JPS6243501Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はミシンによつて縫製する分野で利用さ
れる。即ち本考案は通常の直線縫いミシンに簡単
なアタツチメントを設けることで、送り歯によつ
て直線方向前方に送り出すようにした布地を、針
穴左方の適宜の定点を回転中心として回動させる
ことにより所望のスカラツプステツチを施すよう
にしたミシンにおける円形状の送り装置に関す
る。

〔従来技術〕

ところで、衣服の襟や袖口、その他テーブル掛
けなどの縁飾りとして扇形状の波形模様を施すこ
とは、ミシン針を左右に揺動させるようにしたジ
グザグミシンによつて行いうるのであるが、これ
ではミシン針の最大揺動巾より大きな半径を有す
る扇形模様の縫製を行つたり、円形状に連続させ
る縫製は望めないのである。さらにこのようなス
カラツプ縫いを直線縫いミシンによつて行うには
送り歯によつて布地を前方に送らせる際、当該布
地を円形状に回動させることで行いうるのである
が、かかる作業を迅速に行うにはかなりの熟練を
要するのであり、しかも一定模様の連続縫製を正
確に行うことは困難である。

そこで縫製時に際して針穴左方の適宜の点を基
準として布を回転させ乍ら前方に送らせるように
したミシンによる飾り縫い器が実開昭49−1159号
公報で提案されているのである。

〔考案の技術的課題〕

ところで、前記公報に示すものは、布抑え体と
して小径の駒状体を用いているばかりか、この抑
え体の外周部が、布抑えとその下方にある布送り
機構の位置から離反しているので、抑え体による
布の送り作用が滑りなどにより不十分となつて正
確かつ確実な円形送りが期待できないのである。

本考案はかかる弊害に対処したもので、布をス
リツプさせることなく所望の円形方向へ確実に送
らせることを目的とするのである。

〔考案の技術的手段〕

かかる技術的課題に対応した本考案のミシンに
よる円形状送り装置は、押え棒の側部に位置する
よう該押え棒にとりつけた案内杆を介して上下動
と左右動が可能なるよう支持杆を縦方向に備えし
め、この支持杆の下端に下圧状態として布地対接
面を粗面とした円板体を回転自在に支持せしめた
構成において、上記円板体を薄板状にて形成する
と共に、該円板体の外周一部を、針穴の左方に位
置する押え金と、その下方の送り歯用の溝穴との
間に介在せしめたことを特徴とするのである。

〔作用〕

上記のような本考案の技術的手段によれば、円
板体とその下方の針板上に形成した送り歯用の溝
穴との間に介在された布地は、押え金により上記
円板体を介して針板面に圧着されることになるの
で、送り歯の運動によつて上記布地を前方に向け
て送り出させると、この送り歯の送り作用は布地
を介して円板体に伝えられることになるのであ
り、従つて該布地は上記円板体における支持杆を
回転中心として円板体と共に回動しながら円形を
画くように誘導されることになつて該円板体の回
転角度に対応した角度範囲にわたる縫製がなされ
るのである。従つて支持杆を左右に移動せしめて
円板体を大小任意にとり替えることにより適宜半
径のスカラツプ模様の縫製をなしうるのである。

〔実施例〕

次に本考案の具体的な実施例を第１〜３図によ
つて説明すると、針板１にはミシン針２の挿通し
うる針穴３と、その左方には送り歯４を臨ませる
溝穴５が前後方向に長溝状として形成され、さら
に針板１の上部には押え棒６により上下動しうる
ようにされた押え金７が支持されていて、この押
え金７により針板１上の布地Ｃを加圧させた状態
で送り歯４による送り作用によつて当該布地を前
方に送り出すようになされているのは従来の直線
縫いミシンと同じである。８は皮革、厚布その他
金属、合成樹脂等の薄板材で形成した円板体で、
該円板体は布滑り止め用の細かい小突起を無数に
設けることにより布地対接面がサンドペーパーの
ように粗面とされているのであり、然してこの円
板体８は上部がわの背面が、上記送り歯４の送り
方向と直交した針穴３を通る基準線−上にお
ける針穴３の左方位置を中心として回転させうる
よう縦方向に支持した支持杆９の下端に回動可能
として軸支され、かつ外周部が上記針穴３の左方
における送り歯４を臨ませるようにした溝穴５上
において上部より押え金７によつて押圧せしめる
ようにされているのである。なお円板体８には背
面に例えば八等分の分割目盛８′を表示しておく
と、この目盛数によつて縫製開始位置の決定およ
び該円板体の回転角度を読みとるのに好都合なら
しめうるのである。さらにこの円板体８は押え棒
６を上昇させたとき同時に上昇させうるよう上記
支持杆を押え棒６の側部に基準線−と平行し
て突出させた案内杆１０に左右動可能に支持せし
めた腕金１１に軸装せしめ、かつ該支持杆９は腕
金１１の上部に施した環具１２により下降を規制
させると共に腕金１１と円板体８との間に介在さ
せたバネ１３により該円板体８を布地対接面に向
けて附勢せしめるようになすのである。

第４，５図は前記円板体８を同芯状に上下対接
させると共に、対接面を粗面となした二枚の円板
体８ａ，８ｂで構成した他の実施例を示すもの
で、即ち一方の上部がわ円板体８ａは支持杆９の
下端に、軸支させるのに対し、下部の円板体８ｂ
は下面がわ中心に遊転自在に突設した芯杆１６
を、針板１の延長側部に位置する滑り板１′にお
ける前記基準線−に沿つて形成した長孔１４
に通挿せしめ、然して上記芯杆１６は支持杆９の
同芯とした直下位置でナツト１５により固定する
のである。なお上記上部がわの円板体８ａは外周
部を溝穴５上に位置させるのに対し、下部円板板
８ｂは第４図のように外周部が該溝穴上に達しな
いよう小径状に形成している。

上記構成によるときは、押え棒６を引き上げる
と、押え金７と共に、案内杆１０、支持杆９を介
して第１〜３図の例では円板体８が、然して第
４，５図の例では上部円板体８ａが上動するので
あり、ここで布ｃを上記上動した円板体と針板１
（第４，５図の例では下部円板体８ｂ）との間に
介在させた状態（第１，４図参照）で縫製作業を
なすと、当該布は送り歯４で前進せしめられる
際、上記円板体８，８ａと共に支持杆９を中心と
する円形方向に送り出されて所望のスカラツプ縫
いを行うるのである。

〔考案の効果〕 前記した本考案の技術的手段によれば、直線縫
いミシンを使用するにかかわらず送り歯によつて
前方に送り出される布地を、針穴左方の所定位置
を中心として回転する円板体により円形を画かせ
るよう強制的に誘導させるようにしたので、適宜
大きさの扇形縫製を波形状に、あるいは円形その
他各種のスカラツプ縫いを行いうるのであるが、
特に本考案によるときは、上記円板体を薄板材で
形成すると共に、その外周部を、針穴の左方に位
置した押え金と送り歯を臨ませる溝穴との間に介
在させるようにしたので、円板体は針穴近くの外
周部が押え金により上方から圧着されることにな
つて前記布に対する円形状の送りを確実かつ正確
に行なわせうるのである。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示し、第１図は要部切欠
正面図、第２図は同平面図、第３図は第１図Ａ〜
Ａ線の断面図、第４図は他の実施例を示す同正面
図、第５図は第４図Ｂ〜Ｂ線の断面図である。 ３は針穴、４は送り歯、５は溝穴、６は押え
棒、７は押え金、８は円板体、９は支持杆。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 押え棒の側部に位置するよう該押え棒にとり
   つけた案内杆を介して上下動と左右動が可能な
   るよう支持杆を縦方向に備えしめ、この支持杆
   の下端に下圧状態として布地対接面を粗面とし
   た円板体を回転自在に支持せしめた構成におい
   て、上記円板体を薄板材にて形成すると共に、
   該円板体の外周一部を、針穴の左方に位置する
   押え金と、その下方の送り歯用の溝穴との間に
   介在せしめたことを特徴とするミシンによる円
   形状送り装置。 (2) 円板体を上下同芯として対接させた二枚の円
   板体で形成すると共に、下部の円板体は左右動
   および遊転可能とし、かつ上部の円板体より小
   径状に形成せしめたことを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第１項に記載のミシンによる円
   形状送り装置。