JPS6237187B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、戸建住宅、集合住宅の何れであつて
も既築建物の室内を防音化するために、既存壁と
天井ならびに床に対して防音施工する方法に関す
る。

従来から知られている既築建物の室内防音施工
方法には、 ○イ 防音対象室の壁、天井、床の全部又は一部を
解体してそこに新たに防音構造を付加する方
法。

○ロ 専用に製作加工されている組立式防音室を対
象室内に設置する方法。

とが在るが、前者○イの場合は、解体工事を要す
ることから工期が長く、工費も高く付く。その
上、賃貸住宅のような場合は、施工が許されなか
つたり、許されたとしても転居時等には解体を必
要とし、そのためにまた多くの費用を要するとい
つた不都合があり、また、後者○ロの場合は、大き
さや形態が規格化されたものが多く、防音対象室
の形態によつては、室内空間が不当に狭ばめられ
る不利を招いたり、既存の窓や押入れ等が使用不
能になつて室の機能性が損われてしまう欠点があ
つた。

本発明は、かかる実情に鑑み、能率的に、か
つ、撒去解体も容易なる状態で施工できるもので
あり乍ら、しかも、室の機能性を損わずに十分に
高い防音性能が得られる既築建物の防音施工方法
を提案することを目的とする。

上記の目的を達成すべく開発された本発明によ
る押入れ、窓、出入口等の既設の開口部を除いて
既存壁の壁面に沿う柱材群を、既存壁並びに床と
の間に弾性緩衝材が介在される状態で立設し、前
記柱材群に天井の天井面に沿う梁材群を固着連結
して自立可能な防音用軸組を構成し、この防音用
軸組の前記既存壁及び前記天井に対応する箇所
に、前記既存の開口部を残して夫々遮音材を組付
け、しかる後に、床上に防振材を介して床材を敷
設する事を特徴とする。

即ち、既存壁、天井に対しては、柱材群と梁材
群とを固着連結して構成される自立可能な防音用
軸組に遮音材を組付け、床に対しては、防振材を
介して床材を敷設することにより、防音対象室の
既存壁、天井、床の解体作業を一切不要にできる
とともに、それらに対する釘打ちやボルト止め、
或いは接着等といつた既存部位の損傷、汚損原因
となる手段をも一切不要にできるから、能率施工
による工期短縮、工費低減が図れると同時に、そ
の防音設備の撒去解体も容易であつて、既述の如
き条件の賃貸住宅においても施工が可能である。
しかも、既存の窓、扉、押入れ等に相当する箇所
を除いて軸組みし、これらの開口部を残して遮音
材を組付けるものであるから、防音対象室の機能
性を損なうことなく、また、不当に室内空間を狭
ばめることなく施工できる。加えて、既存部位
（壁、天井、床）と新設防音部材とがサウンドブ
リツジを有しない二重壁構造となるため、全体と
して十分に高い防音性能が得られるに至つた。

その上、防音用軸組自体は弾性緩衝材を介して
床に支持されており、この防音用軸組に遮音材を
組付けた後に、床上に防振材を介して床材を敷設
することにより、仮りに、歩行等によつて床材が
振動しても、この振動は防音用軸組には伝わりに
くく、防音性能を一層向上させることができる。

次に、本発明方法の実施例を図面に基づいて詳
述すると、第１図で示すように、襖ａを備えた押
入れＡと床の間Ｅ、引違い式障子ｂを有する窓
Ｂ、揺動開閉式ドアｄを有する出入口Ｄが存在す
る既築建物の室を対象にして、この室内を次のよ
うに防音施工する。

第２図、第３図の明示の如く、四面の既存壁Ｗ
から５〜50mm内方に離れた箇所の既存床Ｆ（これ
は畳、或いはフローリング、カーペツト等の床仕
上材を指す。）上から上方に向けて、適当間隔置
きに複数本の柱材２（これは適当本数置きに配設
した柱と間柱との両方を含み、かつ、これらは木
製、又はスチールやアルミなどの金属スタツドの
何れであつても良い。）群を立設するとともに、
既存の天井Ｃから５〜50mm下方に離れた位置で前
記柱材２群の一方向で相対向するものの上端部間
に亘つて第４図で示すような割付けをもつて梁材
３（木製又は金属製）群を掛け渡し状態に固着連
結し、かつ、四隅部に火打ち梁８を設けることに
よつて自立可能な防音用軸組４を前記防音対象室
内に組立構成する。尚、このとき、前記押入れ
Ａ、窓Ｂ、出入口Ｄに相当する箇所は開口させて
おく、そして、前記防音用軸組４の前記既存壁Ｗ
及び既存天井Ｃに対応する箇所で前記の各開口箇
所を除く部分全域に、木質板、石膏ボード、鉛
板、石綿板などの遮音材１を例えばタツピングネ
ジや釘を用いて貼付け固定し、その内面にガラス
クロス等の化粧材１０を張設するとともに、前記
各開口箇所には、別途作製した防音襖a′、防音障
子b′、防音ドアd′を取付け、かつ、前記軸組４を
構成する柱材２群及び梁材３群とこれらに対応す
る既存壁Ｗ及び天井Ｃ、床Ｆとの間に、音響ブリ
ツジを形成させないようにするため、グラスウー
ルやロツクウール、或いは防振ゴム等の弾性緩衝
材７を介在させ、更にまた、既存部位Ｗ，Ｃと新
設部材１との間に防音効果をあげるためにグラス
ウールやロツクウール等の吸音材９を挿入させ
る。

尚、弾性緩衝材７として、一定厚みのゴム片を
用い、これを軸組４の組立て前に柱材２或いは梁
材３側面の所定箇所に予め添着しておけば、これ
ら軸組４と柱材２又は梁材３との位置決めが非常
に容易化する。

そののち、前記既存床Ｆ上に防振材５を介して
仕上床材６を敷設固定するとともに、既存床Ｆと
仕上床材６との間に前述同様の吸音材９を充填す
ることにより、防音床を施工するものである。

第５図乃至第８図は施工完了後において防音室
内を第２図中で示したＶ方向、Ｘ方向、Ｙ方向、
Ｚ方向から視た場合の仕上り状態図である。

尚、本発明は、上記実施例で示した如く床の間
Ｅのみを使用不能にして施工するも、第９図で示
す如く押入れＡ及び床の間Ｅをともに使用できな
いように施工するも、また、第１０図で示すよう
に床の間Ｅ及び押入れＡをともに使用できるよう
にするため、それから約900mm内方に離れた位置
に既存壁を施工するも良い。

尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利
にする為に符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る既築建物の室内防音施工方
法の実施例を示し、第１図は防音対象室の概略平
面図、第２図は防音施工された状態の横断面図、
第３図は要部の拡大縦断面図、第４図は要部の拡
大平面図、第５図乃至第８図は防音室の各方向視
図、第９図、第１０図は夫々別の施工例を示す概
略横断面図である。 １……遮音材、Ａ……押入れ、Ｂ……窓、Ｄ…
…出入口、２……柱材、３……梁材、４……軸
組、５……防振材、６……床材、７……弾性緩衝
材、Ｗ……既存壁、Ｃ……天井、Ｆ……床。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 既築建物の室内で、既存壁Ｗと天井Ｃならび
   に床Ｆに対して防音施工する方法であつて、押入
   れＡ、窓Ｂ、出入口Ｄ等の既設の開口部を除いて
   既存壁Ｗの壁面に沿う柱材２群を、既存壁Ｗ並び
   に床Ｆとの間に弾性緩衝材７が介在される状態で
   立設し、前記柱材２群に天井Ｃの天井面に沿う梁
   材３群を固着連結して自立可能な防音用軸組４を
   構成し、この防音用軸組４の前記既存壁Ｗ及び前
   記天井Ｃに対応する箇所に、前記既存の開口部を
   残して夫々遮音材１を組付け、しかる後に、床Ｆ
   上に防振材５を介して床材６を敷設する既築建物
   の室内防音施工方法。