JPS6243081Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、各種土木工事等に使用する鋼製足
場板の改良に関するものである。

適当な厚みの鋼板を用い、天板の両側と両端と
に下向きの側壁と、この側壁の下縁から内方に折
曲がる下壁を設けて形成された鋼製の足場板や歩
み板は、耐久性、強度、作業性に優れているた
め、従来の合板足場板にかわつて広く使用される
ようになつている。

上記のような鋼製足場板は、両側に設けた側壁
と下壁によつて長手方向の折り曲げ荷重を支持す
るため、耐折れ曲り強度は優れている。

これに対し、幅方向のねじれ荷重に対しては、
両端部の側壁と下壁のみで対応しなければならな
いため、耐ねじれ強度には比較的弱く、片寄つた
荷重がかかるとねじれが生じ、使用状態が不安定
になるという問題がある。

このため、長手方向に沿う両側下壁の対向位置
を、フラツトバーや鉄筋等の接続部材で連結し、
耐ねじれ強度を向上させようとすることが行なわ
れているが、上記のような構造では、充分にその
目的を達成することができないものである。

即ち、ねじれの防止を行なうには、両側下壁と
接続部材によつて剛性枠を構成しなければならな
いことになる。

しかし、両側下壁の対応位置を単に接続部材で
連結したのでは、両側下壁と接続部材が矩形枠を
形成するだけであり、何ら剛性枠になり得ないた
め、ねじれ荷重の支持機能は発生しないことにな
る。

この考案は、上記のような点にかんがみてなさ
れたものであり、下壁の両側対向を連結する接続
部材と下壁で剛性枠を形成し、耐ねじれ荷重の優
れた鋼製足場板を提供するのが目的である。

この考案の構成は、鋼製足場板の両側下壁にお
ける対向位置に、中央よりも両端が広幅に形成さ
れた接続部材をかけ渡し、接続部材の端部二箇所
ずつ合計四箇所で下壁と溶接により固定化し、下
壁と接続部材でねじれ荷重に対する剛性枠を形成
するようにしたものである。

以下、この考案を添付図面の実施例に基づいて
説明する。

図示のように、鋼製足場板は、等しい長さと幅
に形成された二枚の足場板単体１と１を側面が接
するように並べ、両端部を幅方向に沿う結合部材
２で連結して構成されている。

上記足場板単体１は、適当な厚みの鋼板を用
い、第３図のように、天板３と、この天板３の両
側に設けた下向きの側壁４，４と、両側壁４，４
の下縁から互に相手側へ向けて折れ曲る下壁５，
５と、この下壁５，５の端部から上方に向けて折
曲がる立上り壁６，６を備えた断面形状に形成さ
れ、長手方向の耐折れ曲り強度を向上させてい
る。

前記天板３は長手方向に沿う補強リブ７が下方
に向けて突出するよう折曲げ形成され、しかもこ
の天板３には滑り止用の多数の小突起８が設けら
れている。

結合部材２は、足場板単体１に外嵌する断面コ
字形に形成され、その下壁２ａが足場板単体１に
おける下壁５と５を連結している。

足場板単体１，１において、両側下壁５と５の
対向位置に接続部材１１がかけ渡され、下壁と接
続部材の端部を溶接により固定化することによつ
て、下壁５と５を連結している。

上記接続部材１１は、中央部より両端が広幅に
形成され、両端部におけるコーナ位置Ａの二箇所
が各下壁５，５とスポツト溶接等の手段で固定さ
れ、従つて接続部材１１は合計四箇所が足場板単
体１と固定化され、第２図に一点鎖線で示すよう
に、応力の伝達方向がＸ字型となつて下壁５と５
を連結している。

上記のような接続部材１１と四点固定位置の採
用により、下壁５，５と接続部材１１が剛性枠を
構成し、足場板単体１の両側における長手方向の
移動を完全に拘束し、片寄つた荷重に対するねじ
れの発生を防止することになる。

前記接続部材１１の第２図乃至第４図に示す第
１の例は、両側の下壁５と５に両端が重なる長さ
を備えた一枚の帯状金属板を用い、その両側部分
を中央が最も高くなるように折り曲げて起立壁１
２，１２を設け、中央部が最も狭く両端が広幅と
なる平面形状に形成し、更に中央部長手方向に補
強用の打出部１３を設けた構造になつている。

接続部材１１の第５図に示す第２の例は、一枚
の帯状金属板に両端部から長手方向に途中で終る
スリツトを施し、スリツトを入れた両側を両側に
引張つて平面Ｘ字型に形成したものである。

前記足場板単体１における下壁５，５は、第３
図に示すように、中途部分から端部が接続部材１
１の板厚分だけ折れ曲り、下壁５，５と接続部材
１１の下面を同一平面にして、使用時の安定性を
向上させている。

なお、鋼製足場板は、図示のような足場板単体
１を二枚並べた構造に限定されるものではなく、
広幅の一枚物であつてもよいと共に、端部にフツ
クを備えた歩み板でもよく、また、接続部材１１
の取付数や間隔は、足場板の長さや幅に応じて任
意に選択すればよい。

この考案の鋼製足場板は上記のような構成であ
り、足場板単体１における両側下壁５と５の対向
位置が、各々の下壁と二箇所ずつ固定した接続部
材１１で連結されているので、下壁５，５と接続
部材１１が剛性枠を構成し、ねじれ荷重に対し、
足場板単体１の両側における長手方向への移動を
阻止することになる。

以上のように、この考案によると、上記のよう
な構成にしたので、接続部材の応力方向がＸ字形
になり、両側下壁と接続部材によつて剛性枠を形
成し、足場板両側の長手方向への移動を阻止する
ことができ、片寄つた荷重に対してもねじれの発
生がなくなり、安全性の向上を計ることができ
る。

また、一枚物の接続部材を用い、溶接によつて
下壁と固定化するため構造が簡単であるという効
果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る足場板の平面図、第２
図は同上の底面図、第３図は同上を拡大した一部
切欠側面図、第４図は同上に用いる接続部材の第
１の例を示す斜視図、第５図は同第２の例を示す
斜視図である。 １……足場板単体、３……天板、４……側壁、
５……下壁、１１……接続部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 天板の両側に下向きの側壁と、この側壁の下縁
   に内方へ折れ曲がる下壁を設けた足場板におい
   て、両側下壁の対向位置間に、一枚の鋼板を用い
   中央部より両端を広幅に形成した接続部材をかけ
   渡し、この接続部材の両端と下壁の重なり部分
   を、接続部材の端部で二箇所ずつ合計四箇所の位
   置で溶接により固定したことを特徴とする鋼製足
   場板。