JP5202157B2 - タンデム圧延装置の板厚張力制御方法及び板厚張力制御装置 - Google Patents

タンデム圧延装置の板厚張力制御方法及び板厚張力制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、タンデム圧延装置の板厚張力制御方法及び板厚張力制御装置に関する。
従来から、薄鋼板や薄アルミ板等の圧延材は、複数の圧延スタンドを有する連続圧延装置(タンデム圧延装置)により製造されている。
タンデム圧延装置では、圧延材の板厚を所定のものにするために、圧延スタンドにおける圧下荷重やロールギャップなどを制御している。このような制御において、板厚制御と張力制御とを同時に行なうことが多いが、これらを別々の制御器を用いて制御すると互いに干渉が起こり悪影響を与える。この千渉を小さく抑えるためには、板厚・張力干渉系全体を一つの系として捉え、例えば、ILQ(Inverse Linear Quadratic)設計法により制御器を設計して非干渉化する方法が有効である。これらに関して、以下の技術がある。
特開平6−526号公報(特許文献1)は、複数のスタンドに対応してそれぞれ圧延機駆動主電動機の速度を制御する主機速度制御装置と、ロールギャップを制御するロールギャップ制御装置とを設け、主機速度制御装置に対する速度指令値およびロールギャップ制御装置に対するロールギャップ指令値を、それぞれ圧延材の板厚およびスタンド間張力の干渉系をモデル化したプロセスモデルを用いて演算する連続熱間圧延機の制御装置を開示する。
この制御装置は、プロセスモデルを表現する変数、圧延材の板厚目標値、圧延材のスタンド間張力目標値、板厚およびスタンド間張力の応答を指定するための変数、並びに、板厚およびスタンド間張力の応答を調整するための変数を設定する設定手段と、設定された各変数を所定の制御ゲイン演算式に代入して制御ゲインを数値として求める演算手段と、演算された制御ゲインを用いて、板厚とスタンド間張力との相互干渉を小さくしながら、板厚を板厚目標値に、スタンド間張力をスタンド間張力目標値に追随させる速度指令値およびロールギャップ指令値を演算する制御ゲイン演算手段と、を備えたことを特徴とする。
この制御装置を用いることで、圧延材の板厚および張力の制御に対してロールギャップ及び圧延機駆動主電動機が連動して働くため、オーバーシュートの少ない応答を実現することができ、同時に、圧延材の状態や操業状態の変化に対してリカッチ方程式を数値的に解いたり、制御ゲインテーブルを用いたりする必要がなくなる。
さらに、特開平8−57513号公報(特許文献2)は、タンデム圧延機の各スタンド間に配置されたルーパの角度とこのルーパが配置されたスタンド間の圧延材張力とを制御するルーパ制御装置を有する圧延機制御装置を開示する。
この制御装置は、圧延中に圧延材板厚及び/又は板幅を変更する走間変更時に、走間変更前の圧延パススケジュールに適合するルーパ制御装置の制御パラメータを、当該スタンド間で走間変更を開始する前に、走間変更前、変更中、及び変更後の各圧延条件に最適になるようにロバスト安定性の指標を設定して演算するとともに指定し、走間変更後は走間変更後の圧延パススケジュールに適合するルーパ制御装置の制御パラメータを指定する制御パラメータ設定手段を備えたことを特徴とする。
この制御装置によると、走間変更前後における圧延パススケジュールの変化に影響されないルーパ制御装置の制御パラメータの設定が可能となり、走間変更前後での安定なルーパと張力の最適な制御が可能になる。
特開平6-526号公報 特開平8-57513号公報
タンデム圧延装置を用いた実際の薄板圧延においては、圧延速度すなわち板速度は常に一定ではなく、1本の圧延材(1コイル)の先端部では徐々に加速され、終端部に近づくに従って、板速度は徐々に減速される。かかる加速時又は減速時において圧延される圧延材、言い換えるならば、圧延材の加減速部に着目した場合、その板厚が所定の範囲を越えてしまうことが往々にしてあることが、現場の実績として挙がってきている。これは、板先端部において圧延速度は遅く、徐々に加速した後一定速度で圧延し、板尾端部が近づくと減速するため、圧延中に圧延速度は大きく変化する。圧延速度が違えば制御対象の特性も違ってくる。
しかしながら、上述した2つの特許文献においては、この点について考慮しておらず、圧延速度により制御ゲインを変更すること等を行なっていない。つまり、ある圧延速度における制御対象のモデルに基づいて制御ゲイン設計を行なっているため、その圧延速度以外においては適正な制御ゲイン設計ができていない。その結果、干渉が大きくなりオーバーシュートが大きくなる可能性がある。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、例えばILQ設計法を用いた板厚・張力制御において、圧延速度が変動しても適正な制御ゲインを設計することにより、干渉を抑えオーバーシュートを小さくすることが可能な、圧延装置の板厚張力制御方法及び圧延装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る板厚張力制御方法は、タンデム圧延装置の連続する2つの圧延スタンドに対し、圧延スタンドの出側板厚とスタンド間張力とを基に板厚張力制御を行う制御方法において、前記圧延スタンドでの圧延速度に基づいて、前記板厚張力制御の制御ゲインを変更するゲイン変更ステップを有することを特徴とする。
この方法によれば、圧延速度に基づいて板厚張力制御系の制御ゲインが算出される。ゆえに、圧延中に圧延速度は大きく変化することがあっても、変化した圧延速度を用いて制御対象の特性を変化させて制御ゲインを算出するので、従来の制御方法に比較して、板厚制御と張力制御との干渉が適正に抑制でき、オーバーシュートが小さくなる等、制御性が向上する。
好ましくは、前記ゲイン変更ステップは、圧延材の板厚及びスタンド間張力の関係をモデル化した制御対象モデルを、圧延速度に基づいて更新するモデル更新ステップと、前記モデル更新ステップにより更新された制御対象モデルに基づいて、板厚張力制御の制御ゲインを算出するゲイン算出ステップとを含み、前記ゲイン算出ステップは、更新された制御対象モデルと現実の制御対象との誤差が最小となるように制御ゲインを算出するとよい。
この制御方法によると、例えばILQ設計法を用いた板厚張力制御において、圧延中に常時、圧延速度に応じて制御対象モデルを更新し、その時点での現実の制御対象との誤差を小さくすることで適正な制御ゲインを設計することができる。そのため、従来の制御方法に比較して、板厚制御と張力制御との干渉が適正に抑制でき、オーバーシュートが小さくなる等、制御性が格段に向上する。
さらに好ましくは、前記板厚張力制御でサクセシブ制御が実行されている際に、前記ゲイン変更ステップは、サクセシブ制御に用いられる圧延速度を用いて、前記板厚張力制御の制御ゲインを算出するとよい。
この制御方法によると、サクセシブ制御と本発明の板厚張力制御とが協働することとなり、タンデム圧延装置における板厚張力制御の精度が飛躍的に向上する。
以上述べた制御方法を実現する装置としては、連続する2つの圧延スタンドと、該圧延スタンドの出側板厚とスタンド間張力とを基に板厚張力制御を行う板厚張力制御部と、を有するタンデム圧延装置の制御装置において、前記圧延スタンドでの圧延速度に基づいて、前記板厚張力制御部の制御ゲインを変更する制御ゲイン変更部を有する構成とするとよい。
さらに、前記板厚張力制御部でサクセシブ制御が実行されている場合に、前記制御ゲイン変更部では、サクセシブ制御に用いられる圧延速度を用いて、前記板厚張力制御部の制御ゲインを算出するとよい。
本発明に係るタンデム圧延装置の板厚張力制御方法及び板厚張力制御装置を用いることで、圧延速度が変動しても、板厚制御及び張力制御を良好なものとすることができ、圧延装置を安定して操業することが可能となる。
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本実施形態の圧延装置1を示す模式図である。
圧延装置1は複数(図では#1〜#4)の圧延スタンドを有するタンデム型である。#1圧延スタンドに圧延材4が通された後、#2〜#4圧延スタンドを通過する毎に圧下され、#4圧延スタンドを出たところで所定の仕上げ板厚となり、巻き取り装置2で巻き取られる。各圧延スタンドにおけるロール速度やロールギャップ等が板厚張力制御装置3により制御されるものとなっている。
なお、以下においては、この圧延装置1は冷間圧延装置であるとして説明するが、本発明の適用がこれに限定されるわけではない。
一般に、冷間圧延鋼板等の薄板を製造する圧延装置1において、製品である薄板の板厚を目標値に一致させ、かつ、薄板全般に渡って板厚を均一に保つため、AGCによる板厚制御が適用されている。そして、冷間圧延加工中に圧延材4に作用する張力を破断限界内に保たなければ安定な操業にならないため、ルーパ制御などによる張力制御も適用されているのが普通である。板厚及び張力の2つの目標値に対して、圧延装置1のワークロール10の回転速度と、上下のワークロール10の間隔の2つの操作量を適当に操作することで、自動板厚制御と自動張力制御の2つの制御を同時に実現することができる。
図1において、各圧延スタンドのワークロール10は、各々電動機20(以下、主機20と記載する場合がある)で駆動されているが、この電動機20は、速度制御装置22により自由に回転速度を調整できるようになっている。又、上下のワークロール10の間隔は、油圧又は電動機で駆動される圧下装置30によってギャップ量を調整できる構造になっている。
図1において、上下のワークロール10はそれぞれバックアップロール12を備える。最終の圧延スタンド出側には、圧延材4の板厚を検出する板厚検出器が設けられる。また、各圧延スタンド間の張力を検出する張力検出器29が設けられる。これらの板厚検出器及び張力検出器29から入力された信号等に基づいて、板厚張力制御装置3が、圧延材4の板厚及び張力を制御する。このとき、板厚張力制御装置3は、速度制御装置22及び圧下装置30を制御する。
さらに、本実施形態の場合、上述した板厚制御、張力制御に加え、第iスタンドのロール速度を変更するにあたり、同時に上流側の第i−1〜第1スタンドにおいても、第iスタンドと同じ割合だけロール速度を変更するサクセシブ制御を行なうことにより、張力の変動を、第i+1スタンドと第iスタンド間のみとして、当該スタンド間以外での張力変動が発生しないようにしている。
図2に、本実施形態に係る圧延装置1(タンデム圧延装置)における任意の連続する2つのスタンド、及び、その制御ブロックを示す。各圧延スタンドは、それぞれ圧下装置30、圧延機駆動主電動機20(主機20)、主機20の速度を制御する速度制御装置22を有する。
下流側の圧延スタンド(下流スタンド)の速度制御装置22には主機速度指令装置23から主機速度指令値が入力される。上流側の圧延スタンド(上流スタンド)の主機速度制御装置22には、基準主機速度指令装置24からの基準主機速度指令値と、板厚張力制御装置3からの主機速度偏差指令値との和が入力される。上流スタンドの基準主機速度指令装置24からは、スタンド間の張力が大きく変化しないように、下流スタンドの主機速度指令値に合わせて上流スタンドの基準主機速度指令値が出力される。このように下流スタンドの主機速度に合わせて上流スタンドの主機速度を操作し、張力が大きく変化しないようにすることは、一般的に広く行なわれている、上述したサクセシブ制御である。
本実施形態の板厚張力制御は、このようなサクセシブ制御が実行されている際に、サクセシブ制御に用いられる圧延速度を用いて、板厚張力制御の制御ゲインを算出するゲイン変更ステップを有するものであって、このステップは後述する制御ゲイン演算装置31(制御ゲイン変更部)により行われる。
以下に、図2〜図4の説明で用いる記号を示す。
Figure 0005202157
図2に示すように、下流スタンドの圧下装置30には、板厚張力制御装置3からの下流スタンドのロールギャップ偏差指令値と、下流スタンドのロールギャップロックオン値との和が入力される。
スタンド間には張力検出器29が設けられている。板厚張力制御装置3には、制御ゲイン演算装置31により演算した制御ゲインの値、スタンド間張力偏差、下流スタンド出側板厚偏差、上流スタンド主機速度偏差、下流スタンドロールギャップ偏差が入力される。板厚張力制御装置3からは、上流スタンド主機速度偏差指令値、下流スタンドロールギャップ偏差指令値が出力される。
制御ゲイン演算装置31は、パラメータ設定装置32、下流スタンドの主機速度指令装置23、上流スタンドの基準主機速度指令装置24からの入力値を用いて、後述する制御ゲイン計算式に基づき制御ゲインを算出して、板厚張力制御装置3に出力する。
下流スタンド出側板厚推定器34からは、下流スタンドの出側板厚の推定値が出力される。推定方法としては、ゲージメータ式やマスフロー一定式を用いた推定や、板厚計の測定値を用いる方法、又は、これらを適宜組み合わせた方法などがある。実施可能な範囲で、なるべく実際の板厚との誤差が小さく、むだ時間が少ない方法を選択することが好ましい。
図3に制御対象モデル及び制御装置のブロック図を示す。
本実施形態の制御においては、前述のゲイン変更ステップが、圧延材の板厚及びスタンド間張力の関係(干渉系)をモデル化した制御対象モデルを圧延速度に基づいて更新するモデル更新ステップと、モデル更新ステップにより更新された制御対象モデルに基づいて板厚張力制御の制御ゲインを算出するゲイン算出ステップと、を含み、このゲイン算出ステップでは、更新された制御対象モデルと現実の制御対象との誤差が最小となるように制御ゲインを算出するものとなっている。
言い替えるならば、ILQ設計法を用いた板厚・張力制御において、圧延制御中に、常時、圧延速度に応じて制御対象モデルを更新し、その時点での現実の制御対象との誤差を小さくすることで適正な制御ゲインを設計し、その結果、干渉を抑えてオーバーシュートを小さくするようにしている。
ここで、ILQ設計法を行なう際には、図3の右側に示す制御対象モデルに基づいて設計を行なう。図3の右側に示す制御対象モデルは、前述した先行技術(特許文献)における制御対象モデルのように、張力や板厚もしくはロールギャップから張力発生系への影響を単一の影響係数として表わしたものではなく、上流スタンド先進率への影響係数(張力から先進率への影響係数)と上流スタンド基準主機速度指令値との積や、下流スタンド後進率への影響係数(張力から後進率への影響係数、板厚から後進率への影響係数)と下流スタンド主機速度指令値との積として表わしており、上流スタンド基準主機速度指令値及び下流スタンド主機速度指令値が陽に現れる制御対象モデルとなっている。このため、圧延中の各時点における上流スタンド基準主機速度指令値及び下流スタンド主機速度指令値の値を用いて制御対象モデルを更新することができる。
以下、本実施形態に係る圧延装置1における板厚・張力制御のアルゴリズムについて説明する。
圧延開始前において、張力目標値及び板厚目標値を目標値設定装置33に設定し、さらに、図3の右側に示す制御対象モデルのパラメータのうち、先進率ロックオン値、上流スタンド基準主機速度指令値及び下流スタンド主機速度指令値以外のパラメータと、設定パラメータTt、Th、σt、σhとを、パラメータ設定装置32に設定する。なお、設定パラメータの詳細については、後述する。
ここで、下流側の圧延スタンドにおいて、板先端が噛み込んだとする。この板先端が噛み込んだことを検出した任意の時刻においてロックオン処理を行なう。具体的には、ロックオン値として、その時刻における、スタンド間張力、下流スタンド出側板厚、下流スタンドロールギャップ及び上流スタンド先進率を記憶する。以後、スタンド間張力測定値、下流スタンド出側板厚推定器による推定値、下流スタンドロールギャップ測定値と、上述したロックオン値とに基づき、それぞれの偏差分を以下の式(1)により算出する。また、上流スタンド主機速度測定値と上流スタンド基準主機速度指令値とに基づき、上流スタンド主機速度の偏差分も以下の式(1)により算出する。
Figure 0005202157
また、張力偏差目標値と板厚偏差目標値とを以下の式(2)により計算する。
Figure 0005202157
次に、制御ゲイン演算装置31において、パラメータ設定装置32からの入力と先進率ロックオン値が、上流スタンド基準主機速度指令値、下流スタンド主機速度指令値を用いて、制御ゲイン計算式により制御ゲインを計算し、板厚張力制御装置3に出力する。制御ゲイン計算式は、以下のようにILQ設計法により導出する。
図3の右側の制御対象モデルのブロック図を、状態方程式で書くと、以下の式(3)〜式(12)のようになる。
Figure 0005202157
ここで、圧延中に更新される圧延速度の関数になっているのは、式(4)のa11及び式(6)のa13である。
図3の左側の制御ゲインは、ILQ設計法により設計した、以下の式(13)〜式(21)のようになる。
Figure 0005202157
ここで、式(13)〜式(21)で表わされる制御ゲインのうち、式(4)のa11又は式(6)のa13の関数になっているのは、式(13)の制御ゲインkF11及び式(18)の制御ゲインkI12である。すなわち、圧延中に更新される圧延速度の関数である制御ゲインは、制御ゲインkF11及び式(18)の制御ゲインkI12であって、これら2つの制御ゲインが圧延中に更新される制御ゲインである。その他の制御ゲインは固定である。
また、図3の左側に示すσtはTtにより指定した張力の出力応答波形にどれだけ近づけるかを調整するパラメータであり、σhはThにより指定した板厚の出力応答波形にどれだけ近づけるかを調整するパラメータである。σt、σhを大きくすると、指定した出力応答波形に漸近するが、一般に、上流スタンド主機速度指令値の偏差、下流スタンドロールギャップ指令値の偏差が大きくなるため、極端に大きな値は現実的ではない。そこで、指定した出力応答波形への板厚・張力の漸近の程度と、上流スタンド主機速度指令値の偏差、下流スタンドロールギャップ指令値の偏差の大きさとのトレードオフの関係に基づいて、設定パラメータσt、σhを設定する。
制御終了命令がない限り、これらの制御ゲイン算出処理を繰返す。
次に、以上述べた本願発明の板厚張力制御を用いたシミュレーションの結果を説明する。
図4には、下流スタンド主機速度指令値、上流スタンド基準主機速度指令値の時間変化が示されている。下流スタンド主機速度指令値、上流スタンド基準主機速度指令値ともに、時間τ=0〜5[sec]の間は加速し、時間τ=5〜10[sec]の間は一定速度としている。これは、板先端部では低速で、そこから最高速度まで加速していき、最高速度に到達した後は一定速度で圧延する状況を模擬している。
図5に、本実施形態に係る圧延装置1におけるシミュレーション結果を示す。張力偏差目標値を−5[ton]、板厚偏差目標値を−1[mm]として、時間τ=0[sec]においてロックオンしている。これは、板先端部においてかみこみ直後に張力が目標値より高く、板厚が目標値より厚い状態でロックオンし、そこから目標値に追従させる状況を想定している。
この図5と比較するために、制御ゲインを固定し、圧延速度を変化させ、それ以外の条件は同じにして、板厚・張力制御を行なったシミュレーション結果(従来の装置)を、図6〜図8に示す。
図6は、下流スタンド主機速度指令値を45[mpm]、上流スタンド基準主機速度指令値を30[mpm]としてILQ設計法により設計した制御ゲインで固定して板厚・張力制御を行なったシミュレーション結果である。すなわち、時間τ=0[sec]における、下流スタンド主機速度指令値及び上流スタンド基準主機速度指令値に対して最適になるように制御ゲイン設計を行なっている。ただし、下流スタンド主機速度指令値及び上流スタンド基準主機速度指令値は、図4に示したように変化させている。
図7は、下流スタンド主機速度指令値を247.5[mpm]、上流スタンド基準主機速度指令値を165[mpm]としてILQ設計法により設計した制御ゲインで固定して板厚・張力制御を行なったシミュレーション結果である。すなわち、時間τ=2.5[sec]における、下流スタンド主機速度指令値及び上流スタンド基準主機速度指令値に対して最適になるように制御ゲイン設計を行なっている。
図8は、下流スタンド主機速度指令値を450[mpm]、上流スタンド基準主機速度指令値を300[mpm]としてILQ設計法により設計した制御ゲインで固定して板厚・張力制御を行なったシミュレーション結果である。すなわち、時間τ=5〜10[sec]における、下流スタンド主機速度指令値及び上流スタンド基準主機速度指令値に対して最適になるように制御ゲイン設計を行なっている。
図5〜図8を比較すると、出側板厚偏差については大きな差異はないが、スタンド間張力については以下のような違いがある。
図6では、加速中に張力がオーバーシュートしており低張力となっている。図7及び図8ではロックオン直後に張力が目標とは逆方向に動いた上、その後、図6同様にオーバーシュートしている。これらと比較して、本実施形態に係る圧延装置1でのシミュレーション結果である図5では、張力がオーバーシュートすることなく、しかも加速中においても目標値からの偏差が小さい。その結果、整定時間も短くなっている。
図7,図8においても、加速中に張力がオーバーシュートしており、高張力又は低張力となっている。特に、図8におけるロックオン直後の高張力側へのオーバーシュートは著しく不都合な状況である。本発明の結果である図5には、このような不都合はみられない。
なお、本実施例では加速中の状況を模擬し有効性を示したが、減速中においても同様の効果が得られる。
以上のようにして、本実施形態に係る板厚・張力制御方法及びその制御方法を適用した圧延装置によると、タンデム圧延機の連続する2つの圧延スタンドにおける、板厚・張力制御を行なうときに、圧延速度が加減速中であっても、板厚制御と張力制御との干渉を抑制し、その結果、オーバーシュートを防止するとともに、目標値からの偏差を低減して、整定時間を短縮することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施形態に係る圧延装置の全体構成を示す図である。 図1の2つの圧延スタンドにおける制御ブロック図である。 制御対象モデルを示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る圧延装置における圧延速度の変化を示す図である。 本発明の実施形態に係る圧延装置におけるシミュレーション結果を示す図である。 従来の圧延装置におけるシミュレーション結果を示す図(その1)である。 従来の圧延装置におけるシミュレーション結果を示す図(その2)である。 従来の圧延装置におけるシミュレーション結果を示す図(その3)である。
符号の説明
1 圧延装置(タンデム圧延装置)
2 巻き取り装置
3 板厚張力制御装置
4 圧延材
10 ワークロール
12 バックアップロール
20 電動機
22 速度制御装置
23 速度指令装置
29 張力検出器
30 圧下制御装置
31 制御ゲイン演算装置
32 パラメータ設定装置
33 目標値設定装置
34 下流スタンド出側板厚推定器

Claims (2)

  1. タンデム圧延装置の連続する2つの圧延スタンドに対し、圧延スタンドの出側板厚とスタンド間張力とを基に板厚張力制御を行う制御方法において、
    前記圧延スタンドでの圧延速度に基づいて、前記板厚張力制御の制御ゲインを変更するゲイン変更ステップを有しており、
    前記ゲイン変更ステップは、
    圧延材の板厚及びスタンド間張力の関係をモデル化した制御対象モデルを、圧延中に常時、圧延速度に基づいて更新するモデル更新ステップと、
    前記モデル更新ステップにより更新された制御対象モデルに基づいて、板厚張力制御の制御ゲインを、更新された制御対象モデルと現実の制御対象との誤差が最小となるように制御ゲインを算出するゲイン算出ステップとを含み、
    前記ゲイン算出ステップは、前記板厚張力制御でサクセシブ制御が実行されている際には、サクセシブ制御に用いられる圧延速度を用いて、前記板厚張力制御の制御ゲインを算出することを特徴とするタンデム圧延装置の板厚張力制御方法。
  2. 連続する2つの圧延スタンドと、該圧延スタンドの出側板厚とスタンド間張力とを基に板厚張力制御を行う板厚張力制御部と、を有するタンデム圧延装置の制御装置において、
    前記圧延スタンドでの圧延速度に基づいて、前記板厚張力制御部の制御ゲインを変更する制御ゲイン変更部を有し、
    前記ゲイン変更部は、
    圧延材の板厚及びスタンド間張力の関係をモデル化した制御対象モデルを、圧延中に常時、圧延速度に基づいて更新するモデル更新部と、
    前記モデル更新部により更新された制御対象モデルに基づいて、板厚張力制御の制御ゲインを、更新された制御対象モデルと現実の制御対象との誤差が最小となるように制御ゲインを算出するゲイン算出部とを含み、
    前記ゲイン算出部は、前記板厚張力制御でサクセシブ制御が実行されている際には、サクセシブ制御に用いられる圧延速度を用いて、前記板厚張力制御の制御ゲインを算出することを特徴とするタンデム圧延装置の板厚張力制御装置。
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