスピンドル７を
軸受１４により回転自在に支持している。スピン
ドル７はその先端のソケツト１６の部分でドリル
１７を固定しており、また後端部分でギヤ１８を
固定している。そしてドリル駆動用のモータ８は
ヘツド本体６の背面側に取付けられており、その
モータ軸１９は軸受４５で支持され、ギヤ２０お
よびポンプ２１を駆動する。このギヤ２０はギヤ
２２，２３，２４によりスピンドル７のギヤ１８
を駆動する。なおこれらのギヤ２２，２３，２４
はそれぞれ中間軸２５，２６によりヘツド本体６
に対し軸受２７，２８により回転自在に支持され
ている。

また上記ヘツド本体６はその一部でボス２９を
一体的に構成しており、このボス２９はシリンダ
として作用し、これに対しサポート９はピストン
としてそれに摺動自在に嵌り合つており、これら
は、付勢手段を構成している。そして配管３０を
通じて油または空気がボス２９の内部に送り込ま
れている。サポート９はその前面の部分でホルダ
３３を固定し、これと一体的なナツト１０により
親ねじ１２を介してタツプ用のスピンドル１１を
回転および進退自在に支持している。スピンドル
１１は前端部分でタツプホルダ３４によりタツプ
３５を支持しており、またその後端部分のスプラ
イン３６は駆動軸３７に結合している。なおボス
２９はその側方部分でガイドバー３８を進退自在
に支持している。このガイドバー３８はサポート
９に取付けられ、先端でワーク取付用ジグの枠３
９に取付けられたストツパ４０に対向し、かつド
グ４１はヘツド本体６に取付けられたリミツトス
イツチ４２と対応している。ストツパ４０には、
ガイドバー３８の密着を検出するとともに、切粉
などの異物の清掃を兼ねた空気孔３１が穿設さ
れ、その開口端はガイドバー３８の先端に対応し
ている。この空気孔３１は配管３２により空気源
に接続されている。またタツプ用のモータ１３は
ヘツド本体６の背面側に取付けられており、その
モータ軸４３は軸受４６に支えられてギヤ４４を
駆動する。このギヤ４４はギヤ４７，４８……５
２により駆動軸３７のギヤ５３に回転を伝達す
る。これらのギヤ４７，４８……５２はそれぞれ
中間軸５４，５５，５６に取付けられ、軸受５
７，５８，５９によりヘツド本体６に回転自在に
支持されている。また駆動軸３７はギヤ５３を固
定した状態で軸受６０によりヘツド本体６に対し
て回転自在に支持されている。

次に動作を説明する。矢印方向にそつて送られ
てきた被加工物すなわちワークＷはドリル１７お
よびタツプ３５と対向する位置で停止し、図示し
ないクランプ装置により保持される。この状態で
送り用のシリンダ４はスライドテーブル２を後退
限から早送り速度で前進させ、ワークＷの直前で
切削送り速度に変換した状態で加工ヘツド１を前
進させる。この間にドリル用のモータ８はドリル
１７を回転させているから、ドリル１７はスライ
ドテーブル２の切削送り速度にもとづいてワーク
Ｗにドリル加工をする。一方、ヘツド本体６の前
進中に、ガイドバー３８がストツパ４０に当接
し、同時にリミツトスイツチ４２がオンになり、
モータ１３を始動させる。この時点からタツプ３
５は所定の速度で回転し、ワークＷにねじを切り
はじめる。ここで何らかの異常によりガイドバー
３８の先端がストツパ４０に密着しない場合は、
図示しない圧力検出手段によつて加工は停止され
る。また加工途中にあつても下孔不良やタツプ３
５の切損によつて異常な過負荷がスピンドル１１
に加えられた場合も、同様に加工は停止される。

一方、サポート９は加工ヘツド１の前進にも拘
らず、ヘツド本体６に対し相対的に矢印方向に摺
動させられ、ワークＷに対し停止している。タツ
プ３５は親ねじ１２のリードによつてのみ送ら
れ、ドリル１７は加工ヘツド１の送りによつて最
適な切削送り速度で加工を行つている。ここでス
プライン３６はサポート９とヘツド本体６との間
の相対運動を許容しつつ駆動軸３７の回転のみを
スピンドル１１に伝達する。

この間配管３０により圧送されてきた液体ある
いは気体により、サポート９はタツプ３５に一定
の推力を与え続けている。このようにしてドリル
１７およびタツプ３５は孔あけおよびねじ切り加
工を同時に進めて行く。ドリル１７およびタツプ
３５の進入量はスライドベース３に設置された図
示しないドグおよび検知手段によつてそれぞれ規
制されている。

ドリル１７およびタツプ３５の加工が同時ある
いは時を異にしてすべて完了したとき、スライド
テーブル２は加工ヘツド１を早戻り状態で後退さ
せるとともに、スピンドル１１をモータ１３によ
り急速逆転させてタツプ３５を抜き出す。この間
においてもドリル１７は正転状態にあつて回転し
ながら抜き出ることになる。そしてこのときスピ
ンドル７，１１の後退速度は相違するが、その速
度差はサポート９とボス２９との摺動により吸収
される。

なお上記実施例はスピンドル７にドリル１７を
固定しているが、このドリル１７はリーマなどで
置き代えることもできる。またサポート９は圧力
源によらないでスプリングなどを利用してサポー
ト９に一定の推力を与えるようにしてもよい。さ
らにワークＷは図示のように１個に限らず、２個
とし、その一方のものについてねじ切り作業を
し、かつ他方のものについて孔の加工をするよう
にしてもよい。

本考案は下記の特有の効果をもたらす。

(1) ねじ切り加工と孔あけ加工が同時に行なえる
ため、加工時間が短縮し、作業能率が向上す
る。

(2) 複数のスピンドルが１つのヘツド本体に組み
込めるため、装置が小さくなり、また、一つの
加工ヘツドで２個のワークを一方はドリル加工
で、他方はタツプ加工を別々の駆動でしかも同
時に行えるので、ワーク間をつめて搬送するこ
とができ、つまりワーク間のピツチが小さく設
定でき、ワーク搬送装置の床面積の縮少化およ
び装置の小型化が実現できる。

(3) ヘツド本体に対し、サポートが摺動自在に支
持されているため、ドリル用のスピンドルとタ
ツプ用のスピンドルとの送り速度が相互に無関
係となるため、いずれの側の送り速度も最適値
に設定することができる。またいずれの加工が
先に完了しても、別々に加工が続行でき、一方
の加工はその終了時点で停止して、他方の加工
はその完了を待つことになるから、両加工は加
工サイクルを合わせることができ融通性のある
状態で進められる。また別々の送り駆動ができ
るため、孔深さなどの精度を不要とするドリル
加工に対し、精度を要するタツプ側の加工の精
度を向上させることができる。

(4) また、ワークによつては、いずれか一方の加
工のみ必要とする場合にも、例えばストツプ位
置を変えることによつて、選択的に一方の加工
のみを行うことができるため、汎用性があり、
この場合もワークをつめて搬送することができ
る。

(5) タツプ用のスピンドルのストロークはタツプ
加工にのみ必要な送り量によつて決定され、タ
ツプ用のスピンドルのヘツド本体に対する絶対
的なストロークが短くなり、それだけタツプ用
のスピンドルのオーバーハング量が短かくで
き、しかもその剛性が高められる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の加工ヘツドの取付状態を示す
一部破断側面図、第２図は本考案の加工ヘツドの
水平断面図である。 １……加工ヘツド、６……ヘツド本体、７……
ドリルまたはリーマ用のスピンドル、８……ドリ
ル駆動用のモータ、９……サポート、１０……ナ
ツト、１１……タツプ用のスピンドル、１２……
親ねじ、１３……タツプ駆動用のモータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 進退可能なヘツド本体に回転自在に支持された
   ドリルまたはリーマ用のスピンドルと、上記ヘツ
   ド本体に取付けられかつ上記スピンドルを駆動す
   るドリル駆動用のモータと、上記ヘツド本体に上
   記進退方向に移動自在に設けたサポートと、この
   サポートのナツトに進退自在に螺合された親ねじ
   を有するタツプ用のスピンドルと、このスピンド
   ルを駆動するタツプ駆動用のモータと、上記サポ
   ートに取付けられたガイドバーと、このガイドバ
   ーの先端側に対向して配置されたストツパと、上
   記サポートに先端側への付勢力を与える付勢手段
   とを具備し、前記タツプは、ガイドバーがストツ
   パに当接した状態で親ねじのリードによつてのみ
   送られ、かつドリルはヘツド本体の送りによつて
   送られるよう構成されたことを特徴とする加工ヘ
   ツド。