JPS6232784Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は軸線方向に対し一方向へ傾斜した凹凸条
を外側周面に有し且つ少なくとも基端部に孔を有
している固着具を合成樹脂の部材に埋込み固定す
る際に使用するねじ込み工具に関するものであ
る。

合成樹脂の成形品からなる部材にねじ孔を設け
てボルトなどをねじ込み固定すると、引張り、ね
じり、振動その他の外力を受けたとき或いはボル
トなどを反覆して着脱したとき、ねじ孔が変形ま
たは破壊して使用できなくなる。そこで、部材に
埋込み固定してボルトなどを安定よく固定してお
くことができると共にボルトの反覆着脱に耐える
ようにした金属製の固着具が提案されている。

この固着具を部材成形時に合成樹脂へ埋込むよ
うにすると、成形用型に固着具をその都度装備し
なければならないのできわめて面倒であり、部材
成形時に埋込み固定用の取付孔を形成してそこへ
固着具を埋込む方が作業上有利である。固着具は
部材に喰込んで充分な強度で固定されるように外
側周面上にローレツト状その他の凹凸を設けるの
が普通であつて、熱可塑性の合成樹脂の成形品か
らなる部材の取付孔に埋込むときは、超音波振動
を与え摩擦熱を発生させるかまたは電流を通じて
電気抵抗熱を発生させるなどによつて取付孔の周
囲を軟化させて埋込むことにより、凹凸を部材と
互いに喰込ませることができるが、熱硬化性の合
成樹脂の成形品からなる部材の場合は加熱しても
溶融しないので前記の方法は適用できず、打込み
または押込みによつて埋込まなければならない。
また、熱可塑性の合成樹脂の場合であつても電源
が得られない場所或いは超音波振動発生装置がな
い場所では前記の方法は適用不可能である。更
に、外側周面上の凹凸がねじの場合は取付孔にね
じ込んで固定できるが、固着具の寸法によつては
ねじ回しのような工具を使用することができな
い。

本案はこのような問題を解決し、軸線方向に対
し一方向へ傾斜した凹凸条を外側周面に有し且つ
少なくとも基端部に孔を有している固着具を熱可
塑性および熱硬化性のいずれの合成樹脂の成形品
からなる部材にも簡単に埋込むことができるねじ
込み工具を提供することを目的とするものであ
る。

そして、この目的を達成するため本案に係るね
じ込み工具は、固着具の基端面に接する端面およ
びそれより突出して固着具の孔に差込まれる軸部
を先端部分に有する主軸体と、前記先端部分を突
出させて主軸体に基端側から嵌装され基端が塞が
れている筒状の握持体とからなり、前記主軸体は
基端面において握持体と球接触により回転自由に
接触させたことを特徴としている。

次に、本案の具体例を図面に基いて説明する
と、第１，２図において丸棒状の主軸体１の先端
部に大径部２が形成されていると共にその先端に
次第に小径となる傾斜部３が形成され、この傾斜
部３の先端に軸線と直角な平面からなる端面４が
形成され、更にこの端面４の中心から小径の軸部
５が突出形成されている。この主軸体１には基端
側から筒状の握持体６がほぼ密に嵌装して居り、
大径部２はこの握持体６の前方に突出している。
主軸体１の基端面には主軸体１の直径よりも少し
小さい直径の球体８が半ば突出して固定され、ま
た握持体６の基端面を塞いだ端壁７の内面には三
個の小径の球９が円上等間隔で配置され且つ半ば
突出して回転自由に埋められて居り、前記球体８
と三個の球９とが互いに接触している。

第３，４，５図は前記ねじ込み工具を使用して
固着具２１を合成樹脂の成形品からなる部材２８
の取付孔２９に埋込み固定する作業工程を示して
いる。この工程に使用する固着具２１は、先端が
基端よりも僅か大径の截頭円錐形の本体２２の外
側周面に軸線方向に対し斜め例えば45度に傾斜し
た多数の凹凸条２３を設けると共に中央部に環状
の溝２４を設け、この本体２２の先端に取付孔２
９の孔径とほぼ等しい径の栓体２５をそれより小
径の頚部２６を挾んで設け、更に本体２２、頚部
２６、栓体２５を貫通してねじ付きの孔２７を設
けて構成されている。

先ず、取付孔２９に栓体２５を案内として本体
２２の先端面が取付孔２９の入口縁に接するまで
指先で押し込む（第３図）。次に、この固着具２
１の孔２７に軸部５を差込むと共に基端面に端面
４を接触させ、握持体６を手で握つてそのまま部
材２８に向つて押すもので、本体２２は取付孔２
９に入口端を拡開しながら押込まれ、その際に外
周側面の斜め一方向に設けた凹凸条２３が孔壁に
喰込んで部材２８の肉を切削しつつ取付孔２９の
底へ向つて移動するのである。このとき、主軸体
１は握持体６に回転自由になつているので凹凸条
２３の傾斜に応じて固着具２１と一体的に回転し
ながら握持体６に押される（第４図）。栓体２５
の先端が取付孔２９の底に達し、または本体２２
の基端面が取付孔２９の入口縁に達したとき握持
体６と主軸体１とを部材２８から離間させるもの
で、凹凸条２３は取付孔２９の孔壁に喰込んで合
成樹脂と互いに噛み合い、また環状の溝２４には
切削された合成樹脂が充満する（第５図）。

第６図は主軸体１の基端面に主軸体１の直径よ
りも少し小径の球体３０を半ば突出させて固定
し、握持体６の端壁７の内面に形成したくぼみ３
１に球体３０を回転自由に嵌込んだものである。
また、第７図は主軸体１の基端面に球面状のくぼ
み３２を設けると共に握持体６の基壁７の内面に
くぼみ３３を設け、これら二つの対向するくぼみ
３２，３３に主軸体１の直径よりも少し小径の球
体３４を回転自由に嵌めたものである。

尚、固着具としては、外側周面に雄ねじからな
る凹凸条を有するもの、ねじ付きの孔が基端部分
のみに設けられているもの、孔がボルト以外の棒
状部材を差込んで固着するのに適した形状のもの
などが本案のねじ込み工具によつて合成樹脂の部
材に埋込み可能である。

以上のように構成した本案によると、先端の軸
部を固着具の孔へ差込んで主軸体を固着具と同一
軸線上に配置できるものであり、且つ主軸体は基
端面において握持体の基端と球接触により回転自
由に接しているので、固着具が押されて取付孔へ
押込まれながらその外側周面の凹凸条が孔壁に喰
込んで回転するとき、主軸体はこの回転に追従し
て固着具と一体的に回転し、従つて固着具にその
回転を妨げることなく押込み力を与えてねじ込む
ことができるのである。このため、熱可塑性およ
び熱硬化性いずれの合成樹脂の成形品からなる部
材であつても、任意の場所で手動力により簡便に
任意寸法の固着具を埋込み固定でき、しかも固着
具は回転しながら押込まれるので回転しないでそ
のまま押込む場合のように部材に過大な応力を作
用させて割れを生じさせるという不都合を生じな
いものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案の実施例を示す一部切截した正面
図、第２図は第１図Ｘ−Ｘ線に沿う断面図、第３
図、第４図、第５図は固着具埋込みの工程を説明
する断面図、第６図、第７図は本案の異なる実施
例を示す縦断面部分図である。 １……主軸体、４……端面、５……軸部、６…
…握持体、７……端壁、８……球体、９……球、
３０，３４……球体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸線方向に対し一方向へ傾斜した凹凸条を外側
   周面に有し且つ少なくとも基端部に孔を有してい
   る固着具を合成樹脂の部材に埋込み固定するねじ
   込み工具であつて、固着具の基端面に接する端面
   およびそれより突出して固着具の孔に差込まれる
   軸部を先端部分に有する主軸体と、前記先端部分
   を突出させて主軸体に基端側から嵌装され基端が
   塞がれている筒状の握持体とからなり、前記主軸
   体は基端面において握持体と球接触により回転自
   由に接触させたことを特徴とするねじ込み工具。