JPS6243130Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は外周に雄ネジを有するボルトにパネ
ルその他の物体を簡易に着脱可能に固定するため
のプラスチツクで成形したネジ受け留め具、通称
トリムカバーないしトリムクリツプに関する。

この様なトリムカバーは物体を貫通して突出す
るボルトに突出端から軸方向に押込んで取付けを
行い、取付けを外すにはナツトと同様にネジが弛
む方向に回すのであつて、従来は第１〜３図の様
にボルトの山径よりも僅かに直径が大きい中空孔
を有するプラスチツクで成形した筒体１からな
り、筒体１の回りには一つ或いは複数の舌形をし
た係止片２がコ形の切込溝２′で形成され、各係
止片２は内面に中空孔１′の内周を僅かに越えて
孔内に浅く突出するラツク歯３を備え、必要に応
じ筒体の外周からは物体の上面を抑える鍔或いは
腕などの張出片４が張出している。そして、ラツ
ク歯３の歯形は成形時に中空孔１′を成形した芯
型５を軸方向の一方に引抜いて取出すことができ
る様に鋸歯形ないし逆止爪形であり、且つ中空孔
１′の軸方向に対して直交した直線歯である。

一般にボルトのネジは山形の螺旋状であるた
め、物体を貫通して突出するボルトの突出端部か
らこの従来のトリムカバーを軸方向に押込んで物
体をボルトに固定した場合、ラツク歯の歯形はボ
ルトのネジ山と形状が相違し、しかも直線である
ためラツク歯は極く一部でしかボルトのネジと係
合せず、加えて係止片２は三方を切込溝２′で囲
まれて自由端から外方に反ることができるので、
取付時の押込力が小さくて済む利点はあるが、同
時に物体の取付力も弱く、例えば自動車のトラン
クのフイニツシヤを取付けた場合に振動などで取
付けが弛む。

そこで本案は取付時の押込みに力を多少大きく
要するが、取付け力は極めて大きく、弛む虞が全
く無い様にトリムカバーを改良したのである。

第４〜７図は本考案の一実施例を示すもので、
筒体１には一つの係止片２がコ形切込溝２′によ
り形成されているが、この係止片２は自由端を中
空孔１′内に深く突入させて斜めに向き、しかも
その内面２ａは中空孔１′の内周とほゞ同曲率の
凹弧面で、歯３はボルトＢのネジのピツチに合つ
た螺旋状をなし、且つ歯形はボルトのネジに適合
した山形である。

係止片２を上記の様に構成するには、係止片２
と対向する筒体の周側部に窓孔６が開設される様
にし、成形の際に係止片の内面及び歯を成形する
ための中型をこゝから挿入し、成形後に引出せば
よい。換言すれば、係止片２をこの様にするには
中型を出入させるために窓孔６は必然的に形成さ
れるのであるが、同時にこの窓孔６はトリムクリ
ツプを成形するプラスチツクの使用量を節減する
と共に、中空孔内にボルトＢがどれだけ深く突入
したかを目視して確認できる効果を有する。

従つて本考案のトリムクリツプは自由端を中空
孔１′内に深く突入させて斜めになつている係止
片２の向きを弾性に抗してほゞ真直ぐにしながら
ボルトＢに押込まねばならないため、従来のもの
よりも多少大きな押込力を必要とする。しかし、
一旦押込んで取付けると係止片２は弾性復元力で
ボルトの側面を弾圧し、しかもその内面２ａは凹
弧面で、歯３は螺旋状、その上、歯形はボルトの
ネジに適合しているので各歯は夫々ボルトのネジ
にピツタリと係合するため、ボルトにナツトをね
じ込んで締付けたのと同様に強固に物体Ａを固定
することができる。尚、第７図はボルトＢにトラ
ンクのフイニツシヤを取付けた場合を示す。

そして中空孔内には孔内に浅く突入する突起８
を一つ或いは複数個隆設し、係止片の歯と協同し
てボルトのネジに噛合わせる。この実施例では上
記突起８を型７の両側下面と、この型７の下面に
上端を当接して筒体の下端部内面を形成する下部
芯型９の上部側面とで形成する。従つて突起８，
８は夫々係止片２とは円周方向に90゜宛離れて対
向し、軸方向にボルトのネジの1/2ピツチずれて
いる。突起をこの様に形成するには型７の下面に
1/2ピツチのずれを生じさせるために段７′を設
け、型９の上端面には同様に段９′を設けると共
に、高段面と底段面とに上端が開放した爪形の切
込み９ａ，９ｂを型９の対向した側部に設ければ
よい。

これにより、係止片２の内面の歯３と、一つ或
いは複数の突起８でボルトのネジと噛合つてネジ
係合面積を増し、取付け力を増大でき、取付け力
を増大するために筒体の回りに係止片を複数設け
ることにより却つて筒体の強度を低下させるとい
う欠点を無くすることができる。

この実施例では係止片２は上向きに斜立してい
るが、第８図に示した様に自由端を斜め下向きに
しても、第９図に示した様に自由端を円周方向の
一方向に斜めに向かせてもよい。そして実施に際
しては鍔４上には取付けを外すときに手で回すた
めの隆起条１０や、ドライバーの刃先などを入れ
る溝１１を中空孔１′を横切つて設けて置くとよ
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のネジ受け留め具の一半を断面に
した正面図、第２図は第１図の−線の断面
図、第３図は同上の一半を断面にした側面図、第
４図は本考案の留め具の一実施例の要部を断面に
した正面図、第５図は第４図の−線に沿う断
面図、第６図は同上の縦断側面図、第７図は使用
状態の説明図、第８図と第９図は夫々本案の留め
具の他の異なつた実施例の正面図で、図中、１は
筒体、２は係止片、３は歯を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 中空孔を有するプラスチツクで成形された筒体
   を備え、上記筒体の回りにはコ字形の切込溝によ
   り自由端を有する係止片が形成され、該係止片の
   内面には中空孔内に通るボルトのネジに噛む歯が
   設けられているプラスチツク製ネジ受け留め具に
   おいて、 前記係止片は自由端を中空孔内に深く突入させ
   て斜めに設けられ、且つその内面は中空孔ないし
   ボルトの山径と同曲率の凹弧面で、歯はこの内面
   に沿いボルトのネジのピツチに合つた螺旋状に設
   けられていると共に、上記係止片と対向した前記
   筒体の周側部には該係止片と同大の窓孔が形成さ
   れ、且つ筒体の内周には係止片の歯とは別に中空
   孔内に通るボルトのネジに噛合う突起を隆設した
   ことを特徴とするプラスチツク製ネジ受け留め
   具。