JPS6233662B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は映像信号、音声信号、電子計算機のデ
ータ信号等の記録再生用の磁気記録再生装置に於
ける磁気テープ案内ドラム装置の改良に関する。

先ず、第１図を参照して従来の磁気テープ案内
ドラム装置について説明する。１は回転ドラム
（上ドラム）、２は固定ドラム（下ドラム）で、こ
れらドラム１，２は間隙４を置いて互いに同軸心
に配されている。５は回転ドラム１を回転駆動す
る回転駆動源としてのモータで、回転軸６を介し
て回転ドラム１に取付けられている。７は固定ド
ラム２と回転軸６との間に介在せしめられた軸受
けである。８は間隙４内に於いて、外部に臨む如
くヘツド基板９を介して回転ドラム１の固定ドラ
ム２に対向する面に取付けられた回転磁気ヘツド
で、１個乃至複数個が可能である。１０は回転ド
ラム１及び固定ドラム２の外周の所定巻付け角
（例えば略360゜、略180゜）部分によつて案内走
行せしめられる磁気テープである。１１は磁気テ
ープ１０の下側縁を案内するリード段部で、固定
ドラム２の下側の外周に斜めに形成されている。
尚、１０ａは磁気テープ１０の上側縁を示す。

ところで、かかる磁気テープ案内ドラム装置で
は、間隙４が回転ドラム１及び固定ドラム２の母
線に垂直な径方向断面を有する円環状空間を形成
しているため、回転ドラム１の回転時に磁気テー
プ１０と回転ドラム１及び固定ドラム２との間に
形成される空気層（エアベアリング）の圧力の径
方向成分は、磁気テープ１０の幅方向について考
えると間隙４の部分の圧力が他の部分の圧力に比
し大幅に小となる。このため、張力の掛けられて
いる磁気テープ１０は間隙４の部分では磁気テー
プ１０の裏側から圧力によつて間隙４内に押込ま
れ、あるいは磁気ヘツド８に押付けられる。その
結果磁気テープ１０は回転ドラム１及び固定ドラ
ム２のエツジ部と接触するため、特に回転ドラム
１のエツジ部との摩擦により（磁気テープ１０の
走行時は固定ドラム２との摩擦も僅かながら加わ
る）磁気テープ１０の磁性層の摩耗が激しく、磁
気テープ１０の記録信号の劣化と、磁気テープ１
０自体の寿命の短縮化を招来することになる。特
に、映像信号のスチル再生、電子計算機のデータ
信号の再生（これは間欠スチル再生）時にこの傾
向が著しい。

かかる問題点を解決する手段としては、従来次
のようなものが提案されている。回転ドラム及
び固定ドラムの内部に外部より空気を強制的に供
給して、その間の間隙より空気を吹き出させ、磁
気テープと回転ドラム及び固定ドラムの外周との
間に厚い空気層を形成する。回転ドラムを２つ
の回転ドラムに分け、これらを互いに逆方向に回
転させて、厚い空気層を形成する。

しかしながら、かかる従来の手段は、いずれも
回転ドラム及び固定ドラムの内部構造が複雑とな
り、価格の上昇につながる。

かかる点に鑑み、本発明は構成簡単にして回転
ドラムの回転時に於いて磁気テープの回転ドラム
及び固定ドラム、特に回転ドラムのエツジ部との
摩擦による損傷を軽減するようにした磁気テープ
案内ドラム装置を提案せんとするものである。

以下に第１図及び第２図について本発明の一実
施例を説明するも、第２図及び第３図に於いて第
１図と対応する部分には同一符号を付して一部重
複説明を省略する。この磁気テープ案内ドラム装
置は、間隙を置いて対向する如く互いに同軸心に
配された夫々円筒状の回転ドラム１及び固定ドラ
ム２と、間隙４内に於いて外部に臨む如く回転ド
ラム１に取付けられた回転磁気ヘツド８とを有
し、磁気テープ１０が回転ドラム１及び固定ドラ
ム２の外周の所定巻付け角部分によつて案内走行
せしめられるようにした磁気テープ案内ドラム装
置に於いて、間隙４の外側付近から内側に向う所
定部分４ａが回転ドラム１及び固定ドラム２の母
線に対し斜め（本例では固定ドラム２側に斜め）
の径方向断面を有する円環状空間を形成するよう
にして、回転ドラム１の回転時に磁気テープ１０
と回転ドラム１及び固定ドラム２の外周との間に
形成される空気層の圧力の径方向成分が磁気テー
プ１０の幅方向に亘り略均一となるようにする。
空隙４について第３図を参照して更に説明する。

空隙４はその外側から内側へ順に、回転ドラム
１及び固定ドラム２の母線に対し垂直な径方向断
面を有する部分４ｂと、母線に対し固定ドラム２
側に斜めの径方向断面を有する部分４ａと母線に
対し垂直な径方向断面を有する部分４ｃとから構
成され、これら部分４ａ〜４ｃは互いに連通した
円環状空間を形成している。尚、回転磁気ヘツド
８をヘツド基板９を介して回転ドラム１に取付け
るために、その部分のみ凹部１２が回転ドラム１
の下端に形成されており、ヘツド基板９は回転ド
ラム１にねじ止めされている。１３はそのための
ねじである。

第３図に於いて、ａは部分４ｂの間隔、ｂは部
分４ａの間隔で小さい程望ましく、ｃは部分４ｃ
の間隔、ｄは部分４ｂの奥行きで小さい程望まし
く、ｅは部分４ａの長さでｅ≫ｄに選ばれ、θは
部分４ａの回転ドラム１及び固定ドラム２の母線
に対する角度を90゜から差し引いた角度で略45゜
以上で大きい程望ましい。

かくして、間隙４の傾斜せる部分４ａが回転ド
ラム１及び固定ドラム２の円筒状外周面に準ずる
壁面となるから、回転ドラム１の回転時に於ける
磁気テープ１０と回転ドラム１及び固定ドラム２
との間の空気層の圧力の径方向成分は間隙４の部
分４ｂに於いて左程低下せず、磁気テープ１０の
幅方向に亘り略均一となり、磁気テープ１０の回
転ドラム１及び固定ドラム２、特に回転ドラム１
のエツジ部との摩擦による損傷は大幅に軽減され
る。この軽減の程度は上述のｂ，ｄ，ｅ及びθ
が、ｂが小、ｄが小、ｅ≫ｄ及びθが大となる程
大きい。かくすれば、部分４ａに於ける空気流に
対する抵抗が大となるからである。

次に磁気テープ１０の回転ドラム１のエツジ部
に接触する部分に同一の高周波信号を記録し、第
１図と第２図の磁気テープ案内ドラム装置（空隙
４の外側の幅は共にａ）で長時間静止再生を行な
つたときの頭初と６時間半後との再生信号の波形
の比較を行なつたところ、第５図に図示の如き結
果を得た。即ち、第５図Ａは第１図、第２図の装
置を使用した場合の頭初の再生信号の波形で、第
５図Ｂ及びＣは６時間半経過後の夫々第１図及び
第２図の装置を使用した場合の再生信号の波形で
ある。

これによれば、第１図の従来の装置では、磁気
テープ１０の回転ドラム１のエツジ部に対する長
時間の摩擦のため、６時間半経過後には磁気テー
プ１０の磁性層の摩耗により再生信号のレベルが
大幅に減少したが、第２図の本発明による装置で
は、６時間半経過後でも再生信号のレベルは頭初
と殆んど変わらなかつた。従つて、第２図の装置
の場合には磁気テープ１０の回転磁気ヘツド１の
エツジ部に対する摩擦が殆んど無いか又は極めて
小ないことが解る。

次に第４図を参照して、他の実施例を説明する
も第４図に於いて第１図乃至第３図と対応する部
分には同一符号を付して重複説明を省略する。本
例は第２図に於ける磁気テープ案内ドラム装置に
於いて、回転ドラム１上に他の固定ドラム３を配
した場合である。１２は支持台で、この支持台１
２は取付ボルト１３により、固定ドラム２と固定
ドラム３とを連結固定する。そして、回転ドラム
１と固定ドラム３との間に間隙４と同様の間隙
４′を設けている。この間隙４′には回転磁気ヘツ
ドは設けられていない。

かくして、上述せる本発明によれば、構成簡単
にして回転ドラムの回転時に於いて磁気テープの
回転ドラム及び固定ドラム、特に回転ドラムのエ
ツジ部との摩擦による損傷を大幅に軽減すること
ができる。

尚、間隙４又は４′の傾斜した部分４ａの径方
向断面形状は直線状に限らず、曲線状、階段状等
の形状でもよく、又その傾斜角度、傾斜の向き
（上向きか下向きか）も任意である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の磁気テープ案内ドラム装置の断
面図、第２図は本発明による磁気テープ案内ドラ
ム装置の一実施例の断面図、第３図は第２図の一
部拡大断面図、第４図は本発明による磁気テープ
案内ドラム装置の他の実施例の断面図、第５図は
再生信号の波形図である。 １は回転ドラム、２，３は固定ドラム、４，
４′は間隙、４ａは間隙の部分、８は回転磁気ヘ
ツド、１０は磁気テープである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 間隙を置いて対向する如く互いに同軸心に配
   された夫々円筒状の回転ドラム及び固定ドラム
   と、上記間隙内に於いて外部に臨む如く上記回転
   ドラムに取付けられた回転磁気ヘツドとを有し、
   磁気テープが上記回転ドラム及び上記固定ドラム
   の外周の所定巻付け角部分によつて案内走行せし
   められるようにした磁気テープ案内ドラム装置に
   於いて、上記間隙の外側付近から内側に向う所定
   部分が上記回転ドラム及び上記固定ドラムの母線
   に対し斜めの径方向断面を有する円環状空間を形
   成するようして、上記回転ドラムの回転時に上記
   磁気テープと上記回転ドラム及び上記固定ドラム
   の外周との間に形成される空気層の圧力の径方向
   成分が上記磁気テープの幅方向に亘り略均一とな
   るようにしたことを特徴とする磁気テープ案内ド
   ラム装置。