JPS6232561B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は大きな前面開口を有する自動車用前照
灯に関する。

現在の自動車用前照灯の大部分はパラボラ状反
射鏡と、前面ガラス板と、その中の２個のフイラ
メント、即ち走行用およびすれちがい用フイラメ
ントがほぼ光学軸上で反射鏡の焦点の両側に位置
する様に取付けられたランプとを有し、この場合
走行用フイラメントは反射鏡の頂部と焦点との間
に位置している。

この形式の前照灯においては、前面ガラス板の
表面の大部分にわたつて、走行用およびすれちが
い用ビームを同時に指向せしめて適当に分散せし
めるための線条、プリズムまたは帯状に配列した
小レンズ様のものが作られている。この前面ガラ
ス板の設計は中間到達距離のすれちがい用ビーム
を拡げることと、大到達距離の走行用ビームを高
強度にするために前者と反対に集中せしめること
の必要性から来る妥協によつて定まる。

事実、すれちがい照明の一様性を良好にし良好
な集光を得るようにすると、走行ビームは強度な
非―様性および位置の悪化をもたらす。同様に、
走行ビームの良好な集光および一様性を得ようと
すると、すれちがいビームの不均一性、位置悪化
が生じる。即ち非常に良好なすれちがい用ビーム
と、非常に良好な走行ビームを同時に得ることは
困難で、この非両立性は前照灯の大きさ（開口）
の増加と共に増大する。更に、大開口反射鏡の製
造技術においては、プレスによつて作られる実際
の反射鏡に対して解決困難な問題を生じ、これは
多量の変形を生じ不正確になつている領域が照明
の不完全性をもたらし、これが特にすれちがいビ
ームにおいて甚だしい。

本発明は前記した不都合な問題点を解決し、大
口径前照灯の場合に特に有用な応用を検討したも
のである。

本発明による前照灯は、従来品の様にパラボラ
反射鏡と、条線等を有する前面ガラス板と、走行
用およびすれちがい用の２フイラメントを有する
ランプを備え、走行用フイラメントからの放射光
線の反射鏡上の照射鏡上の照射領域の広がりより
も、すれちがい用フイラメントからの放射光線の
反射鏡上の照射領域の広がりを小径に限定する遮
へい部材を有することを特徴とする。この反射鏡
の周辺部領域には前面ガラス板の対応部分が対応
し、この対応する前面ガラス部分は走行フイラメ
ントから出た光線のみが通過し、この部分に有す
る条線およびプリズム群等は走行ビーム用として
のみ作用する。前面ガラス板の残余部分はこの事
実上すれちがい用ビーム用として作用するように
定める。走行、すれちがい両ビームが通過する両
領域を最大限に分離することによつて、上述の調
整の妥協問題の大部分の除去が可能であることが
わかる。遮へい部として各種の形状を用いること
は完全に可能であることは確かであるが、これは
ランプの前面の上方部分に位置する遮へい板によ
つて得ることが有効である。規則正しい形状の遮
へい板によつて前面ガラス板の周辺部に位置しガ
ラス板の外側輪郭と正しく平行な内部限界を有す
る遮へい領域を容易に作ることができる。また遮
へい板をランプ光が反射鏡で予じめ反射すること
なしに前面ガラス板を直接透過することをさける
ためにも使用し得る。

矩形形状の良く使用されている前照灯の場合、
反射鏡と前面ガラス板間の接続部（反射鏡の横及
び下周辺部）は走行用ビーム用のみの反射鏡とし
て使用し得る。

本発明のその他の特徴および長所は、実例を示
すためのみに添付した付図を参照の上、以下の説
明を読むことによつて明らかになろう。

第１図および第２図は走行用ビームとすれちが
い用ビーム間の調整の妥協を得ることの困難性を
充分に明白にする役をなしている。ここに実際に
（黒色部分）反射鏡の水平部分から発出するすれ
ちがい用ビームおよび走行用ビームを示し、照明
されていない中央部分はパラボラ面の頂部に相当
しここにはランプを取付けるための中央孔があ
る。ＺおよびＹを付した軸は反射鏡の光軸に直角
な垂直投光面上の垂直軸および水平軸を夫々示
す。この両軸の交点は勿論反射鏡の光軸上に位置
する。

第１図の左方に良好な集光状態と一様性を有す
る様に充分に調整されたすれちがい用ビームを示
す。すれちがい用ビームの上部カツトオフ限界を
２４で示す。矢印１０１および１０２で夫々ビー
ムの右部分および左部分の偏向方向を示す。この
調節によつて、走行用ビームとして第１図の右方
に示す前照灯ができる。この場合走行用ビームは
発散され不均一かつ位置不良のビームとなり、こ
のため走行ビームの良好な調整に必要とされる集
光を損ずる結果となる。

第２図に示す現象も正に同様で、図の左方に示
す走行用ビームを良好になる様に調整すると図の
右方に示すすれちがい用ビームの調整が悪くなつ
てしまう。走行用ビームの良好な集光（矢印１０
１，１０２）の結果、すれちがい用ビームのカツ
トオフ限界２４の上部への発散と横方向の発散を
生じこのビームによつて眩輝を生ずる。

第３図および第４図は本発明になる装置の動作
を充分明確にしている。軸Ｘは開口２６を備える
反射鏡１０の光軸を示すが、開口２６中にはラン
プソケツト２８が埋設され、このソケツトにはそ
の軸上にランプ１２を取付ける。走行用フイラメ
ント１４およびすれちがい用フイラメント１８は
焦点１６の両側にあり、一方直接光用遮光体１５
が反射鏡で予じめ反射することなしに前面ガラス
板１９に直接入射する光が無いようにしている。
第８図，第９図はランプ１２部分の詳細構造を示
し、第８図は一部を断面して示した側面図、第９
図は第８図のＡ―Ａ断面図である。図に示すよう
に上部に開口部を有する半円筒状で後端部に側壁
２２ａを有するキヤツプ２２がランプ１２内のす
れちがい用フイラメント１８の下部に取付けら
れ、すれちがい用フイラメント１８から反射光１
０の下方に入射する光束をさえぎつている。この
キヤツプ２２の半円筒状の両側面端部がランプ１
２の光軸を通る水平面に対して下方になす角４
０，４２は道路の端部と対向走行車の使用する道
路の照明を異なるようにするため角度を異ならせ
ている。また、ランプ１２の前面には下部に開口
部を有する部分円筒状の遮光体２０がその円筒の
中心軸とランプ１２の光軸が一致するように取付
けられている。遮光体２０の両側面端部がランプ
１２の光軸を通る水平面に対してなす角４３はキ
ヤツプ２２の側面端部が水平面と形成する角度４
０，４２より大きくなつている。また遮光体２０
の後端部２０ａは円筒の中心軸に対して垂直とな
つている。

このランプ１２の前部に位置する遮光体２０に
よりすれちがい用フイラメント１８から発する光
がすれちがい用限界点３０と反射鏡の外端部点３
２との間の領域３６に入射しないようになつてい
る。

反対に、開口２６とすれちがい用限界点３０間
にある領域３４はその全体で走行用フイラメント
１４およびすれちがい用フイラメント１８の両者
からの光線を受ける。遮光体２０は直接光用遮光
体１５よりも有効に動作することに注目しなけれ
ばならない。

第４図は前述の光学ブロツクの前面図を示す
が、ここで周辺領域３６が遮光体２０により生
じ、これは走行用フイラメントからの光線のみを
受ける。ランプ１２内ですれちがい用フイラメン
トの下部に位置するキヤツプ２２が領域３４に入
射するすれちがい用ビームのカツトオフ限界２４
を定めている。カツトオフ限界２４の水平横軸Ｙ
との間の角度４０および４２は、道路の端部と対
向走行車の使用する道路の照明を異なる様にして
対向車に眩輝をあたえない様にするために違つた
値を有する。好ましくは角度４０に対して25度、
角度４２に対して10度に選定する。領域３８は、
キヤツプ２２のため、走行用フイラメントからの
光線のみしか受けない。約言するとすれちがい用
フイラメントが道路照明に使用されている時は、
これから放射される光線は領域３４によつて反射
される。逆に、走行用フイラメントが使用されて
いると、その光線は領域３４，３６および３８の
全体で反射される。この事から本発明は領域３４
に対応する前面ガラス板部分をすれちがい用ビー
ムに作用するものとして規制し、一方領域３８お
よび３６に対応する前面ガラス板部分は走行用ビ
ームのみに作用するような規制を行なう。

第５図は本発明になる前照灯用の前面ガラス板
の好ましい、但し限定的ではない実施例を示す。
領域６０，７０，８０，９０，１００および１１
０は、すれちがい用ビームのみが作用するものと
して事実上定めた条線またはプリズムを有する
が、これは反射鏡の領域３４に対応するものであ
る。同様に、良好な走行用ビームを得るために定
められた領域５０，１２０および１３０は反射鏡
の領域３６および３８に対応する。

領域１２０および領域５０の断面を示している
第６図および第７図は長到達距離の強光度光を得
るために走行用ビームを集光するための偏向プリ
ズムの使用状態を示している。

この種の光学系の実例は上述の説明に限定され
得ないことは明白で、遮光体２０の寸法と形状を
変更することによつて特に反射鏡の領域３６の大
きさおよび形状を変えることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はすれちがい用ビームを最適にする場合
の前照灯の水平部から出たすれちがい、走行用両
ビームの垂直直角スクリーン上への投射図を示
し、第２図は走行用ビームの最適化時の第１図と
類似の図を示し、第３図は本発明に係わる前照灯
の反射鏡の光軸を通る水平面でなした断面図を示
し、第４図は前図と同じ前照灯の前面図を示し、
第５図は本発明になる前照灯用の前面ガラス板の
実施例の表面図を示し、第６図は第５図の線６−
６によつてなした断面図を、第７図は第５図の線
７−７によつてなした断面図、第８図はランプ部
分の部分断面側面図、第９図は第８図のＡ―Ａ断
面図である。 １２…電球、１４…走行用フイラメント、１８
…すれちがい用フイラメント、１９…前面ガラス
板、２０…遮へい部材、３４…パラボラ反射鏡、
２０…遮光体、２２…キヤツプ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 大口径を有するパラボラ反射鏡と、複数の帯
   状に配列し各断面がプリズム状に形成された集光
   面を備える前面ガラス板と、反射鏡の光軸上でそ
   の焦点の両側に位置する走行およびすれちがい用
   フイラメントを有し、走行用フイラメントが反射
   鏡の頂点と焦点との間に位置するランプとを有す
   る自動車用の前照灯において、 上記ランプの前面部にランプの前面部を覆うよ
   うに塗付された直接光遮光体を備え、 上部に開口部を有する半円筒状の形状をなし、
   半円筒状の両側面端部は該円筒の中心軸を通る水
   平面下方に位置し、該水平面と半円筒状の両側面
   端部及び中心軸を通る平面とのなす角が一方が他
   方より大きいように形成され、半円筒状の後端部
   には側壁を形成したキヤツプを上記ランプ内のす
   れちがい用フイラメントの下方に取付け、 下部に開口部を有する部分円筒状の形状をな
   し、部分円筒状の両側面端部は該円筒の中心軸を
   通る水平面下方に位置し、該水平面と部分円筒状
   の両側面端部及び中心軸を通る平面とのなす角は
   上記キヤツプ両側面端部及び円筒の中心軸を通る
   平面が円筒の中心軸を通る水平面となす角より大
   きく形成し、部分円筒状の後端は円筒中心軸に対
   して垂直である遮光体を該遮光体の円筒中心軸が
   ランプの光軸上に位置し、かつ遮光体の後端面が
   上記ランプ前端部の上部外周面及び両側部外周面
   を覆うと共に遮光体の前端がすれちがい用フイラ
   メント前端及びパラボラ反射鏡の前端外周で作る
   面よりも前方に位置するよう取付け、 上記キヤツプと遮光板により上記すれちがい用
   フイラメントからの光束が入射する上記パラボラ
   反射鏡の領域を限定し、 上記前面ガラス板のパラボラ反射鏡の限定した
   領域に対応する部分は上記走行用フイラメントか
   ら放射する走行用ビームのみを集光する集光面を
   形成することを特徴とする自動車用前照灯。