JPH06246319A - 圧延方法及び圧延装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】平角線のワイヤサイズが小さく側面加工が困難
な場合でも、比較的安価で、かつマルチ圧延ラインにお
ける特定ラインの幅寸法をも簡単に調整する。 【構成】材料５ａが圧延ロール２に供給される手前でダ
ンサロール８で引き出されて適当なバックテンションが
付与される。材料５ａは、バックテンションの影響を受
けた圧延ロール２の圧下量に見合った幅をもつワイヤ５
に成形される。成形されたワイヤ５の幅寸法は寸法測定
手段Ｄにより測定されて制御手段Ｅに与えられる。制御
手段Ｅは幅寸法が所定の範囲に入っていないとき、その
範囲に入るようにアクチュエータＣに指令を出す。この
指令をもらったアクチュエータＣによりダンサロール８
の位置が変えられて材料５ａに付与されるバックテンシ
ョンが制御される。その結果、圧延ロール２による圧下
量が変化してワイヤ５の幅広がりが調整され、所定の幅
寸法をもつ平角線が成形される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、圧延により平角線など
の平条を成形する圧延方法及び圧延装置に係り、特に平
条の幅広がりを制御するものに関する。

【０００２】

【従来の技術】平条、例えば平角線（以下、ワイヤとい
う）は、圧延ロールにより投入材料を圧延して成形して
いる。この場合、圧延後の幅広がりは、圧延ロールの表
面状態等さまざまな要因に影響されるため、何らかの手
段を講じなければ所定範囲内に抑えることはできない。
特に、細サイズのワイヤにあっては厳しい幅寸法を求め
られるため、従来、次のような種々の対策が講じられて
いた。

【０００３】(1) 圧延加工時にワイヤの側面方向からも
圧延して幅広がりの矯正を行う。

【０００４】(2) 圧延後、ダイス等を用いた引抜加工に
よってスキンパス（調質圧延）する。

【０００５】(3) 圧延後のワイヤの幅寸法を測定し、測
定値をフィードバックすることで、圧延ロールのギャッ
プを調整して圧下量を制御する。

【０００６】(4) 最終工程でスリッタによりワイヤの側
面部をカットするスリット加工を行う（比較的幅広サイ
ズのワイヤの場合に採用される。）。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の対策には次のような欠点があった。

【０００８】(1) 側面方向から圧延加工を行う方式にあ
っては、ワイヤサイズが小さい場合には、圧延加工時に
ワイヤが座屈し、加工自体が不可能となる。

【０００９】(2) ダイス等で引抜加工を行う方式にあっ
ては、ワイヤサイズが小さいと、ダイスの作成自体に困
難な場合も多く、かつ引取釜と称する原料回収設備を新
たに必要とするため、コスト上不利である。

【００１０】(3) 幅寸法をフィードバックさせて圧延ロ
ールのギャップを調整する方式にあっては、圧延ロール
のギャップ調整手段が複雑となるため、システム的に高
価となる。そればかりか、マルチ圧延ラインの圧延機で
は、走行中のラインのうち特定の１ラインのみのワイヤ
幅寸法を矯正したい場合、圧延ロールのギャップ調整が
全ライン共通に行われてしまうため、全てのラインのサ
イズが同時に変動する。このため１ラインのみの矯正が
できない。これを可能とするには、投入するワイヤサイ
ズを変更してライン間の幅寸法を調整する方式をとらざ
るを得ず、そうすると作業性が著しく低下してしまう。

【００１１】(4) 最終工程でスリッタにより側面部をカ
ットする方式では、これを幅細サイズのワイヤに採用す
ると製品歩留が著しく低下すると同時に、１ライン工程
が増加し、作業性も大幅に低下してしまう。

【００１２】本発明の目的は、前記した従来技術の欠点
を悉く解消し、平条サイズが小さく側面加工が困難な場
合にも、比較的安価で、かつマルチ圧延ラインにおける
特定ラインの幅寸法をも簡単に調整することが可能な圧
延方法及び圧延装置を提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明の圧延方法は、圧
延ロールによる圧延により材料から平条を成形する圧延
方法において、材料に付与する圧延方向とは反対方向の
バックテンションを制御して平条の幅寸法を調整するよ
うにしたものである。

【００１４】また、本発明の圧延装置は、材料をロール
圧延して平条を成形する圧延手段と、圧延手段に供給さ
れる材料に圧延方向とは反対方向のバックテンションを
付与する張力付与手段と、指令に応じてバックテンショ
ン付与値を変更するように張力付与手段を作動させるア
クチュエータと、圧延手段から圧延される平条の幅寸法
を測定する寸法測定手段と、寸法測定手段で測定した平
条の幅寸法が所定値になるように上記アクチュエータに
上記指令を与える制御手段とを備えたものである。

【００１５】平条にはワイヤなどがある。張力付与手段
はダンサロールなどで構成できる。アクチュエータは制
御可能なスプリングや、一定トルクの得られる各種モー
タ、または電磁クラッチ等で構成できる。制御手段はＣ
ＰＵなどで構成することができる。

【００１６】

【作用】本発明は、材料に付与される圧延方向とは反対
方向のバックテンションを制御することによって、圧延
ロールから圧延される平条の幅寸法を調整できるという
知見に基づいてなされたものである。

【００１７】材料は、圧延ロールに供給される手前で張
力付与手段により適当なバックテンションが付与され
る。バックテンションの付与された材料は、バックテン
ションにより左右される圧延ロールの圧下量に見合った
幅寸法をもつ平条に成形される。成形された平条の幅寸
法は寸法測定手段により測定されて制御手段に与えられ
る。

【００１８】制御手段では幅寸法が所定の範囲に入って
いないときは、その範囲に入るようにアクチュエータに
指令を出す。この指令をもらったアクチュエータにより
張力付与手段から材料に付与されるバックテンションが
調整される。その結果、圧延ロールによる圧下量が変化
して平条の幅広がりが調整され、所定の幅寸法をもつ平
条が成形される。

【００１９】これら一連の作業は自動的に行うことがで
き、また、マルチ圧延ラインの場合にあっては、ライン
毎に行うことができるので、作業性が大幅に向上する。

【００２０】

【実施例】図１は、本発明の圧延方法を実施するための
圧延装置の一実施例を示す概略構成図である。この圧延
装置は、投入材料を圧延する圧延手段Ａと、材料にバッ
クテンションを与える張力付与手段Ｂと、張力付与手段
を作動させるアクチュエータＣと、ワイヤの幅寸法を測
定する寸法測定手段Ｄと、アクチュエータを制御する制
御手段Ｅとから主に構成される。

【００２１】圧延手段Ａは、材料ドラム１と製品巻取ド
ラム３とのライン間に圧延ロール２を備え、材料ドラム
１に巻回された材料５ａをガイドプーリ９から直線走行
させて、回転する圧延ロール２間に供給し、圧延により
成形したワイヤ５をガイドローラ９で製品巻取ドラム３
に導いて巻き取る。

【００２２】張力付与手段Ｂは、ガイドプーリ９と圧延
ロール２との間に上下動するように設けられたダンサロ
ール８を有し、ダンサロール８により投入材料５ａを直
線走行の外側に引き出して圧延ロール２で圧延される材
料５ａにバックテンションを与えるようになっている。

【００２３】アクチュエータＣは、ダンサロール８に連
結されてダンサロール８の上下運動の抵抗となるトルク
モータ７を有し、ダンサロール８の上下位置を張力制御
指令信号により変更して材料５ａに付与される張力を制
御する。

【００２４】寸法測定手段Ｄは、圧力ロール２の圧延方
向側のラインに沿って設けらた一対のセンサ４を有し、
ライン走行中に変動するワイヤ５の幅寸法を測定して測
定信号を出力する。

【００２５】制御手段Ｅは、ワイヤの幅寸法設定値と測
定値とを比較して張力制御指令信号を出力する比較器６
を有し、寸法測定手段Ｄで測定したワイヤ５の幅寸法が
設定値になるようにアクチュエータＣに張力制御指令信
号を与える。なお、アクチュエータＣを、制御手段Ｅか
ら切り離してマニュアル制御とすることもできる。

【００２６】さて次に、上記のような構成における本実
施例の作用を説明する。材料ドラム１から繰り出された
材料５ａは圧延ロール２に供給されるが、圧延ロール２
とガイドプーリ９間を走行する部分がダンサロール８で
引き出されるため、圧延ロール２に供給される材料５ａ
には適当なバックテンションが付与される。バックテン
ションの付与された材料５ａは、バックテンションの大
きさに左右される圧延ロール２の圧下量に見合った幅を
もつワイヤ５に成形される。因みに、バックテンション
が大きければ圧下量は大きくなり、バックテンションが
小さければ圧下量は小さくなる。ライン走行中のワイヤ
５の幅寸法は寸法測定手段Ｄのセンサ４により測定さ
れ、その信号は制御手段Ｅに与えられる。

【００２７】制御手段Ｅでは測定値と設定値が比較器６
により比較され、幅寸法が所定の範囲に入っていないと
きは、その範囲に入るように制御手段Ｅからアクチュエ
ータＣに張力制御指令信号が出される。この張力制御指
令信号をもらうとトルクモータ７は、ダンサロール８の
上下位置を変更し、材料５ａに付与されるバックテンシ
ョンを調整する。すなわち、測定値が設定値より大きい
ときは、ダンサロール８を上昇してバックテンションを
大きくし、逆に測定値が設定値より小さいときは、ダン
サロール８を下降してバックテンションを小さくする。
その結果、圧延ロール２による圧下量が変化してワイヤ
５の幅広がりが調整され、所定の幅寸法をもつワイヤ５
が成形される。

【００２８】このように本実施例によれば、材料にかか
るバックテンションを制御するだけでワイヤ幅寸法を制
御するようにしたので、その制御はワイヤサイズに影響
されない。したがって、幅広がりを側圧制御により矯正
する場合のように、ワイヤサイズが小さいときワイヤが
座屈したり、加工自体が不可能となることがない。ま
た、バックテンションを付与するダンスロールは、ダイ
ス等と異なりワイヤサイズを選ばないため簡単に用意で
き、引取釜のような設備を新規に必要としないのでコス
ト上不利となることもない。

【００２９】また、ワイヤの幅寸法結果を圧延ロールの
ギャップ調整手段にフィードバックするのではなく、材
料にバックテンションを単純に付与するダンサロール８
のアクチュエータＣにフィードバックするようにしたの
で、システムが非常に単純であり、安価となる。更に、
マルチ圧延ラインの圧延機においても、ダンサロール８
をライン毎に設けて個別にバックテンションを制御する
ことができるので、走行中のラインのうち特定の１ライ
ンのみの矯正が極めて容易に行える。

【００３０】そして、本制御は圧延工程中にくみこまれ
ており、圧延ロールのギャップを直接制御して圧下量を
変えるのではなく、材料にかかるバックテンションを制
御して間接的に圧延量を変えることにより幅寸法を調整
するので、ライン工程が増加したりして、作業性が低下
するということもない。

【００３１】特に本実施例を、細サイズで側面加工が困
難なワイヤに適用した場合には、比較的安価で幅広がり
ばらつきの少ない高精度の幅寸法のものが得られ、品質
向上に寄与するところ大である。

【００３２】ここに上記実施例に基づく具体例を説明す
る。上記装置により半硬質銅線０．７ｍｍφの投入材料
を１２０ｍｍφの圧延ロールで厚み０．１８ｍｍに圧延
した場合、バックテンションの設定値（ダンサロールで
の抵抗値及び、上下時の加速度等を考慮しないとする）
を０〜１０ｋｇｆの範囲で変更した。その結果、幅寸法
を１．４ｍｍ〜１．９ｍｍまで任意に調整できた。

【００３３】

【発明の効果】

(1) 請求項１に記載の圧延方法によれば、圧延状態に応
じて変化する幅寸法をバックテンションの制御によって
調整するようにしたので、作業性を飛躍的に向上するこ
とができる。また、マルチ圧延ラインで従来問題となっ
ていた特定のラインのみの寸法調整も可能となり、マル
チ圧延ラインにおける幅寸法精度も向上することができ
る。

【００３４】(2) 請求項２に記載の圧延装置によれば、
ラインに設けられている既存の張力付与手段や寸法測定
手段等がそのまま利用でき、新規に投入する機器もアク
チュエータやこれに指令を与える制御手段など制御系に
限定されるため、従来のスリッター方式、スキンパス方
式に比し、初期投資費用やランニングコストを大幅に低
減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の圧延方法を実施するための圧延装置の
一実施例を示す概略構成図。

【符号の説明】

１ 材料ドラム ２ 圧延ロール ３ 製品巻取ドラム ４ センサ ５ ワイヤ（平角線） ６ 比較器 ７ トルクモータ ８ ダンサロール ９ ガイドプーリ Ａ 圧延手段 Ｂ 張力付与手段 Ｃ アクチュエータ Ｄ 寸法測定器 Ｅ 制御手段

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】圧延ロールによる圧延により材料から平条
   を成形する圧延方法において、材料に付与する圧延方向
   とは反対方向のバックテンションを制御して平条の幅寸
   法を調整するようにしたことを特徴とする圧延方法。
2. 【請求項２】材料をロール圧延して平条を成形する圧延
   手段と、圧延手段に供給される材料に圧延方向とは反対
   方向のバックテンションを付与する張力付与手段と、指
   令に応じてバックテンション付与値を変更するように張
   力付与手段を作動させるアクチュエータと、圧延手段か
   ら圧延される平条の幅寸法を測定する寸法測定手段と、
   寸法測定手段で測定した平条の幅寸法が所定値になるよ
   うに上記アクチュエータに上記指令を与える制御手段と
   を備えたことを特徴とする圧延装置。