JPS6239973Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、車両のキヤブ構造の改良に関す
る。一般に、車両のキヤブ構造、例えば、トラツ
クのキヤブ構造において、ルーフ・パネルの内側
かつ前方の側には、フロント・ルーフ・レールが
配置されている。

そのフロント・ルーフ・レールは、前方の縁を
そのルーフ・パネルの先端に合わせて、ウイン
ド・シールド・ガラスのためのウインド・フレー
ム・フランジを形成することは勿論のこと、その
ルーフ・パネルの先端内側を縁取りし、キヤブ内
の装飾的効果を高めている。

また、その車両のキヤブ構造において、そのル
ーフ・パネルの内側にはルーフ・インシユレータ
が配置され、そのルーフ・インシユレータの先端
はそのフロント・ルーフ・レールに保持されてき
ている。

しかし、そのフロント・ルーフ・レールは、前
方の縁がそのルーフ・パネルの先端に合わされ、
その合わされた部分でスポツト溶接されることの
みによつてそのルーフ・パネルに取り付けられて
いるので、十分な剛性を得ることが困難であり、
従つて、従来のルーフ・インシユレータは、スト
ツパにより取付け位置が規制されるようにして、
フアスナを介してルーフ・パネルの内側に取り付
けられ、その結果、そのフロント・ルーフ・レー
ルまわりの構造が複雑になり、生産コストが高く
なる傾向にあつた。

さらに、通常、そのフロント・ルーフ・レール
のほぼ中央の位置には、インサイド・ミラーが取
り付けられるが、そのフロント・ルーフ・レール
は上述のように十分な剛性を備えていないため、
そのトラツクの走行時、そのインサイド・ミラー
が振れ易く、そのインサイド・ミラーによつて後
方の安全を確認することが困難になる虞れがあつ
た。

勿論、そのフロント・ルーフ・レールの肉厚を
比較的厚くしたり、若しくは、補強メンバを使用
して、そのフロント・ルーフ・レールの剛性を高
めることは可能であるが、前者の場合には、重量
が重くなり、後者の場合には、そのフロント・ル
ーフ・レールを取り付けるための部品員数が増
し、何れの場合も生産コストが高くなる傾向にあ
つた。

この考案の目的は、ルーフ・パネルの内側かつ
前方の側に配置されたフロント・ルーフ・レール
の剛性を高め、しかも、特別なストツパやフアス
ナを使用することなく、ルーフ・インシユレータ
の先端を確実に保持し、そのフロント・ルーフ・
レールまわりの構造を簡略化し、比較的低廉な生
産コストに維持でき、殊に、そのフロント・ルー
フ・レールにインサイド・ミラーを取り付ける場
合、そのインサイド・ミラーの振れを少なくし、
そのインサイド・ミラーによる後方の安全確認を
確実にするところの車両のキヤブ構造の提供にあ
る。

これらを課題として、この考案の車両のキヤブ
構造は、ルーフ・パネルの内側かつ前方の側にフ
ロント・ルーフ・レールを配置し、そのフロン
ト・ルーフ・レールにルーフ・インシユレータの
先端を保持させるもので、先端にフランジを備え
た切起しが、そのフロント・ルーフ・レールの所
定の位置に形成され、かつ、そのフランジが、そ
のルーフ・パネルの内側面に固定され、さらに、
段が、そのルーフ・インシユレータの先端を載せ
るように、そのフランジ側において、その切起し
に折り曲げられて構成されている。

以下、この考案に係る車両のキヤブ構造の望ま
しい具体例について、図面を参照して説明する。

第１および２図は、キヤブ・オーバ型トラツク
３０に適用されたこの考案の車両のキヤブ構造の
具体例１０を示している。

そのキヤブ・オーバ型トラツク３０のキヤブ構
造１０は、ルーフ・パネル１１の内側かつ前方の
側にフロント・ルーフ・レール１２を配置し、そ
のフロント・ルーフ・レール１２にルーフ・イン
シユレータ１８の先端を保持させるもので、先端
にフランジ１５を備えた切起し１４が、そのフロ
ント・ルーフ・レール１２のほぼ中央の位置に形
成され、そのフランジ１５がそのルーフ・パネル
１１の内側面に接着剤２５によつて固定され、か
つ、段１６がそのルーフ・インシユレータ１８の
先端を載せるように、そのフランジ１５側におい
て、その切起し１４に折り曲げられ、さらに、イ
ンサイド・ミラー２０をその切起し１４によつて
形成された開口１７を閉塞するように、そのフロ
ント・ルーフ・レール１２に配置する構成にして
いる。

フロント・ルーフ・レール１２は、いわゆる、
ウインド・シールド・アツパ・フレーム、若しく
は、ルーフ・フロント・フレームと称され、ルー
フ・パネル１１の内側かつ前方の側に配置されて
いる。勿論、そのフロント・ルーフ・レール１２
の前方の縁は、ウインド・シールド・フレーム・
フランジ１３を形成するように、そのルーフ・パ
ネル１１の先端に重ね合わせられ、その重ね合わ
せられた部分でスポツト溶接されている。

また、そのフロント・ルーフ・レール１２の後
方の縁は、そのルーフ・パネル１１から所定の間
隔を置いて離され、かつ、そのルーフ・パネル１
１側に向けられるように、上方に曲げられて、リ
ツプ付きインシユレータ受け２８を形成してい
る。

切起し１４は、そのフロント・ルーフ・レール
１２のほぼ中央の部分をそのルーフ・パネル１１
側に切り起こし、さらに、段１６およびフランジ
１５をそれぞれ備えるように折り曲げられてい
る。

すなわち、その切起し１４は、先ず、そのフロ
ント・ルーフ・レール１２のほぼ中央の部分を上
方に向けて切り起こし、次いで、その切起し１４
のほぼ中央の部分で前方側に折り曲げて段１６を
形成し、さらに、その切起し１４の先端側を上方
に向けて折り曲げ、その折り曲げられた先端をさ
らに前方に向けて折り曲げることにより、フラン
ジ１５を形成ている。

勿論、そのフランジ１５および段１６を備える
切起し１４は、そのフロント・ルーフ・レール１
２の前方および後方の側に施される曲げ加工とほ
ぼ同時にして形成される。また、そのように切起
し１４を形成することにより、そのフロント・ル
ーフ・レール１２のほぼ中央の位置には、開口１
７が形成されることは勿論である。

その切起し１４のフランジ１５は、接着剤２５
によつてそのルーフ・パネル１１の内側面に固定
されている。

そのフランジ１５は、その接着剤２５によつて
そのルーフ・パネル１１の内側面に固定されるこ
と以外に、そのルーフ・パネル１１の内側面に重
ね合わせられ、スポツト溶接されるものでも良
い。

ルーフ・インシユレータ１８は、そのルーフ・
パネル１１の内側に配置されるもので、先端のほ
ぼ中央の部分に切欠き１９が形成されている。そ
の切欠き１９は、そのフランジ１５に嵌め合わせ
られるように形成されている（第２図参照）。

従つて、そのルーフ・インシユレータ１８は、
その切欠き１９をそのフランジ１５に嵌め合わせ
るようにして、先端をその切起し１４の段１６上
に載せ、そのルーフ・パネル１１の内側に配置さ
れている。勿論、その際、そのフロント・ルー
フ・レール１２の後方の縁のリツプ付きインシユ
レータ受け２８は、そのルーフ・インシユレータ
１８の下面に接触して、その段１６と同様にその
ルーフ・インシユレータ１８を支持している。

インサイド・ミラー２０は、その切起し１４に
よつて形成された開口１７を閉塞するように、そ
のフロント・ルーフ・レール１２にねじ止めされ
ている。勿論、そのようなインサイド・ミラー２
０のねじ止めを可能にするように、そのフロン
ト・ルーフ・レール１２における開口１７のまわ
りには、複数のナツト（図示せず）が予め溶接さ
れている。

そのインサイド・ミラー２０は、その開口１７
を閉塞するように、そのフロント・ルーフ・レー
ル１２にねじ止めされるベース２１と、そのベー
ス２１に板ばね（図示せず）を介して連結された
ステー２２と、そのステー２２の下端にボール・
ジヨイント連結され、かつ、ミラーが組み込まれ
たボデイ２３とより構成され、さらに、そのベー
ス２１にはルーム・ランプ２４が組み込まれてい
る。

さらに、そのルーフ・パネル１１の内側かつ前
方の側にフロント・ルーフ・レール１２を配置す
ることによつて形成されたウインド・シールド・
フレーム・フランジ１３には、ウエザー・ストリ
ツプ２７を介してウインド・シールド・ガラス２
６が配置されていることは勿論である。

この考案の車両のキヤブ構造１０において、上
述した以外の構成は、既存のキヤブ・オーバ型ト
ラツクのキヤブ構造と同様であるため、それらの
構成の説明を省略する。

上述のキヤブ・オーバ型トラツク２６に適用さ
れたこの考案の車両のキヤブ構造１０において、
フロント・ルーフ・レール１２のほぼ中央の位置
には、フランジ１５および段１６を備えた切起し
１４が形成され、そのフランジ１５がルーフ・パ
ネル１１の内側面に固定され、さらに、ルーフ・
インシユレータ１８の先端がその段１６に載せら
れているので、特別なストツパやフアスナを使用
することなく、そのルーフ・インシユレータ１８
の先端が確実に保持される。

勿論、上述のルーフ・インシユレータ１８は、
先端に切欠き１９を備え、その段１６に載せられ
る際、その切欠き１９をそのフランジ１５に嵌め
合わせるように構成しているので、そのルーフ・
インシユレータ１８の取り付け時、位置決めが容
易になされ、取付け作業が簡単になり、また、そ
のルーフ・インシユレータ１８のがたつきも防止
される。

さらに、その切起し１４によつて、そのフロン
ト・ルーフ・レール１２全体がそのルーフ・パネ
ル１１に強固に固定され、そのフロント・ルー
フ・レール１２の剛性が高められる。

従つて、そのフロント・ルーフ・レール１２に
インサイド・ミラー２０が取り付けられた場合、
そのインサイド・ミラー２０の取付け位置が確実
に保持され、そのキヤブ・オーバ型トラツク３０
の走行時、そのインサイド・ミラー２０の振れが
少なくなり、そのインサイド・ミラー２０による
後方の安全確認が確実になされる。

勿論、上述のようにしてフロント・ルーフ・レ
ール１２に切起し１４を形成すれば、そのフロン
ト・ルーフ・レール１２に使用される材料、すな
わち、鋼板が有効に利用され、しかも、その鋼板
の板厚を極端に厚くすることなく、その切起し１
４によつてそのフロント・ルーフ・レール１２の
剛性が高められ、その結果、生産コストが低廉に
なる。

また、そのインサイド・ミラー２０は、その切
起し１４によつて形成された開口１６を閉塞する
ように、そのフロント・ルーフ・レール１２に取
り付けられているので、その開口１７が露呈され
ず、キヤブ内の美観を損うことが防止される。

如上のこの考案によれば、ルーフ・パネルの内
側かつ前方の側にフロント・ルーフ・レールを配
置し、そのフロント・ルーフ・レールにルーフ・
インシユレータの先端を保持させるもので、先端
にフランジを備えた切起しが、そのフロント・ル
ーフ・レールの所定の位置に形成され、かつ、そ
のフランジがそのルーフ・パネルの内側面に固定
されて、そのフロント・ルーフ・レールの剛性を
高めるように構成され、さらに、段がそのフラン
ジ側において、その切起しに折り曲げられ、その
ルーフ・インシユレータの先端を載せるように構
成されているので、特別なストツパやフアスナを
使用することなく、ルーフ・インシユレータの先
端がその切起しの段によつて確実に保持され、そ
のフロント・ルーフ・レールまわりの構造が簡略
化され、生産コストが低廉になり、殊に、そのフ
ロント・ルーフ・レールにインサイド・ミラーを
取り付ける場合、そのインサイド・ミラーの振れ
が少なくなり、そのインサイド・ミラーによる後
方の安全確認が確実になされ、極めて実用的にな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はキヤブ・オーバ型トラツクに適用され
たこの考案の車両のキヤブ構造の具体例を示す部
分縦断面図、および、第２図はこの考案の車両の
キヤブ構造におけるルーフ・インシユレータの取
付け状態を示す斜視図である。 １０……車両のキヤブ構造、１１……ルーフ・
パネル、１２……フロント・ルーフ・レール、１
４……切起し、１５……フランジ、１６……段、
１８……ルーフ・インシユレータ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ルーフ・パネルの内側かつ前方の側にフロン
   ト・ルーフ・レールを配置し、そのフロント・ル
   ーフ・レールにルーフ・インシユレータの先端を
   保持させるものにおいて、 先端にフランジを備えた切起しが、そのフロン
   ト・ルーフ・レールの所定の位置に形成され、か
   つ、 そのフランジが、そのルーフ・パネルの内側面
   に固定され、さらに、 段が、そのルーフ・インシユレータの先端を載
   せるように、そのフランジ側において、その切起
   しに折り曲げられている ことを特徴とする車両のキヤブ構造。