JPS6232568Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、単式フイルタープレスの圧搾濾板
に関する。

従来の技術 この種の圧搾濾板は、基板と、基板の少なくと
も片面に被せられかつ表面に濾過面を有するゴム
等の圧搾用弾性体よりなり、全濾板を重ね合わせ
締付けた状態で通常の濾過の終了後、基板と弾性
体の遊離部との間に圧力流体を導入し、弾性体の
遊離部を濾過室内に膨出させることにより、濾過
後のケーキ（濾滓）をさらに圧搾するものであ
る。

しかしながら、隣接濾板同志の間の原液供給口
の周辺には原液を濾過室内に導入するための間隙
があけられているから、圧力流体によるケーキの
圧搾時に、未濾過の原液がこの間隙を逆流して原
液供給口内に戻り、このため圧搾濾過の処理量が
少なくなり、また間隙より流体圧の一部が逃げる
ため、均一な圧搾濾過を行なうことができなかつ
た。さらに弾性体が局部的に伸びて異状に変形す
ることにより間隙内に入り込み、弾性体の異状変
形部分とこれを被つている濾布が破れて、圧搾濾
過作業を行なうことができず、このため弾性体お
よび濾布の補修あるいは取替えを頻繁に行なわな
ければならないという問題があつた。

考案の目的 この考案の目的は、上記の問題を解決し、圧搾
濾過のさい弾性体の異状変形を防止することがで
きて、弾性体および濾布の破損を末然に防ぐこと
ができ、従つて弾性体および濾布の補修および取
替えが非常に少なくてすみ、しかも処理量が多
く、均一な圧搾濾過を行なうことができる単式フ
イルタープレスの圧搾濾板を提供しようとするに
ある。

考案の構成 この考案は、上記目的を達成するために、基板
の少なくとも片面に圧搾用弾性体が被せられ、原
液供給口周縁の弾性体の固定縁部に、弾性体の遊
離部側に伸びる屈曲可能な張出し部を備えた弾性
体異状変形防止部材が被せ止められ、圧力流体に
より弾性体の遊離部が膨出せしめられたさい、遊
離部と共に上記張出し部が屈曲せしめられて、張
出し部により隣接濾板同志の間の原液供給口周辺
の間隙が塞がれるようになされている単式フイル
タープレスの圧搾濾板を要旨としている。

実施例 つぎに、この考案の実施例を図面に基づいて説
明する。

第１図において、圧搾濾板１は、基板２と、ゴ
ム板よりなる圧搾用弾性体３とで構成されてお
り、中央に原液供給口４が、右上角および左下角
に濾液出口５，５およびこれと並んでその内方に
濾液収集口６，６が、右下角に圧搾空気等の圧搾
流体入口７がそれぞれあけられている。濾液出口
５，５と濾液収集口６，６とは濾液通路８，８で
連絡せられている。

第２図において、基板２の中央には、貫通孔９
があけられるとともに、貫通孔９の周囲両側に環
状凹部１０，１０がそれぞれ設けられている。両
弾性体３，３の中央には、それぞれ基板２の貫通
孔９に連なる貫通孔１１，１１があけられ、これ
らの貫通孔９，１１，１１によつて原液供給口４
が形成されている。原液供給口４周縁の弾性体３
の固定縁部３ａ，３ａはそれぞれ内方に突出して
いて、基板２両側の環状凹部１０，１０にそれぞ
れ嵌め込まれている。これらの固定縁部３ａ，３
ａの内部には、弾性体３，３の伸びを殺すために
補強用環状芯金１２，１２が埋入せられ、同外面
には、所定間隔をおいてボルト１３の頭またはナ
ツト１４の収まる円形凹所１５，１５があけられ
ており、両固定縁部３ａ，３ａが基板２を介して
ボルト１３およびナツト１４により密に締め合わ
せされている。圧搾濾板１とこれに隣接する普通
濾板２１との間の原液供給口４周縁には、原液を
両濾板１，２１の中間部分の濾過室２２内に導入
するための間隙２３があけられている。

原液供給口４周縁の弾性体３，３の固定縁部３
ａ，３ａに、弾性体３，３の遊離部３ｂ，３ｂ側
に伸びる屈曲可能な張出し部１７，１７を備えた
ゴム製の環状の弾性体異状変形防止部材１６，１
６が被せ止められている。ここで、異状変形防止
部材１６の素材としては、弾性体３よりも硬度が
大きくかつ屈曲可能で復元性を有するものを使用
する。例えば圧搾用弾性体３を構成するゴムの硬
度は、日本工業規格（JIS）のかたさ試験機によ
れば60゜程度であるが、弾性体異状変形防止部材
１６を構成するゴムの硬度は、同試験機で測定し
て70゜〜80゜程度であるのが好ましい。このよう
なゴム製の異状変形防止部材１６は、これに布そ
の他の補強材を埋め込んで適宜補強してもよく、
またゴムの他に例えばポリプロピレン樹脂のよう
な合成樹脂等の同効物質よりなるものを使用して
もよい。なお、図示の異状変形防止部材１６，１
６は圧搾濾板１の両側面にそれぞれ濾布２４によ
つて押え止められているが、これに限らず、原液
供給口４周縁において異状変形防止部材１６，１
６を弾性体３，３の固定縁部３ａ，３ａに固定す
るようにしてもよい。また張出し部１７は環状で
あるが、場合によつてはこれに半径方向の切欠き
を設けてもよい。

上記において、圧搾濾板１と普通濾板２１とを
重合して通常の濾過の終了後、圧搾濾板１の基板
２と弾性体３の遊離部３ｂとの間に圧搾空気等の
圧力流体を導入して、遊離部３ｂを膨出させ、濾
過室２２内のケーキを圧搾すると、第２図に２点
鎖線で示すように、弾性体３の遊離部３ｂと共に
弾性体異状変形防止部材１６の張出し部１７が屈
曲せしめられて、張出し部１７の端部が対向する
普通濾板２１の濾過面に当たり、隣接濾板１，２
１同志の間の原液供給口４周辺の間隙２３が張出
し部１７によつて塞がれる。このような張出し部
１７のいわばチエツク弁的作用により、弾性体３
の遊離部３ｂの局部的な伸びを抑えることができ
て、異状変形を防止することができ、あわせて異
状変形による弾性体３および濾布２４の破損を末
然に防止することができる。

なお、上記実施例においては、基板２の両面に
弾性体３，３が被せられた圧搾濾板１が示されて
いるが、この考案は、弾性体３が基板２の片面に
のみ被せられた圧搾濾板についても同様に適用さ
れるものである。

考案の効果 この考案による単式フイルタープレスの圧搾濾
板は、上述のように、原液供給口４周縁の弾性体
３の固定縁部３ａに、弾性体３の遊離部３ｂ側に
伸びる屈曲可能な張出し部１７を備えた弾性体異
状変形防止部材１６が被せ止められ、圧力流体に
より弾性体３の遊離部３ｂが膨出せしめられたさ
い、遊離部３ｂと共に上記張出し部１７が屈曲せ
しめられて、張出し部１７により隣接濾板１，２
１同志の間の原液供給口４周辺の間隙２３が塞が
れるようになされているものであるから、圧搾濾
過のさい弾性体３の異状変形を防止することがで
きて、弾性体３および濾布２４の破損を未然に防
ぐことができ、従つて弾性体３および濾布２４の
補修および取替えが非常に少なくてすむ。また弾
性体異状変形防止部材１６の張出し部１７によつ
て間隙２３が塞がれるため、濾過室２２内の未濾
過原液が原液供給口４内に押し戻されることがな
く、従つて処理量が増大するとともに、均一な圧
搾濾過を行なうことができるという効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図
は本考案品の一部切欠き正面図、第２図は第１図
の圧搾濾板の原液供給口部分の拡大断面図で、隣
り合う普通濾板が一緒に示されている。 １……圧搾濾板、２……基板、３……圧搾用弾
性体、３ａ……固定縁部、３ｂ……遊離部、４…
…原液供給口、１６……弾性体異状変形防止部
材、１７……張出し部、２１……普通濾板、２３
……間隙、２４……濾布。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基板２の少なくとも片面に圧搾用弾性体３が被
   せられ、原液供給口４周縁の弾性体３の固定縁部
   ３ａに、弾性体３の遊離部３ｂ側に伸びる屈曲可
   能な張出し部１７を備えた弾性体異状変形防止部
   材１６が被せ止められ、圧力流体により弾性体３
   の遊離部３ｂが膨出せしめられたさい、遊離部３
   ｂと共に上記張出し部１７が屈曲せしめられて、
   張出し部１７により隣接濾板１，２１同志の間の
   原液供給口４周辺の間隙２３が塞がれるようにな
   されている単式フイルタープレスの圧搾濾板。