JPS6240084B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は自動差圧設定装置に係り、特に、セン
ジマーミル等の複数のロールを具備し、ロール間
隙を稼動状態において正確に測定できない加工機
に適用するに好適な自動差圧設定装置に関する。

このために、圧延初期の被圧延材は目標厚から
相当ずれた偏差を含んだ厚みしか得ることが出来
ないし、圧下設定が不正確なことに依り、被圧延
材先端部の厚みとともに板形状も所望のものが得
難い状況にあつた。一方、この種の圧延機は元
来、高圧下率を必要とするステンレス鋼、特殊
鋼、銅合金等の比較的硬く、かつ高価な金属圧延
に用いられており、前記の如く先端部の厚み及び
形状に不均一があれば被圧延材そのものの歩留り
が悪く、また板厚又は形状不良の発生に依つて、
その修正のためにオペレータの操業上の負担相当
大きいものとなつていた。さらに補足すれば、こ
の種の圧延機のオペレータの主体作業は圧延機へ
の通板から加速に至るタイミングと終端部タイミ
ングの作業が大半を占めている。この中で、後者
は自動終端停止や端末補正と称する自動厚み制御
でオペレータの負担は逐次減少しているが圧延初
期の圧下設定は従来から手動操作に依存する面が
大であつた。

他方、この設定の不完全さは該圧延機に於ける
生産効率の低下に直結するため、圧延初期の特に
通板から加速に至るタイミングでの安定なスター
トアツプは、従来からこの種の圧延機に於ける強
いニーズでもあつた。

本発明の目的は、加工機の圧延初期の適正な圧
下設定の確保、起動初期の加工状態の安定化を図
ることのできる自動差圧設定装置を提供するにあ
る。

本発明は、次に述べる多年に亘る現場の圧延操
業経験により得られた事象に着眼して成されたも
のである。即ち、圧延の初期に於いては、前方又
は後方張力、潤滑状態の変化に伴う圧延機と材料
間のまさつ係数等がかなりランダムに、かつ大巾
に変化することがあり均一な厚みと形状確保のた
めには、圧下シリンダ上下間の差圧力（以下差圧
と略す）を予め定めた一定値に制御すると、圧延
そのものが安定化し、かつ形状、厚み共に所望値
を得やすいという事実である。この目標差圧は鋼
種ごとに定めることができるもので、かかる対策
により圧延の圧下設定に伴う監視指標が明確とな
りオペレータの操作頻度が低下することも明らか
となつた。

従つて、圧延開始時の初期圧下設定については
前記差圧の一定制御を行なうことが、より安定な
圧下設定に顕著な効果がある。

以上に示す基本的な操業上の事実をふまえて、
本発明は差圧を検出する手段を備えて、かつ圧延
状況をトラツキングするために圧延速度を入力
し、又、被圧延材の移動をこれに接触したデイフ
レクタロール等の回転数を介してパルス発電機に
依るパルス列として取り込み、これらの演算処理
結果を圧下制御装置に帰還すれば差圧一定制御の
ための閉ループ制御系を構成できるようにしたも
のである。ここに前記トラツキング手段は本制御
の終了タイミングを認識する手段として用いるも
のである。

この閉ループでは、圧延状態のトラツキング信
号又は演算制御装置内部のタイマのトリガ信号を
受けて差圧を採取し、該差圧と予め定めた有限な
不感帯域との比較を行ない不感帯域にあり、実積
差圧が不感帯域より大なる場合は圧下設定が過大
締め込みと認識して一定量開し、逆に小さい場合
は一定量閉方向へ動作するよう機能する。

尚、不感帯域内であれば無制御とする。

この一回の動作量は圧下制御装置の応答と、こ
の閉ループに於けるサンプリング周期に依存して
決まるがアナログ制御方式に依る場合は不感帯域
に対応する実績差分に比例した圧下設定信号を出
力することができる。

以下、具体的に図を示し詳述する。

第１図は本発明の実施例を示すブロツク図であ
る。

圧延機１ａは圧下制御装置１ｂにより制御され
ながら被圧延材２を圧延する。被圧延材２は左テ
ンシヨンリール３側から右テンシヨンリール４側
に巻取られるが、圧延機１ａの前、後に配置され
た左デイフレクタロール５および右デイフレクタ
ロール６を介する構成がとられる。また、圧延機
１ａの入側および出側には左厚み計７および右厚
み計８が設けられ、被圧延材２の厚みが測定され
る。

差圧設定手段を含む制御装置９は、圧延機の圧
延差圧を検知する圧力測定器１１、圧延ロールを
駆動するロール駆動電動機１ｃに連結される速度
発電機（PG）１２、右デイフレクタロール６に
連結されるパルス発電機（PLG）６１および設定
器９２の各出力に基づいて圧下制御出力ΔScを
圧下制御装置１ｂに出力する。

次に、制御動作について説明する。圧延機１ａ
に於いて圧延に伴つて発生する差圧ΔＰを圧力測
定器１１により検出し制御装置９に入力する。

制御装置９内では、まず測定された差圧ΔＰと
設定器９２で与えられる目標差圧ΔP₀との差分
（ΔΔＰ＝ΔＰ−ΔP₀）を算出する。そして｜ΔΔ
Ｐ｜＞DB（DBとはデツドバンド巾の絶対値を示
し、DB＝｜BN｜＝｜BP｜である）が成立し、
かつΔΔＰ＞０の時（ΔΔＰ−BP）又は、ΔΔ
Ｐ＜０の時（ΔΔＰ−BN）に対する圧下制御出
力ΔScを圧下制御装置１ｂへ出力する。なお、
制御装置９の制御中の状態は、表示灯９１で知る
ことができる。

一方、圧下装置１ｂでは前記圧下指令を受け
て、圧延機１ａのロール開度を調整するからロー
ル開度の調整に伴い圧力測定器１１の差圧ΔＰが
変化し、閉ループ制御系を形成することができ
る。

本実施例に於いて被圧延材２の加速状態では前
記差圧ΔＰが変動するから、この除外（インター
ロツク）のために、主モータ１ｃに結合された速
度発電機１２の信号を入力し、圧延状態を監視し
必要に依つては当該信号によつて前記デツドバン
ド巾を調整する。

以上の処理をフローチヤートで示したのが第２
図である。

なお、初期圧下位置が出側厚み計（本例では右
厚み計８に相当する）に到達して本制御の終了を
行なうに際し、被圧延材２の移動を認識するため
に右デイフレクタロール６に結合されたパルス発
電機６１の出力信号が制御装置９へ付与され、
又、他の実施例では初期圧下設定出力後制御装置
９の有する内部タイマ（図示省略）で一定時間閉
ループ制御がなされる。

但し、前記いずれに於いても終了タイミングの
付与方法は実施上の一例を示すもので本質的には
任意であり、前記タイミングが本願の本質を限定
するものではない。

又、本例では制御装置９をアナログ的、かつデ
ツドバンドを有するオン―オフ２値制御的に説明
したが、本装置を制御用計算機に置換し、かつデ
ツドバンドを越える入力に対し、比例的又は比例
積分的に制御することも容易に実現可能である。

尚、別の応用として、設定器９２に制御用計算
機等に予め記憶されたスケジユールから又は被圧
延材２の鋼種等を引数として自動設定することが
できる。

以上より明らかなように本発明によれば、加工
機の圧延初期の適正圧力の確保および起動初期の
加工状態の安定化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示すブロツク図、第
２図は本発明の実施例の処理フローチヤートであ
る。 １ａ…圧延機、１ｂ…圧下制御装置、１ｃ…ロ
ール駆動電動機、２…被圧延材、６…右デイフレ
クタロール、９…制御装置、１１…圧力測定器、
１２…速度発電機、６１…パルス発電機、９１…
表示灯、９２…設定器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数多段ロールを備えたセンジマーミル等の
   圧延機であつて、ロール開度を調整する圧下制御
   装置により制御され、被圧延材の圧下加工をおこ
   なう加工設備において、 該加工設備の圧延時における圧下シリンダ上下
   間の差圧と該被圧延材の鋼種に対応して予め設定
   されている目標差圧との差分を演算し、該演算さ
   れた差分信号に対して予め不感帯域を設定するこ
   とができる演算手段を備え、 該演算された差分信号が該設定された不感帯域
   を外れるとき該差分信号の関数として得られる圧
   下制御出力を該圧下制御装置に出力することを特
   徴とする自動差圧設定装置。 ２ 特許請求の範囲第１項において、前記不感帯
   域を前記被圧延材の移送速度検出値に基づいて変
   更することを特徴とする自動差圧設定装置。