JPS624238Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、合成繊維からなる羽毛（ダウン）様
中わたに関する。

従来から、枕、クツシヨン、ふとん、防寒衣な
どの中わたとして、羽毛、木綿、合成繊維が用い
られてきたが、なかでも羽毛は嵩高で風合が柔か
く、暖かくて圧縮に対する回復特性が優れている
ことから、高級品として愛用されている。しかし
ながら、羽毛は高価であるうえ、虫や微生物によ
る害を受け易く、しかも家鴨、鵞鳥等の乱獲を招
くことは自然保護の立場からも好ましくないとい
う問題点があつた。このような問題を解決しよう
として、これまでに各種の合成羽毛が提案されて
いるが、いまだに天然羽毛に匹敵するだけの性能
を有するものは得られていない。例えば、特開昭
55−158366号公報に記載されている如く、複数の
短繊維をループ状に屈曲させて一点に集中固着さ
せたものは、羽毛のなかでもダウンに類似した中
わた材料となるが、短繊維の繊度が細いと弾力性
が不十分で、圧縮に対する回復特性が劣り、一
方、繊度が大きいと柔軟性、風合が悪くなるとい
う欠点を有していた。

本考案者らは、かかる従来の中わた材料の欠点
を解消すべく鋭意検討を重ねた結果、合成繊維で
ループを形成し、ループ閉塞部を一点に集中固着
させた中わた材料において、繊度の異なる複数の
合成繊維でループを形成させ、しかも、該ループ
固着点から放射状に張り出させればよいことを見
出し、本考案に到達した。

即ち、本考案は、繊度の異なる複数本の合成繊
維でループを形成し、ループ閉塞部を実質的に一
点に集中固着せしめると共に、ループを該固着点
から放射状に張り出させたことを特徴とする羽毛
様中わた材料である。

本考案において用いられる合成繊維としては、
ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリ
ロニトリル繊維、ポリオレフイン繊維等、任意の
合成繊維を用いることができるが、ヤング率が高
く耐へたり性に優れていて、価格も安いところか
ら、ポリエステル繊維が好ましく、なかんずくポ
リエチレンテレフタレート繊維が望ましい。

第１図及び第２図は、本考案の中わた材料の例
を示すもので、繊度の大なる繊維からなるループ
１と繊度の小なる繊維からなるループ２とから構
成されており、それぞれのループ閉塞部は固着点
３において一点に集中固着されている。第１図
は、繊度の大なる繊維からなるループ１のループ
径と繊度の小なる繊維からなるループ２のループ
径とが略等しい場合の例であり、第２図は繊度の
小なる繊維のループ２のループ径が、繊度の大な
る繊維からなるループ１のループ径よりも大きい
場合の例を示したものである。ループ１，２は、
すべて固着点３を中心にして、周方向に放射状に
張り出している。

繊度の大なる繊維は、中わた材料に弾力性を与
え、圧縮回復性を向上させるのに寄与し、繊度の
小さい繊維は、柔軟な風合を付与するのに役立
つ。その意味から、繊度の小なる繊維からなるル
ープ２のループ径を繊度の大なる繊維からなるル
ープ１のループ径よりも大きくして、中わた材料
の表面に繊度の小なる繊維を位置せしめ、中心部
に繊度の大なる繊維を位置させるようにするのが
望ましい。繊度の小なる繊維のループ径は、繊度
の大なる繊維のループ径の１〜５倍であることが
好ましく、特に２〜４倍の範囲が望ましい。な
お、ここでループ径とは、ループの最大直径を意
味する。

また、繊度の小なる繊維の繊度は、0.01〜
5de、特に0.5〜4deが好ましく、繊度の大なる繊
維の繊度は３〜50de、特に８〜15deが好まし
い。両繊維の混合割合は、通常30：70〜70：30で
ある。

更に、繊度の小なる繊維と大なる繊維とは必ず
しも同種の合成繊維である必要はなく、繊度の小
なる繊維として柔軟なポリアミド繊維を用い、繊
度の大なる繊維として剛直なポリエステル繊維を
用いるのは、好ましい態様である。また、繊度の
小なる繊維と大なる繊維のどちらか一方ないしは
両方がカール状ないしはジグザグ状の捲縮を有す
るものや吸水性、吸湿性、難燃性等の特性を有す
るものを用いてもよい。

また、繊度の異なる繊維の一部又は全部に同種
又は異種の異形断面糸を用いることもできる。更
に繊度の異なる繊維は２種類に限定されるもので
はなく、３種類以上の繊維を用いてもよい。

以上詳述した如く、本考案の中わた材料は、複
数本の合成繊維でループを形成し、ループ閉塞部
を実質的に一点に集中固着せしめると共に、ルー
プを該固着点から放射状に張り出させた構造とし
たため、中わた材料に外部から圧力が加わつた場
合に、外圧に反発する弾力性が大きくその上、繊
度の大きい繊維を用いているために弾力性が十分
に保持され、一方では繊度の小ななる繊維をも用
いているので、柔軟な風合が維持されている。従
つて、本考案の中わた材料を詰め物に使用した場
合は、天然羽毛（ダウン）に勝るとも劣らない性
能を示し、かつ大量に安価に供給することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の中わた材料の一例を示す拡大
側面図、第２図は本考案の中わた材料の他の例を
示す拡大側面図である。 １……繊度の大なる繊維からなるループ、２…
…繊度の小なる繊維からなるループ、３……固着
点。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 繊度の異なる複数本の合成繊維でループを形
   成し、ループ閉塞部を実質的に一点に集中固着
   せしめると共に、ループを該固着点から放射状
   に張り出させたことを特徴とする羽毛様中わた
   材料。 (2) 繊度の小なる繊維のループ径が繊度の大なる
   繊維のループ径の１〜５倍である実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の羽毛様中わた材料。 (3) 繊度の大なる方の繊維の繊度が３〜50de、
   繊度の小なる方の繊維の繊度が0.01〜5deであ
   る実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項記
   載の羽毛様中わた材料。