JPS6234359B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、鉄の圧延、鍛造あるいは引抜き、
アルミニウムや銅の押出し、タングステンやモリ
ブデンの引抜き等、各種の金属や合金の熱間加工
の際に使用される高温用潤滑剤組成物に関する。 従来、この種の潤滑剤組成物としては、潤滑
油、グリース又はこれらに黒鉛粉末や二酸化タン
グステン等の固体潤滑剤を混合したもの、あるい
は、アルカリ金属硫酸塩、ホウ酸塩、塩化カリウ
ム、ナトリウムトリアセテート、黒鉛粉末及び必
要により添加される助剤とからなる微粉末混合物
を水性分散液としたもの等が知られている。しか
しながら、前者においては、熱的に不安定であつ
て使用の際に油の分解が起り、工具や加工物に悪
影響を与えるほか、油や油の分解物が作業環境を
著るしく汚染するという問題があり、また、後者
においても、特にシームレス鋼管の製造等におい
て満足し得る潤滑性能を発揮するとは言えないも
のであつた。 本発明者等は、かかる観点に鑑み、作業環境に
対する汚染がなく、しかも優れた潤滑性能を有す
る高温用潤滑剤組成物の開発を目的として鋭意研
究を重ねた結果、黒鉛粉末と、硬化剤の存在下に
硬化するビニル系重合体又は共重合体と、この重
合体又は共重合体を硬化させるための硬化剤と、
分散剤とを含有する系が金属表面に対する親和性
に優れ、かつ、摩擦係数の小さい被膜を形成し、
高温時において優れた潤滑性能を発揮することを
見い出して本発明を完成したものである。 すなわち、本発明は、黒鉛粉末50〜94重量％
と、硬化剤の存在下に熱硬化するビニル系重合体
又は共重合体５〜40重量％と、硬化剤0.1〜10重
量％と、分散剤0.2〜10重量％とを含有する高温
用潤滑剤組成物を提供するものである。 この発明において使用される黒鉛粉末は、それ
が天然品であつてもまた合成品であつてもよい。
また、この黒鉛粉末の粒径については、通常、
100μ以下の平均粒度と少くとも95％の純度を有
するものが使用され、このうち平均粒度0.3〜30
μのものが好ましい。 本発明で硬化剤の存在下に硬化するビニル系重
合体又は共重合体としては、アクリル酸又はその
エステル類の重合体及び共重合体、メタクリル酸
又はそのエステル類の重合体及び共重合体、スチ
レン又はα−メチルスチレンのようなスチレン化
合物の重合体及び共重合体、酢酸ビニル又はラウ
リル酸ビニルのような脂肪族ビニルエステルの重
合体及び共重合体等を挙げることができる。これ
らは、単独で用いてもよく、また、二種以上を組
合せで用いてもよいものである。なお、使用時に
分解して腐蝕性又は毒性の成分を発生するものは
好ましくない。 本発明で使用される硬化剤としては、メラミ
ン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチルトリア
ミン、アンモニア水、アルカノールアミン塩類等
のアミン系硬化剤、無水マレイン酸、無水フタル
酸等の酸無水物系硬化剤、ベンゾイルパーオキシ
ド、メチルエチルケトンパーオキシド等の過酸化
物系硬化剤、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド等のアルデヒド類、メチロールフエノール類、
ルイス酸錯化合物、金属塩類、有機酸類等を挙げ
ることができる。 さらに、本発明において使用される分散剤は、
水に可溶性であるかあるいは水に懸濁する性質を
持ち、増粘効果と接着効果とを有して黒鉛粉末の
沈降を防止する分散作用を有するものであればよ
い。この分散剤の例としては、カルボキシメチル
セルロース、デンプン等の天然系粘着性分散剤、
ポリサツカライド等の多糖類、グアーガム等の粘
着物、ポリビニルアルコール等の合成粘着分散
剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の界
面活性剤等を挙げることができる。 本発明の高温用潤滑剤組成物における各成分の
配合割合は、通常、黒鉛粉末が50〜94重量％、硬
化剤の存在下に熱硬化するビニル系重合体又は共
重合体５〜40重量％、硬化剤0.1〜10重量％、分
散剤0.2〜10重量％であり、好ましくは、黒鉛粉
末70〜69重量％、ビニル系重合体又は共重合体が
10〜30重量％、硬化剤0.5〜８重量％、分散剤２
〜８重量％がよい。 本発明の高温用潤滑剤組成物は、水中に分散さ
せて潤滑剤水分散液として使用するものであり、
この時の固形分濃度は通常５〜35重量％、好まし
くは10〜30重量％の範囲内に調製する。この固形
分濃度は、薄すぎると乾燥時間が長くなつたり形
成される被膜の膜厚が薄くなつて良好な潤滑性能
を得ることができず、また、濃すぎると塗布しに
くくなる。 このようにして調製された潤滑剤水分散液の使
用方法は、この潤滑剤水分散液を熱間加工すべき
金属の表面や、マンドレル、ダイス、ロール等の
工具の表面に通常の手段で塗布し、これを乾燥さ
せてこれら金属や工具の表面に被膜を形成した後
熱間加工を行う。この場合、潤滑剤水分散液を塗
布、乾燥した後に適宜温度で焼付けを行うことに
より、形成される被膜の金属表面に対する吸着
性、密着性、あるいは、被膜強度を向上させるこ
とができる。 なお、本発明の高温用潤滑剤組成物において、
その組成物中に予め、あるいは、潤滑剤水分散液
を調製する際に、従来公知の第三成分、例えば被
膜安定剤、さび止め剤、酸化防止剤、乳化剤、極
圧剤、腐蝕防止剤等を添加し、これら添加剤によ
つてそれぞれの特徴を付与することもできる。 本発明によれば、硬化剤の存在により硬化する
ビニル系重合体又は共重合体と硬化剤とを共存さ
せていくことにより、使用の際にビニル系重合体
又は共重合体が金属表面で硬化し、これによつて
金属表面に優れた被膜が形成し、優れた潤滑性能
を発揮するものと思われる。 次に、実施例及び比較例に基づいてこの発明の
内容を具体的に説明する。 実施例及び比較例 表に示す割合で配合した潤滑剤組成物を表に示
す固形分濃度で水に分散させて潤滑剤水分散液を
調製し、この潤滑剤水分散液を鉄板上に塗布し、
200℃10分間焼付けをして膜厚30μの試験片を得
た。この試験片について、往復動摩擦試験機を用
い、荷重５Kg（接触球3/4″）、摺動速度1.2m／
minの条件下に500℃及び800℃における摩擦係数
を求めた。この結果を、硬化剤であるメラミンを
添加しないで同じ方法で行つた比較例の結果と比
較した。結果は表に示す通りであり、硬化剤であ
るメラミンを添加しないで比較例に比べてその摩
擦係数が著るしく小さく、優れた潤滑性能を発揮
することが判明した。 【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 黒鉛粉末50〜94重量％と、硬化剤の存在下に
   硬化するビニル系重合体又は共重合体５〜40重量
   ％と、硬化剤0.1〜10重量％と、分散剤0.2〜10重
   量％とを含有することを特徴とする高温用潤滑剤
   組成物。 ２ ビニル系重合体又は共重合体がアクリル酸又
   はそのエステル類の重合体又は共重合体である特
   許請求の範囲第１項記載の高温用潤滑剤組成物。