JPS6240001Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は地面とバルコニーデツキを連絡する
階段を備えたバルコニーに関するものである。

従来の階段付きバルコニーにおいては、デツキ
面と階段の最上段の踏板間の段差が大きいため、
踊り場を備えていない場合は、階段昇降時に、デ
ツキ面よりもわずかに上方に突出しているバルコ
ニー側梁に爪づいたり、踏み外すおそれがあり、
非常に危険であつた。この危険を解消するには、
デツキより外側に踊り場を設ける必要があるた
め、階段を取付けるには広い設置スペースを必要
とした。また、踊り場を設ける場合は、その支柱
がバルコニー支柱から離れて立設されることとな
るため、強風、地震等による左右方向の振れに対
して弱いという欠点があつた。

この考案は上記の点に鑑みてなされたものであ
り、階段の最上段の踏板について改良することに
より、踊り場を設けることなく、階段最上部から
デツキへの、又はその逆の移行を安全に行なうこ
とができ、しかも、階段上部の左右方向の揺れに
対する堅牢性が増大された階段付きバルコニーを
提供することを目的とする。

次に、図面に基いてこの考案の実施例を説明す
る。

第１図はこの考案を屋根置き型バルコニーに適
用した一例を示すものである。すなわち、バルコ
ニーＡは建屋Ｂの外壁から等距離隔てて平行に立
設されるコーナ支柱１，２及びバルコニーの間口
が大きい場合に必要に応じて立設される間柱３の
間、並びにコーナ支柱と建屋躯体又はこれに添設
された受け桟４，５の間に、それぞれ前梁６、左
右の側梁７，８を横架連結するとともに、建屋躯
体外壁面に後梁９を前梁６と平行に固定して前記
前梁と後梁間にデツキ支持用根太１０を横架し、
これら根太の上にデツキ材１１を載置固定し、さ
らに、支柱１，２及び前梁６の間に正面手摺１２
を、一方の支柱２と受け桟５及び側梁８の間に側
面手摺１３をそれぞれ取付けて構成されており、
他方の支柱１と受け桟４との間には側面手摺を設
けずに、開口１４が設けられている。

この開口１４は、後述のように、これに階段Ｃ
への出入口とされる。階段の幅が側面手摺部の幅
と等しいときは、バルコニーの一側面の全てが開
口とされるが、階段の幅が側面手摺部の幅よりも
小さい場合は、第１図に示されているように、側
梁７の支柱１から階段の幅と等しい距離だけ建屋
側に寄つた位置において補助支柱１５が立設さ
れ、その補助支柱と受け桟４の間に袖手摺１６が
取付けられる。１７は、各梁の外側面に取付けた
幕板である。

階段Ｃは、前記開口１４が設けられた側の側梁
７に近い位置において地面に立設された一対の平
行な支柱１８，１９に、桁材２０，２１の上端部
を前記側梁とほぼ等しい高さにおいて固定すると
ともに、桁材を平行に傾斜させ、その下端部を地
面にコンクリート基礎、アンカーボルト等を用い
て固定し、桁材２０，２１の間に平行な所定間隔
をもつて踏板２２…を横架固着し、かつ、各桁材
の下端部近傍において立設した手摺柱２３，２４
と同一側に存する前記支柱１８，１９の上部との
間に、手摺２５，２６を連結し、手摺と桁材の間
に格子２７を多数配設してなつている。

前記踏板２２はいずれも同一形状を有してお
り、踏面の先端の鼻部に摺り止め部材２８を備え
ているとともに、踏面の後端に蹴込み部２９が起
ち上げ形成されている。

最上段の踏板２２Ａを除くほかの踏板は、桁材
２０，２１の対向面に断面横転Ｌ形の連結金具３
０を固着し、左右一対の連結金具の水平面部に前
記踏板の長手方向端部を載置し、その水平面部と
踏板とをリベツト又はボルトなどにより固着して
取付けられている。

そして、この考案においては、最上段の踏板２
２Ａがその後端に形成された蹴込み部２９を、前
記バルコニーの前記開口１４を設けた側の側梁７
の上面近傍における外側面に当接して、その蹴込
み部からねじ又はリベツト３１を側梁にねじ込む
などして、側梁に固着され、かつ、踏板の左右両
側端を、前記連結金具と同様の連結金具３０を用
いて、左右の階段支柱１８，１９、又は、最上段
の踏板と等しい高さにおいて支柱に連結されてい
る前記桁材２０，２１に固定されている。

前記階段支柱１８，１９は、それぞれバルコニ
ーの支柱１及び補助支柱１５から等距離隔てら
れ、かつ、これらと平行であるので、階段支柱１
８とバルコニー支柱１の間及び階段支柱１９と補
助支柱１５の間に、それぞれ手摺３２，３３を取
付けて、安全性を高め、かつ、各支柱の相互補強
を図つている。

最上段の踏板の蹴込み部２９の立上げ量はわず
かであり、しかも、その蹴込み部をバルコニーの
側梁上面近傍において固着しているので、最上段
の踏板の上面からバルコニーデツキ１１面までの
段差が少なく、従つて、階段からデツキへの又は
その逆の歩行の際に、側梁に爪づいたり、踏板か
ら踏み外すことが防止され、階段よりの昇降を安
全に行なうことができる。

側梁７は第２図に示すように、断面ほぼ角Ｇ形
状を有し、デツキ材の端部を差し込んで係止さ
せ、デツキ上面の雨水を側梁内に流入させて側梁
を雨樋に兼用できるように、開口３４を設けてあ
るため、そのままの形状の側梁に踏板２２Ａを固
着した場合は、とくに降段時に、側梁７の上面部
３５とデツキ材１１の間に残存する隙間に足先を
捉われ、爪づきや転落を生じるおそれがある。ま
た、側梁上面部３５には、第３図に示すように側
面手摺の下レール３６を嵌合するための折曲縁３
７が突設されるが、前記開口３４の部分には手摺
を設置しないので、折曲縁が露出することとな
り、同様に爪づきによる転倒又は負傷のおそれが
ある。

第２図及び第３図の３６は上記の問題点を解消
した手摺下レールである。この手摺下レール３６
は、幅方向一端３６ａが前記側梁上面部３５の折
曲縁３７に嵌合しうるように折曲され、かつ、幅
方向他端３６ｂが、垂直状又はＬ字状に下方に延
長され、さらに、水平な中央部上面に格子１６ａ
位置決め用突条３６ｃを有している。そして、こ
のような構成により、この手摺下レールを袖手摺
部１６においてはもとより、開口１４において
も、側梁７上面に前記折曲縁３７と幅方向一端３
６ａの嵌合及びビス３８のねじ込みにより固着し
て取付けることにより、袖手摺部においては格子
１６ａの取付けに、開口においては、側梁上面の
平滑化及び上面部３５とデツキ材１１との間隙の
閉塞の双方に利用し、開口１４における出入の安
全性を向上させている。

また、階段支柱１８，１９は最上段踏板２２Ａ
を介してバルコニー側梁７に連結されているか
ら、階段の左右方向の揺れに対する堅牢性が増大
される。階段支柱の上端部を手摺３２，３３でバ
ルコニー支柱１及び補助支柱１５に連結した場合
は、安全性が一層向上し、かつ、階段とバルコニ
ーの連結強度も増大される。

この考案は上記屋根置き式バルコニーに限ら
ず、柱建て式バルコニーにも同様に適用すること
ができる。柱建て式バルコニーは第４図に示すよ
うに、コーナ支柱１Ａ，２Ａが地面に立設される
ので、階段支柱の一つ１８は、前記開口１４を設
けた側のコーナ支柱１Ａに近接して立設されるこ
ととなる。従つて、コーナ支柱１Ａと階段支柱１
８は、その上端部間を手摺３２で連結するほか、
中間の任意の高さにおいて連結金具で両支柱１
Ａ，１８を連結することができるから、階段の左
右方向のみならず、前後方向の揺れも少なくする
ことができる。

以上のように、この考案によれば、デツキ上面
と最上段の踏板との間の段差が非常に小さいの
で、階段の昇降時に、爪づいたり、踏み外すこと
がなく、安全である。また、階段上部が踏板を介
して側梁に連結されているので、階段の左右方向
の揺れが防止され、安全性が高い。さらに、段差
を少なくするため、踏板を用いたから、踊り場を
設ける必要がなく、階段設置スペースが小さくて
もよい。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す斜視図、第
２図は要部の縦断面図、第３図は袖手摺部の縦断
面図、第４図は他の実施例の斜視図である。 Ａ……バルコニー、Ｂ……建屋、Ｃ……階段、
７……側梁、１８，１９……階段支柱、２０，２
１……桁材、２２……踏板、２９……蹴込み部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 バルコニーの一側面の手摺部に開口を設け、そ
   の開口に階段の上部を接続してなる、下記要件を
   具えた階段付きバルコニー。 (イ) 階段の最上段の踏板が、該踏板の後端に起ち
   上げ形成した蹴込み部をバルコニーの側梁上面
   近傍にねじ止めして、前記側梁に固定してある
   こと。 (ロ) 前記最上段の踏板の左右両側下部が階段の左
   右の支柱又は桁材に固定されていること。