JPS6238412Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、前車軸及び後車軸の車輪間の回転数
差を補償するための傘歯車式補償歯車装置式のセ
ンターデフアレンシヤルと、相互に隣り合つて平
行に設けられクラツチにより相互に連結可能な２
つの変速機主軸とを有し、その変速機主軸のうち
一方が変速機駆動軸として、そして他方が中空の
変速機被動軸として役立ち、中空の変速機被動軸
の一端には補償キヤリヤーとして働くセンターデ
フアレンシヤルのケースが固定され、その際セン
ターデフアレンシヤルの両傘歯車の一方には後車
軸駆動装置につながる第１駆動軸が固定されてお
り、両傘歯車の他方には前車軸駆動装置につなが
る第２駆動軸が固定されており、この第２駆動軸
が中空の変速機被動軸の内側に支持され、またセ
ンターデフアレンシヤルとは反対側の端部でこの
変速機被動軸から突き出ているフルタイム全輪駆
動式自動車用変速機に関する。

全輪駆動式自動車、即ち後車軸又は前車軸の車
輪のみを駆動するのではなく、両車軸の車輪を全
部駆動する自動車は既に周知である。この種の自
動車は今までほぼ荒地を走行する自動車として考
えられており、高速走行時に駆動系の過負荷を避
け、また乗心地を改善するために、通常の道路走
行では一方の車軸の車輪の駆動を止めていた。

近年次の様な全輪駆動式乗用車も周知である。
即ち車輪全部が常に駆動され、その際変速機と結
合されたセンターデフアレンシヤルは、前車軸並
びに後車軸差動装置と関連して、狭い曲線路でも
車輪の強制力のない回転を行うよう配慮するもの
である。この乗用車は、走行路の条件が悪くても
特に良好な走行特性を有している。

エンジン前置きのこれらの周知の全車輪駆動式
自動車では、変速機が前車軸の直ぐ後ろに縦置き
に設けられている。この変速機は、平行に隣り合
わせて設けられ、クラツチにより相互に結合可能
な２つの変速機主軸を有し、一方の主軸が変速機
駆動軸として、他方の主軸が中空の変速機被動軸
として働く。傘歯車補償装置として構成されたセ
ンターデフアレンシヤルは、補償キヤリヤーとし
て作用するケースでもつて変速機被動軸の後端に
固定され、その際センターデフアレンシヤルの両
傘歯車の後方には、後車軸−差動装置につながる
駆動軸が固定され、そして両傘歯車の前方には、
前車軸−差動装置につながる駆動軸が固定されて
いる。この駆動軸は中空の変速機被動軸の中で前
方に延びており、センターデフアレンシヤルとは
反対側の端部でこの中空被動軸から突き出してい
る。

更に四輪駆動自動車用伝動装置として特公昭47
−20123号公報も知られている。しかしこの公報
のものでは構造的には中空の変速機被動軸が使用
されてはおらず、むしろ極普通の中実な軸として
形成されており、この変速機被動軸の端部にはセ
ンターデフアレンシヤルのケースも固定されては
いない。また変速機も自動車の縦方向に位置して
いるので、空間的理由からエンジンも変速機も横
置きにしなければならないような自動車には適用
できない。

従つて本考案は、初めに述べた種の変速機を改
善し、自動車に対して横向きに組み込むことが出
来るよう変速機を構成することを課題とするもの
である。

この課題は、変速機駆動軸と中空の変速機被動
軸とが自動車の横方向に延びており、第１駆動軸
も変速機被動軸内に延びており、第２駆動軸と同
様の端部でこの変速機被動軸から突き出ている様
に構成することにより解決される。

また本考案の発展形態のものは実施態様項に記
載されている。

次に図示の実施例に基づいて本考案を詳細に説
明する。

図面には単に、本考案を理解するのに必要なフ
ルタイム全輪駆動自動車用変速機の構成部材だけ
が示されている。

変速機はほぼ２つの互いに隣り合つて平行に延
びる変速機主軸からなり、それらのうち一方は変
速機駆動軸１として、そして他方は中空の変速機
被動軸２として役立ち、これらの軸１，２上には
普通の方法で固定歯車３並びに遊嵌歯車４が設け
られ、これ等は、図示していない切換装置を介し
てクラツチ５を用いて相互に結合可能である。中
空被動軸２の一端にはセンターデフアレンシヤル
６のケース７が固定され、このセンターデフアレ
ンシヤル６は傘歯車−補償装置として形成されて
おり、またこのセンターデフアレンシヤル６は、
２個の傘歯車１１ａ，１１ｂ、少なくとも２個の
補償傘歯車８並びにそれに応ずる補償軸９を有し
ている。

変速機被動軸２から出る駆動モーメントは両傘
歯車１１ａ，１１ｂを介して、前車軸ないし後車
軸に通じる駆動軸に伝達され、その際後車軸駆動
装置に通じる第１駆動軸を１４で、そして前車軸
駆動装置に通じる第２駆動軸を１５で表示してい
る。その一端で相互補形的に一方の傘歯車１１ａ
と結合した第２駆動軸１５は変速機被動軸２と同
様に中空軸として形成され、変速機被動軸２内に
軸受されている。この駆動軸１５の他端は、セン
ターデフアレンシヤル６とは反対の端部のとこと
で変速機被動軸から突き出ていて、ここで前方の
駆動系、実施例では前車軸差動装置のケース１６
に設けたリングギヤ１９に噛み合つている。

後車軸駆動装置に通じる第１駆動軸１４は第２
駆動軸１５と同様変速機被動軸２内に、しかも中
空の第２駆動軸１５内に延びている。第１駆動軸
１４も第２駆動軸１５と同様センターデフアレン
シヤル６とは反対側の端部で変速機被動軸２から
突き出している。第１駆動軸１４のセンターデフ
アレンシヤル側の端部は第２駆動軸１５の設けら
れた傘歯車１１ａとセンターデフアレンシヤル・
ケース７とを通し第２傘歯車１１ｂへと通じ、こ
れと相互補形的に結合されている。変速機被動軸
２と、互いに同じ側で出る駆動軸を有する両駆動
軸１４及び１５とが互いに入り込むよう組み込ま
れたこの構造様式により、非常に簡潔な構造様式
が生じ、この構造様式は、自動車の縦方向に対し
て横向きに組み込まれたエンジン／変速機−ブロ
ツクを有する様な全輪駆動の自動車に特に良く適
している。しかしこの構造様式は、変速機がそれ
ぞれ両方の駆動される車軸の前又は後ろに位置し
ている様な、即ち両駆動軸が変速機から同一方向
に延びている様な全輪駆動の自動車にも有利に適
用することが出来るという長所がある。

実施例においては、第１駆動軸１４の突出端
は、中間軸１７の歯車２０と噛み合つていて、こ
の中間軸１７は角度歯車装置１８を介してここに
図示していない後車軸差動装置へと通じる自在軸
と結合されている。

簡単に示すために中間軸１７は角度歯車装置１
８と、そして前車軸差動装置は側方に突出した駆
動軸と互いに入り組んで図示されているが、これ
らは互いに異なつた平面内に配置されている。

第１駆動軸１４のセンターデフアレンシヤル６
側の端部がセンターデフアレンシヤル６の傘歯車
１１ｂに届きうるよう、センターデフアレンシヤ
ル６の４個の、時として単に２個の補償歯車８を
軸受している補償軸９は、それらの間に第１駆動
軸１４を通すための充分な自由空間が残るように
構成されている。実施例において、リング状部分
１０を設けていて、このリング状部分１０には補
償歯車８の数に対応した数の半径方向に延びる補
償軸端片９が固定されており、その端片９はその
自由端がセンターデフアレンシヤル・ケース７に
軸受されている。リング状部分１０がこれを貫通
する第１駆動軸１４に遊嵌されている場合、補償
軸端片９の自由端をセンターデフアレンシヤルの
ケース７内に単に半径方向に案内する必要があ
る。この場合特別な固定は必要としない。

実施例とは異なり、補償歯車８を補償軸端片に
軸受し、その端片をセンターデフアレンシヤル６
のケース７に片側で保持し、その際この補償軸端
片の安定した構成及び固定に役立たせるようにす
ることも出来る。補償歯車用担持体としてリング
部分を用いると、組立が著しく簡単になり、また
比較的大きな力を生じるという利点がある。

通常の如く、全輪駆動式自動車に設けられてい
る差動装置にいわゆる差動ロツク（拘束）装置を
設ける。センターデフアレンシヤル６用の差動ロ
ツク装置のため空間的に特に好ましい解決手段
は、本考案による変速機では、第１駆動軸１４の
傘歯車１１ｂに接続した差動装置側の端部をこの
傘歯車１１ｂを越えて延長させ、センターデフア
レンシヤル６のケース７から突出したその自由端
１２が歯付ホイール１３を担持し、そのホイール
が、スリーブ２１等によりセンターデフアレンシ
ヤル・ケース７の対応した外歯と固く連結させ、
このようにしてセンターデフアレンシヤル６をロ
ツクするようにすることにより実現できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案による変速機全体の構成を略示し
たものである。 図中参照番号、１，２……変速機駆動軸、３…
…固定歯車、４……遊嵌歯車、５……クラツチ、
６……センターデフアレンシヤル、７……センタ
ーデフアレンシヤル・ケース、８……補償歯車、
９……補償軸、１０……リング状部分、１１ａ，
１１ｂ……傘歯車、１２……自由端、１３……差
動拘束器、１４……第１駆動軸、１５……第２駆
動軸、１６……前車軸差動装置のケース、１７…
…中間軸、１８……角度歯車装置、１９……リン
グギア。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 前車軸及び後車軸の車輪間の回転数差を補償
   するための傘歯車式補償歯車装置式のセンター
   デフアレンシヤル６と、相互に隣り合つて平行
   に設けられクラツチにより相互に連結可能な２
   つの変速機主軸とを有し、その変速機主軸のう
   ち一方が変速機駆動軸１として、そして他方が
   中空の変速機被動軸２として役立ち、中空の変
   速機被動軸の一端には補償キヤリヤーとして働
   くセンターデフアレンシヤル６のケース７が固
   定され、その際センターデフアレンシヤルの両
   傘歯車の一方には後車軸駆動装置につながる第
   １駆動軸１４が固定されており、両傘歯車の他
   方には前車軸駆動装置につながる第２駆動軸１
   ５が固定されており、この第２駆動軸１５が、
   中空の変速機被動軸２の内側に支持され、また
   センターデフアレンシヤルとは反対側の端部で
   この変速機被動軸２から突き出ているフルタイ
   ム全輪駆動式自動車用変速機において、変速機
   駆動軸１と中空の変速機被動軸２とが自動車の
   横方向に延びており、第１駆動軸１４も変速機
   被動軸２内に延びており、第２駆動軸１５と同
   様の端部でこの変速機被動軸２から突き出てい
   ることを特徴とする変速機。 (2) 第２駆動軸１５が中空軸として形成され、第
   １駆動軸１４が前記第２駆動軸１５内を延びて
   いて、その際第１駆動軸１４のセンターデフア
   レンシヤル側の端部が、第２駆動軸１５に接続
   した傘歯車１１ａとセンターデフアレンシヤ
   ル・ケース７とを貫通して第２傘歯車１１ｂへ
   と通じていることを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項に記載の変速機。 (3) 補償歯車８を支持するセンターデフアレンシ
   ヤル６の補償軸９が、相互に向かい合う補償歯
   車の間に、第１駆動軸１４を貫通するための自
   由空間が形成される様に構成されていることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第２項に記
   載の変速機。 (4) 各補償歯車８が補償軸端片９上に支承されて
   おり、その補償軸端片９はその一端で第１駆動
   軸１４によつて貫通されたリング状部分１０に
   固定されており、その自由端でセンターデフア
   レンシヤルのケース７内に支承されていること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第３項に
   記載の変速機。 (5) リング状部分１０が適合位置で第１駆動軸１
   ４上に保持されており、そして補償軸端片９の
   自由端がそれぞれラジアル方向に延びているこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第４項
   に記載の変速機。 (6) 傘歯車１１ｂと結合された第１駆動軸１４の
   端部が、この傘歯車１１ｂを越えて延長されて
   おり、そして後車軸を駆動するため差動拘束器
   １３を有していることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第２項〜第５項のうちの１項に記
   載の変速機。