JPS6240568B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、特に自動車などの車両に用いられる
フローテイング・キヤリパ型ブレーキ装置に関す
る。この種のブレーキ装置は、一般にブレーキ・
デイスクの周縁を跨ぐようなブレーキ・キヤリパ
を備えている。このブレーキ・キヤリパはブレー
キ・デイスクの回転軸に対し平行にしてかつ互い
に離間して配置された案内ピンを介してブレーキ
支承体のアーム上を軸方向に摺動案内されるよう
になつている。またブレーキ・キヤリパはブレー
キ・デイスクの回転方向において上記アームの支
持面により支持可能になつている。又、このブレ
ーキ装置は、更にブレーキ・デイスクの両側に配
置されるとともにブレーキ・デイスクの回転方向
においてブレーキ・キヤリパに支持されるブレー
キ・シユーを備えており、このブレーキ・シユー
はブレーキ・デイスクの一側に配設されたブレー
キ作動装置により作動されるようになつている。

上述した公知のフローテイング・キヤリパ型ブ
レーキ装置、たとえば、米国特許第3789961号に
開示のブレーキ装置の場合には、ブレーキ・キヤ
リパはブレーキ・デイスクの回転方向において、
ブレーキ支承体のアームの支持面でのみ支持され
ている。従つて、この構造では、ブレーキ作動の
場合に、両方のブレーキ・シユーからブレーキ・
キヤリパに伝達される周方向の力が全部ブレー
キ・デイスクの回転方向でみて後方に位置するブ
レーキ支承体のアームにかかるのに対し、ブレー
キ支承体の他のアームには殆んど負荷がかからな
い状態となる欠点がある。従つて、ブレーキ支承
体の両アームはそれぞれ周方向の全部の力を受け
ても十分に耐え得るように、きわめて強度の高い
ものに設計せねばならない。

この公知のブレーキ装置の場合には、ブレー
キ・キヤリパの位置は、その当接する支持面の位
置で合わせられるので、周方向の力が衝撃的に作
用されるもとではブレーキ支承体が弾性変形し、
ブレーキ・デイスクの回転方向に対してブレー
キ・キヤリパの姿勢が正常の状態からずれること
となり、その結果、ブレーキ・シユーにくさび状
の摩耗を生起することになる。これは望ましいこ
とではない。というのは、このくさび状の摩耗の
ために、ブレーキ・シユーの摩擦材料の厚さを有
効に使用できないからである。

英国特許第1194567号から別の型式のフローテ
イング・キヤリパ型ブレーキ装置が公知である。
このブレーキ装置では、ブレーキ・デイスクの回
転方向でみて、ブレーキ・キヤリパに互いに離間
した案内ピンが取付けられている。これら案内ピ
ンには軸方向に摺動可能なスリーブが取り付けら
れており、これらスリーブはブレーキ・デイスク
に平行なプレート状のブレーキ支承体の支持溝に
係合されている。これら支承溝は互いに背向し外
方に向つて開口されている。ブレーキ支承体は１
個の同心状の開口を備え、この開口内に一方のブ
レーキ・シユーが案内されかつ支持される。ブレ
ーキ・デイスクの反対側に配置された他方のブレ
ーキ・シユーはブレーキ・キヤリパに取付けられ
ている。このフローテイング・キヤリパ型ブレー
キ装置の場合、両方のブレーキ・シユーに作用す
るトルクは次のように作用する。すなわち、ブレ
ーキ支承体に直接支持されたブレーキ・シユーは
その周方向に作用する力を、ブレーキ・デイスク
の回転方向でみて、そのブレーキ支承体の後方側
に伝達する。これに対して、ブレーキ・キヤリパ
に取付けられたブレーキ・シユーに作用する周方
向の力は、ブレーキ・キヤリパ、及びブレーキ・
デイスクの回転方向でみて前側の案内ピンを介し
て、ブレーキ支承体に伝えられる。これにより、
ブレーキ支承体への負荷を分配する上で改善され
たものとなつている。しかしながら、この公知の
フローテイング・キヤリパ型ブレーキ装置にも次
のような欠点がある。すなわち、ブレーキ・キヤ
リパの案内部の調整が良好でないので、そのため
に、摩耗がきわめて不均一な状態で生ずる。さら
に、ブレーキ・キヤリパに連結されたブレーキ・
シユーによつてこのブレーキ・キヤリパには周方
向の力がかたよつた状態で作用するので、これに
よつて生ずるブレーキ・キヤリパの捩れを防ぐた
め、周方向に沿つて両ブレーキ・シユーの位置を
オフセツトした状態、すなわち、周方向に異なる
位置に両ブレーキ・シユーを配置するなどの配慮
が必要となる。しかしながら、この様に両ブレー
キ・シユーをオフセツトした配置にすると、この
配置により引起こされる反力を、ブレーキ・デイ
スクで受け止めなければならず、従つて、ブレー
キ・デイスクに更に負荷がかかることになるなど
の問題がある。

本発明の目的は、上述した公知装置の種々の欠
点を解消し、ブレーキ作動の際に生ずる周方向の
力をブレーキ支承体のアームにきわめて好状態に
分配することのできるフローテイング・キヤリパ
型ブレーキ装置を提供するにある。

本発明の上記目的は以下の様にして達成され
る。すなわち、ブレーキ支承体のアームに、ブレ
ーキ・デイスクの回転方向、すなわち周方向にお
いて、互いに背向し外側に向つて開口した半円形
状の支持溝を設けるとともに、ブレーキ・キヤリ
パに案内ピンを取り付けてなり、この案内ピンが
軸方向に摺動可能にして上記支持溝に係合されて
いるものである。この構成により、ブレーキ作動
の際、ブレーキ・キヤリパにかかる周方向の力の
一部分は案内ピンを介しブレーキ・デイスクの回
転方向でみてブレーキ支承体の前側のアームに受
けとめられ、また、残りの周方向の力は、ブレー
キ・キヤリパがブレーキ・デイスクの回転方向で
みて、後側のアーム、即ち、その支持溝に対し案
内ピンを介して当接されることにより、この後側
のアームにも伝達される。このため、ブレーキ支
承体の両方のアームの弾力特性が実質的に等しく
なり、通常のブレーキ作動状態では、ブレーキ支
承体の両アームに周方向の力が実質的に均一に分
布して作用する。ブレーキ支承体の両アームが周
方向の力を受けるようになつているので、このブ
レーキ装置に作用する負荷の方向つまりブレー
キ・デイスクの周方向において、ブレーキ装置の
剛性が比較的高められ、ブレーキ作動の際のこす
れ音やガタ付き音の発生を抑えることができる。

特に、本発明によるブレーキ装置の望ましい構
成は、各案内ピンが周方向においてブレーキ・キ
ヤリパに弾性的に取付けられ、これら案内ピンが
ブレーキ支承体の支持溝に、その弾性的取付けに
より生ずる付勢作用でもつて係合されることにあ
る。これにより、ブレーキ支承体に対するブレー
キ・キヤリパの弾性的なクランプ効果が得られる
ので、ブレーキ・キヤリパが案内部でガタガタす
るのを避けることができるとともに支持溝の軸方
向に対するブレーキ・キヤリパの位置調整を良好
になし得る。

案内ピンのジヤム（jam）を避けまたその腐食
を減少させるために、更に次のごとき構成も本発
明では提案される。すなわち、支持溝の直径を案
内ピンの直径よりも極くわずかに大きくすること
である。

更に、本発明によるフローテイング・キヤリパ
型ブレーキ装置の望ましい構成として次のものが
提案される。即ち、ブレーキ・キヤリパには、ブ
レーキ・デイスクの回転軸方向でみて、ブレーキ
支承体のアームの両側に、案内ピンの両端部を受
入れるための孔が設けられており、この孔の直径
は、案内ピンの直径に比べ、ブレーキ支承体に対
しブレーキ・キヤリパがブレーキ・デイスク周方
向に必要な遊び分だけ移動可能となるように大き
くなつている。更に、ブレーキ・キヤリパの孔内
において案内ピンをその中心に位置づけるために
弾性手段が設けられている。上記の構成を採用す
れば、本発明のブレーキ装置の製造がきわめて容
易となる。その理由は、案内ピン支持用の上記孔
相互間の距離並びにブレーキ支承体のアームの支
持溝間の距離を決定するに際し、通常以上の精度
を必要としないからである。本発明の更に別の提
案では、前述の弾性手段は案内ピンのリング状溝
に保持されたゴム・リングで構成されており、上
記案内ピンはブレーキ・キヤリパの孔に半径方向
の付勢力を与えられて係合されている。

ブレーキ作動の後、ブレーキ・キヤリパのブレ
ーキ解除の運動は次のごとき構成により、きわめ
て容易かつ有効になされる。すなわち、案内ピン
はブレーキ支承体に対し相対的に必要とされるブ
レーキ作動用の遊びに相当する距離だけ軸方向に
移動可能であり、また案内ピンは１個のバネ手段
により、ブレーキを解除する方向にブレーキ・キ
ヤリパの止めに対し押圧付勢されている。特に簡
単なブレーキ・キヤリパ用の上記遊びの構成とし
て、本発明では、ブレーキ作動手段に隣接する各
案内ピンの端部にストツプ・ヘツドを設けてい
る。案内ピンはストツプ・ヘツドとブレーキ・キ
ヤリパとの間に配置された各ゴム・リングを支持
しておりゴム・リングは孔の面取りが施された端
部領域に挿入されている。このゴム・リングはブ
レーキ作動の際に、ストツプ・ヘツドが必要とさ
れるブレーキの遊びに相当する分だけ相対的に移
動した後、ブレーキ・キヤリパに当接するまで、
圧縮されるようになつている。

更に、この発明の他の実施例によれば、周方向
の力により引き起こされるブレーキ・キヤリパの
軸線回りのトルクを原因とし、ブレーキ・キヤリ
パを案内する上で生起されるその摺動抵抗は、次
の様な構成により低減することできる。即ち、ア
ームの支持面及び支持溝はブレーキ・デイスクの
外周縁より上方の位置、即ち、ブレーキ・デイス
クの直上の位置に配置されており、このように支
持面及び支持溝を配置することにより、ブレーキ
作動時、案内ピンはその軸方向中央部が支持され
るので、案内ピンの変形を小さくでき、これによ
り、案内ピン即ちブレーキ・キヤリパの摺動抵抗
を低減することができる。更に、望ましいのは、
ブレーキ・デイスクの主回転方向に対向してい
て、これによりブレーキがブレーキ・デイスクの
主回転方向でかけられた際に周方向の力をうける
側の支持溝及び支持面をとつ面状にわん曲した構
成とすることである。この構成により次の様な効
果が得られる。これにより、周方向の力が衝撃的
に作用してブレーキ支承体のアームに変形が生じ
た場合でも、ブレーキ支承体とブレーキ・キヤリ
パとの間、並びに案内ピンとの間の接触位置が特
に取り立てるほど変位することがない。すなわ
ち、ブレーキ・キヤリパは正常の姿勢から大きく
ずれることはない。従つて、ブレーキ支承体のア
ームの変形があつても、ブレーキ・キヤリパにね
じれを生起することはない。

又、本発明によるフローテイング・キヤリパ型
ブレーキ装置は、きわめて簡単な構造となつてい
るが、それは次の様な構成によつて得られる。す
なわち、ブレーキ・デイスクの回転方向において
直接ブレーキ．キヤリパに当接支持されるブレー
キ・シユーに、案内ピンと係合される切欠が設け
られる構成となつている。

フローテイング・キヤリパ型ブレーキ装置の更
に望ましい具体的構成では、ブレーキ・シユー
は、一方でブレーキ・キヤリパに直接支持され、
他方では、案内ピンによつて保持されるようにな
つている。そして、このようなブレーキ装置の製
作にあたつては、ブレーキ・キヤリパの孔、ブレ
ーキ支承体における支持溝及びブレーキ・シユー
の切欠がブレーキ・デイスクの回転軸線と平行な
同一の直線上に配置されており、これにより、ば
ねによる付勢作用の下で上記孔内に保持されら案
内ピンは、ブレーキ支承体のアーム及びブレーキ
シユーを夫々挾持するようになつており、しか
も、案内ピンが弾性的に支持されていることによ
り、ブレーキ装置内の可動部材によるガタ付音を
防止することができる。

更に又、本発明によるブレーキ装置において
は、当該装置をきわめてわずかの部品数で製作す
ることができる利点がある。そして、かかる部品
は個々に製作して簡単に組み立てることができ
る。更に、本発明によるブレーキ装置は、ブレー
キ支承体が車輪懸架装置と一体のユニツトして製
作される自動車用としてもきわめて適合するもの
である。

以上の様に、本発明は種々提案した新しい構成
を備え、かつ顕著な作用・効果を奏するものであ
るが、これを更に、以下、図面に示す一実施例に
従つて説明する。

図面の実施例において、１はブレーキ・キヤリ
パで、ブレーキ・デイスク２の外周縁をＵ字状に
またぐ様に囲むとともに、そのブレーキ・デイス
ク２の両側におかれたブレーキ・シユー４，４′
をも囲んでいる。ブレーキ・シユー４，４′は、
おおむね円形のプレート状をなし、かつ外方に向
つてラジアル方向に延出した突出部５，６，７，
８を有し、ブレーキ・キヤリパ１の中央部分を囲
んでいる。前記突出部５，６，７，８にはブレー
キ・キヤリパ１と背向した側に切欠３１がそれぞ
れ設けられている。これら切欠３１には、ブレー
キ・キヤリパ１に対してブレーキ・シユー４，
４′を所定位置に保持するために、ブレーキ・キ
ヤリパ１に固定された案内ピン９，１０が係合さ
れている。

周方向に背向したブレーキ・キヤリパ１の端部
には突出部３２がそれぞれ設けられ、その各突出
部３２には孔１１，１２，１３，１４がそれぞれ
形成されている。これら孔１１ないし１４内には
案内ピン９，１０が挿通されている。これら案内
ピン９，１０を孔１１ないし１４内で保持するた
めに、弾性手段を構成するゴム・リング１５が用
いられており、このゴム・リング１５は案内ピン
９，１０に形成されたリング状溝１６に嵌合され
ている。案内ピン９，１０の長手軸方向におい
て、これら案内ピン９，１０は、ストツプ・ヘツ
ド１７，１８及び当接部材２０とにより保持され
る。ストツプ・ヘツド１７，１８はバネ手段を構
成するゴム・リング１９を介してブレーキ・キヤ
リパ１に当接されている。又、当接部材２０は案
内ピン９，１０のストツプ・ヘツド１７，１８と
は反対側の端部に配置されている。この様な配置
においては、ストツプ・ヘツド１７，１８とブレ
ーキ・キヤリパ１との間にブレーキ作動用の所要
の遊びＬが存するように当接部材２０は案内ピン
９，１０を保持している。

ブレーキ支承体３は、外方に向つてラジアル方
向に延出してブレーキ・デイスク２の周縁を越え
て突出するアーム２１，２２を有する。これらア
ーム２１，２２の端部には、ブレーキ・デイスク
２の直上に位置して、ブレーキ・デイスク２の回
転方向、すなわち周方向において互いに向き合う
支持面２３，２４が形成されているとともにこれ
ら支持面の反対側に互いに背向して形成されたシ
リンダ状支持溝２５，２６が形成されている。こ
れら各支持溝２５，２６は、周方向に向つて開設
され、その溝面は一定の直径の円筒面の一部分を
なすように形成されている。支持面２３，２４と
隣接するブレーキ・キヤリパ１の面２７，２８と
の間には遊びａが存している。支持溝２５，２６
には案内ピン９，１０が当接されている。このよ
うな配置において、一方の支持溝２５の軸線から
他方の支持溝２６の軸線までの距離は、孔１１，
１３の軸線と孔１２，１４の軸線との間の距離よ
りもごくわずかに大となつている。そのため、ゴ
ム・リング１５は軽く圧縮され、案内ピン９，１
０と孔１１ないし１４との間には遊びｂが存して
いる。なお、ブレーキ・キヤリパ１の左右の面２
７，２８には、ブレーキ・シユー４，４′の各突
起５，６，７，８における切欠３１側とは反対の
側の面がそれぞれ係合可能となつている。

ブレーキ作動のために、ブレーキ・キヤリパ１
は作動ピストン３０を有する車輪ブレーキ・シリ
ンダ２９を備えている。これら、車輪ブレーキ・
シリンダ２９と作動ピストン３０によりブレーキ
作動手段が構成される。

ブレーキ作動の時、まず、作動ピストン３０が
移動され、ブレーキ・シユー４はブレーキ・デイ
スク２と接する状態に移動される。ブレーキ・シ
ユー４がブレーキ・デイスク２に当接するやいな
や、車輪ブレーキ・シリンダ２９に作用する反力
によつて、ブレーキ・キヤリパ１はブレーキ・シ
ユー４とは反対方向に、ブレーキ・デイスク２と
ブレーキ・シユー４′との間の遊びＬがなくなつ
て、ブレーキ・シユー４′がブレーキ・デイスク
２に接するまで移動させる。これと同時に、ゴ
ム・リング１９が圧縮されて孔１３，１４へ押込
まれ、その結果、ストツプ・ヘツド１７，１８は
ブレーキ・キヤリパ１に当接されることになる。
ブレーキ・デイスクが矢印で示す方向、すなわち
主回転方向に回転されているとすると、ブレー
キ・シユー４，４′との摩擦係合により生起され
る周方向の力は、ブレーキ・キヤリパ１の面２７
と係合されているブレーキ・シユー４，４′の突
出部５，７を介してブレーキ・キヤリパ１に伝え
られる。その結果、ブレーキ・キヤリパ１は周方
向の力の作用により、孔１１，１３内の遊びｂが
なくなるまで矢印方向に移動される。したがつ
て、周方向の力は案内ピン９及びとつ面形状の支
持溝２５を介してブレーキ支承体３の一方のアー
ム２１に伝達されることになる。遊びａが遊びｂ
に等しくなるように設定されていると、ブレー
キ・キヤリパ１の面２８も又、ブレーキ支承体３
の他方のアーム２２のとつ面形状の支持面２４に
当接されることになり、周方向の力の一部分はア
ーム２２により受けることができる。遊びａ，ｂ
が等しい場合、両方のアーム２１，２２にかかる
周方向の力の配分は実質的にこれらアーム２１，
２２の弾性の度合により決まる。ここで、両アー
ム２１，２２は同様に構成されているので、両ア
ーム２１，２２には同じ割合で周方向の力が分配
される。

製作公差の程度により、遊びａ，ｂは異なるこ
とがある。しかし、出来るならば、遊びｂが遊び
ａよりも大きくならない様にこれら遊びａ，ｂの
公差の選択が望ましい。というのは、この様にす
ればブレーキ・デイスク２にブレーキ・キヤリパ
１が間接的に当接される際、ブレーキ・キヤリパ
１の整合性にとつて有利なものとなるからであ
る。遊びａが遊びｂより大であると、ブレーキ・
キヤリパ１の面２８は、アーム２１及び案内ピン
９の弾性変形が生じた後の場合のみ、支持面２４
と当接することになる。この場合、アーム２１は
アーム２２よりも周方向の力をより大きい割合で
負担することになるが、このことは大した問題と
はならない。というのは、ブレーキ・デイスク２
の回転方向前側に位置するアーム、例えばブレー
キ・デイスク２が矢印方向に回転されている際に
はアーム２１に、より強い負荷がかかる場合、周
方向の力が作用している状態では、ブレーキ・キ
ヤリパ１は静的な状態で支持されることになるの
で、ブレーキ・キヤリパ１の整合性を良好に確保
できるからである。

ブレーキ作動の過程中にブレーキ・シユー４′
での摩擦ライニングに消耗が生じたとき、支持溝
２５，２６内の案内ピン９，１０は移動されるこ
とになる。というのは、ストツプ・ヘツド１７，
１８がすでにブレーキ・キヤリパ１に当接されて
いるからである。ブレーキ作動を解除した後、ゴ
ム・リング１９は元の位置に戻り、ブレーキ・キ
ヤリパ１及びブレーキ・シユー４′は遊びＬを存
するように復帰される。又、ブレーキ・シユー４
の遊びは車輪ブレーキ・シリンダ２９内のシー
ル・リングのロール・バツク効果によつてもたら
される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を具体化した一実施例のフロー
テイング・キヤリパ型ブレーキ装置を一部分的に
破断して示す上面図、第２図は半分の領域を破断
した状態で第１図の装置をブレーキ・デイスクの
回転軸の方向から見た図である。 １…ブレーキ・キヤリパ、２…ブレーキ・デイ
スク、３…ブレーキ支承体、４，４′…ブレー
キ・シユー、９，１０…案内ピン、１７，１８…
ストツプ・ヘツド、２３，２４…支持面、２５，
２６…支持溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ブレーキ・デイスク２の周縁を跨ぐようなブ
   レーキ・キヤリパ１を備えてなり、このブレー
   キ・キヤリパ１が、ブレーキ支承体３のアーム２
   １，２２に対しブレーキ・デイスク２の回転軸に
   平行にしてかつ互いに離間して配置された案内ピ
   ン９，１０を介して上記回転軸の軸方向に摺動案
   内され、更に上記ブレーキ・キヤリパ１がブレー
   キ・デイスク２の回転方向に向いた上記アーム２
   １，２２のそれぞれの支持面２３，２４に支持さ
   れ得るようになつており、上記ブレーキ・デイス
   ク２の軸方向両側に上記ブレーキ・キヤリパ１に
   支持されたブレーキ・シユー４，４′を配置し、
   これらブレーキ・シユー４，４′がブレーキ・デ
   イスク２の一側に配設されたブレーキ作動手段に
   より作動されるフローテイング・キヤリパ型ブレ
   ーキ装置において、上記ブレーキ支承体３のアー
   ム２１，２２には互いに背向した状態でブレー
   キ・デイスク２の周方向外側に開口する半円形状
   の支持溝２５，２６がそれぞれ設けられて、この
   支持溝２５，２６に上記ブレーキ・キヤリパ１に
   取付けられた上記案内ピン９，１０が軸方向に摺
   動可能に係合されているとともに、上記ブレー
   キ・キヤリパ１に対する上記案内ピン９，１０の
   取付けは、上記ブレーキ支承体３のアーム２１，
   ２２の両側に位置してなる上記ブレーキ・キヤリ
   パ１の部位に設けた孔（１１ないし１４）に上記
   案内ピン９，１０を挿通することによつてなされ
   ており、上記ブレーキ・キヤリパ１と上記支持面
   ２３，２４との間の遊びａは上記孔（１１ないし
   １４）と上記案内ピン９，１０との間の遊びｂ以
   上の大きさに設定されていることを特徴とするフ
   ローテイング・キヤリパ型ブレーキ装置。 ２ 前記案内ピン９，１０はブレーキ・キヤリパ
   １に対しブレーキ・デイスク２の周方向に弾性的
   に取付けられ、この弾性的な取付けよつて生じる
   付勢作用のもとで上記案内ピン９，１０はブレー
   キ支承体３の支持溝２５，２６に係合されている
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載のフ
   ローテイング・キヤリパ型ブレーキ装置。 ３ 前記支持溝２５，２６の直径は、係合される
   案内ピン９，１０の直径よりも僅かに大きいこと
   を特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項記
   載のフローテイング・キヤリパ型ブレーキ装置。 ４ 前記案内ピン９，１０は、前記孔（１１ない
   し１４）内において弾性手段１５を介して嵌合さ
   れており、この弾性手段１５によつて上記案内ピ
   ン９，１０は上記孔（１１ないし１４）内の中心
   に位置付けられることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項乃至第３項のいずれか１つの項に記載の
   フローテイング・キヤリパ型ブレーキ装置。 ５ 前記弾性手段１５は、案内ピン９，１０の環
   状溝１６内に保持されたゴム・リング１５によつ
   て構成され、このゴム・リング１５はブレーキ・
   キヤリパ１の前記孔（１１ないし１４）内に径方
   向の付勢力を有して係合されていることを特徴と
   する特許請求の範囲第４項記載のフローテイン
   グ・キヤリパ型ブレーキ装置。 ６ 前記案内ピン９，１０とブレーキ・キヤリパ
   １との間には、ブレーキ作動の解除中、案内ピン
   ９，１０の軸方向に、ブレーキ作動の遊びに相当
   するクリアランスが設けられており、このクリア
   ランスは、ブレーキ・キヤリパ１と案内ピン９，
   １０との間に設けられ、案内ピン９，１０をブレ
   ーキ作動の方向とは逆方向に付勢するばね手段１
   ９と、上記案内ピン９，１０に設けられ、ブレー
   キ・キヤリパ１に対して当接する当接部材２０と
   で得られることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項乃至第５項のいずれか１つの項に記載のフロー
   テイング・キヤリパ型ブレーキ装置。 ７ 前記ブレーキ作動手段近傍の各案内ピン９，
   １０の端部にはストツプ・ヘツド１７，１８が設
   けられ、各案内ピン９，１０はストツプ・ヘツド
   １７とブレーキ・キヤリパ１との間に配置された
   ゴム・リング１９を支持しており、このゴム・リ
   ング１９はブレーキ・キヤリパ１の孔１３，１４
   の面取りされた端部領域に係合されるとともに、
   ブレーキ作動時に案内ピン９，１０がブレーキ作
   動の遊びに対応した距離相対的に移動された後、
   上記ストツプ・ヘツド１７，１８がブレーキ・キ
   ヤリパ１に当接するように圧縮されることを特徴
   とする特許請求の範囲第６項記載のフローテイン
   グ・キヤリパ型ブレーキ装置。 ８ 前記支持面２３，２４及び支持溝２５，２６
   は、ブレーキ・デイスク２の外周面の直上に配置
   されていることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項乃至第７項のいずれか１つの項に記載のフロー
   テイング・キヤリパ型ブレーキ装置。 ９ ブレーキ・デイスク２は主回転方向を有し、
   この主回転方向に対向するとともに主回転方向に
   沿う周方向の力を受ける側の前記支持溝２５及び
   支持面２４は凸面状に形成されていることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項乃至第８項のいずれ
   か１つの項に記載のフローテイング・キヤリパ型
   ブレーキ装置。 １０ 前記ブレーキ・デイスク２の回転方向にお
   いて、ブレーキ・キヤリパ１に直接支持されたブ
   レーキ・シユー４，４′には、案内ピン９，１０
   と係合される切欠３１が設けられていることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項乃至第９項のいず
   れか１つの項に記載のフローテイング・キヤリパ
   型ブレーキ装置。 １１ ブレーキ・キヤリパ１内の孔（１１ないし
   １４）、ブレーキ支承体３におけるアーム２１，
   ２２の支持溝２５，２６及びブレーキ・シユー
   ４，４′の上記切欠は、ブレーキ・デイスクの回
   転軸と平行な同一の直線上に配置されており、前
   記孔（１１ないし１４）内に弾性的に保持された
   案内ピン９，１０はブレーキ支承体３のアーム２
   １，２２及びブレーキ・シユー４，４′を挾持す
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項乃至第
   １０項のいずれか１つの項に記載のフローテイン
   グ・キヤリパ型ブレーキ装置。 １２ 一方の案内ピン９が嵌合される孔１１，１
   ３の軸線と他方の案内ピン１０が嵌合される孔１
   ２，１４の軸線との間の距離は、支持溝２５，２
   ６の軸線間の距離よりも短いか、又は同等である
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項乃至第１
   １項のいずれか１つの項に記載のフローテイン
   グ・キヤリパ型ブレーキ装置。