JP2015074767A - 塑性加工用潤滑剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境負荷の大きい水溶性無機塩を使用しなくても、耐熱性に優れ、金属材料の塑性加工において優れた潤滑性能を発揮する新規な潤滑剤を提供する。【解決手段】(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩と、潤滑成分とを含む、塑性加工用潤滑剤。【選択図】なし

Description

本発明は、塑性加工用潤滑剤、当該潤滑剤を塗布した金属材料、及び塑性加工された金属材料の製造方法に関する。
金属材料の鍛造、伸線、伸管、ロールフォーミング、プレスなどの塑性加工において発生する摩擦は、加工エネルギーの増大、発熱などの原因となるため、従来、塑性加工には種々の潤滑剤が用いられている。例えば、鉱油、合成油、植物油などの液体状の潤滑油が古くから用いられている。これらの潤滑油は、比較的簡易な塑性加工には適用し得るものの、高い面圧下で摺動して大きな発熱を伴う塑性加工においては、潤滑性能が不十分である。
そこで、大きな発熱を伴うような塑性加工においては、金属材料の表面に固体皮膜を形成して、金型などの加工具と加工対象である金属材料とが直接接触することを抑制する方法が広く採用されている。このような方法しては、例えば、リン酸塩皮膜などの固体皮膜を形成したボンデ処理などが広く採用されている。ボンデ処理においては、化学反応により金属材料表面にキャリアとしてリン酸塩皮膜を生成させ、次に、滑剤としてステアリン酸ナトリウムなどを付着させる。ボンデ処理は、優れた潤滑性能を有するため、高い面圧下で摺動して大きな発熱を伴う塑性加工において広く採用されている。
しかしながら、ボンデ処理などの化学反応を利用した方法では、金属材料に潤滑剤を塗布し、塑性加工を行うまでの間に、酸洗い工程や、多くの水洗工程が必要であるため、工程が非常に長くなるという問題がある。また、このような方法では、多量の水洗水が必要であり、化成皮膜からのスラッジなどの産業廃棄物が多量に発生するという問題もある。さらに、化学反応を制御するための温度管理も必要となり、製造コストが大きくなるという問題もある。
そこで、近年、このような化学反応を利用しない固体皮膜を用いた潤滑剤の潤滑性能を高める試みがなされている。例えば、特許文献1には、合成樹脂と水溶性無機塩とを含有する水溶液または水分散液に金属材料を浸漬し、乾燥して固体皮膜を形成する方法が開示されている。
特開2000−63880号公報
特許文献1に開示されている潤滑剤のように、ボンデ処理のような化学反応を利用しない固体皮膜を用いた潤滑剤においては、一般に、合成樹脂と水溶性無機塩を主成分としており、水溶性無機塩が、塑性加工に耐えうる強度を固体皮膜に付与している。このような潤滑剤に使用されている水溶性無機塩としては、ホウ酸塩などが使用される。しかしながら、ホウ酸塩などの水溶性無機塩は、使用後に産業廃棄物として廃棄されると環境負荷が大きいという問題がある。
このような状況下、本発明は、環境負荷の大きい水溶性無機塩を使用しなくても、耐熱性に優れ、金属材料の塑性加工において優れた潤滑性能を発揮する新規な潤滑剤を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、ボンデ処理のような化学反応を利用しない固体皮膜を用いた潤滑剤において、塑性加工に耐えうる強度を固体皮膜に付与するために従来用いられている環境負荷の大きい水溶性無機塩を使用しなくても、(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩と、潤滑成分とを含む塑性加工用潤滑剤とすることにより、耐熱性に優れ、金属材料の塑性加工において優れた潤滑性能を発揮できることを見出した。
また、金属材料の塑性加工においては、一般に数百個以上の金属材料が、連続して金型などの加工具によって加工されていく。このため、金型など付着した潤滑剤は、洗浄などを行うまでの間、次第に金型に蓄積される。金型などに潤滑剤が蓄積すると、金型の寸法精度が低下し、次第に金属材料に対して目的とする精度の塑性加工を行うことができなくなる。また、金型などに潤滑剤が蓄積すると、潤滑剤の蓄積物による抵抗が生じ、塑性加工に必要な加工エネルギーが次第に増大するという問題がある。これに対して、上記のような塑性加工用潤滑剤は、金属材料の塑性加工に供した後における加工具や金属材料への耐焼付き性に優れており、剥離性が高く、塑性加工後にエアブローなどで簡単に除去することができるため、金型などへ潤滑剤の蓄積も効果的に抑制できるという予想外の効果を有することも見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩と、潤滑成分とを含む、塑性加工用潤滑剤。
項2. 前記(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩が、アルカリ金属、アル カリ土類金属、アミン類、アルカノールアミン類、及びアンモニアからなる群から選択され た少なくとも1種の塩である、項1に記載の塑性加工用潤滑剤。
項3. 前記(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩において、前記重合体を構成する全単量体中における(メタ)アクリル酸の割合が、3モル%以上である、項1または2に記載の塑性加工用潤滑剤。
項4. 前記(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩において、(メタ)アクリル酸の中和度が、10%以上である、項1〜3のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
項5. 前記(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩が、重合性二重結合を有するカルボン酸、重合性二重結合を有するスルホン酸、及び重合性二重結合を有するカルボン酸エステルからなる群から選択された少なくとも1種を単量体としてさらに含む、項1〜4のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
項6. 前記潤滑成分が、ワックス、ポリテトラフルオロエチレン、炭化珪素、窒化ホウ素、脂肪酸またはその塩、脂肪酸アミド、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ化黒鉛、雲母、及びメラミンシアヌレートからなる群から選択された少なくとも1種である、項1〜5のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
項7. 前記(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩100質量部に対して、前記潤滑成分を1〜95質量部含む、項1〜6のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
項8. 水溶性無機塩を実質的に含まない、項1〜7のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
項9. 前記(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩が水に溶解しており、前記潤滑成分が前記水に分散または溶解している、水分散体または水溶液の形態である、項1〜8のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
項10. フィラーをさらに含む、項1〜9のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
項11. 項1〜10のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤が表面に塗布された金属材料。
項12. 項1〜10のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤を金属材料の表面に塗布する工程と、
前記塑性加工用潤滑剤が表面に塗布された金属材料を塑性加工する工程と、
を備える、塑性加工された金属材料の製造方法。
本発明によれば、ボンデ処理のような化学反応を利用しない固体皮膜を用いた潤滑剤において、塑性加工に耐えうる強度を固体皮膜に付与するために従来用いられている環境負荷の大きい水溶性無機塩を使用しなくても、耐熱性に優れ、金属材料の塑性加工において優れた潤滑性能を発揮する塑性加工用潤滑剤を提供することができる。
さらに、本発明の塑性加工用潤滑剤は、金属材料の塑性加工に供した後における加工具や金属材料への耐焼付き性に優れており、剥離性が高く、塑性加工後にエアブローなどで簡単に除去することができる。このため、金型などへ潤滑剤の蓄積も効果的に抑制でき、金型などの加工具の高い寸法精度を長期に亘って維持することができる。また、本発明によれば、このような塑性加工用潤滑剤を用いることにより、塑性加工された金属材料を簡便かつ寸法精度高く製造することができる。
本発明の塑性加工用潤滑剤は、(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩と、潤滑成分とを含むことを特徴とする。以下、本発明の塑性加工用潤滑剤、及び当該塑性加工用潤滑剤を用いた塑性加工された金属材料の製造方法について詳述する。
1.塑性加工用潤滑剤
本発明の塑性加工用潤滑剤は、(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩と、潤滑成分とを含む。(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩とは、(メタ)アクリル酸を単量体として用いた重合体をアルカリ成分で中和して得られるものである。具体的には、当該重合体中の(メタ)アクリル酸のカルボキシル基の少なくとも一部をアルカリ成分で中和したものである。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味し、他の類似するものも同様の意である。また、以下、「(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体」を単に「重合体A」ということがある。
重合体Aの中和塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、バリウム、アミン、アルカノールアミン、及びアンモニアからなる群から選択された少なくとも1種の塩が挙げられる。これらの中でも、塑性加工における潤滑剤の耐熱性、潤滑性能、耐焼付き性、剥離性などの特性を高める観点からは、好ましくは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくとも一方の塩が挙げられる。アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、これらの中でもカリウムが好ましい。また、アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられ、これらの中でもマグネシウムが好ましい。重合体Aの中和塩は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
重合体Aの中和塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、バリウム、トリエチルアミンなどのアミン類、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、アンモニアなどのアルカリ成分を用いる常法により容易に製造することができる。例えば、重合体Aのカリウム塩であれば、(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体と、アルカリ成分として水酸化カリウムを反応させることにより製造することができる。すなわち、重合体Aにおける(メタ)アクリル酸のカルボン酸と水酸化カリウムとを反応させることにより製造することができる。また、重合体Aのアンモニウム塩であれば、重合体Aと、アルカリ成分としてアンモニアを反応させることにより製造することができる。
重合体Aの中和塩の中和度としては、特に制限されないが、塑性加工における潤滑剤の耐熱性、潤滑性能、耐焼付き性、剥離性などの特性を高める観点からは、好ましくは10%以上、より好ましくは30%以上が挙げられる。なお、重合体Aのアルカリ土類金属塩は、水に難溶性の塩となる傾向がある。このため、後述のように、重合体Aの中和塩を水に溶解して金属材料表面上で乾燥させて固体皮膜を形成する場合には、アルカリ土類金属塩による中和度は、30%以下とすることが好ましい。なお、本発明において、重合体Aの中和塩の中和度とは、当該重合体Aに含まれるカルボキシル基などの酸性官能基の全モル数を100とした場合に、アルカリ成分により中和された酸性官能基のモル数の割合を意味する。
重合体Aは、(メタ)アクリル酸以外の単量体をさらに含んでいてもよい。(メタ)アクリル酸以外の単量体としては、(メタ)アクリル酸と重合し得るものであれば、特に制限されないが、塑性加工における潤滑剤の耐熱性、潤滑性能、耐焼付き性、剥離性などの特性を高める観点からは、好ましくは、重合性二重結合を有するカルボン酸((メタ)アクリル酸を除く)、重合性二重結合を有するスルホン酸、重合性二重結合を有するカルボン酸エステルなどが挙げられる。重合性二重結合を有するカルボン酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、及びこれらの塩などが挙げられる。また、重合性二重結合を有するスルホン酸としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、及びこれらの塩などが挙げられる。また、重合性二重結合を有するカルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=2〜100程度)、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(n=2〜20程度)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=2〜10程度)、ポリプロプレングリコールモノメタクリレート(n=2〜20程度)、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(n=2〜20程度)、ステアロキシポリエチレングリコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルにおいて、「アルキルエステル」としては、好ましくは炭素数1〜10のアルキルエステルが挙げられ、より好ましくはエチルエステル、ブチルエステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、マレイン酸ジメチル、クロトン酸メチル、イタコン酸ブチル等が挙げられる。また、重合体Aに含まれ得るその他の単量体としては、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニルスチレン、スチレン、p−クロロスチレン、p−シアノスチレン、p−メチルスチレン、α−オレフィン、ジイソブチレン、ブタジエン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、リン酸基を有するエチレン性不飽和単量体(例えば、エチレングリコールメタクリレートフォスフェート、プロピレングリコールメタクリレートフォスフェート、エチレングリコールアクリレートフォスフェート、プロピレングリコールアクリレートフォスフェートなど)等が挙げられる。(メタ)アクリル酸以外の単量体は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
重合体Aとしては、市販品を使用してもよいし、また公知の方法で製造することもできる。重合体Aの製造においては、単量体、重合開始剤、連鎖移動剤、溶媒等の選択、添加量、重合温度、滴下時間等の各種重合条件を調整することにより、所望の組成、重量平均分子量などを有する重合体Aが得られる。
重合体Aが(メタ)アクリル酸以外の単量体をさらに含む場合、重合体Aの中和塩において、重合体Aを構成する全単量体中における(メタ)アクリル酸の割合としては、特に制限されないが、塑性加工における潤滑剤の耐熱性、潤滑性能、耐焼付き性、剥離性などの特性を高める観点からは、好ましくは3モル%以上、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、特に好ましくは50モル%以上が挙げられる。
本発明において、重合体Aの重量平均分子量としては、特に制限されないが、塑性加工における潤滑剤の耐熱性、潤滑性能、耐焼付き性、剥離性などの特性を高める観点からは、好ましくは2千以上、より好ましくは5千〜3百万程度が挙げられる。なお、当該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリエチレンオキシドを標準物質として測定した値である。
本発明の塑性加工用潤滑剤に含まれる潤滑成分としては、潤滑性能を有するものであれば、特に制限されず、塑性加工用潤滑剤に配合できる公知の潤滑成分を使用することができる。潤滑成分は、常温で固体であり、塑性加工の際に、加工具と加工対象の金属材料との間の摩擦を低減させる機能を有する。すなわち、本発明の塑性加工用潤滑剤の固体皮膜中において、潤滑成分は固体として存在し、塑性加工による摩擦力の増大を抑制する機能を発揮する。潤滑成分は、水に不溶性または難溶性の粒子であって吸湿し難いものであることが好ましいが、水溶性のものを用いてもよい。好ましい潤滑成分としては、例えば、ワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、炭化珪素、窒化ホウ素、脂肪酸またはその塩、脂肪酸アマイド、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、メラミンシアヌレート、有機処理合成雲母、層状構造アミノ酸化合物などが挙げられる。潤滑成分は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
固体潤滑成分のワックスの具体例としては、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックスなどが挙げられる。脂肪酸またはその塩の具体例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウムなどが挙げられる。脂肪酸アマイドの具体例としては、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスエルカ酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイドなどが挙げられる。
本発明の塑性加工用潤滑剤において、重合体Aの中和塩と、潤滑成分との使用割合は、特に制限されないが、塑性加工における潤滑剤の耐熱性、潤滑性能、耐焼付き性、剥離性などの特性を高める観点からは、重合体Aの中和塩100質量部に対して、潤滑成分を好ましくは1〜95質量部程度、より好ましくは2〜50質量部程度とすることができる。
本発明の塑性加工用潤滑剤は、上記の(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩及び上記の潤滑成分に加えて、フィラーをさらに含んでいてもよい。フィラーとしては、水に不溶性または難溶性の粒子であれば特に制限されず、無機フィラー及び有機フィラーのいずれであってもよい。フィラーは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
無機フィラーの具体例としては、シリカ、アルミナ、コージェライト、ムライト、タルク、リン酸塩、炭酸塩、水酸化塩、硫酸塩、コロイダルシリカ、ジルコニア、コロイダルジルコニア、コロイダルアルミナ、マグネシア、チタニア、ゼオライト、酸化チタン、酸化鉄、フェライト、石膏、酸化亜鉛、酸化物粉、黒鉛、ウイスカー、炭素繊維、ガラス繊維、ポルトランドセメント、金属粉末、モンモリロナイト、スメクタイト、ヘクトライト、ベントナイト、有機ベントナイト、シリコーン、変性シリコーンなどにより構成された粒子が挙げられる。
有機フィラーの具体例としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂など)、ポリアミド(アラミドなど)、ポリアミドイミド、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アルキド樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、メラミンシアヌレート、アセテート線維などにより構成された粒子が挙げられる。
フィラーの平均粒子径としては、本発明の効果を阻害しないことを限度として特に制限されないが、例えば0.001〜30μm程度、好ましくは0.1〜10μm程度が挙げられる。なお、フィラーの種類によって、好ましい平均粒子径の範囲は異なるため、フィラーの種類に応じて平均粒子径を適宜選択することができる。また、フィラーの平均粒子径は、ボールミル、サンドミル、ビーズミル等の粉砕機を用いて調整してもよい。なお、本明細書において、フィラーの平均粒子径は、粒度分布測定装置により測定されるメジアン径(D50)を意味する。
本発明の塑性加工用潤滑剤がフィラーを含む場合、その含有量としては、本発明の効果を阻害しないことを限度として特に制限されないが、例えば、重合体Aの中和塩100質量部に対して、0.5〜300質量部程度、好ましくは5〜100質量部程度とすることができる。
本発明の塑性加工用潤滑剤は、加工対象となる金属材料の錆を抑制することなどを目的として、必要に応じて防錆成分をさらに含んでいてもよい。防錆成分としては、塑性加工用潤滑剤に配合できる公知のものが使用でき、例えば、亜硝酸塩、リン酸塩、アミン類、アゾール類、過マンガン酸塩、過酸化物、炭酸塩、ジルコニウム化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、ビスマス化合物などを使用することができる。防錆成分は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。本発明の塑性加工用潤滑剤において、加工対象となる金属材料の錆を抑制しつつ、塑性加工における潤滑剤の耐熱性、潤滑性能、耐焼付き性、剥離性などの特性を高める観点からは、防錆成分の含有量は、上記の重合体Aの中和塩100質量部に対して、0.01〜5質量部程度とすることが好ましい。
また、本発明の塑性加工用潤滑剤において、媒体となる水中に上記の潤滑成分を均一に分散させることなどを目的として、必要に応じて界面活性剤、分散剤などを含んでいてもよい。界面活性剤としては、塑性加工用潤滑剤に配合することができる公知のものが使用でき、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを使用することができる。また、分散剤としては、塑性加工用潤滑剤に配合することができる公知のものが使用でき、例えば、カルボン酸含有(共)重合体、アミン(共)重合体、ポリアミノ酸、スルホン酸基含有(共)重合体、カルボキシメチルセルロース、リン酸基含有(共)重合体、リン酸エステル基含有(共)重合体、ポリビニルアルコール、ポリリン酸塩などを使用することができる。界面活性剤、分散剤などは、それぞれ、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。本発明の塑性加工用潤滑剤において、水中における潤滑成分の分散性を高めつつ、塑性加工における潤滑剤の耐熱性、潤滑性能、耐焼付き性、剥離性などの特性を高める観点から、界面活性剤及び分散剤の合計含有量は、上記の重合体Aの中和塩100質量部に対して、0.01〜20質量部程度とすることが好ましい。
上述の通り、ボンデ処理のような化学反応を利用しない固体皮膜を用いた潤滑剤において、塑性加工に耐えうる強度を固体皮膜に付与するために従来用いられている環境負荷の大きい水溶性無機塩を使用しなくても、本発明の塑性加工用潤滑剤は、耐熱性に優れ、金属材料の塑性加工において優れた潤滑性能を発揮する。このため、本発明の塑性加工用潤滑剤は、環境負荷の大きい水溶性無機塩を実質的に含まないことが好ましい。なお、本発明の塑性加工用潤滑剤がこのような水溶性無機塩を含む場合、上記の重合体Aの中和塩100質量部に対して、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下とする。環境負荷の大きい水溶性無機塩を実質的に含まないことが好ましい。環境負荷の大きい水溶性無機塩の具体例としては、四ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリム、四ホウ酸アンモニウムなどのホウ酸塩、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アンモニウムなどのケイ酸塩、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウムなどのモリブデン酸塩、バナジン酸ナトリウム、メタバナジン酸カリウムなどのバナジン酸塩、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウムなどのタングステン酸塩などが挙げられる。
本発明の塑性加工用潤滑剤は、水などを媒体として加工対象となる金属材料の表面に塗布し、水などを乾燥させることにより、固体皮膜として金属材料表面に形成することができる。本発明の塑性加工用潤滑剤には、通常、水を媒体として用いるが、有機溶剤等の溶媒を添加してもよいし、媒体を使用せず粉末状等の固体状で用いてもよい。例えば、上記の重合体Aの中和塩と、上記の潤滑成分を水と混合することにより、重合体Aの中和塩が水中に溶解し、潤滑成分が水中に分散した水分散体または溶解した水溶液(以下、「水分散体または水溶液」を単に「水分散体等」という)が得られる。この水分散体等を加工対象となる金属材料の表面に塗布し、水分を乾燥させることにより、本発明の塑性加工用潤滑剤からなる固体皮膜が金属材料の表面に形成される。媒体として使用する水は、特に限定されないが、不純物が少ないことが望ましいため、脱イオン水、蒸留水などが好ましい。なお、媒体としては、アルコールなどを用いてもよい。例えば、水にアルコールを配合したものを媒体とすることにより、金属材料表面における水分の乾燥が早められる。
本発明の塑性加工用潤滑剤は、塑性加工に供される際には、金属材料の表面で固体皮膜となっているが、塑性加工用潤滑剤として流通、保管される際には、上記のような水分散体等の形態を有することが一般的である。例えば、水分散体等の形態を有する本発明の塑性加工用潤滑剤は、上記の重合体Aを水中においてアルカリ成分と反応させて重合体の中和塩を含む水溶液を調製し、これに上記の潤滑成分などを混合することによって製造することができる。なお、水分散体等における固形分量を調整するために、さらに水を加える場合もある。本発明の塑性加工用潤滑剤は、本発明の塑性加工用潤滑剤を構成する各成分、及び必要に応じて媒体を混合して均一化することにより製造できる。均一化の方法としては、特に制限されず、例えば、プロペラ、ミキサーなどを用いて攪拌する方法が採用できる。ミキサーとしては、好ましくは、高速ディスパー、ホモミキサー、ボールミル、コーレスミキサー、撹拌式ディスパー等の剪断力の高いものを用いることができる。また、各成分を混合過程において粉砕処理を行い、各成分の平均粒子径をさらに細かくすることもできる。
塑性加工における本発明の塑性加工用潤滑剤の使用量は、適宜設定すればよいが、塑性加工における潤滑剤の耐熱性、潤滑性能、耐焼付き性、剥離性などの特性を高める観点からは、金属材料表面に対する固形分量として、好ましくは0.3〜50g/m2程度、より好ましくは1〜30g/m2程度とすることができる。本発明の塑性加工用潤滑剤を水などの媒体を用いて金属表面に塗布する際には、このような使用量となるように、媒体に対する塑性加工用潤滑剤の量(濃度)を適宜調整する。例えば、本発明の塑性加工用潤滑剤が水分散体等の形態を有する場合、水分散体等中における固形分量としては、1〜60質量%程度とすることができる。
本発明の塑性加工用潤滑剤は、鉄、鋼、ステンレス、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料の塑性加工、特に冷間塑性加工に好適に使用することができる。加工対象となる金属材料の形状としては、特に制限されず、板状、棒状、ブロック状、球状などが挙げられる。
本発明の塑性加工用潤滑剤を用いて金属材料を塑性加工する場合には、一般に、金属材料の清浄化工程、潤滑剤適用工程、及び乾燥工程を順に行う。以下、これらの工程を説明する。
まず、本発明の塑性加工用潤滑剤を金属材料に適用する前に、ショットブラスト、サンドブラスト、ピーリング、アルカリ脱脂、酸洗浄などの公知の清浄化工程を行うことが好ましい。清浄化工程は、金属材料の焼鈍等により成長した酸化スケールや各種の汚れ(油など)を除去することを主な目的とする。
次に、潤滑剤適用工程において、本発明の塑性加工用潤滑剤を金属材料表面に塗布する。すなわち、上述のように、上記の重合体Aの中和塩と、上記の潤滑成分を水と混合した水分散体等を金属材料の表面に塗布する。水分散体等を金属材料表面に塗布する方法としては、特に制限されず、浸漬法、フローコート法、スプレー法など公知の方法を用いることができる。これらの方法においては、金属材料の表面が十分に水分散体等で覆われればよく、塗布する時間も特に制限されない。なお、これに続く乾燥工程における水分の乾燥時間を早めることを目的として、例えば、金属材料を60〜80℃に加温して上記の水分散体等を塗布してもよい。また、40〜80℃に加温した水分散体等を金属材料表面に塗布してもよい。
次に、金属材料表面に塗布した上記の水分散体等の水分を乾燥させる。乾燥は、常温で行ってもよいし、例えば、金属材料を60〜150℃下、1〜30分程度乾燥に供してもよい。
以上のようにして、本発明の塑性加工用潤滑剤の固体皮膜が形成された金属材料が得られる。
上述の通り、金型などに潤滑剤が蓄積していくと、金型の寸法精度が低下し、次第に金属材料に目的とする精度の塑性加工を行うことができなくなる。また、金型などへの潤滑剤の蓄積により、潤滑剤の蓄積物による抵抗が生じ、塑性加工に必要な加工エネルギーが次第に増大する。これに対して、本発明の塑性加工用潤滑剤は、金属材料の塑性加工に供した後における加工具や金属材料への耐焼付き性に優れており、しかも剥離性が高いため、塑性加工後にエアブローなどで簡単に除去することができる。なお、本発明の塑性加工用潤滑剤の固体皮膜は、水で容易に除去することもでき、水系のアルカリ洗浄剤に浸漬するかスプレー洗浄することによっても除去することができる。
ボンデ処理のような化学反応を利用しない固体皮膜を用いた潤滑剤において、塑性加工に耐えうる強度を固体皮膜に付与するために従来用いられている環境負荷の大きい水溶性無機塩を使用しなくても、本発明の塑性加工用潤滑剤は、耐熱性に優れ、金属材料の塑性加工において優れた潤滑性能を発揮する。さらに、本発明の塑性加工用潤滑剤は、金属材料の塑性加工に供した後における加工具や金属材料への耐焼付き性に優れており、しかも剥離性が高く、塑性加工後に水洗やエアブローなどで簡単に除去することができる。このため、本発明の塑性加工用潤滑剤は、金属材料の塑性加工、特に冷間塑性加工に好適に使用することができる。すなわち、本発明の塑性加工用潤滑剤は、冷間塑性加工用潤滑剤として好適である。
2.塑性加工された金属材料の製造方法
本発明の塑性加工された金属材料の製造方法は、以下の工程を備えることを特徴とする。
上記の本発明の塑性加工用潤滑剤を、金属材料の表面に塗布する工程と、
当該塑性加工用潤滑剤が表面に塗布された金属材料を塑性加工する工程。
本発明の製造方法において、加工対象となる金属材料としては、上述したものが挙げられる。また、本発明の塑性加工用潤滑剤を、上記のような金属材料の表面に塗布する工程は、上記と同様にして行うことができる。また、金属材料の塑性加工は、公知の塑性加工を採用することができ、例えば、金型などを用いて金属材料をプレスして、所望の形状に変形させる加工などが挙げられる。
本発明の製造方法によれば、上記の本発明の塑性加工用潤滑剤を用いて塑性加工を行うため、環境負荷の大きい水溶性無機塩をしなくても、金属材料を塑性加工することができる。また、塑性加工用潤滑剤の耐焼付き性に優れており、剥離性も高いため、金型などに付着した潤滑剤を塑性加工後にエアブローなどで簡単に除去することができる。このため、潤滑剤の金型等への蓄積も抑制され、金型等の高い寸法精度が維持される。また、潤滑剤の金型等への蓄積による加工エネルギーの上昇も抑制される。よって、本発明の製造方法によれば、高い寸法精度を有する金属材料を簡便に得られる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。なお、実施例に示した「部」及び「%」は、特に記載の場合、いずれも質量基準である。
試験例1〜21及び比較試験例1〜7
<重合体の中和塩の製造>
表1に記載の重合体の中和塩を、ぞれぞれ、次のようにして製造した。なお、各試験例においては、中和度が、それぞれ表1の値となるように、アルカリ成分の量を調整した。
<ポリアクリル酸カリウム塩1>
市販のポリアクリル酸(重量平均分子量5万)を50%水酸化カリウム水溶液で中和し、固形分量を調整して、ポリアクリル酸カリウム塩の水溶液A1を得た(固形分量40%)。
また、フラスコにイソプロピルアルコール(IPA)30g、水300gを仕込み、窒素ガス気流下に85℃に昇温した。次いで、アクリル酸270gとIPA10gと水90gとを混合した単量体混合液、及びアゾビス−2−アミジンプロパン(和光純薬製、V−50)3.5gとIPA10gと水90gの混合液をフラスコに100分かけて滴下した。その後、1時間保温し、重合を完結させた後、IPAを留去した。次に、50%水酸化カリウム水溶液を加えて中和し、固形分量を調整してポリアクリル酸カリウム塩の水溶液B1を得た(固形分量40質量%)。重合物の上記GPCによる重量平均分子量は51000であった。なお、試験例1、4〜6においては、ポリアクリル酸カリウム塩の水溶液A1を用いた。
<ポリアクリル酸カリウム塩2>
ポリアクリル酸(重量平均分子量5万)をポリアクリル酸(重量平均分子量1万)に変更したこと以外は、上記のポリアクリル酸カリウム塩の水溶液A1と同様にしてポリアクリル酸カリウム塩の水溶液A2を得た(固形分量40質量%)。
また、IPA30g、水300gをIPA310g、水20gに変更したこと、アクリル酸270gとIPA10gと水90gとを混合した単量体混合液をアクリル酸270gとIPA85gと水15gとを混合した単量体混合液に変更したこと、アゾビス−2−アミジンプロパン(和光純薬製、V−50)3.5gとIPA10gと水90gの混合液をアゾビス−2−アミジンプロパン(和光純薬製、V−50)3.5gとIPA85gと水15gの混合液に変更したこと、及び100分かけて滴下を200分かけて滴下にしたこと以外は、上記のポリアクリル酸カリウム塩の水溶液B1と同様にしてポリアクリル酸カリウム塩の水溶液B2を得た(固形分量40質量%)。重合物の上記GPCによる重量平均分子量は9700であった。なお、試験例2においては、ポリアクリル酸カリウム塩の水溶液A2を用いた。
<ポリアクリル酸カリウム塩3>
ポリアクリル酸(重量平均分子量5万)をポリアクリル酸(重量平均分子量20万)に変更したこと以外は、上記のポリアクリル酸カリウム塩の水溶液A1と同様にしてポリアクリル酸カリウム塩の水溶液A3を得た(固形分量40質量%)。
また、水300gを水150gにしたこと、及び100分かけて滴下を60分かけて滴下にしたこと以外は、上記のポリアクリル酸カリウム塩の水溶液B1と同様にしてポリアクリル酸カリウム塩の水溶液B3を得た(固形分量40質量%)。重合物の上記GPCによる重量平均分子量は212000であった。なお、試験例3においては、ポリアクリル酸カリウム塩の水溶液A3を用いた。
<ポリアクリル酸ナトリウム塩>
50%水酸化カリウム水溶液を50%水酸化ナトリウム水溶液に変更したこと以外は、それぞれ、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液A1及びB1と同様にして、ポリアクリル酸ナトリウム塩の水溶液A及びBを得た(固形分量40質量%)。なお、試験例においては、ポリアクリル酸ナトリウム塩の水溶液Aを用いた。
<ポリアクリル酸リチウム塩>
50%水酸化カリウム水溶液を水酸化リチウムに変更したこと以外は、それぞれ、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液A1及びB1と同様にして、ポリアクリル酸リチウム塩の水溶液A及びBを得た(固形分量40質量%)。なお、試験例においては、ポリアクリル酸リチウム塩の水溶液Aを用いた。
<ポリアクリル酸マグネシウム塩>
50%水酸化カリウム水溶液を水酸化マグネシウムに変更したこと以外は、それぞれ、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液A1及びB1と同様にして、ポリアクリル酸マグネシウム塩の水溶液A及びBを得た(固形分量40質量%)。なお、試験例においては、ポリアクリル酸マグネシウム塩の水溶液Aを用いた。
<ポリアクリル酸カルシウム塩>
50%水酸化カリウム水溶液を水酸化カルシウムに変更したこと以外は、それぞれ、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液A1及びB1と同様にして、ポリアクリル酸カルシウム塩の水溶液A及びBを得た(固形分量40質量%)。なお、試験例においては、ポリアクリル酸カルシウム塩の水溶液Aを用いた。
<ポリアクリル酸亜鉛塩>
50%水酸化カリウム水溶液を水酸化亜鉛に変更したこと以外は、それぞれ、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液A1及びB1と同様にして、ポリアクリル酸亜鉛塩の水溶液A及びBを得た(固形分量40質量%)。なお、試験例においては、ポリアクリル酸亜鉛塩の水溶液Aを用いた。
<ポリアクリル酸アルミニウム塩>
50%水酸化カリウム水溶液を塩化アルミニウムに変更したこと以外は、それぞれ、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液A1及びB1と同様にして、ポリアクリル酸アルミニウム塩の水溶液A及びBを得た(固形分量40質量%)。なお、試験例においては、ポリアクリル酸アルミニウム塩の水溶液Aを用いた。
<ポリアクリル酸ナトリウム塩/リチウム塩>
50%水酸化カリウム水溶液を50%水酸化ナトリウム水溶液、及び水酸化リチウムに変更したこと以外は、それぞれ、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液A1及びB1と同様にして、ポリアクリル酸ナトリウム塩/リチウム塩の水溶液A及びBを得た(固形分量40質量%)。なお、試験例においては、ポリアクリル酸ナトリウム塩/リチウム塩の水溶液Aを用いた。
<ポリアクリル酸カリウム塩/リチウム塩>
50%水酸化カリウム水溶液を50%水酸化カリウム水溶液、及び水酸化リチウムに変更したこと以外は、それぞれ、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液A1及びB1と同様にして、ポリアクリル酸カリウム塩/リチウム塩の水溶液A及びBを得た(固形分量40質量%)。なお、試験例においては、ポリアクリル酸カリウム塩/リチウム塩の水溶液Aを用いた。
<ポリアクリル酸カリウム塩/マグネシウム塩>
50%水酸化カリウム水溶液を50%水酸化カリウム水溶液、及び水酸化マグネシウムに変更したこと以外は、それぞれ、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液A1及びB1と同様にして、ポリアクリル酸カリウム塩/マグネシウム塩の水溶液A及びBを得た(固形分量40質量%)。なお、試験例においては、ポリアクリル酸カリウム塩/マグネシウム塩の水溶液Aを用いた。
<ポリアクリル酸アンモニウム塩>
50%水酸化カリウム水溶液を25%アンモニア水に変更したこと以外は、それぞれ、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液A1及びB1と同様にして、ポリアクリル酸アンモニウム塩の水溶液A及びBを得た(固形分量40質量%)。なお、試験例においては、ポリアクリル酸アンモニウム塩の水溶液Aを用いた。
<ポリアクリル酸トリエタノールアミン塩>
50%水酸化カリウム水溶液をトリエタノールアミンに変更したこと以外は、それぞれ、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液A1及びB1と同様にして、ポリアクリル酸トリエタノールアミン塩の水溶液A及びBを得た(固形分量40質量%)。なお、試験例においては、ポリアクリル酸トリエタノールアミン塩の水溶液Aを用いた。
<アクリル酸/マレイン酸共重合体のカリウム塩>
ポリアクリル酸をポリアクリル酸/マレイン酸共重合体(重量平均分子量5万)に変更したこと以外は、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液A1と同様にしてアクリル酸/マレイン酸共重合体のカリウム塩の水溶液Aを得た(固形分量40質量%)。
また、アクリル酸270gをアクリル酸114g及び無水マレイン酸155.3gに変更したこと以外は、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液B1と同様にしてアクリル酸/マレイン酸共重合体のカリウム塩の水溶液Bを得た(固形分量40質量%)。重合物のGPCによる重量平均分子量は48000であった。
なお、試験例においては、アクリル酸/マレイン酸共重合体のカリウム塩の水溶液Aを用いた。
<アクリル酸/ビニルスルホン酸共重合体のカリウム塩>
アクリル酸270gをアクリル酸83g及びビニルスルホン酸186.9gに変更したこと以外は、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液B1と同様にしてアクリル酸/ビニルスルホン酸共重合体のカリウム塩の水溶液Bを得た(固形分量40質量%)。重合物のGPCによる重量平均分子量は52000であった。
<メタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体のカリウム塩>
アクリル酸270gをメタクリル酸73g及びアクリル酸エチル198.1gに変更したこと以外は、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液B1と同様にしてメタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体のカリウム塩の水溶液Bを得た(固形分量40質量%)。重合物のGPCによる重量平均分子量は96000であった。
<メタクリル酸/メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート共重合体のカリウム塩>
アクリル酸270gをメタクリル酸262g及びメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=9、ブレンマーPME−400(日本油脂製))45.4gに変更したこと以外は、上記のポリアクリル酸カリウム塩1の水溶液B1と同様にしてメタクリル酸/メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート共重合体のカリウム塩Bの水溶液を得た(固形分量40質量%)。重合物のGPCによる重量平均分子量は57000であった。
<皮膜の性状評価>
上記のようにして得られた重合体の中和塩の水溶液をSUS製シャーレの表面に固形分量が100g/m2となるように塗布し、110℃で1時間乾燥させて、固体皮膜を形成した。固形分量は、皮膜の性状評価を容易にするため多めに設定した。なお、比較試験例7では、重合体の中和塩の代わりに水溶性無機塩である四ホウ酸カリウムを用いた。次に、試験例1〜21及び比較試験例1〜7で得られた固体皮膜の性状を評価した。結果を表1に示す。以下の項目全て充足する場合には、皮膜の性状は良好(○)と評価した。
(1)容易に固体皮膜が形成され、粉っぽくなかった。
(2)硬く割れやすい固体皮膜であった。具体的には、固体皮膜の表面をスパチュラで擦って確認した。
(3)固体皮膜の厚みが均一であった。
(4)固体皮膜を水で容易に洗い流すことができた。
(5)固体皮膜の湿潤性が低かった。具体的には、温度35℃、湿度80%程度の夏場の環境下において、固体皮膜を形成した後、60分後には吸湿して皮膜の性状が変化し、べと付きがある場合には湿潤性が高いとした。一方、同様にした場合に、固体皮膜の性状が変化しておらず、べと付きがない場合には、湿潤性が低いとした。
また、固体皮膜の性状がやや劣るが実用上問題ない(△)場合、及び固体皮膜の性状が悪く、実用上問題がある(×)場合については、個別の評価結果を以下に示す。
試験例6では、固体皮膜がやや粘着質であり、皮膜強度が若干低かった。
比較試験例1では、皮膜が粘着質であり、皮膜強度が低かった。また、エアブローや水によって洗い流しにくかった。
比較試験例2では、皮膜が柔らかく、皮膜強度が低かった。
比較試験例3では、皮膜を水で容易に洗い流すことができなかった。
比較試験例4〜6では、皮膜が柔らかく、皮膜強度が低かった。また、澱粉を用いた比較試験例4では、澱粉が腐りやすく、保存安定性が悪いという欠点もある。
なお、比較試験例7では、皮膜の性状は良好(○)であったが、環境負荷が大きいという問題がある。
<耐熱性評価>
試験例1〜21及び比較試験例1〜7で得られた皮膜を200℃下で1時間放置し、皮膜の状態を目視で観察して、以下の基準により耐熱性を評価した。結果を表1に示す。
○:皮膜の色の変化が殆どなかった
△:皮膜が淡褐色に変化した
×:皮膜が褐色に変化するか、炭化していた
Figure 2015074767
表1に示されるように、単量体としてアクリル酸またはメタクリル酸を含む重合体の中和塩を用いた試験例1〜21では、形成される固体皮膜の耐熱性、皮膜の性状に優れていた。特に、これらの皮膜の性状は、パリパリとして割れやすく、エアブローなどで容易に除去できるものであった。一方、アクリル酸を含む重合体の未中和塩を用いた比較試験例1では、皮膜の性状が粘着質であり、エアブローなどで容易に除去できなかった。
実施例1〜14及び比較例1〜3
表2に記載の組成となるようにして、重合体の中和塩の水溶液、フィラー、潤滑成分、及び水を配合して、水分散体(固形分量20質量%)を調製した。なお、重合体の中和塩の水溶液としては、表2に記載の通り、試験例1、2、3、5、9、18、比較例1、4、7で得られたものを使用した。また、フィラーの平均粒子径は、ポリアミドイミド樹脂粒子が0.3μm、メラミンシアヌレート粒子が0.5μm、シリカ粒子が1μm、酸化亜鉛粒子が1μmであった。また、ポリエチレンワックスとしては、ポリエチレンワックスの水分散液(分子量11000〜17000、平均粒子径0.5μm)を用いた。
次に、水分散体を、それぞれSUS製シャーレの表面に固形分が100g/m2となるように範囲に塗布し、110℃で1時間乾燥させて、SUS製シャーレの表面に潤滑剤の固体皮膜を形成した。固形分量は、皮膜の性状評価を容易にするため多めに設定した。各潤滑剤の性能を確認するため、以下の評価試験を行った。それぞれの結果を表3に示す。
<皮膜の性状評価>
試験例1〜21及び比較試験例1〜7と同様にして、実施例1〜14及び比較例1〜3の潤滑剤の皮膜の性状を評価した。その結果、比較例1では、皮膜が粘着質であり、皮膜強度が低かった。さらに、水によって洗い流しにくかったため、比較例1では、評価が×となった。また、比較例2では、皮膜強度が弱いため、評価が×となった。
<耐熱性評価>
試験例1〜21及び比較試験例1〜7と同様にして、実施例1〜14及び比較例1〜3の潤滑剤の耐熱性を評価した。
<往復動摩擦試験>
試験片としてSPC鋼板を使用し、潤滑剤を塗布する前に脱脂処理を行った。脱脂剤として貴和化学薬品株式会社製アルキレン2600を用いて通常使用される条件で脱脂液を作製した(55℃に調整)。SPC鋼板を脱脂液に10分間浸漬した後、水洗、乾燥した。続いて、脱脂処理後のSPC鋼板を実施例1〜14及び比較例1〜3で得られた水分散体に30秒間浸漬した後、110℃で1時間乾燥して試験片を得た。形成された固体皮膜は10g/m2だった。
往復動摩擦試験機(神鋼造機株式会社製)を用い、摩擦球として3/16インチの剛球、荷重5kg、摺動距離20mm、速度20mm/sの条件で固体皮膜を形成させた試験片に対して往復摺動を行い、摩擦係数が0.2に達するまでの時間を測定して、以下の基準によって評価した。
◎:30分以上
○:10分以上30分未満
△:3分以上10分未満
×:3分未満
<リング圧縮試験>
リング圧縮試験は、得られる摩擦係数により滑剤皮膜の鍛造加工性を評価する試験であり、特開2013−108138号公報に記載のリング圧縮試験に準拠して行った。リング圧縮試験に用いたリングの材質は、鉄鋼(S45C)であり、外径は21.0mm、内径は10.5mm、厚みは7.0mmのものを用いた。実施例1〜14及び比較例1〜3で得られた水分散体に、リングを浸漬し、110℃で1時間乾燥させてリングの表面に皮膜を形成した。次に、リングを200トンの荷重でプレスした。圧縮後のリングの厚み、及び内径を測定し、摩擦係数を測定した。なお、以下の式による圧縮率が50%となる場合と、60%となる場合について、それぞれ3回ずつリング圧縮試験を行い、平均の摩擦係数μを求めた。
圧縮率(%)=(h0−h)/h0×100
[式中、h0は7mm、hは圧縮後の厚み(mm)]
なお、リング圧縮試験において、リングは圧縮される時の圧縮後の形状と摩擦係数との関係は知られている。摩擦係数が小さい場合は、内径・外径とも外側に張り出すように圧縮される。また、摩擦係数が大きい場合は、内径は内側に張り出し、外径も外側に張り出す長さが小さくなる。故に、内径部の寸法変化を測定し、摩擦係数の算出を行うことができる。
<前方軸・後方缶押出し形摩擦試験>
特開2008−222890号公報に記載の前方軸・後方缶押出し形摩擦試験に準拠して行った。前方軸・後方缶押出し形摩擦試験の原理は次の通りである。まず、金型の入口直径20mmの円錐金型孔に皮膜を形成した円柱試験片を挿入し、断面減少率Re=50%のパンチで加圧する。パンチ押込み量Spの増加とともに試験片はまず前方軸押出しを生じ、円錐金型面の摩擦力を含めた前方押出し荷重が後方押出し荷重と釣合うと後方押出しが発生する。このため、金型面摩擦が小さいほど、前方押出し量Sfが大きくなる。従って、予め2次元剛塑性FEMソフトウエアDEFORM−2Dにより、金型面の異なる摩擦剪断係数mDに対するパンチ押込み量Spと前方押出し量Sfの関係から校正線図を作成し、実測値をプロットして内挿法にて摩擦剪断係数mDを求めた。
まず、実施例1〜14及び比較例1〜3で得られた水分散体に、直径20mm×高さ20mmの円柱試験片(SCM420焼鈍材)を浸漬し、110℃で1時間乾燥させて試験片の表面に皮膜を形成した。次に、皮膜を形成した試験片を上記金型の円錐金型孔に挿入し、パンチ押込み量Spは潤滑剤の性能に合わせて17mm又は18mmで試験を実施した。試験は、最大加工荷重が1.6MN、速度が下死点上10mmで80mm/sの機械プレスを用いて試験した。なお、金型は超硬合金、パンチはSKH51を用い、工具表面はRz=0.3μm以下に仕上げた。上記試験により、摩擦剪断係数mDを求めると共に、焼き付き状態、金型表面に残ったカス溜まりの状況を以下の基準により評価した。
<焼き付き>
○:焼き付きはなし
△:焼き付きは一部あり
×:焼き付きは激しい
<カス溜まり>
○:カス溜まりはなし
△:カス溜まりは少量
×:カス溜まりは多量
Figure 2015074767
Figure 2015074767
表2及び表3に示されるように、単量体としてアクリル酸またはメタクリル酸を含む重合体の中和塩を用いた実施例1〜14の潤滑剤では、形成される固体皮膜の耐熱性、皮膜の性状に優れていた。また、往復動摩擦試験、リング圧縮試験により求められる摩擦係数、前方軸・後方缶押出し形摩擦試験の結果にも優れており、焼き付きがなくカス溜まりもなかった。これらの結果から、単量体としてアクリル酸またはメタクリル酸を含む重合体の中和塩を用いた場合には優れた塑性加工性が得られ、さらに塑性加工後に金型等に付着した固体皮膜の除去も容易に行うことができることが分かる。一方、アクリル酸を含む重合体の未中和塩を用いた比較例1の潤滑剤では、上記の試験のいずれにおいても、実施例1〜14の潤滑剤に比して劣っていた。また、重合体としてでんぷんを用いた比較例2においては、耐熱性には優れていたものの、その他の試験については、実施例1〜14の潤滑剤に比して劣っていた。また、水溶性無機塩である四ホウ酸カリウムを用いた比較例3の潤滑剤では、実施例1〜14と同様に優れた耐熱性、皮膜の性状を有していたが、本発明の潤滑剤よりも潤滑性能が劣り、焼付きも生じていた。さらに比較例3で使用した四ホウ酸カリウムは、環境負荷が大きいという問題を有する。

Claims (12)

  1. (メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩と、潤滑成分とを含む、塑性加工用潤滑剤。
  2. 前記(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アミン類、アルカノールアミン類、及びアンモニアからなる群から選択された少なくとも1種の塩である、請求項1に記載の塑性加工用潤滑剤。
  3. 前記(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩において、前記重合体を構成する全単量体中における(メタ)アクリル酸の割合が、3モル%以上である、請求項1または2に記載の塑性加工用潤滑剤。
  4. 前記(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩において、(メタ)アクリル酸の中和度が、10%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
  5. 前記(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩が、重合性二重結合を有するカルボン酸、重合性二重結合を有するスルホン酸、及び重合性二重結合を有するカルボン酸エステルからなる群から選択された少なくとも1種を単量体としてさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
  6. 前記潤滑成分が、ワックス、ポリテトラフルオロエチレン、炭化珪素、窒化ホウ素、脂肪酸またはその塩、脂肪酸アミド、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ化黒鉛、雲母、及びメラミンシアヌレートからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
  7. 前記(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩100質量部に対して、前記潤滑成分を1〜95質量部含む、請求項1〜6のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
  8. 水溶性無機塩を実質的に含まない、請求項1〜7のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
  9. 前記(メタ)アクリル酸を単量体として含む重合体の中和塩が水に溶解しており、前記潤滑成分が前記水に分散または溶解している、水分散体または水溶液の形態である、請求項1〜8のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
  10. フィラーをさらに含む、請求項1〜9のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤が表面に塗布された金属材料。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の塑性加工用潤滑剤を金属材料の表面に塗布する工程と、
    前記塑性加工用潤滑剤が表面に塗布された金属材料を塑性加工する工程と、
    を備える、塑性加工された金属材料の製造方法。
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