JPS624183Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、少なくとも片側部にキヤビネツト
を備えた机基部に対して天板部が昇降自在に取付
けられた学習用、事務用、作業用等の机に関し、
その目的とするところは机の体裁を良好なものと
しつつ、その天板部の昇降作動、即ち高さ調節が
机の前面側から単一のハンドル操作にて極めて容
易になしうる簡単な構造の上記机を提供する点に
ある。

一般に天板部の高さ調節が可能な机の一形式と
して、天板部に垂設した左右一対の脚片とこれに
対応する机基部位置とをラツクとピニオンとの噛
合を介して係着し、該ピニオンの回転によつて天
板部を昇降作動させるものが知られる。しかしな
がら、従来のこの種机にあつては、天板部の脚片
が左右両側部の後方寄りに位置することから、上
記ピニオンを回転させるハンドル等の操作部を机
の後方もしくは側方に面する部分に設けるのが普
通であり、このために高さ調節を行なうのに使用
者が机の後方もしくは側方に回り込んで操作する
必要があり、しかもこの操作のために操作部側に
余分な空間を置いて机を配置せねばならないとい
う不都合があつた。

この考案は上記従来の欠点を解消しつつ、体裁
を良好なものとした高さ調節自在な机を提供しよ
うとするもので、以下その構成を図示実施例に基
づいて説明する。

図示の如く、机１は正面視右側にキヤビネツト
３を備えた基部２に天板部４がこれに垂設した左
右一対の脚片５，５を介して昇降自在に支持され
てなる。

基部２は前方上部を一部切欠状とした中空枠状
の左側パネル６とこれに対向位置する略長方形の
中空枠状の右側パネル７と下部が前方側に曲折し
て足置き用段部８を構成する後部パネル９とを上
面視略コ字状に連結してなり、またキヤビネツト
３は上記右側パネル７の内方側面に付設する形で
該パネルと後部パネル９と側板１０と上板１１と
から構成される箱形の内部に前面側へ引出し可能
な大小の引出し１２，１３を上下に収納してな
り、このキヤビネツト３の前面主要部は引出し１
２，１３の把手１２ａ，１３ａを備えた前面板１
２ｂ，１３ｂにて占められている。

天板部４は左右両側枠材１４，１４と天板１５
とから横長の箱枠状に構成され、内部には前面側
へ引出し可能な広幅および狭幅の引出し１６，１
７を左右に並べた状態で収納している。しかして
両側枠材１４，１４の各下面から内側面にわたり
接当固着する断面略Ｌ字状でかつ立ち上げ片１８
ａの前後端部が天板１５の裏面まで延設固着され
た各取付板１８を介して、脚片５と少なくとも先
端がゴム等のクツシヨン材からなるストツパー１
９，１９とが天板部４の後部寄り下面に垂設され
ている。各脚片５はやや扁平な四角筒体からな
り、机内面側の側壁部５ａには上下方向に沿つて
スリツト２０が開設され、このスリツト２０に対
応する内面後部５ｂにはラツク２１が上下方向に
固設されている。しかして両脚片５，５は基部２
の左右パネル６，７内の後部寄り位置に上下方向
に沿つて嵌装固着されたやや扁平な四角筒状の脚
片摺動案内枠２２，２２内に摺動自在に嵌挿され
ると共に、各摺動案内枠２２の開口上縁部に嵌着
した口金材２３と脚片５下端に貫通固着したピン
５ｃの両端球頭部とにより両者５，２２間の間隙
によるがた付きが阻止されている。なお右側の脚
片５の外側面には天板部４の高さを表示する目盛
り５ｄが設けられている。

一方、基部２には左右両パネル６，７の両摺動
案内枠２２，２２間に回転軸２４が横架されてお
り、両摺動案内枠２２，２２の机内面側壁２２ａ
を貫通して脚片５のスリツト２０内に嵌入する回
転軸２４の両端にはラツク２１，２１に噛合する
一対のピニオン２５，２５が固着され、また該回
転軸２４のキヤビネツト３内中央部寄り位置には
ウオームホイール２６が固着されている。また回
転軸２４の両端部近傍には、互いに逆回状態のコ
イルばね２７，２７が回転軸２４を外囲する四角
筒体２８内に固着したコ字状取付部材２９に一端
を係着すると共に、他端を回転軸２４端部に被嵌
された短管３０に係着した状態で嵌装され、この
コイルばね２７，２７により各ラツク２１とピニ
オン２５との噛合部において天板部４が常時上昇
する方向に付勢されている。さらにウオームホイ
ール２６を回転させるウオーム３１は、四角筒体
２８より延設された断面略上向きコ字状枠部２８
ａ内に固着された２つのコ字状枠片３２ａ，３２
ｂの対向接合にて形成された四角枠状取付部材３
２に軸架され、その前方側軸端に断面略Ｕ字状の
取付金具３３を介して駆動シヤフト３４の後端が
連結されている。この駆動シヤフト３４は、キヤ
ビネツト３内の上部を前後方向に貫通して水平状
に配設され、その前端がキヤビネツト３の前面側
に臨ませられたものとなされている。即ち、駆動
シヤフト３４は、キヤビネツト３の上板１１の下
面側でかつ机中央側隅部に机前後方向に沿うよう
に、取付金具３５を介して回転自在に支承されて
あり、その前端がキヤビネツト３の前面側に臨ま
せられて、これに折曲可能なハンドル３６が取付
けられている。従つて、このハンドル３６をキヤ
ビネツト３の前面側から回転操作することによ
り、前記駆動シヤフト３４を回転せしめうるもの
となされている。

ハンドル３６はシヤフト３４端部に嵌着した軸
状連結基部３６ａとこれに回動可能に連結した操
作レバー部３６ｂとからなり、連結基部３６ａに
はその前端より軸方向に沿つて割り溝３７が形成
され、この割り溝３７の片側部に先端曲折部３８
ａを突入するように付勢した板ばね３８が固着さ
れている。一方、操作レバー部３６ｂはレバー片
３９とこの先端に前方側に突設したつまみピン４
０とレバー片３９の基端に固着した支軸部４１と
からなり、支軸部４１の先端には上記割り溝３７
に嵌入する先端半円形の舌片状連結片４１ａが突
設されている。しかして、連結基部３６ａと操作
レバー部３６ｂとは、割り溝３７に連結片４１ａ
を嵌入した状態で両者のビス孔４２ａ，４２ｂに
ビス４３を貫通することにより、該ビス４３を中
心として回動可能に連結されている。なお、連結
片４１ａの周側部には、板ばね３８の先端曲折部
３８ａが連結基部３６ａと軸部４１とが同一軸線
にある状態、即ち第６図一点鎖線で示す操作姿勢
において係合して該姿勢をそのばね力によつて安
定させるための係止凹所４４ａと、同様に操作レ
バー部３６ｂを折曲した状態、即ち第６図示破線
で示す非操作姿勢において係合して該姿勢を安定
させる係止凹所４４ｂとが設けられている。さら
に、キヤビネツト３の前面側上縁部を構成するプ
ラスチツク等からなる縁材４５に横長の開口４６
が形成されており、郭開口４６の机中央側隅部を
通して駆動シヤフト３４の前端に連結されたハン
ドル３６が操作姿勢下でキヤビネツト３の前方へ
突出位置すると共に、非操作姿勢下で開口４６の
後方空所４７内に折込み収納される。なお、この
折込み操作を行なうには、第６図示二点鎖線の如
く操作姿勢におけるハンドル３６をレバー片３９
の先端が机中央側へ向く略水平状態となるように
保持し、この状態から操作レバー部３６ｂを水平
方向に反転回動させればよい。なお、ハンドル３
６は駆動シヤフト３４の前端に着脱自在に取付け
るものとしてもよい。

上記構成の机１にあつては、ハンドル３６の操
作レバー部３６ｂを空所４７内収納状態から引出
してキヤビネツト３前方に突出位置させ、これを
回転させることにより、駆動シヤフト３４に連結
したウオーム３１とウオームホイール２６との噛
合により回転軸２４が回転し、これと共にラツク
２１，２１に噛合するピニオン２５，２５が同時
回転して左右脚片５，５を同期同率に昇降作動さ
せ、天板部４の高さを無段階的に任意に調節でき
る。このとき、ハンドル３６の回転を止めた時点
で、ウオーム３１とウオームホイール２６との噛
合部にて回転軸２４がロツクされ、天板部４は自
重による降下が阻止されて所望の高さ位置で確実
に保持される。なお、コイルばね２７，２７の畜
力は天板部４の荷重に対して対抗的に作用するよ
うになつているので、天板部４の上昇操作は下降
操作と同様の軽快なハンドル３６の回転操作にて
行なうことができる。またストツパー１９，１９
は天板部４を最下位置まで下降させたときの基部
２と天板部４との衝当を防止する機能を持つ。

以上のように、この考案に係る高さ調節自在な
机は、少なくとも片側部にキヤビネツトを備えた
机基部に天板部がこれに垂設した左右一対の脚片
を介して昇降自在に支持された机において、天板
部を昇降させるハンドルをキヤビネツトの前面側
に位置するように取付けてあるから、天板部の高
さ調節を行なうのに机の後方や側方へ回り込む必
要がなく、机の前面側から極めて容易に操作で
き、また机の配置に際して後方や側方に上記操作
のために立ち入る空間をとる必要がなく、これに
より配置場所が制約されず室内空間を有効利用で
きる。しかもハンドルに連結した駆動シヤフトを
キヤビネツト内を貫通せしめて配置しているた
め、駆動シヤフト部分が外部に露呈せずに机の外
観を良好にすると共に、かつまた天板部の下面か
ら垂下した脚片も机基部の左右側パネル内に納め
られた摺動案内枠内に嵌挿されたものとなされて
いるから、上記案内枠が直接外部に露呈せず、こ
の点からも机の外観を体裁の良好なものとする。
更に駆動シヤフトが、キヤビネツト内の上部を貫
通して前端がキヤビネツトの前面側に臨ませら
れ、これにハンドルが取付けられていることによ
り、ハンドル位置が机の前面側で操作し易い高さ
となり、例えば椅子に腰掛けた状態で使用者が都
合の良い天板部位置を確かめつつハンドルを操作
することが非常に容易となる。なお、上記駆動シ
ヤフトがキヤビネツトの上板の下面側でかつ机中
央側の隅部に配設された態様では、上記の如く椅
子に腰掛けた状態下の使用者にとつてよりハンド
ル位置が近くなり、その操作がいつそう容易とな
る利点がある。更に、この考案では天板部の両脚
片に設けたラツクに噛合する一対のピニオンを１
つの回転軸の両端に固着して一体化しているか
ら、両脚片の昇降作動が上記回転軸の回転駆動に
より完全に同期して連動し、これによつて天板部
の昇降に際して天板面が片側に傾斜したり、がた
付きを生じたりすることがない。かつウオームと
ウオームホイールとによつてハンドルの回転を回
転軸に伝達する構成としているので、格別のロツ
ク機構が不要であり、装置全体が極めて簡単な構
造にして安価に製作提供できると共に、故障の惧
れも少なく耐久性に富むものとなる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は机全体の斜視図、第２図は同要部破断正面
図、第３図は第２図の−線の断面矢視図、第
４図は脚片のラツクとピニオンの噛合部を示す要
部破断斜視図、第５図は回転軸ウオームホイール
と駆動シヤフトのウオームとの噛合部を示す要部
破断斜視図、第６図はキヤビネツトの前面上縁部
におけるハンドルの折曲動作を示す斜視図、第７
図はハンドルの斜視図である。 １……机、２……基部、３……キヤビネツト、
４……天板部、５………脚片、６，７……左右両
側パネル、１１……上板、２１……ラツク、２２
……摺動案内枠、２４……回転軸、２５……ピニ
オン、２６……ウオームホイール、３１……ウオ
ーム、３４……駆動シヤフト、３６……ハンド
ル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 机基部２の左右両側パネル６，７内に脚片用の
   摺動案内枠２２，２２が嵌装固着され、該摺動案
   内枠２２，２２内に天板部４の下面に垂設された
   左右の脚片５，５が上下方向摺動自在に嵌挿さ
   れ、かつ両脚片５，５に設けたラツク２１に噛合
   するピニオン２５，２５を両端部に固着すると共
   に中途位置にウオームホイール２６を固着した回
   転軸２４が机基部２に横架され、上記ウオームホ
   イール２６を回転させるウオーム３１の駆動シヤ
   フト３４が、前記右側パネル７の内方側面に付設
   して設けられたキヤビネツト３内の上部を前後方
   向に貫通して、その前端が該キヤビネツト３の前
   面側に臨ませられ、かつ該前端に回転操作用のハ
   ンドル３６が取付けられてキヤビネツト３の前面
   側で回転操作しうるようになされていることを特
   徴とする高さ調節自在な机。