JPS6238507B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は利用者に便宜を図り入出庫の効率を大
幅に向上させることを目的とした水平多層循環式
駐輪設備に関する。

近時、駅またはスーパー等の付近における自転
車の放置に対し種々の駐輪設備が考案されてい
る。

さて、この中で駅に駐輪設備を設置する場合
は、駅の特称事情を十分に考慮しなければならな
い。第１に時間帯によつて利用者の増減が極端に
激しいことである。特に朝のラツシユ時には昼間
の数十倍もの混雑が予想される。しかも利用者は
ほとんどが通勤者であり、時間的な余裕をもつて
いない。

従つて、限られた敷地面積に大量の自転車を収
容できること、および一度に多数の利用者が円滑
に入庫できることが最も重要な要件となる。

本発明は前述事情に鑑み、適宜チエン・スプロ
ケツト機構により水平多層且つ上下方向に蛇行状
に循環するごとく自転車搭載用のケージを多数配
列し、地上１階層の水平移動経路に沿つてほぼ全
域に渉り多数のケージに入出庫できる大きさの主
入出庫口を設け、さらに２階層の水平移動経路に
沿つて少なくとも１台のケージに対して出庫可能
な補助出庫口を設け、地上と補助出庫口との間に
はゆるやかな傾斜路を設け、さらに傾斜路の途中
には地上への階段を架設し、朝のラツシユ時等多
数の利用者が殺到した場合でも円滑且つ効率的に
捌き、また時間に余裕のない利用者が若干の遅れ
で主入出庫口での自転車取出しに間に合わなかつ
た場合でも階段を昇つて補助出庫口に行けば、さ
ほど待つことなく自転車の取り出しができるよう
にして利用者の便宜を図つた、水平多層循環式駐
輪設備を提供せんとするものである。

以下図面の実施例に基づき詳述する。尚、説明
の便宜上第１図における左・右を「左」・「右」、
第３，７図における左・右を「前」・「後」と呼称
する。

１は左右に細長い建屋で、内部の左上部，左下
部，右下部，左寄り中央部，右上部に各々前後１
対のスプロケツト２ａ，２ｂ，３ａ，３ｂ（図示
せず），４ａ，４ｂ（図示せず），５ａ，５ｂ，６
ａ，６ｂを前・後壁１ａ，１ｂに片持ちで支承し
てある。そして前記スプロケツト２ａ，３ａ，４
ａ，５ａ，６ａ、並びに２ｂ，３ｂ，４ｂ，５
ｂ，６ｂの順に前後１対の無端チエン７ａ，７ｂ
を上下方向蛇行状に巻き掛けてある。

前記無端チエン７ａ，７ｂは適宜等間隔にリン
ク７a₁，７b₁の関節部両外側に前後１対のガイド
ローラ８ａ，８ｂを配置し、前後方向に延びる連
結棒９の両端小径部を前記ガイドローラ８ａの中
心貫通孔および前記関節部のブツシユ７a₂，７b₂
に回転自在に嵌挿支持して該両無端チエン７ａ，
７ｂを連結している。

しかして前記無端チエン７ａ，７ｂは地上１，
２，３，４階層の各水平移動経路に沿つて前記
前・後壁１ａ，１ｂに固設した水平軌道１０ａ，
１０ｂに前記ガイドローラ８ａ，８ｂを転動自在
に係合させ、チエンの垂れ下りを防止している。

１１は自転車Ｊ搭載用のケージで、台床１１ａ
の前後に若干外方上り傾斜の門形枠体１１b₁，１
１b₂を立設し、該枠体１１b₁，１１b₂の上部中央
を取付部材１１ｃにより前記連結棒９の前・後部
に枢着吊持している。

また前記台床１１ａの前・後側面左・右部には
ガイドローラ１１d₁，１１d₂を軸支しており、こ
れらのガイドローラ１１d₁，１１d₂は１階層の水
平移動経路では地上床Ｆ１に形成したピツトＰの
前・後上部内側面に埋設したコ字形ガイドレール
１２a₁，１２b₁，２，３，４階層の水平移動経路
では前・後壁の突出床（２階層の突出床のみＦ２
として表示する）に固設したガイドレール１２
a₂，１２b₂，１２a₃，１２a₄，１２b₄（但し、１
２b₃，１２b₄は図示せず）、並びに前記スプロケ
ツト２，３間、スプロケツト４，５，６部分の垂
直転換部に設けた各ガイドレール１３a₁，１３
b₁，１３a₂，１３b₂，１３a₃，１３b₃，１３a₄，
１３b₄（但し、１３b₁，１３b₂，１３b₃，１３b₄
は図示せず）に転動自在に係合支持させてある。

１４は建屋１屋上に設置した駆動装置で、前後
方向に支承した回転軸１４ａの両端および中央部
に小スプロケツト１４b₁，１４b₂および大スプロ
ケツト１４b₃を固定し、前記スプロケツト２ａ，
２ｂと同軸に固定した被駆動スプロケツト１５
ａ，１５ｂと前記小スプロケツト１４b₁，１４b₂
との間に無端鎖１４c₁，１４c₂を巻き掛け、さら
に減速機およびブレーキ付正・逆転モータ１４ｄ
の出力軸に固定せるスプロケツト１４d₁と前記大
スプロケツト１４b₃との間に無端鎖１４ｅを巻掛
けてある。

１６は前記各ケージ１１の台床１１ａに左右方
向に並置し前後互い違いに配置した前後４組宛の
自転車保持装置で、前輪挾持具１６ａ，前輪押付
具１６ｂおよび後輪保持具１６ｃをもつて１組を
構成している。そして隣接する自動車保持装置１
６の前輪挾持具１６ａおよび前輪押付具１６ｂの
み台床１１ａに固設した隆起案内台１１a₁により
交互に高低差を設け、駐車時における隣接する自
転車ＪのハンドルJ₁の干渉を避けるようにしてあ
る。

前記自転車保持装置１６の１組について第７，
８，９図を参照しながらさらに詳しく説明する。

前記前輪挾持具１６ａは、左右１対の弾性支持
棒１６a₁，１６a₁を自転車Ｊの最大タイヤ巾より
大きく左右に離間して台床１１ａ上で前後方向に
延ばし、前方で上方に湾曲させるとともに後方水
平に延び、さらに中間部より屈曲して漸狭状に上
方後方に延ばしており、該支持棒１６a₁下部後端
を固定部材１６a₂およびボルト・ナツト１６a₃に
より台床１１ａに固定保持している。また前記各
支持棒１６a₁の立上り部上部に適宜長さのローラ
１６a₄を回転自在に外嵌保持せしめてある。そし
て前記両支持棒１６a₁の常態において、上端部で
自転車Ｊの最小タイヤ巾より若干小なる間隔をも
ち下方に至るにしたがい漸拡状となるごとく配置
してある。

１６a₅は弾性の丸棒材より成る連結部材で、両
端を前記両支持棒１６a₁の上端に一体的に固着
し、後方下方に略Ｖ字状に適宜長さ垂下させ、自
転車Ｊの前輪J₂用ストツパーを兼用している。

前記前輪押付具１６ｂは、前記前輪挾持具１６
ａの若干前方において断面Ｕ字形上向き開口且つ
全体を前後方向に弧状に湾曲させた押付部材１６
b₁を配置し、該押付部材１６b₁の後方寄り中間部
を台床１１ａ上に固定したブラケツト１６b₂によ
り枢支し、該枢支点Ｑを支点に前後方向に沿つた
垂直面内で揺動自在としてある。

尚、押付部材１６b₁の後方下り方向への揺動範
囲を拡大させるために、台床１１ａには適宜大き
さの穴１１a₂を削設してある。

１６b₃は前記押付部材１６b₁の一側部後方寄り
上端に突設したピン１６b₄と前記ブラケツト１６
b₂の下部に突設したピン１６b₅との間に張設した
引張ばねで、常時は前記両ピン１６b₄，１６b₅間
を結ぶ線Ｌが前記枢支点Ｑより前方に若干ずれて
いることにより、前記押付部材１６b₁を前方下り
方向に付勢し前端底部を台床１１ａに衝接させて
前輪J₂の進入を許容する（第９図）。

また前輪J₂通過時には該前輪J₂による押付部材
１６b₁の後方下り方向への揺動に伴つて前記線Ｌ
が枢支点Ｑより後方に転換移動してL′となり、こ
れによつて前記押付部材１６b₁を前輪J₂を後方に
押付ける方向に付勢する（第７図）。

前記後輪保持具１６ｃは、自転車Ｊの前・後輪
J₂，J₃の進入を許容する最大タイヤ巾以上の巾を
もつて前後方向に延びる左右１対の棒材１６c₁を
適宜ブラケツト１６c₂により台床１１ａに固設し
たものから成り、前・後輪J₂，J₃の進入時の案内
と自転車Ｊ駐車時における後輪J₃の倒止めの役目
を兼ねている。

１７は前記台床１１ａの左・右側部に前後方向
の全長に渉つて立設した安全衝立である。

１８は前記各連結棒９の中央部に吊持した矩形
のケージ番号プレートで、前・後面をそれぞれ
Ａ，Ｂ列番号としてある。例えば、１番ケージ１
１のプレート１８の前面には「Ａ―１」、また後
面には「Ｂ―１」と記載してある。

１９ａ，１９ｂは建屋１の１階層前・後壁に形
成した主入出庫口で、５個のケージ１１に対して
同時に入出庫できる大きさの開口としてある。

２０a₁，２０a₂，２０b₁，２０b₂は建屋１の
前・後壁に沿つて地上床Ｆ１左・右から中央部に
向うゆるやかな上り勾配の傾斜路で、前記２階層
突出床Ｆ２を外部に延長して形成した踊場Ｆ２
ａ，Ｆ２ｂでそれぞれ合流している。そして前記
踊場Ｆ２ａ，Ｆ２ｂに面する前・後壁１ａ，１ｂ
には２個のケージ１１に対して同時に出庫できる
大きさの開口をもつ出庫専用の補助出庫口２１
ａ，２１ｂを形成してある。

２２ａ，２２ｂ，２３ａ，２３ｂはそれぞれ前
記主入出庫口１９ａ，１９ｂおよび補助出庫口２
１ａ，２１ｂの内部において各々左・右に投光部
と受光部を配置した光電装置で、ケージ１１に近
接し且つ適宜高さ位置において左右水平方向に投
光するごとくしてある。

２４は前記主入出庫口１９ａ，１９ｂの中央部
上方の前・後壁１ａ，１ｂ外面に貼付けた電光表
示板で、例えば主入出庫口１９ａに設けた電光表
示板２４は第１０図に示すようにケージ１１の位
置状況をケージ番号（前記プレート１８と符号す
る番号）で図示してあり、主入出庫口１９ａおよ
び補助出庫口２１ａに相当する斜線領域を点灯
し、ケージ１１の移動に同期して番号表示が逐次
変化するようにしてある。

２５は地上から前記各傾斜路２０a₁，２０a₂，
２０b₁，２０b₂の途中にかけて設置した階段で、
利用者はこの階段を昇つて補助出庫口２１ａ，２
１ｂへ行き、補助出庫口２１ａ，２１ｂで自転車
Ｊを取り出してからは自転車Ｊに乗つて傾斜路２
０a₁，２０a₂，２０b₁，２０b₂を下りて行くこと
ができる。

次に上述駐輪設備を駅に設置した場合の使用例
につき説明する。

朝のラツシユ時、傾斜路２０a₁，２０a₂，２０
b₁，２０b₂および階段２５の通行を遮断した上で
操作員は図示しない制御盤を手動操作してモータ
１４ｄを駆動させ、ケージ１１群を上向き蛇行状
に循環させ、５個のケージ１１が１階表・裏入出
庫口１９ａ，１９ｂ前面に到達したところで駆動
を一旦停止させる。そして利用者は一斉に各ケー
ジ１１内に自転車Ｊを乗り入れて自転車保持装置
１６に駐車させる。

この入庫操作において、利用者は自転車Ｊの前
輪J₂を後輪保持具１６ｃの左・右棒材１６c₁，１
６c₁間を通過させて押付部材１６b₁の凹部内に嵌
入させ、さらに前輪挾持具１６ａの連結部材１６
a₅に衝接するまで左・右ローラ１６a₄，１６a₄間
に押進めるだけでよい。

この際、押付部材１６b₁は後下り方向（第７図
において）に揺動して引張りばね１６b₃の付勢方
向を転換させるため、前輪J₂は連結部材１６a₅と
押付部材１６b₁との間に保持され、また両ローラ
１６a₄および両支持棒１６a₁により左右両側から
も強固に弾挾持される。さらに後輪J₃は後輪保持
具１６ｃによつて保持される。

従つて、利用者は台床１１ａ上に一歩も踏み入
れることなく、自転車Ｊのサドルや後荷台等を把
持して押入れることができる。勿論、必要に応じ
ケージ１１内に立入つても差しつかえない。

このとき、光電装置２２ａ，２２ｂは利用者や
自転車Ｊによつて遮光されるため、自動的に駆動
装置１４のブレーキをかけられており、操作員が
誤つて駆動させるということはない。入庫を終え
た利用者は入庫したケージ１１の番号に相当する
適宜番号札を操作員から受け取る。

こうして各ケージ１１が満車になると、操作員
は満車を確認し、ケージ１１移動開始の適宜警報
を発した上で、次の空ケージ１１を主入出庫口１
９ａ，１９ｂに配置する。

朝のラツシユ時が終えると、操作員はケージ１
１の２個分宛の間欠自動運転に切換える。

利用者の帰宅する夕方のラツシユは朝のラツシ
ユほど混雑を来たさないと予想されるので間欠自
動運転のままとする。操作員は傾斜路２０a₁，２
０a₂，２０b₁，２０b₂および階段２５の進行遮断
を解除する。

利用者は自身の入庫ケージ１１が主入出庫口１
９ａ，１９ｂに到達したところで、自転車Ｊを取
出す。この際、利用者は台床１１ａに踏み込むこ
となく、自転車Ｊの後部適所を把持して真直ぐ手
前に引寄せるだけでよい。このとき、前輪J₂は両
ローラ１６a₄の自由回転により円滑に引き出すこ
とができ、押付部材１６b₁は前輪J₂の後退通過に
よりばね力に抗し前方下り方向（第７図におい
て）に揺動するとともに引張ばね１６b₃の付勢方
向を転換し、前端を台床１１ａに衝接させた状態
に復帰する。

ところで第１図のケージ配置において「Ａ―
６」の番号札をもつ利用者は電光表示板２４（第
１０図）を眺めれば、所望のケージ１１が丁度主
入出庫口１９ａより通過したところであることに
気付く。この利用者は、「Ａ―６」のケージ１１
が一循して再び主入出庫口１９ａに到達するまで
待つ余裕があれば、その場で待つ。しかし、この
利用者が時間に余裕がなく、待時間が惜しけれ
ば、階段２５を昇つて踊場Ｆ２ａに行き、補助出
庫口２１ａ前で待つ。そうすれば間もなくして所
望の「Ａ―６」ケージ１１が補助出庫口２１ａに
停止するから、そこで自転車Ｊを取り出せばよ
い。

尚、前述実施例においては、建屋１の表と裏の
両方に主入出庫口および補助出庫口を設けたが、
表だけに主入出庫口および補助出庫口を設けるも
のとしてもよい。この場合、当然のことながらケ
ージの前後方向の長さはほぼ半分となる。

また主入出庫口１９ａ，１９ｂおよび補助出庫
口２１ａ，２１ｂの全長に渉つて起立傾倒可能な
可動柵を設け、ケージ移動時には起立して利用者
が建屋内に侵入するのを防止し、ケージ停止に伴
い自動的に傾倒して利用者の立入りを許可するよ
うにすれば、安全性が一層確保される。

さらに、前述使用例の他に、朝のラツシユ時に
はケージ５個宛の間欠自動運転としてもよい。こ
の場合、満車になつてもならなくても停止時間が
過ぎれば移動を開始する。

以上詳述せるごとく、本発明の駐輪設備によれ
ば、地上の一階層に多数のケージに対して同時に
入出庫できる主入出庫口を設け、また各ケージの
台床には自転車を押し進めるだけという極めて簡
単な操作で確実な自転車の保持を行える自転車保
持装置を設けたため、時間帯によつて利用者の増
減の激しい場所、例えば駅等にこの駐輪設備を設
置した場合、朝のラツシユ時に多数の利用者が殺
到しても大した混乱を来たすことなく円滑に捌く
ことができる。

また２階層にも補助出庫口を設けたため、利用
者が自転車を取り出したいとき、所望のケージが
丁度主入出庫口を通過したところでも、このケー
ジが一循するのを待つまでもなく、階段を昇つて
補助出庫口で待てば、待時間少なくして自転車を
取り出すことができ、時間的に余裕をもたない利
用者にとつて非常に便利である。

さらに入出庫口のところにケージの移動配置状
況を示す電光表示板を設けることにより、所望ケ
ージの現在位置が一目で分かる上待時間におおよ
その見当がつき、利用者の待時間に対する苛立ち
が和らぐ。

【図面の簡単な説明】

図面はいずれも本発明の一実施例を示すもの
で、第１図は第２図の〜矢視正面図、第２図
は第１図の〜矢視平面図、第３図は第１図の
〜矢視拡大側面断面図、第４図は第３図の
〜矢視平面図、第５図は第３図の〜矢視拡
大平面図、第６図は第５図の〜矢視側面図、
第７図は自転車保持装置の側面図、第８図は第７
図の〜矢視正面図、第９図は前輪押付具の斜
視図、第１０図は電光表示板の説明図である。 図中、１は建屋、１１はケージ、１４は駆動装
置、１６は自転車保持装置、１９ａ，１９ｂは主
入出庫口、２０a₁，２０a₂，２０b₁，２０b₂は傾
斜路、２１ａ，２１ｂは補助出庫口、２５は階段
である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 左・右に離間した方向転換部毎に前後１対宛
   のスプロケツトを建屋の前・後壁に支承し、該ス
   プロケツト間に左右に蛇行しながら上下方向に延
   びる前後１対の無端チエンを巻き掛け、該両無端
   チエン間に左右等間隔且つ前後方向に複数の連結
   棒を架橋し、該各連結棒に自動車搭載用ケージを
   吊持することにより、各階層の水平移動経路に複
   数のケージを並列配置し、適宜駆動装置により前
   記いずれか１対のスプロケツトを駆動させること
   によりケージ群を循環移動させるようにしたもの
   において、地上１階層の水平移動経路に並列配置
   せる多数のケージに対面するように建屋の壁を開
   口した主入出庫口を設け、２階層の水平移動経路
   に並列配置せる多数のケージのうち少なくとも１
   個のケージに対面するように建屋の壁を開口した
   出庫専用の補助出庫口を設け、該補助出庫口にお
   ける床を外部に延長して踊場を形成し、地上と前
   記踊場との間に傾斜路を架設したことを特徴とす
   る、水平多層循環式駐輪設備。 ２ 前記ケージは台床に複数の自動車保持装置を
   前後互い違いに対向して並置した、特許請求の範
   囲第１項記載の水平多層循環式駐輪設備。 ３ 前記主入出庫口，補助出庫口および傾斜路は
   建屋の前後対象位置に前後１対として設けた、特
   許請求の範囲第１項または第２項記載の水平多層
   循環式駐輪設備。 ４ 前記傾斜路の途中から地上への階段を設置し
   た、特許請求の範囲第１項記載の水平多層循環式
   駐輪設備。