JPS6232067B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、ワークに成形された加工孔内を清掃
する清掃工具に係り、特に複合生産システムに用
いることができるように工作機械のスピンドルヘ
ツドに着脱可能に構成され、従来の切削工具と共
に交換使用できるようにした清掃工具に関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

一般に、工具交換可能な工作機械は、種々の切
削工具をスピンドルヘツドに着脱して使用される
ものであり、１台の工作機械で様々な切削作業を
行うことができるようになつている。

一方近年になつて、工作機械を複数台適宜配置
して用い、ワークの保持、切削および組立を連続
的に行いうるようにした複合生産システムが開発
されつつある。この複合生産システムでは、１台
の工作機械に切削、組立、清掃等の多種類の作業
機能が要求されるため、従来のように切削工具あ
るいはグリス注入等を行う少数の切削補助工具し
か交換使用できない工作機械では機能的に不十分
であり、スピンドルヘツドに組立工具、分解工
具、清掃工具等をも装着できるようにすることが
必要である。

〔発明の目的〕

本発明は、上記複合生産システムに用いられる
工作機械のスピンドルヘツドに着脱を要求される
種々の工具のうち、特にワークに成形された加工
孔内を清掃するための清掃工具を提供することを
目的とする。

〔発明の概要〕

上記目的を達成するため、本発明における清掃
工具は、工作機械のスピンドルヘツドに着脱され
る工具ホルダと、この工具ホルダから前方に突出
するように保持された清掃用ブラシと、工作機械
側から供給される高圧空気を工具ホルダの前方側
へ噴出されるように導く清掃用空気送給装置とか
らなることを特徴とし、工作機械のスピンドルヘ
ツドに着脱することができるとともに、装着した
ときには、ワークに形成された加工穴をブラシに
より清掃するとともに高圧空気によつて加工穴内
に残つた切粉等を吹き飛ばすことができるように
している。

〔発明の実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基いて詳細に説
明する。

第１図に示すように、本発明による清掃工具
は、円柱状の工具ハウジング１を有している。こ
の工具ハウジング１の後端側には工作機械のスピ
ンドルヘツドに装着される工具ホルダ２が一体的
に連設されるとともに、その前端側には、清掃用
ブラシ３およびノズル４が前方へ突出するように
取付けられている。

工具ホルダ２は、前記工具ハウジング１と同軸
的に配置され、従来のものと同様にそのテーパシ
ヤンク部５の後端部に設けられたプルスタツド６
が工作機械側に把持されるようになつている。な
お本実施例では、シヤンク部をテーパ状に形成し
ているが、ストレート状に形成したものももちろ
ん採用することができる。ストレートシヤンク部
を採用する場合には、工作機械のスピンドル先端
もストレート穴に形成する。

また、この工具ホルダ２には、その後端部から
主空気送給路７が穿設されており、工作機械側か
ら供給される高圧空気がこの主空気送給路７を通
つて工具ハウジング１側に導かれるようになつて
いる。

さらに、前記清掃用ブラシ３は、工具ハウジン
グ１の軸線上に配置されるとともに、ノズル４は
工具ハウジング１の軸線からやや離れた位置に上
記清掃用ブラシ３とほぼ平行に配置されている。
そして、これら清掃用ブラシ３およびノズル４
は、エアシリンダ機構によりその軸線方向に往復
動されるようになつている。すなわち、工具ハウ
ジング１には、軸線方向に延びかつ前方へ開口す
る２つのシリンダ孔（主シリンダ孔）８および
（補助シリンダ孔）９が穿設されるとともに、こ
の各シリンダ孔８および９内にはピストン１１お
よび１２がそれぞれ配されており、これらのピス
トン１１および１２と清掃用ブラシ３およびノズ
ル４とがそれぞれ一体的に往復移動されるように
なつている。

そして、上記清掃用ブラシ３は、細長状の支持
棒１３と、この支持棒１３の前端部分に取付けら
れた羽根部１４とからなつており、支持棒１３が
ピストン１１の前端面側に固着されている。ま
た、ピストン１１の後方側にはコイルばね１５が
圧縮状態で取付けられており、ピストン１１はこ
のコイルばね１５によつて常時前方に押し出され
るように付勢されている。さらに、上記工具ハウ
ジング１には、前記工具ホルダ２に設けられた主
空気送給路７に連通するブラシ移動用空気送給路
１６が形成されており、このブラシ移動用空気送
給路１６は、上記シリンダ孔８の前端位置に開口
されている。これにより、工具ホルダ２の主空気
送給路７側から高圧空気が送給されると、この高
圧空気は、上記ブラシ移動用空気送給路１６を通
つてシリンダ孔８内の前端部分に流入し、ピスト
ン１１をコイルばね１５の押圧力に抗して後方側
へ押し込むように作用する。

また、前記ピストン１２は、シリンダ孔９の内
壁に沿つて往復移動するピストン部１７と、この
ピストン部１７の前端面から前方側に延出する細
長状のロツド部１８とを有し、このロツド部１８
の前端部に切粉よけ１９を介して前記ノズル４が
固定されている。そして、上記ピストン部１７の
前方側にはコイルばね２１が圧縮状態で取付けら
れており、このコイルばね２１によつてピストン
１２は常時後方側へ押し込まれるように付勢され
ている。また、シリンダ孔９の前方部分にはスト
ツパ管２２が嵌挿されており、このストツパ管２
２の端面によつてピストン１２の前方側への移動
が規制されている。

さらに、上記ピストン１２には、軸線方向に貫
通する細長状の空気通路２３が形成されており、
この空気通路２３は、ノズル４に貫通形成された
細長状の空気通路２４に連通されている。そし
て、両空気通路２３，２４は、所定の管路抵抗を
備えるように設定されており、ノズル４から圧力
P₁の空気を噴出させるには、空気通路２３，２４
にて生ずる圧力損失P₂だけ上記P₁より高い圧力P₀
（P₀＝P₁＋P₂）の空気を供給しなければならないよ
うになつている。また、前記工具ハウジング１に
は、工具ホルダ２の主空気送給路７に連通する清
掃用空気送給路２５が形成されており、この清掃
用空気送給路２５は、上記シリンダ孔９の後端部
に開口されている。この清掃用空気送給路２５
は、ノズル移動用空気送給路としての機能も有し
ており、工具ホルダ２の主空気送給路７側から高
圧空気を送給すると、この高圧空気はシリンダ孔
９の後端部分に流入し、その一部（圧力P₁分）
は、空気通路２３，２４を通つてノズル４の先端
部から外方へ噴出され、残り（圧力P₀−P₁分）
は、ピストン１２をコイルばね２１に抗して前方
に押し出すように作用する。

なお、前記ブラシ移動用空気送給路１６と清掃
用空気送給路２５とは、互いに合流するように設
けられており、主空気送給路７側から高圧空気を
送給すると、前記残圧（P₀−P₁）の作用によりピ
ストン１１は後方側へ移動されると同時に、ピス
トン１２が前方側へ移動され、清掃用ブラシ３と
ノズル４とが反対方向に同時に移動されるように
なつている。また、両空気送給路１６，２５を合
流させているために、ピストン１２に負荷される
圧力（P₀−P₁）とピストン１１に負荷される圧力
とを同じにすることができるようになつている。

この場合、第２図に示すように、ピストン作動
圧（P₀−P₁）（縦軸）は、空気通路２４の内径
（横軸）の増大とともに下降していくが、主空気
送給路７に送給する空気の圧力をたとえば６Kg／
cm²ノズル４の長さを約200mmにしておけば、空気
通路２４の内径４mmで残圧（P₀−P₁）は約５Kg／
cm²となり作動させるに十分な圧力であることが判
明している。そして、空気通路２４の内径を約４
mmとすると、約10mm〜15mm程度の加工孔を清掃可
能であることが判明している。

さらに、工具ハウジング１の前端面には、シリ
ンダ孔８および９をそれぞれ覆う蓋２６および２
７が固定されており、これらの蓋２６および２７
を上記清掃用ブラシ３の支持棒１３およびピスト
ン１２のロツド部１８がそれぞれ貫通している。
そして、これら支持棒１３およびロツド部１８
は、エアシール２８，２９および３０を介して摺
動自在かつ気密的に支承されている。なお、エア
シール２８，２９の摩擦力によつて工具ハウジン
グ１と清掃用ブラシ３とは一体的に回転されるよ
うになつており、また、ピストン１１の前方側へ
の移動は、上記蓋２６により規制されるようにな
つている。

このような構成からなる清掃工具は、工作機械
のスピンドルヘツドに着脱して使用することがで
き、装着したときには、ワークに形成された加工
穴内を清掃することができる。

すなわち第３図に示すように、本発明による清
掃工具を装着した清掃用工作機械３１は、ワーク
３２を保持したワーク保持用工作機械３３に向い
合せて使用され、複合生産システムが構成され
る。このような複合生産システムでは、まず、工
作機械３１を移動させ、清掃用ブラシ３の軸線を
ワークに形成された加工穴の軸線と一致させる。
そして、清掃用ブラシ３を回転させながら加工穴
内に挿入する。この場合、清掃工具へは空気を送
給しないようにしている。したがつて、清掃用ブ
ラシ３はコイルばね１５により前方側へ押し出さ
れた状態に維持されるとともに、ノズル４は、コ
イルばね２１により後方側へ押し込まれた状態に
維持され、清掃用ブラシ３を加工穴内に挿入して
もノズル４がワークに衝突することはない。そし
て、工作機械３１の主軸回転による清掃用ブラシ
３の回転力によつて加工穴の内壁に付着している
切粉、切屑、油等は完全にこすり取られ、特に、
穴深部や刃物による送りマーク内に滞溜する切粉
等をも離脱させることができる。

つぎに、工作機械３１を後退させて清掃用ブラ
シ３を加工穴内から引き抜いた後、工作機械３側
から高圧空気を清掃工具に送給する。この高圧空
気は、工具ホルダ２の主空気送給路７からブラシ
移動用空気送給路１６および清掃用空気送給路２
５を通つてシリンダ孔８および９内に流入し、ピ
ストン１１を後方へ移動させるとともに、ピスト
ン１２を前方へ移動させ、清掃用ブラシ３を後方
側へ引き込ませると同時に、ノズル４から所定圧
の清掃用空気を吹き出させながら上記ノズル４を
前方側へ押し出す。この状態でノズル４の軸線を
加工穴の軸線と一致させてノズル４を加工穴内に
挿入するかあるいはそのまま穴の近傍部分に位置
させておけば、清掃用ブラシ３によつてこすり取
られた後の切粉等が清掃用空気により吹き飛ばさ
れ完全に穴内から除去されるとともに、吹き飛ば
された切粉等は、切粉よけ１９によりロツド部１
８と蓋２７との間に直接侵入するのが防止され
る。最後に工作機械側からの空気送給を停止すれ
ば、再び清掃用ブラシ３が前方側へ押し出される
とともに、ノズル４は清掃用空気の噴出を停止さ
せながら後方側へ押し込まれ、次の清掃作業に備
える。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明による清掃工具は、
工作機械のスピンドルヘツドに着脱される工具ホ
ルダと、この工具ホルダから前方に突出するよう
に保持されて加工穴内の切粉等をこすり取る清掃
用ブラシと、加工穴内から切粉等を吹き飛ばす清
掃用空気を送給する清掃用空気送給装置とから構
成したので、工具交換可能な工作機械のスピンド
ルヘツドに切削り工具等とともに着脱して使用で
き、本工具を用いればワークに形成された加工穴
内に切粉等が油により強く付着していても、供給
空気のオン・オフ制御のみの簡単な操作でこれら
切粉等を完全に除去することができる。したがつ
て本発明によれば、複合生産システムを大きく前
進させ、極めて能率的な作業を実現することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における清掃工具の
縦断面図、第２図はノズルの空気通路内径とこの
空気通路の管路抵抗から生ずるピストン作動圧と
の関係を示す線図、第３図は本発明による清掃工
具の使用状態を示す側面図である。 １……工具ハウジング、２……工具ホルダ、３
……清掃用ブラシ、４……ノズル、７……主空気
送給路、８，９……シリンダ孔、１１，１２……
ピストン、１５，２１……コイルばね、１６……
ブラシ移動用空気送給路、２５……清掃用空気送
給路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 前端部から後方に向け軸線方向にそれぞれ形
   成された主シリンダ孔および補助シリンダ孔と、
   前記主シリンダ孔内に主シリンダ孔の一方側端か
   ら高圧空気を供給する移動用空気送給路と、前記
   主シリンダ孔の一方側端とは軸線方向反対位置の
   補助シリンダ孔の他方側端から前記補助シリンダ
   孔内に高圧空気を供給する、前記移動用空気送給
   路と互いに合流して高圧空気源に連通している清
   掃用空気送給路とを備えた、工作機械のスピンド
   ルヘツドに着脱される工具ホルダと、 後方部が前記工具ホルダの主シリンダ孔内に往
   復移動可能に挿入され、前方部に設けられたブラ
   シ羽根部が工具ホルダの前端部から前方に突出し
   て保持されている清掃用ブラシと、 後方部が前記工具ホルダの補助シリンダ孔内に
   往復移動可能に挿入され、前方部が工具ホルダの
   前端部から前方に突出して保持されているととも
   に、前記清掃用空気送給路と連通する空気通路が
   軸線方向に向けて形成されているノズルと、 からなる清掃工具。 ２ 前記移動用空気送給路は前記主シリンダ孔の
   前方側位置に開口され、前記清掃用空気送給路は
   前記補助シリンダ孔の後方側位置に開口されてい
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   清掃工具。